製造業
RPA活用でシステム間のデータ連携や転記などの単純作業を自動化し、会社全体で月170時間の作業工数削減を実現
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仮設トイレをはじめとする建築現場で必要な各種アイテムの企画・製造・販売・レンタル事業をされている日野興業株式会社のご担当者様にRPA導入前の課題、RPA活用法や成果・効果についてお話を伺いました。
課題
- 自社システムがAPI連携に対応していないため、システム間のデータ入力・転記を手作業で行っていた
- 単純作業や定型業務が多く、時間やリソースを多く割いていた
- 金額に関わるデータの入力を手作業で行っており、ヒューマンエラーによるWチェックや修正が負担になっていた
効果
- 会社全体で月間170時間もの作業工数の削減が実現
- 手作業によるミスの軽減そ、それによるWチェック・修正がなくなり担当者の負担が軽減された
- 生産性の低い単純作業や定型業務にリソースを割く必要がなくなり、やるべき業務に注力できるようになった
アナログ業務が多く手作業でデータ連携をしていたため、社員の負担が増大していることからRPA導入を検討
仮設及び常設のトイレ、バス、シャワー、シンクなどの屋内設備、その他建設関連資材の製造・販売・レンタル事業を行っています。
弊社ではシステムの刷新やデジタル化を進め、DX化を推進していますが、まだまだアナログな部分が残っています。例えば、システムは自社で開発したものを長く使っていますが、他のシステムとAPI連携ができない、バッジ処理を行えない業務があります。そのため、各事業所でExcelで作成したデータを手作業でシステムに転記したり、導入したアプリでは、ただクリックするだけの単純作業が発生したりと、多くの時間やリソースを費やしていることが課題でした。
解決策を模索していたところ、弊社の協力業者である販売代理店から、RPA導入の提案がありました。そこで初めてRPAの存在を知り、紹介された3つの製品の中から導入を検討し始めました。
導入の決め手は「簡単にRPAロボットが作成できそうだったこと」「低価格での導入・運用が可能だったこと」「1アカウントで5台のPCで利用できること」
RoboTANGOの導入を決めた大きな理由は次の3つです。
- 簡単にRPAロボットが作成できそうだったこと
- 低価格での導入・運用が可能であったこと
- 1ライセンスで5つのアカウントまで利用できるため、複数の拠点でRPAの浸透を進めやすかったこと
RPA自体を知らない社員が多い中で、実際に使う社員が挫折しないように、できるだけ簡単につくれて達成感を得ることが重要だと思っていました。
検討を進める中でRPAについて調べると、コーディングなど高度な知識が必要な製品もありました。しかし、RoboTANGOは録画機能があり簡単にRPAロボットの作成ができそうだと感じたことが大きな決め手となりました。また、低価格で導入・運用ができそうだったというのも導入を決めた理由の1つです。
あとは、1ライセンスで5台のPCで利用できることも導入の決め手の1つでした。複数の拠点でRPAを活用し、なるべくたくさんの社員に触れてもらう方が会社全体にRPAを浸透させる効果が高いと思いましたので、フローティングライセンスは非常に魅力的でした。
RoboTANGOのトライアル期間にサポートを受けながら、RPAロボットを2~3個作成しました。自動化したい業務が実現し業務効率化につながり、費用対効果が高いと感じたので、他のRPA製品を試すことなく、RoboTANGOの導入を決めました。
RPA導入で作業時間削減、定型業務の自動化、業務担当者の負担軽減などを実現
主に次のような業務の自動化を行っています。
工事現場への案内図ファイルをデータベースに格納する作業
仮設トイレを設置する工事現場の案内図を文書管理システムを通じて、データベースに保存する作業が土曜日を含め毎日発生します。
この案内図は仮設トイレを運搬するドライバーが活用するもので、現場の工事が終了した後、仮設トイレを回収するまでは案内図も保管しておく必要があります。
作業の手順としては、文書管理システム内のデータを選択するとポップアップが出現し、そこで属性を付与し、データベースにアップロードするためのプラグインにドラッグして移行するという作業です。
データを1件ずつ処理する必要があり、1日に100回ほど繰り返し手作業で処理する拠点もあり、毎回30~40分ほど時間がかかっていました。
9拠点で月間12.5時間分の作業工数が発生していたのですが、現在はRPAで自動化し、月間100時間以上の作業時間が削減され、人の手を使わずに処理ができるようになりました。
また、派遣社員の雇用と比較しても安価で処理が可能なので、コスト削減も実現しました。
レンタル品を運送するドライバー情報の管理
仮設トイレを運ぶドライバー情報の管理をExcelで行っており、そこには配送ルートや受注番号、ドライバー情報などが記載されています。この情報を基幹システムに転記する作業が土日を含め毎日発生していました。
Excelには1日の案件情報が一覧化されており、ドライバー1名あたり1日で10現場ほど経由し運送しますが、データはドライバーごとにまとまっていません。そのため、まずはドライバーごとに番号を振り、フィルターをかけデータを整形した後、別のシートに貼り付け直すなど、基幹システムで処理がしやすい状態にしていました。
次に、基幹システムのドライバー情報登録画面を開き、Excelから取得した受注番号を入力すると、自動でドライバー情報の入力箇所に移動します。すぐ横にあるドライバー番号を取得し、入力箇所に貼り付け保存し作業は完了です。
この作業を案件数分繰り返し行い、1回に15~30分かかる作業ですが、RPAで自動化したことで人の作業がゼロにまで削減されました。
自社システムへの売上入力
お客様から入金があった際に、金額を自社システムに入力する作業が毎月9拠点で発生しています。
お客様から入金があると経理担当者が内訳を確認し、売掛金額や現金手数料をExcelに入力して仕訳を行います。その後、自社システムと会計システムに入力します。
自社システムと会計システムが連携していないため、両方に入力する必要があり手間になっていました。また、入力ミスが発生すると自社システムと会計システムで誤差が生じてしまい、締め日にミスを探したり、修正したりなど多くの工数がかかっていました。
そこでRPAを活用し、自社システムから会計システムに転記する作業を自動化しました。これにより、1拠点につき月間4~5時間の作業が自動化され、全9拠点で約45時間の作業工数が削減されました。
さらに、RPAの正確な操作によりミスがなくなりWチェックや修正なども削減され、担当者の負担が軽減されました。
社内ポータルサイトから配達一覧表(PDF)をダウンロードする作業
社内ポータルサイトからドライバーごとの配達一覧表のPDFをダウンロードし、ドライバーに送付する作業が毎日発生しています。
配達一覧表にはドライバーが次の日に配達する現場の住所や情報が入っています。当日渡す正式な伝票の前に、明日の仕事の前通知をするために行う作業です。
流れとしては、社内ポータルにログイン後、配達一覧表をダウンロードしファイル名にドライバーの名前を付け、指定のフォルダに保存します。その後、LINEWORKSのトークルームでファイル名から取得したドライバー名を検索し、添付して送信します。
この作業は拠点によってやり方が異なるため、現状では1拠点でのみ自動化していますが、定型業務が自動化され工数削減につながりました。
社内で勉強会を開催しています。複数の拠点にRPAを拡大する際にライセンス増加をしました。その際に初めて利用する社員向けに、スターティアレイズの営業の方に勉強会を行ってもらい、私も勉強会で得たものを実際に活用しているRPAロボットへ落とし込む作業をしながら復習をして知識を蓄えています。
また、今後現在9つある拠点でそれぞれ代表者を募ってRPAロボットの発表会を開催したいなと考えています。例えば、最初は各拠点でアイデアを出し合い、自動化が可能な作業なのかを議論をし、実現可能そうなものがあれば9拠点に別のRPAロボットの作成課題を1つずつ出します。うまくいけば9つ完成し各拠点で配布して活用できれば、社内での活用が一気に広がると思っています。そういった展開の仕方をしていきたいというのが理想です。
今後はRPAを扱える人材を増やし業務のデジタル化を進めていきたい
今後は9拠点でRPAを扱える人材を増やしていきたいと考えています。また、フル活用ができている拠点では、状況に応じてライセンスを増やしてさらに活用を拡大していきたいです。
アナログな作業が多い企業ほどRPAはおすすめ
現在の業務を少しでも効率化し、楽に仕事をしたいという思いが強い人はRPAの導入が向いていると思います。また、現状誰にでもできる単純作業や定型業務などに人的リソースを割いている管理職や拠点長の方も、社員の残業時間を減らしたり、新しい人材を採用せずに作業を遂行したりできるので、負担軽減やコスト削減につながるためおすすめしたいです。
また、すでにIT化やDXが進んでいる企業より、これから着手したいといった企業にもRPAは向いています。手作業ですべて行っているなどアナログな作業が多いほど、RPA導入で効果が目に見えてわかりますし結果が出やすいので、まずはトライアルを使ってみて、RPAでできることとできないことを担当の営業に相談しながら見極めることが大切だと思います。