宿泊・飲食サービス業
RPA導入でデータ入力や集計・加工作業など煩雑な業務を自動化し、月間120時間の作業時間を削減。手厚いサポートで他社RPAからの移行もスムーズに実現。
- Excel/CSV
- 売上データ
- 日報
- BtoC

管理部門 部長 宮永様(写真左)、管理部門 大室様(写真右)
自社ブランド「大衆すし酒場 じんべえ太郎」「カラオケkobanちゃん」の運営に加え、フランチャイジーとして「大衆割烹 庄や」「旨いもの処 日本海庄や」「Italian kitchen VANSAN」「FURDI」を運営する株式会社かんなん丸 管理部門 部長 宮永様、同じく管理部門の総務担当 大室様、IT担当 江口様にRPA導入前の課題、RPA活用法や成果・効果についてお話を伺いました。
課題
- 他社RPA導入時、定型業務の自動化は進んだものの、ロボの作成や修正時にライセンスの切り替えに手間がかかり、不便だった
- 頻繁なライセンス切り替えによって費用が増加し、運用コストが高騰していた
- 1ライセンス1台の制約により、専用PCでしか作業ができず、不便だった
効果
- 日次・月次で行うデータの集計、蓄積、加工、データ入力、フォーマット作成を自動化し、月間120時間の作業時間を削減
- RPAによる自動化で、入力ミスや漏れ、忘れといったヒューマンエラーを削減
- 従業員の精神的負担を軽減し、業務マニュアル作成や手順説明にかかる工数も削減
- 複数台のPCによるロボ作成・編集が可能になり作業が効率化
RPA導入後、ライセンス切り替えの手間と運用コストが課題に

当社は自社ブランドである「大衆すし酒場 じんべえ太郎」と「カラオケkobanちゃん」の運営をしております。
また、フランチャイジーとして、大庄グループ「大衆割烹 庄や」「旨いもの処 日本海庄や」、VANSANグループ「Italian kitchen VANSAN」の運営をしております。
2023年10月にフィットネス業界に参入。女性専用AIパーソナルトレーニング「FURDI」第一号店を武蔵浦和に開店しました。
第1号店として「大衆割烹 庄や浦和店」を埼玉県さいたま市に開店して以来、埼玉県を中心に栃木・群馬・千葉に店舗展開をしております。
宮永様:日々の定型業務は、可能な限り機械で自動化したほうが効率的だと考えていました。Excelではマクロの機能がありますが、WebやExcel・メール・システムなど複数のツールを横断する業務では、マクロでは対応できません。情報収集を進める中で、さまざまなシステムを横断して自動化できるRPAが最適だと考え、導入を検討しました。
大室様:RPAツールの導入後、定型業務の自動化は進められたものの、運用コストが大きな課題でした。そのRPAには2種類のライセンス形態があり、RPAロボットを作成・修正する際には作成版ライセンスが必要で、一度ロボットを作成した後は、実行版ライセンスに切り替えて運用する仕組みでした。
しかし、運用していく中で、システムのUI変更などによってロボットの修正が必要になり、そのたびに作成版ライセンスに戻す必要がありました。月の途中でライセンスの変更は可能でしたが、作成版ライセンスの費用が適用されてしまうため、コスト負担が大きくなっていました。
当初は作成版と実行版のライセンスを使い分け、数カ月ごとに切り替える運用を想定していましたが、結局1カ月ごとに作成版のライセンスへ戻すケースが多く、結果的に費用が増加してしまいました。また、月ごとに契約を切り替える手続きも手間がかかっていたため、「もう少しコストや運用の負担を抑えたい」と感じていました。
宮永様:他にも、当時利用していたRPAは、1ライセンスにつき1台のPCでしか作業できない仕様でした。ロボットの作成や編集の際には専用のPCで作業する必要があり、わざわざそのPCで対応するのは不便に感じていました。そのため、「複数の担当者がそれぞれのPCで構築や修正を行える環境が必要だ」と考えていました。
大室様:当初スターティアレイズさんからご連絡いただいた際は、他社のRPAを導入したばかりだったためお断りしました。ですが、1年近く経った頃に再度ご連絡をいただき、「何かお困りごとはありませんか?」と聞かれたので、現在の課題やコスト面、運用の手間などについて相談しました。すると、「一度お話を聞いてみませんか?」と提案いただき、具体的に話を聞くことになりました。
「サポート体制」「低価格」「複数のPCで利用可能なフローティングライセンス」がRoboTANGO導入の決め手
RoboTANGOの導入を決めた大きな理由は次の3つです。
サポート体制(RPAツール乗り換えの為のサポートをしてもらえる)
運用コストが安価
1ライセンスで複数のPCが利用可能なフローティングライセンス
大室様:営業担当からお話を伺った際に、サポート面で「一緒にRPAのロボットを作成してくれる」という点が大きく、これならぜひお願いしたいと思い、導入を決めました。
さらに、作成版ライセンスの費用に比べて低価格で利用できるコスト面、1ライセンスで複数のPCからロボを作成できるフローティングライセンスも魅力でした。この「サポート」「コスト」「フローティングライセンス」という3つの要素がそろっていたことが導入の決め手ですね。
大室様:RPAロボットの作成フォローの際、営業担当の方がとても分かりやすく的確に教えてくださったおかげで、比較的スムーズに移行することができました。以前のRPAでの経験があったため特に大きな問題もなく進みましたし、最初は慣れるまで戸惑う部分もありましたが、今ではすっかり慣れ、RoboTANGOの方が画面が見やすく、操作しやすいと感じています。
江口様:私も大室と同じで、最初は「前のRPAではこうだったのに」と思うことがありましたが、作成フォローのときに営業担当の方から「前のRPAだとこうでしたが、RoboTANGOではこうするとスムーズにいきますよ」と都度丁寧に教えてくださったおかげで、理解が進みました。RoboTANGOは自由度が高く、今では非常に使いやすいと実感しています。
データの収集や加工、データ入力・フォーマット作成などを自動化し、月間約120時間の作業時間削減に成功
現在、管理本部におけるデータの入力をはじめ、データ収集・蓄積・加工、表の作成など主に日次や月次の定型業務をRPAで自動化させています。
1.各店舗の売上データをシステムから収集・蓄積
大室様:各店舗の一日の売上データを土日含めて毎日収集しており、この業務をRPAで自動化しています。
手作業で行っていた頃は、作業に慣れている担当者でも1時間ほどかかっていました。2種類の売上管理システムを利用しており、一方では一括でデータをダウンロードできるものの、もう一方のシステムでは、1店舗ずつデータを抽出しなければならず、 抽出作業とその後のデータ加工に多くの時間がかかっていました。こうした課題を解消するためにRPAを活用し、作業の効率化を実現しました。
現在、31店舗で業態ごと に異なるシステムのデータをExcelの表にまとめて蓄積しています。この蓄積したデータは、売上チェックシートや売上速報の作成など、さまざまな業務に派生して活用されています。
2.時間帯別売上の集計
大室様:時間帯別売上は、売上速報に反映させるために必要な作業で、各店舗の1時間ごとの売上データを、毎日RPAを活用して集計しています。前日の売上データを1時間単位に区切って抽出し、たとえば10時から11時までの売上といった形で時間ごとに整理して売上を出しています。
宮永様:以前、手作業で行っていた際には作業時間自体はそれほどかかりませんでしたが、店舗ごとにデータを集計する手間が大きく、毎日同じ作業を繰り返すことへの負担が課題となっていました。RPAを導入することで、この負担が大きく軽減されました。
3.人件費データの収集
宮永様:売上速報に反映するため、勤怠管理システムから各店舗の人件費データを抽出する作業を自動化しました。
当初は、データ抽出を手動で行っておりましたが、店舗数が増えてきたため自動化したいと考えていました。集計の仕組みは別の方法も検討しましたが、現行のやり方を踏襲しながらRPAで自動化を進めることにしました。
もし現在も手作業を続けていれば、毎日集計に20~30分かかっていたと思いますが、自動化により作業が効率化され、安定したデータ抽出が可能になっています。
4.電子決済データとグルメサイトの来店実績の抽出
江口様:日次の業務として、決済一覧データを(加盟店用の)管理画面から抽出し 、Excelの表にまとめています。手作業でもそれほど時間はかかりませんでしたが、作業の手間を軽減するため自動化しました。
また、RoboTANGOに移行してからは、電子決済と同様にグルメサイトの決済実績を抽出して一覧表にまとめる業務と、予約管理システムから店舗ごとの予約実績を抽出する業務も自動化しました。
もともと担当者が手動でデータ作成をしていたのですが、ご予約時のポイント利用を把握する為に「どうせなら」と考えて自動化を進めました。
作業自体は数分で終わるものの、作業方法を説明したり、担当者の作業負担を増やしたりするよりも、RPAによる自動化の方が効率的だと考え、この仕組みを構築しました。
5.LINEショップカードのデータ抽出
江口様:日次の業務として、店舗の公式LINEアカウントで運用しているショップカードの利用実績を店舗ごとに抽出し、蓄積しています。
手作業で行っていた時は1日30分ほどかかっていましたが、業務が立て込むと後回しになってしまうことも多かったため、RoboTANGOで自動化したことで安定的にデータ収集ができるようになりました。
6.月初めの定型業務の効率化出
宮永様:月初めに行う定型業務として、ABC分析と月次損益用のデータ抽出と処理をRPAで自動化しています。
ABC分析については、売上管理システムで集計されたデータを社内で活用しやすい形式に加工するため、まずRPAを使ってデータを抽出し、その後のデータ加工も自動で行っています。これにより、分析に必要なデータの取り出しと整形作業が効率的に進められるようになりました。
また、月次損益については、クラウド型の財務会計ソフトにアクセスし、アップロードされているデータを条件ごとに抽出するプロセスをRPAで自動化しています。
7.売上のデータ入力
宮永様:カラオケ店舗の売上データについては、システム連携ではなくメールでデータが届く仕組みになっています。そのため、メールで届いたExcelデータを開き、売上管理システムに売上データを転記する作業を自動化しました。 本来であればポスレジから直接連動するのが理想ですが、導入したカラオケレジにはその機能がなかったため、連携システムを新たに構築するよりもRPAを使って自動化することにしました。
8.インフォマート仕入れ実績の集計と自動反映
江口様:現在、10店舗で「インフォマート」の受発注システムを導入しており、その仕入れ実績データを売上速報に反映させるため、RPAを活用しています。
具体的には、店舗へ商品が納品された際に納品チェックを行うと、その情報がインフォマート上で仕入れ実績として反映される仕組みになっています。その仕入れ実績の金額を店舗ごと、日付ごとに集計し、「何日時点でどれくらい仕入れているか」を一覧表で出して確認できるようにするための作業を平日毎日RPAで動かしています。
こうして集計した仕入れ実績のデータを売上速報に追記し、各店舗と情報を共有することで、最新の仕入れ状況をスムーズに確認できるようにしています。
9.各店及び全店の売上速報の作成
大室様:売上・勤怠管理システム から抽出した売上データ、時間帯別売上、人件費、インフォマートの仕入れ実績データをもとに、RPAがExcelでその日ごとの売上や人件費を一覧で確認できる「売上速報」というものを作成しています。
売上速報には、各店舗の売上速報と全店舗の合計値をまとめた売上速報の2種類があり、RPAがExcelで作成したデータをスプレッドシートに転記し、全店で共有する仕組みになっています。店長や上長など、必要な人が朝の段階で速やかに確認できるようにしています。
10.売上日報と電子化への取り組み
大室様:毎日、売上管理システム からデータを抽出し、各店舗で発生したPayPay利用やクレジットカードの売上、値引きなどをチェックするため、Excelで売上日報を30店舗分作成しています。その後、印刷するまでの一連の作業をRPAで自動化しました。印刷された売上日報をもとに、管理部門が各店舗の売上データを確認しており、自動化によって作業時間の短縮と負担軽減に役立っています。
江口様:また、当社では現在売上日報の電子化も進めており、試験的に4店舗での運用を開始しています。RPAで加工したデータをスプレッドシートにアップロードし、プルダウンやチェックボックスを使って確認作業が可能です。将来的には、すべての売上日報を電子化することを目指し、運用方法の改良を進めています。
大室様:毎日、毎月行っていたデータの集計や蓄積、加工、データ入力、フォーマット入力といった業務を自動化できました。手作業で行っていた時と比べて、ざっと月間120時間ほどの作業時間を削減することができました。また、日々繰り返し作業を行うことで感じていた憂鬱さがなくなったのも大きな効果です。さらに、データ入力に関しては、人的ミスや作業の忘れ、漏れがなくなったことが非常に助かっています。
江口様:新たに始めた業務についても、社内共有用の資料を作成する負担が軽減されました。また、土日の対応時にも効果を感じています。以前は、データを作成する際に、「ここからこうやってデータをコピーして」など、一から手順を説明する必要がありましたが、今では「このRPAを動かしておいてください」と指示するだけで済むため、業務が非常に効率化しました。
今後は管理部全体でRPAを運用できるように進めていきたい
大室様:普段RPAに触れる機会が少ない管理部の社員にも、実際にロボットを動かす作業を体験してもらっています。少しでも触れてもらうことで、自分の業務にもRPAを活用できる部分があるのではないかと感じてもらえることを期待しています。
また、弊社では業務を洗い出すためのシートを作成し、業務内容や作業工数、面倒に感じているポイントを書いてもらっています。ただ、現時点ではその取り組みが少し停滞してしまっている状況です(笑)。
大室様:今後は、RoboTANGOを扱える人材を増やしていきたいと考えています。現在、ロボを作成できるのは宮永と江口と私の3人のため、さらに多くの社員が作成できるように育成していきたいです。
また、RoboTANGOの新しい機能で「エレメント機能」についても紹介を受け、実際に触れていますが、まだ十分に使いこなせていない部分があります。今後はエレメントモードを活用しながら、新しいロボを作成し、すでに完成しているロボについても順次エレメントモードで作り替えていきたいと考えています。
手が回らない業務や繰り返しの単純作業がある方にはRPAがおすすめ
大室様:毎日繰り返しの単純作業があるなら、RPAを導入するのが良いと思います。憂鬱な気分になることもなくなり、作業ミスも減るのでとても便利です。
江口様:意外と「こんな業務も自動化できるんだ」と感じる場面が多いです。これまでやろうと思っていても手が回らずにできなかった集計作業やデータ作成も、RPAで自動化したことで対応できるようになりました。自分の業務内容では無理だと思わずに、ぜひ一度試してみてほしいです。
宮永様:RPAに手順を覚えさせれば、時々しかやらない業務でも一度作っておけば自動で処理してくれます。「自分じゃなくてRPAに任せよう」と言えるようになるので、業務が属人化しにくいのも良いですね。細かな設定ができる点も魅力ですし、上手に活用すれば業務の幅がどんどん広がると思います。
株式会社かんなん丸
https://kannanmaru.co.jp/
フード・サービス業・フィットネスクラブの運営
111人(2025年1月現在)
RPA「RoboTANGO」
管理部門
有
