株式会社鶴見の飯田とRoboTANGOの出会い
―御社の事業内容とRPA導入の検討を開始した経緯を教えていただけますでしょうか。

職人さんや監督さんなど建設業の方をお客様として建設資材や建築資材の販売を行っている100年以上続いている老舗企業になります。取引先は700社を超え、毎月の売掛先で最低300社ほどあります。
売上を生まない入力作業を削るために2016年辺りからRPA導入は検討していました。しかし、当時は導入コスト、ランニングコスト共に高く中小零細企業である当社では取り入れるのは難しいと感じていましたが、自社でも扱える価格であれば必ず使いたいと思っていました。
ーRoboTANGOとの出会いと選ぶ決め手はどこにありましたか?
それから数年経って、展示会でRoboTANGOに出会いました。担当の方にお話を聞いたら弊社でも導入可能な価格だったので、本格的に検討を始め導入を進めていきました。
最終的にRoboTANGOに決めた理由は、「価格」。そして「ロボット開発の簡単さ」「コストパフォーマンスの良さ」「サポート体制」です。私はRPA作成でUIが大事だと考えています。4~5社のRPAを見ましたが、RoboTANGOがもっともわかりやすかったのと担当の方の熱心さが信用出来るなと思ったので導入を決めました。
―RPAの導入に際して社員からの反発はありませんでしたか?
弊社では社長自ら展示会に出向き、RPAの導入を進めました。正直、導入を決めた段階では社員の多くはRPAを詳しくは知らない状態でしたが、社長が社員に率先してデモを見せ、RPAで何ができるのかを説明していったことで理解できるようになりました。
理解した後は、反発をするどころか自分達の業務のどこで使えるかを自ら考えるようになり、積極的に関与していったため、非常にスムーズに導入が進んでいきました。
―現在、作成したロボットは何個ぐらいになるのですか?
導入して1ヶ月で7個作成しています。だいたい1個を1~3日で作成しました。
作成のポイントとしては、一つのロボットに与える仕事量を少なくすることです。一つのロボットに大量の仕事を与えてしまうと、不具合が起きた際に多くの業務が止まってしまいます。そのため小さいロボットを量産し、業務全体が止まってしまうのを避け、スムーズに業務を進められるようにしています。
また、一つのロボットに多くの仕事を与えない方が短期間でロボットを作成できるのに加え、一つひとつのロボット作成が簡単になるため、新人でも作成が可能になります。現場レベルでロボットの作成、運用ができることからも、弊社ではこの方法がベストといえます。業務が止まるリスク管理はロボット作成において最も大切なポイントだと思います。
―現在、どのような業務にRPAを活用されているのですか?
現在は、主に受注伝票や売上伝票の入力作業にRPAを活用しています。これにより、スプレッドシートに手入力し、業務システムに手入力という工程が、すべて自動入力変わりました。今後はRPAと最も相性のよい経理業務の削減に着手しようと思っています。
ランニングコストと残業時間の削減、従業員満足度の向上を実現
―RoboTANGOを導入してどのような成果が出ていますか?
RoboTANGO導入によって得られた効果のなかでも大きいのは、「残業を含めた労働時間の削減」「IT利用のランニングコストの削減」「顧客対応の迅速化」の3つです。
残業を含めた労働時間の削減
残業時間の削減は、元々の弊社の課題でもありましたが、入力作業のほとんどを自動化することで、1スタッフに対して1日2時間程度の時短を実現しています。これまでは業務時間以外を使って入力作業をしていましたが、他の業務をしている間にボタンを押すだけで入力作業が終わるため、朝早く出社したり、勤務後に遅くまで残って入力作業をしたりすることがなくなりました。
残業時間が削減されたことで、朝は家族と顔を合わせて食事をしてから出勤できるようになりましたし、業務後も早く帰れるようになったので、家族がいる社員は家族との時間を過ごす。別の社員はジムへ行ったり、趣味に使ったりと心のゆとりを持てるようになったのもRPAの効果といえます。長い企業経営の上でこういった公私バランスを整えてあげることは最も大切なことの一つだと考えています。
IT利用のランニングコストの削減
RPAを導入してから気づいたのですが、スプレッドシートからシステムに入力するだけなので、従来使用していた多機能でランニングコストの高かった既存システムでなくてもよくなったのです。そこで、必要な機能だけに絞った安価なシステムに変更することで、年間にして100万円ほどのランニングコスト削減を実現しました。「担当者の入力するITレベルによってシステムを選ぶ」のでなく、「会社にとって必要なシステム」を選ぶことが出来ました。
顧客対応の迅速化
もう一つの効果は、「顧客対応の迅速化」です。これまで入力を手作業で行っていたとき、特に締め日の関係で入力作業が集中する月末月初は、それ以外の業務がどうしても後回しになってしまっていました。しかし、RPA導入で入力業務が自動化されたことで、その時期に来店されたお客様や電話対応、営業活動ができるようになり、お客様を待たせることなく対応できるようになったのです。これにより、顧客満足度も高まったのはRPA導入の大きな効果ですね。「そのときその場で回答が欲しい」お客様の潜在ニーズを実現出来ている実感があります。他社より回答が早いので飯田さんに注文をしたよ、という声が増えました。

―RoboTANGO導入によって社員の方の意識が変わるといったことはありましたか?
そうですね。社員の意識も変わりましたし、それによって社内の雰囲気も大きく変わりました。もっとも変わったのは、入力作業がなくなったことで社員同士の会話が増え、社内の雰囲気が明るくなったことです。
入力作業があると1日のうち、1~2時間はみんな黙って黙々と作業を行うのですが、入力作業がなくなったことで、その時間で仕事の話をできるようになったのです。社員同士の会話が増えたことで全体的に明るくなりましたね。
入力作業はそれ自体難しい仕事ではなく簡単なのですが、正しくできて当たり前の仕事です。しかし、ミスがあれば場合によっては会社に大きな損害を出したり、取引先にご迷惑をおかけしてしまいます。そのため、精神的な負担がかなり大きい仕事なのですが、RPA導入によってその仕事から解放され負担が軽減したのも社内の雰囲気が明るくなった要因です。
ほかにも、RPAの導入は社員教育にも効果がありました。それまでは社員のミスを何度もしつこく注意して指導してきましたが、ミスをすることを指摘するのは難しいんですね。特に同じミスを何回もしてしまうと、それを指摘しにくくなります。
しかし、RPAを導入してからは、入力をミスするとロボットが止まってしまうので間違いを修正してと論理的な指摘ができるようになりました。人のミスを指摘するとどうしても感情論になってしまうのですが、ロボットが止まった場所でミスを明確化できることでピンポイントに指摘ができます。そのため、「ミスをして注意された」ではなく、「この部分を間違えたので注意された」と指摘された原因がはっきりわかり、感情論になりません。人に対して怒るのではなく、起きた問題に対して指摘できるようになったのは、社員教育の面からもメリットは大きかったですね。
導入支援のサポートがあったことで導入から活用のスピードが加速
―RoboTANGOの導入支援サービスを利用して効果は感じられましたか?
はい。※導入支援サービスがあったからこそ、すぐに活用を始められました。導入支援サービスがなければ、ここまでのスピードで効率化も図れなかったと思います。
※導入支援サービスとは、お客様の業務把握・改善案を含めたロボ制作の有償支援サービスです。
具体的には、操作レクチャーやシナリオ作成支援を受けられたのが大きかったです。そのおかげで、導入直後にコストペイを達成しました。
また、RPAにエラーが起きて停止してしまった際、ちょっとしたエラーであれば社員が修正できますが、複雑なエラーになると自分たちで修正するには手間や時間がかかってしまいます。そうした際のためにRPAの保守のみを外部に依頼し、効率化を図っています。