教育・学習支援業
RPA導入により手作業を効率化し、月間104時間の工数削減を実現。受講生や講師へのサポート体制を強化し、業務の属人化も解消
- Excel/CSV
- 会計システム

ご担当者様:講座指導部 指導運営課 八町様(写真左)、講座指導部 指導業務管理課 増尾様(写真右)
教育・文化・エンターテインメントの分野で、ダイレクトマーケティングを営業手法に取り入れ、戦略的にビジネスを展開する株式会社ユーキャン。今回は、講座指導部 指導運営課の八町様と、講座指導部 指導業務管理課の増尾様に、RPA導入前の課題、導入後の活用方法やその成果・効果についてお話を伺いました。
※本記事に記載されている部署名は2024年12月取材当時の名称です。
課題
- 受講生から寄せられる質問には、講師が1件ずつ回答しているが、講座ごとに複数の講師がいるため、講師の業務状況に応じて質問を割り当てて依頼する必要があった。その際、担当者が手作業で各講師の状況を確認しながら依頼していたが、1日あたり100件を超えることもあり、半日を費やす場合もあった。
- データ分析業務では、各メンバーが同様のデータを個別に作成しており、重複作業が発生し非効率的だった。
- 部署内でITスキルの差があり、一部の作業が特定のメンバーに集中することで属人化が進んでしまうケースも見受けられた。
効果
- 日々の手作業を自動化し、創出した時間を分析業務や受講生のための重要な業務に充てることが可能になった。
- 受講生からの質問を迅速に講師へ依頼することで、講師の回答作成時間を確保し、受講生への返答スピードを向上。
- 集計業務における人的ミスや漏れを削減し、作業精度を向上。
日々の煩雑な単純作業や、データ作成の重複、担当者のスキル差による課題を解決したい

当社は教育・文化・エンターテインメントの分野で、ダイレクトマーケティングという営業手法により、戦略的なビジネスを展開しています。生涯学習への関心が高まりを見せる今、人々の「向上心」「知的欲求」に応える様々なジャンルの”学び”コンテンツを提供しています。
通信講座部門では「生涯学習のユーキャン」として資格・技能・趣味・教養等、幅広いニーズに応じた約130の講座を提供し、年間約60万人の方に活用されています。
また全国各地の企業様向けにeラーニングや研修サービス等も提供しており、2024年8月にはより多くの方のビジネス資格合格やスキル取得を後押ししたいという思いから、サブブランドとして「U-CAN PRO(ユーキャンプロ)」を立ち上げました。
通信販売部門では人々の知的好奇心や文化的欲求、心のやすらぎへのニーズに応えるべく、書籍・雑誌やCD・ビデオ・DVDなどの映像・音楽ソフトを提供しています。
弊社が抱えていた課題は主に3つありました。
1.講師への質問回答依頼業務の負担
八町様:弊社では、受講生からの質問に対して講師が1件ずつ回答しておりますが、講座ごとに複数の講師がいるため、講座を管轄している担当者が講師のスケジュールや対応可能件数を確認しながら、手作業で質問を割り振って依頼していました。
しかし、講師が50名近く在籍する講座では、1日に100件を超える質問が寄せられることもあり、依頼作業に半日以上を要することもありました。他の講座でも回答依頼に時間がかかることが多く、受講生の方からの質問を講師に迅速に届けるとともに、受講生へもスムーズに返答ができる体制を整えたいと考えていました。
2.データ作成の重複と分析作業の非効率化
増尾様:弊社では、多くの通信講座を展開しており、各講座を管轄する担当者が、受講生の方の添削物の提出状況や質問件数、講座の申込状況を基に講座の運営方針を策定しています。
しかし、データベースからデータを抽出し、加工、分析するといった業務は各担当者が個別に行っており、同じようなデータの表をそれぞれが時間をかけて作成するという非効率な状態でした。また、担当者が抱える講座が20~30講座に及ぶ場合もあり、データ加工と分析に多大な時間がかかっていました。
他にも、担当者のExcelスキルの差からデータの質や完成度にばらつきが生じるうえ、忙しい時期には分析業務が遅延することもありました。そのため、担当者がより分析業務に集中できる環境を整える必要がありました。
3.スキルによる作業時間の差や業務の属人化
八町様:Excelの得意な人は短時間で分析を終えられる一方、苦手な人は数字を一つずつ確認しながら表を作成するため、スキルの違いによって作業時間に大きな差が生じていました。そのため、一部の作業が特定のメンバーに集中するなど、属人的になっているケースも課題に感じていました。
RPA導入の決め手は、自社に合った単月契約、複数端末での利用、自社内での作成、親身なサポート
八町様:以前、私は法人営業部という部署に所属しており、受注業務で手作業が多かったことから、なんとか業務を効率化できないかと考え、RPAを探し始めました。
最初に検討した他社のRPAツールは、年間の費用負担が大きく、初心者には扱いづらい印象がありました。そうした中で現在の部署に異動した際、広告案内を通じてRoboTANGOを知り、一ヶ月単位で比較的お手頃な費用で始められるという点に魅力を感じ、検討をスタートしました。
その際、他社2社とRoboTANGOを比較検討しました。1社目は最初に検討したRPAツールで、2社目は社内の別部署で既に導入されていたツールでした。別部署の担当者に話を聞いたところ、自社での構築が難しく、業者に依頼して運用しているとのことでした。しかし、私たちの部署では外注による運用は難しいと判断し、断念しました。
八町様:RoboTANGOの導入を決めた理由としては次の4つです。
月単位で契約できる
1ライセンス複数端末で利用できる
プログラムを外注することなく自社内で作成できる
営業担当者が親身にプログラム作成を支援してくれた
RoboTANGOを選んだ理由の一つは、月単位で契約を開始できる点です。
私たちの部署はコスト削減の意識が強く、高額な投資はハードルが高い状況でした。しかし、月単位で数万円という価格設定であれば、まず試して結果が出れば継続するという運用が過去にも実績としてあり、導入を検討しやすい条件が整っていました。
そのため、RoboTANGOの契約形態は私たちのニーズに非常に合致していました。
また、1ライセンスを複数端末で利用できる点も大きなポイントでした。1ライセンスが1台の端末に固定される場合、作成から運用まですべての作業を私一人で管理する必要がありました。しかし、複数PCでの利用が可能であれば、他の担当者とも作業を分担しやすくなり、さらに他部署での活用も視野に入れることができました。
あと、プログラムを外注することなく、内部で作成できる点も重要でした。私たちの部署では担当者がそれぞれ資料作成や分析を行うため、小回りの利くツールでなければ運用が難しいと考えたからです。
最後に、トライアル期間中の営業担当によるサポート体制も、重要な決め手の一つとなりました。進め方が分からない状況の中で、営業担当の方が「こうすれば良いのではないか」「ああすれば良いのではないか」といった具体的なアドバイスを積極的に提供してくださり、一緒に作り上げることができました。この営業担当の方のサポートがあったことも、決め手となりました。
RPA導入で単純作業やデータの加工業務を自動化し、月間104時間以上の工数を削減。創出した時間をコア業務に活用し、受講生や講師へのサポート体制も強化
現在、「受講生から受け取った質問への回答を各担当講師に依頼する業務」「会計ソフトで請求書を発行する際に、請求件数を入力する業務」「各講座における質問や課題の返送状況等の集計業務」「各講座における受講者数の集計業務」にてRPAロボットを作成して運用しています。
1.受講生から受け取った質問への回答を各担当講師に依頼する業務
八町様:受講生が学習システム「デジタルサポート」を利用して講座に関する質問を送信すると、各講座を管轄する担当者が質問回答を講師に依頼し、割り振られた質問に対して講師が回答を作成します。その後、担当者が回答内容の誤字脱字や内容をチェックし、最終的に受講生へ返答するという流れで業務を行っています。
特に、質問数が多い講座や、日々多くの質問が寄せられる場合、講師のスケジュールや対応可能件数を考慮しながら依頼する必要がありますが、1日に100件を超えることもあり、担当者の作業に時間を要し、質問を迅速に講師へ届けることが難しかったのです。そこで、受講生への回答をスムーズに行える体制を整えるためにRPAで割り当て作業を自動化しました。
具体的には、質問を管理するマネジメントシステムに集まった質問を基に、RPAが講座と講師を紐づけ、スケジュールや対応可能件数を考慮しながら、質問を割り当てる仕組みを構築しました。
回答依頼業務の自動化により、質問が講師に届くまでの時間が大幅に短縮され、講師は受講生への回答作成により多くの時間を充てられるようになりました。また、講師からの回答を受講生に素早く届けられる体制を整えることができました。担当者については、RPAが毎日平均約3時間、月間100時間ほどの作業を肩代わりすることで、創出された時間を使って回答内容の確認など講座運営に関する重要な業務に集中できるようになりました。
2.請求書発行に伴う会計ソフトへのデータ入力業務
増尾様:私の担当業務の一つに、講師への質問回答件数に基づく支払い業務があります。この作業ではクラウド型の「請求システム」を利用しており、以前は月末に講師ごとの質問件数を集計し、手作業で入力していました。講師ごとに質問件数が異なるため、この登録作業は非常に手間がかかっていました。
ただ、質問件数の集計にはExcel表を使用していたことから、RPA導入を機に、Excelデータと請求システムを連携させ、登録作業をRPAで自動化させることにしました。
具体的には、学習システムから質問の回答状況を取得し、Excelデータを作成。そのデータをRoboTANGOを活用して請求システムに転記する一連の作業を自動化しています。
現在、この自動化は講師が50名近くいる一部の講座で導入しています。以前は月1回の作業に担当者4名が関わり、1講座あたり約1~2時間を要していましたが、現在ではRoboTANGOが昼休みの1時間ほどで作業を完了しており、担当者が作業から完全に解放されました。その結果、1カ月あたり約4時間の作業時間を削減することができています。また、手間の多い作業が自動化されたことで、転記ミスのリスクが軽減され、午後からの業務にもスムーズに取り組めるようになりました。
3.各講座における課題提出・返送状況等の集計業務
増尾様:講座の統計的データを集計する業務の一環として、たとえば講師が質問回答や課題を添削・採点して受講生に返送するまでにどれくらいの時間がかかっているかを集計しています。受講生をお待たせしないことが重要であるため、講座ごとに受付から返送までに要する日数を把握し、必要であれば解決策を講じる指標を立てています。例えば、受講生からの質問が多い場合、教材自体の改善が必要かなど、さまざまな要因を検討する材料として、このデータは欠かせません。
もともとは担当者が月1回、データの抽出からExcelでの加工まで手作業で行っていました。しかし、月1回ということもあり手順を忘れたり、煩雑な作業のためミスが発生したりすることもありました。この集計業務をRPAで自動化した結果、完全に手離れが実現し、手作業にかかっていた時間を削減するとともに、人的ミスの発生を防ぐことができました。
また、以前は月1回の作業に1時間以上かかっていましたが、RPAの導入によりデータ抽出と加工を含めて作業時間は10分程度に短縮されました。RoboTANGOはExcel操作に強く、他のツールと比較しても優れていると感じています。
八町様:最近ではAIを活用した質問回答も増えてきていますが、弊社では講師の方々が受講生のために熱心に回答を作成してくださっています。丁寧でしっかりと考え抜いた返答をしてくださっているため、即座に回答するのが難しい場合もあります。こうした講師の方々の負担を軽減し、より良いサポートをしていくために、RPAを活用しています。
4.各講座における受講者数の集計業務
増尾様:毎月、その月に申し込まれた各講座の受講者数や年齢層、性別の分布を集計する基礎資料を作成しています。このデータはデータベースから抽出する必要があり、以前は私が月1回手作業で行っていました。
しかし、うっかり忘れてしまうこともあり、結果的に他の部署に迷惑をかけるリスクが生じていたため、この作業をRPAで自動化することを決めました。
現在は、タスクスケジューラを活用し、RoboTANGOが毎月忘れることなくデータの抽出と集計を行っています。抽出されたデータは管理用のExcelシートに入力され、累積データが蓄積される仕組みとなっています。
手作業でも時間がかからない業務でしたが、簡単な作業であるがゆえに「忘れがち」という課題をRPAが解消してくれました。
今ではこの業務を意識することなくスムーズに進められており、「忘れない機械」に任せられる点でも、RoboTANGOを非常に重宝しています。
八町様:私のほうでは、課題の初回提出率や修了率などのデータチェックのための集計業務を自動化して行っています。
何か施策を講じた際に、講座にどのような影響があったかを分析するため、毎月2年分のデータを抽出・加工しています。2年分データを取得するとなると時間がかかるため、この作業もRPAを活用し、お昼休みの時間に自動処理をさせることで効率化しました。2年分のデータを継続的に取得することで、受講生の行動パターンを把握し、次の施策に活かしています。
5.ウェブページ「合格体験談」表示内容と元データの照合業務(月100パターン)
八町様:こちらは他部門でのRPA活用事例です。受講生による合格体験談がウェブページに掲載されていますが、その内容が正確かどうかを確認する作業をRoboTANGOで自動化しています。
具体的には、合格体験談の情報が格納されているマスターデータをRoboTANGOに記憶させ、ウェブページ上に掲載されている名前、年齢、性別、講座名、タイトル、回答内容と突合し、一致しているかをチェックする仕組みです。もし誤った情報があれば、それを検出して修正する運用が可能になっています。
月間数百件ほどあったこの業務は、自動化によって人的ミスの防止に大きく貢献しているとのことです。情報確認の効率が向上したことで、部門内の作業負担を軽減するだけでなく、正確性の維持にも役立っています。
八町様:一部の講座では、1日の半分を質問の回答依頼業務に取られていたため、手離れしたことで他の作業により多くの時間を充てられるようになりました。また、属人的だった業務を減らすことにも成功しました。例えば、Excelが得意な方がマクロを活用して業務を完結させていたものの、その内容は作成者にしか分からず属人化しているという課題がありました。RPAでプログラム化することで、業務内容が誰にでも分かる形で可視化されました。
増尾様:RPAのプログラムを作成する際、業務を棚卸しし、手順を整理する必要があります。その過程で、「実はこの作業は不要だったのでは?」と気付くことがあり、無駄な作業や業務を洗い出すことができました。この業務整理が役に立っただけでなく、新たな視点を得るきっかけにもなりました。
RoboTANGOの運用メンバーを増やし、さらに自動化の範囲を広げていきたい
増尾様:RPA導入時、講座指導部門内で「自動化できる業務はないか」を確認するため、RPAの活用事例を動画で共有し、理解促進を図りました。
というのも、RPAとAIとの違いが分からないという方も多く、RPAに対するイメージを具体化すべく、「RPAは何でもできる魔法のシステムではなく、人が手作業で行っている業務を代わりに処理するもの」という点を分かりやすく伝えるため、いくつかのサンプルプログラムを作成し、実際に動作している様子を動画で共有しました。この取り組みにより、徐々に自動化できる業務が増えていきました。
現在では、RPAに関する情報(プログラムの改修内容、実装スケジュール、エラー対応方法など)をグループウェアにアップロードし、関係者間で常に共有できる環境を整備しています。
八町様:RPAはあくまで業務の一部を自動化するツールであり、すべての作業が完結するわけではないと考えています。そのため、自動化後の成果物については、必ず担当者がチェック・確認を行う運用を徹底し、品質と精度を担保しています。
八町様:現在、私の部署では私と増尾の課の中でRPAを運用していますが、それぞれRPAを扱えるメンバーが二人ずつしかいない状況です。プログラムが止まった際のリカバリや、ちょっとした改修を行えるメンバーを増やしていかないと、トラブルが発生した際に対応が遅れてしまうリスクがあります。
そのため、今後はRPAを扱えるメンバーを増やし、運用体制を強化していきたいと考えています。メンバーが増えることで、「こういう業務も自動化できるのでは」といった新たなアイデアが生まれる可能性も高まるので、ぜひ取り組みを進めていきたいです。
また、人手がかかっている繰り返し作業の洗い出しをさらに進め、RPAを活用して自動化を推進したいと考えています。これまでも、手間のかかる業務をRPAで自動化してきましたが、まだまだ対象となる業務はあると思っています。今後もメンバーとともに、各業務を精査しながら、自動化の範囲を広げていきたいです。
RoboTANGOは完全に日本語対応だから取り組みやすく、親身なサポートで初心者にも安心

増尾様:RoboTANGOですごく良いなと思った点が、完全に日本語で操作できるところです。個人的に他のRPAツールにチャレンジしたこともありましたが、横文字が多すぎて正直ついていけませんでした。しかし、RoboTANGOはコマンドがすべて日本語で記載されているため、敷居が低く、初心者でも取り組みやすいRPAツールだと思います。
八町様:私も同感です(笑)。さらに、営業の方が非常に親身にサポートしてくれる点もありがたいですね。他社ではやり方の説明はしてくれても、「こうしたい」という具体的な要望に対しての解決策が示されないことがありました。一方、RoboTANGOではそういった相談にも対応していただけたので、私自身もスムーズに使えるようになりましたし、その後も非常に使いやすいと感じています。そういったサポートの面も含めて、ぜひおすすめしたいですね。
株式会社ユーキャン
https://www.u-can.co.jp/
通信講座による教育事業、通信販売事業
550名(2024年12月時点)
RPA「RoboTANGO」
講座指導部 指導運営課、指導業務管理課
無
