不動産
RPA導入で不動産物件情報の更新作業をはじめ、物件調査の更新、メール反響の登録作業などを自動化し、月間400時間以上の作業工数削減に成功
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株式会社R-JAPAN 情報企画部 石橋様
不動産の売買・仲介・賃貸・管理を行う総合不動産の株式会社R-JAPAN 情報企画部の石橋様にRPA導入前の課題、RPA活用法や成果・効果についてお話を伺いました。
課題
- 複数の部署で更新作業や単調業務が多く、リソースが圧迫されていた
- 各部署で手が回っていない、人手不足などの課題があり解決策を探していた
効果
- RPAロボットを営業時間外に稼働させることで、出社時点で単調な業務が完了している状況が実現した
- 今までアルバイトが行っていた業務がすべて自動化され、これまで手が回っていなかった業務にリソースを充てられるようになり人手不足解消につながった
単調な業務に時間を取られ、人手不足が顕著化していたため、RPA導入を検討
弊社は、不動産の売買、管理、賃貸、3つすべてを行う総合不動産会社です。
私が所属しているのは情報企画部という部署で、例えば競合他社のホームページの集客方法調査をして社内に情報提供を行っていたり、ホームページの作成・更新を行ったり、システムの導入やセキュリティ面、WEBに関連する業務を担当しています。
各部署に業務の課題をヒアリングしたところ、たとえば毎日更新ボタンを押すだけの作業でも100件以上ある等、単調でありながら件数が多く時間がかかってしまっていることがわかりました。
特に、毎日発生する物件の更新作業は、滞ると新しい情報をお客様に提供できなくなってしまうため、賃貸・売買・管理のどの部署でも必ず行わなければならない業務でありながら、非常に手間がかかっていました。
部署によっては午前中の業務が更新だけで終わってしまい、人的リソースがもったいないと感じていました。
また、各部署で一人ひとりの業務量が多く手が回っていない、人手不足になっていたということもあり、自動化できるツールがないか探していたところ、スターティアレイズからRPAについて話を聞き導入の検討を開始しました。
RPA導入の決め手は「自動化したい業務が実現した点」「運用コストが低価格だった点」
RoboTANGOの導入を決めた大きな理由は次の2つです。
- 自動化したい業務が実現したこと
- 低価格で運用コストが低いこと
RPAの存在自体は以前から知っていました。ただ、導入費用が高いというイメージが強く、現実的に導入を考えていなかったのですが、課題の解決策として業務の自動化ができるツールを探していたところ、スターティアレイズからRPAについて話を聞く機会があり導入を検討することにしました。
その後、複数あるツールの候補から、すぐにトライアルを実施できるのがRoboTANGOだったことから、とりあえず試してみようとなりました。
トライアル中は、─番解決したかった物件の更新作業を自動化するためのRPAロボットを作成することができただけでなく、さまざまなRPAロボットを作成することができ、これなら自社の多くの課題解決が実現するのではという思いから、RoboTANGOの導入を決意しました。
また、導入・運用にかかる費用も想定の1/3程度だったのも決め手のひとつです。低コストで導入できるので社内での話も進めやすかったです。
RPA導入で単調な業務が自動化され、少人数でも業務が回るようになり、人手不足の解消にもつながった
現在、主に次の4つの業務でRPAロボットを使い、業務時間の短縮につながっています。
1.物件情報の更新
売買・管理・賃貸すべての部署で、それぞれ物件更新のやり方は異なりますが、土日を含む毎日作業が発生しており、最も自動化したい作業でした。
売買部門:前日に更新された売買物件を自社サイトに反映
全国の不動産物件を管理しているネットワークシステムから、前日に更新された間取りや部屋の写真などの物件情報を自社の不動産投資サイトに反映する作業があります。
土日を含む毎日15~20件ほどの物件情報の更新が必要で、今まではアルバイトさんに他の業務も平行してもらいながら作業を行ってもらっていました。
手作業の時は約1時間かかっていましたが、RPAで自動化してからは10~20分と作業時間が半分以下に短縮されただけでなく、人の作業工数自体はゼロにまで削減できました。
RPAでは以下の手順を自動化しています。
- (1)ネットワークシステムにログイン
- (2)前日に更新された物件のみで条件を絞って検索
- (3)物件詳細を開き、内容をコピー
- (4)物件購入者向けサイトの管理画面にて、掲載情報を記載する箇所に貼り付け
- (5)3~4を物件数繰り返す
- (6)完了後一括で物件情報を更新
後の物件写真の登録や物件詳細のコメント登録などの人的作業は手作業で事務員の方が入力しています。
管理部門:物件情報の更新日を更新
管理物件の情報管理を行う管理画面には、事務員の方が毎日手作業で更新した物件情報が一覧で表示されています。朝1番に手作業更新された物件情報の更新日を最新にする必要があります。一覧には、「公開」ボタンが表示されていて、一度「非公開」にした後また「公開」に切り替えることで、更新日が最新になる仕組みです。RPAを活用して、このボタンの切り替え作業を自動化しました。
この作業は、土日を含む毎日50件ほど行う必要があり、今までは午前中に30分程時間をかけて人の手で行っていましたが、RPAの導入により、人手による作業は完全にゼロになり、作業自体も7分程度で完了するようになりました。結果、作業時間の短縮を実現することができました。
賃貸部門:物件情報の取得と登録作業
団地の物件情報が掲載されているWEBサイトから情報を取得*し、自社のホームページに掲載する業務が土日を含む毎日発生しています。今まで手作業でやっていた時は、人気物件に絞って140棟・約600部屋を1週間のうちで更新していました。部屋数分の更新が必要であり、膨大な作業量でした。
(※WEBサイト運営会社がスクレイピングの許可をしています)
RPAでは以下の手順を自動化しています。
- (1)物件情報公式サイトと、自社ホームページの管理画面を開く
- (2)更新したい物件の詳細ページを開き、空室があるか確認
- (3)空室があれば、管理画面上に該当の部屋があるかを確認
- ・該当の部屋があれば更新
- ・該当の部屋がなければ新規作成
- (4)更新したい部屋の情報を全文コピーし、文面からカテゴリー(家賃等)に分けてRobotに記憶させる
- (5)該当する項目に記憶させた情報を入力し更新
- (6)1棟分の空室情報が終わるまで3~5を繰り返す
- (7)1棟分が完了すれば2に戻る
RPAを導入してからは営業時間外の18時~朝4時半にRPAロボットを動かしており、10,000件以上の部屋情報を6日間で更新できるようになりました。作業工数が削減されただけでなく、更新できる部屋情報の量が大幅に増えたことで、生産性を大きく向上させることができています。
2.反響情報のExcel入力・顧客管理
お客様からきたお問い合わせ内容を今日の日付で作成したExcelにお客様の氏名、いつ、どこからきたのかなどを入力する業務や、顧客リストNoを別のExcelから取得し顧客管理情報を更新する業務にRPAロボットを使用しています。
反響登録作業を以下の手順で自動化しています。
- (1)メールサーバーにアクセスしお問い合わせメールを開く
- (2)反響帳の雛形Excelを、名前に日付を付けて複製
- (3)Excelにお問い合わせメールの内容を入力
- (4)お問い合わせの内容を顧客管理システムに登録
- (5)お問い合わせの数だけ3と4を繰り返す
顧客No登録作業を以下の手順で自動化しています。
- (1)別のExcelから顧客Noを取得し、反響帳のExcelに入力
- (2)顧客管理システムのメモ欄に反映
顧客管理は速やかに行わなければいけないため、1日に3回ほど上記のRobotを稼働させ、漏れのないよう登録することができております。
今までは手作業で行っていたため入力ミスが発生していましたが、RPAを活用することで正しく処理を行い、ミスが削減されました。
3.物件の広告掲載可否・先方の状態を物件管理サイトに更新
営業部がスプレッドシートに記載している、物件の広告掲載の可否や先方の状態などの情報を事務員が物件ごとに確認し、物件管理サイトに反映させます。社内の共有フォルダの名前も確認した日付に差し替える必要があります。土日を含む毎日50~70件発生しており、半日(4~5時間)かけて処理していました。
この作業をすることで、広告掲載可否や先方状態の最新情報がスプレッドシートを見るだけで営業の方が一目で分かるようになりました。導入前まではさまざまな場所で物件情報を確認するため複数箇所での更新が必要になり非常に工数がかかっていました。
RPAでは以下の手順で自動化しています。
- (1)スプレッドシートを開く
- (2)物件番号を取得し、物件管理システムで検索
- (3)現状登録されている内容から、最新の情報に更新
- (4)社内で管理できる名前に変更
RPAで自動化したことで人の作業はゼロにまで削減し、手作業で発生していたミスや漏れが削減されました。また、作業時間は40分にまで短縮されたことでスピーディーに情報を最新状態にすることができています。
MTGの時だけでなく、ランチや雑談の中でも積極的にヒアリング
社内でさまざまな部署の社員さんと話す機会があるので、その際にどのような課題があるのかを聞くようにしています。ミーティングを開いて聞くこともありますが、ミーティングで急に「業務に課題はありますか」と言っても、なかなかすぐには出て来ないことも多いです。
そのため、休憩時間やランチの時間に雑談的に話したほうが、仕事で行き詰まっていることがあるのかなと気づきやすいので、積極的に話しかけてヒアリングしています。RPAで解決できそうな課題であれば自動化を提案し、RPAの活用拡大を進めています。
RPAを扱える人材を増やし、単調な業務はすべて自動化を実現させたい
現在、25個ほどのRPAロボットを作成して動かしていますが、まだ単調な業務のすべてを自動化できてはいないので、今後すべて自動化できるようにRPAロボットを増やしていきたいと思っています。
また、私以外にもRPAロボットを作成できる人材を増やしたいです。そのため、今後RPAのマニュアルなども作成したいと考えています。
現在は1台のPCだけでRPAを動かしていますが、将来的には2台目、3台目と増やすことができればさらにできる幅も広がると思っているので実現させたいです。
PC操作が苦手な人は、頭の中で考えるのではなく、紙に業務の流れを図にして書き出すのがおすすめ
最初は不安も多いと思います。自分に作成できるだろうか、操作が理解できるだろうかと、私も最初はかなり不安でした。しかし、基本的な動かし方や設定方法などが分かればあとは大体同じ作業の繰り返しです。設定したRPAロボットの1つ1つのステップを理解してしまえば、どんどんいろいろなRPAロボットを作成できるようになります。
ちゃんと動けばすごく楽しくなるので、まずは1つ作成して少しずつでもテストしながら動いていることを実感することで、モチベーションを上げていければよいと思います。
PC操作が苦手な人は、自分の頭の中で作業工程を考えるのではなく、紙に業務の流れを図にして細かく書き出すのがおすすめです。このパターンが来たらAの作業、別のパターンの場合はBの作業が発生するという場合も紙に書くことで、条件分岐がどこで発生するのか一目で分かるためRPAロボットを作成する際にスムーズだと思います。
作成がうまくいかず思うように動かないときでも、何が足りないのかがすぐにわかるようになるため、紙に書くのは本当におすすめです。