BPS(ビジネス・プロセス・サービス)とは何か?基礎知識や注目されている理由
そもそもビジネスプロセスとは?

ビジネスプロセス(Business Process)とは、企業が商品やサービスを提供するために行う一連の業務の流れを指します。簡単に言えば、「仕事の進め方」や「業務のつながり」といったイメージで、業務の開始から終了までの工程全体を指します。企業が円滑に運営されるためには、このビジネスプロセスを整理し、効率的に管理することが重要です。
例えば、商品を販売する企業では、次のような流れで業務が進みます。
- 1.【受注】顧客からの注文を受ける
- 2.【生産・仕入れ】在庫を確認し、商品を準備する
- 3.【請求・決済】請求書を発行し、顧客からの支払いを確認する
- 4.【配送・納品】商品を発送する
このように、企業の業務は単独で完結するのではなく、次の業務へとつながりながら進んでいきます。この流れ全体を「ビジネスプロセス」と呼び、企業の活動をスムーズに進めるために欠かせない仕組みです。
しかし、業務の流れが複雑になると、非効率な作業が増えたり、特定の人しかできない業務が生まれたりすることがあります。そのため、企業はビジネスプロセスを定期的に見直し、よりスムーズで効率的な業務運用を目指すことが重要になります。
こうした課題を解決するために活用される一つの手段として、BPS(ビジネス・プロセス・サービス)があります。
BPS(ビジネス・プロセス・サービス)とは?

BPS(ビジネス・プロセス・サービス)とは「Business Process Services」の略で、企業の業務プロセスを、テクノロジーと業務改善のノウハウを活用して最適化するアウトソーシングサービスのことです。
簡単にいうと従来のBPOをさらに進化させたサービスであり、業務の単純な外部委託ではなく、ITを活用しながら業務プロセス全体を効率化・最適化することを重視しています。
従来のBPOは、企業の業務を人の手で代行し、コスト削減や業務負担軽減を目的としていました。対してBPSはRPA・AI-OCR・iPaaS・生成AI・BIなどのテクノロジーを活用し、単なる業務委託にとどまらず、業務の抜本的な変革を推進できる点が大きな特徴です。
また、ITツールだけで業務を処理するBPaaS(Business Process as a Service)とは異なり、テクノロジーと人の力を組み合わせることで、定型業務だけでなく非定型業務にも対応可能です。
\BPSのポイント/
- 企業がITツールを導入・運用する必要がない
- ベンダー企業が最適なプロセス設計を行い、業務を代行・自動化
- 企業は負担なく業務効率化を実現できる
上記のように、BPSでは企業がITツールを導入・管理する必要はなく、ベンダー企業がテクノロジーと業務ノウハウを活用して業務を最適化するのが大きな特長です。
そのため、リソース不足やDX推進の課題を抱える企業でも、業務効率化を実現しやすくなるというメリットがあります。
BPSが注目される理由
労働人口減少と業務負担の増大
日本では年々少子高齢化が進み、生産年齢人口(15~64歳)の減少が深刻化しています。総務省の統計によれば、1995年をピークに生産年齢人口は減少の一途をたどり、2050年には現在の約6割程度にまで縮小する見込みです。この人口動態の変化により、企業は慢性的な人手不足に直面しています。
特に、バックオフィス業務や定型的なデータ入力・チェック業務など、手作業が中心となる業務では、人的リソース不足による業務遅延やミスが課題となっています。
BPSを利用することで、業務の自動化と最適化を推進し、人の負担を軽減しながら業務をスムーズに遂行できる環境を整えることが可能です。
DX推進における課題
多くの企業がDXを推進・検討しているものの、
- ITツールの導入が進まない(選定・運用負担が大きい)
- ITツールやサービスを導入しても活用できる人材がいない
- 一部の業務しか効率化できず、全体の最適化に至らない
といった課題に直面しています。
BPSは、企業側がITツールを導入・運用する必要がなく、ベンダー企業が業務設計から運用までを担うため、DXをスムーズに進められるというメリットがあります。
IT・テクノロジーを活用した業務最適化のニーズ拡大
近年、RPA・AI-OCR・iPaaS・生成AIといった業務自動化ツールの進化により、BPSの活用領域が広がっています。
従来はマニュアル化できる定型業務しか外部委託できませんでしたが、BPSでは人の判断が必要な非定型業務にも対応可能です。
BPSで活用される主なテクノロジー | ||
---|---|---|
・RPA | ・AI-OCR | ・iPaaS |
・生成AI | ・BI | ・チャットボット・対話型AI |
・BPM | ・クラウドストレージ | ・ETL |
これらを組み合わせることで、業務の効率化・精度向上・コスト削減を同時に実現できるのがBPSの強みです。
BPSのメリット・デメリットとは?
BPSを利用することで、業業務の効率化と生産性向上・コスト削減・人的リソース不足の解消・業務品質の向上・非定型業務も人の力で対応できるなどの多くのメリットがあります。一方で自社にスキル・ノウハウが蓄積されない、情報漏洩のリスクなど注意すべき点もあります。
本章では、BPSのメリット・デメリットを詳しく解説し、企業が導入を検討する際のポイントについても説明します。
BPSのメリット5つ

1.業務の効率化と生産性向上
BPSを利用することで、企業は業務プロセスを外部に委託し、社内のリソースをより重要な業務に集中できる環境を整えることが可能です。
従業員が手作業で行っていた業務を外部に委託することで、社内の人材をより戦略的な業務やコア業務にシフトでき、生産性が向上します。
例えば、請求書処理をBPSで外部委託すると、企業側は手作業によるデータ入力や確認作業を行う必要がなくなり、その時間を経営戦略や顧客対応など、本来の業務に充てることが可能になります。このように、業務負担を軽減しながら、企業の競争力向上にもつながるのがBPSの大きなメリットです。
その結果、業務全体の効率が向上し、企業はビジネスの成長に直結する業務にリソースを集中できるようになります。
2.コスト削減
BPSを利用することで、人件費や運用コストの最適化も実現できます。
業務プロセス全体をBPSに委託することで、それまで業務にかかっていた人件費や運用コストを削減することが可能です。
さらに、BPSではITツールやシステムの導入・運用にかかるコストが発生しないというメリットもあります。
例えば、企業が自社でITシステムを導入する場合、システム利用料やメンテナンス費用、運用人員の確保が必要ですが、BPSではベンダー企業が最適なITツールを選定・運用するため、これらの負担が発生しません。
また、ITツールの導入に伴う従業員のリスキリング(新しい技術やツールの習得)にかかる時間や費用も不要になります。
BPSは単なる業務委託ではなく、業務全体の最適化を通じてコスト削減を実現することが可能です。
3.人的リソース不足の解消
企業の人材不足が深刻化する中、業務負担の増加や採用コストの高騰により、限られたリソースで業務を回さなければならない状況に直面している企業は少なくありません。
特に、バックオフィス業務やルーチンワークが多い業務では、慢性的な人材不足が業務の停滞につながるケースもあります。
BPSを利用することで、業務プロセス全体を外部に委託し、社内の人的リソースの最適化が可能になります。
例えば、データ処理や請求業務などの業務をBPSのベンダー企業が請け負うことで、企業側は本来注力すべき業務にリソースを集中できるようになります。
また、BPSでは、業務を遂行する人材の確保から運用管理までをベンダー企業が担うため、企業側で新たに人材を採用・育成する必要がありません。
そのため、採用コストや研修の負担を削減しながら、安定した業務運用を実現できます。
4.業務品質の向上
BPSを利用することで、業務プロセスの標準化と最適化が進み、業務品質の向上を実現できます。
BPS提供企業は、企業の課題に応じた最適なテクノロジーを活用し、業務プロセスを自動化・効率化するため、手作業によるミスの削減や、業務の正確性向上が可能になります。
例えば、データ入力や書類チェックなどの業務では、BPS提供企業が適切なITツールを選定・運用し、作業の精度を向上させます。
これにより、ヒューマンエラーを最小限に抑えつつ、企業が安定した業務運用を行えるというメリットがあります。
また、業務の標準化により、一定の品質を維持しながら継続的な業務改善が可能になります。BPS提供企業が業務フローの見直しを行うことで、無駄なプロセスを削減し、より精度の高い業務運用を実現できます。
5.非定型業務も人の力で対応できる
BPSは、単なる定型業務の自動化にとどまらず、人の判断や対応が必要な非定型業務にも柔軟に対応できるという特徴があります。
例えば、フォーマットが統一されていない帳票の処理や、ルール化が難しい業務に対しても、BPS提供企業が適切に対応します。
従来のBPaaS(クラウドサービス型の業務自動化)では、決められたルールに基づいて業務を処理するため、例外処理が発生すると手作業に戻るケースが多いという課題がありました。
しかし、BPSではテクノロジーと人の力を組み合わせることで、ルール化しづらい業務や細かな調整が必要な業務にも対応可能です。
例えば、BPSを利用すると、
- AI-OCRで帳票をデータ化し、手入力が必要な項目は人がチェック・修正
- RPAで定型業務を自動化し、フォーマットが不統一なデータの整備は人が対応
- 契約書の内容チェックをAIが補助し、重要な判断が必要な部分は専門スタッフが確認
といった形で、業務を自動化しつつ、適宜人の判断を加えることで、より精度の高い業務運用が可能になります。
このように、BPSは、テクノロジーだけに依存せず、人の力も活用することで、非定型業務にも対応できるサービスです。
BPSのデメリット
自社にスキル・ノウハウが蓄積されない
BPSを導入すると、業務の効率化やリソースの最適化が実現できる一方で、業務の遂行を外部に委託するため、自社に業務のスキルやノウハウが蓄積されにくいというデメリットがあります。
特に、業務プロセスの自動化やデータ活用に関する知見がBPS提供企業側に集約されるため、企業内でのITスキルや業務改善のノウハウが醸成されにくいという点が課題となることがあります。その結果、BPS提供企業への依存度が高まり、将来的に自社で同様の業務を内製化したい場合にスムーズに移行できない可能性もあります。
この問題を防ぐため、BPSを導入する際は自社内での業務フローやプロセスを可視化し、BPS提供企業と連携しながら業務の標準化を進めることが重要です。
情報漏洩のリスク
BPSでは、業務を外部のベンダー企業に委託するため、機密情報の取り扱いやデータ管理のセキュリティ対策が必要になります。適切なセキュリティ対策がなされていないと、データの不正アクセスや情報漏洩のリスクが生じる可能性があります。
特に、個人情報や機密情報を取り扱う業務の場合は、ベンダー企業のセキュリティポリシーを確認することが重要です。
BPS/BPO/BPaaSの違いやそれぞれの意味・特長

BPS、BPO、BPaaSはいずれも「ビジネスプロセス」に関わるサービスですが、それぞれ対応できる業務範囲や特徴が異なります。
そもそもBPOとは
BPOとは、「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略で、自社の業務プロセスの一部を外部の専門業者に委託することを指します。
電話対応や経理処理、データ入力、カスタマーサポートなど、日常的で繰り返し発生する業務を外部に任せることで、人件費や管理コストの削減、社内リソースの最適化が期待できます。
BPOは長年活用されている業務効率化の手法であり、特にバックオフィス業務や大量処理が必要な事務作業などで多くの実績があります。
BPOはメインが「人の手」による業務代行であり、柔軟な対応力とコスト削減を重視する企業に最適です。
BPaaSとは
BPaaSとは、「Business Process as a Service(ビジネス・プロセス・アズ・ア・サービス)」の略で、「業務プロセス(Business Process)」をクラウドサービスとして提供するアウトソーシング形態です。
従来のBPOが人による業務代行であるのに対し、BPaaSはクラウド上で提供されるシステムを通じて業務を自動化・効率化できることが大きな特徴です。
例えば、請求書処理や人事・経理業務などをクラウドサービス経由で提供することで、企業は自社でシステムを構築・管理することなく、業務の一部を外部に任せることができます。
BPaaSは、クラウド上で完結する業務委託サービスとして、近年DXを推進する企業から注目を集めています。
BPS/BPO/BPaaSの違い
本章では、それぞれの特徴や違いについて分かりやすく表で解説します。

BPS (Business Process Services) |
BPO (Business Process Outsourcing) |
BpaaS (Business Process as a Service) |
|
---|---|---|---|
アウトソーシングの形態 | 人とITツールを組み合わせたハイブリッド型アウトソーシング | 人的リソース中心のアウトソーシング | ITツールを活用したクラウド型アウトソーシング |
特徴 | ITツールと人の対応を組み合わせ、業務を最適化・効率化/td> | 定型業務やルーチンワークを人が代行する形態 | クラウド上のシステム・ソフトウェアを利用し、業務を自動化 |
主な活用領域 | 定型業務・非定型業務の両方に対応 | 手作業が中心の業務代行 | システム化できる定型業務 |
業務の変革性 | 業務フローを根本的に最適化 | 業務プロセス自体は変更されない | 既存のツールで処理可能な範囲のみ対応 |
対応できる業務範囲 | 人の判断が必要な業務にも柔軟に対応 | マニュアル化しやすい業務が中心 | システム化できる業務に限定 |
BPOは主に人の手による業務代行、BPaaSはクラウドを活用した業務の自動化、BPSはテクノロジーと人の力を組み合わせ、業務を最適化するハイブリッド型のサービスです。
BPSでは、業務の自動化だけでなく、人の判断が必要な非定型業務にも対応できるため、より柔軟な業務運用が可能です。
どんな企業にBPSはおすすめ?導入すべき企業の特徴3つ
BPSは、業務の効率化や業務プロセスの最適化を目的としたアウトソーシングサービスです。単なる業務の外部委託ではなく、テクノロジーと人の力を組み合わせることで、業務負担の軽減やDX推進をサポートできる点が特徴です。
特に、以下のような課題を抱える企業にとって、BPSの利用メリットは大きいです。
1.DXや業務効率化を進めたいが社内リソースが足りない
DXを推進したいと考えていても、社内に専門知識を持つ人材が不足している、または業務が忙しく改革に着手できない企業は少なくありません。
BPSを活用することで、業務プロセスのデジタル化や自動化を外部の専門企業に任せることができるため、社内の負担を増やさずにDXを進めることが可能になります。また、BPS提供企業が最新のテクノロジーを活用しながら業務を運用するため、自社で新たにDX人材を確保する必要もありません。
2.ITツールの運用・管理にかかる負担を減らしたい
ITツールを活用すれば業務効率化が可能ですが、導入後の運用や管理には専門知識が必要であり、適切に活用できないと逆に業務負担が増えてしまうこともあります。
BPSでは、BPS提供企業が最適なITツールを選定し、業務プロセスの運用・管理までを一貫して対応するため、企業側でシステム管理の負担を抱える必要がありません。
これにより、ITツールを導入しても運用しきれずに活用が進まないといった課題を解決し、スムーズに業務の効率化を実現できます。
3. 定型業務と非定型業務が混在し、自動化が難しい業務がある
業務の一部は定型化されているものの、一部はルール化が難しい非定型業務が含まれるため、単純な自動化では対応しきれないという企業にもBPSは有効です。
例えば、データ入力業務ではフォーマットが統一されていない帳票の処理や、手動での確認が必要な業務が混在することがあります。こうした場合、BPaaS(クラウド型自動化サービス)では処理できない部分が多く、人の手による対応が必要になります。
BPSでは、自動化できる業務はITツールを活用し、例外処理や判断が求められる業務は専門スタッフが対応することで、業務全体を最適化することが可能です。
BPSは、業務の効率化やDX推進を目指す企業にとって、大きなメリットをもたらすソリューションです。特に、リソース不足やITツールの運用負担に課題を感じている企業、また定型業務と非定型業務が混在し、自動化が難しい業務を抱えている企業にとっては、業務の最適化を実現する手段のひとつとして有効です。
BPSの対象領域と導入の流れ
BPSの対象領域
BPSは、定型業務だけでなく、非定型業務にも対応できるという点が特徴です。
定型業務のBPS活用例
BPSでは、ルールが明確な定型業務をBPS提供企業が適切なITツールと運用体制を活用しながら処理するため、企業は業務の負担を軽減できます。データ入力や帳票処理などの繰り返し作業を効率的に行うことで、作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減が期待できます。また、業務の標準化を進めることで、企業側が個別の対応をする必要がなくなり、安定した業務運用が可能になります。
結果、企業側は業務の実行や管理に時間を割くことなく、安定した品質で業務を遂行できるようになります。
- 請求書処理・経費精算のデータ入力
- SaaSや基幹システム間のデータ連携
- 紙媒体の帳票・書類のテキストデータ化
- 人事・労務の手続き(勤怠管理・給与計算など)
- カスタマーサポート業務(FAQ対応・問い合わせ処理の標準化)
非定型業務のBPS活用例
BPSは、決められたルールでは対応しきれない例外処理や判断が必要な業務にも対応が可能です。フォーマットが統一されていない書類や、システム化しにくい業務については、ITツールを活用しながら、人が確認・修正を行うことで、効率化と品質向上を両立できます。
- フォーマットが統一されていない書類のテキストデータ化およびシステムへの入力業務
- フォーマットが統一されていない書類のチェック・データ修正
- 契約書や見積書の内容確認
- マーケティングデータの収集・分析
- 定型業務の中に人による確認や修正が入る作業
BPSは、単なる業務の外部委託ではなく、テクノロジーを活用した業務プロセスの最適化を目的としており、定型・非定型の両方の業務に柔軟に対応できます。企業はBPSを導入することで、業務効率を向上させながら、より重要な業務にリソースを集中できるようになります。
BPS導入までの流れ・ステップを簡単に解説
BPSを利用する際は、企業ごとの業務課題を明確にし、最適な業務設計を行うことが重要です。

1.ヒアリング(課題の把握)
企業の現状を分析し、BPSの導入によってどの業務を最適化すべきかを明確にします。業務フローの整理や課題の洗出しを行い、BPSが対応できる範囲を決定します。
2.設計(業務フローの構築・最適化)
ヒアリングの結果をもとに、業務プロセスの最適化を図る設計を行います。BPS提供企業が最適なフローを構築し、必要なテクノロジーや人の介在が必要な部分を見極め、業務のスムーズな運用を目指します。
3.運用(業務委託の開始)
設計した業務フローに基づいて、BPS提供企業が業務の運用を開始します。自動化が可能な部分はITツールを活用し、確認や判断が必要な部分は人の対応を組み合わせながら、業務の安定した遂行を実現します。
4.継続改善(業務の最適化)
業務を運用した後も、BPS提供企業が定期的な見直しを行い、さらなる最適化を進めます。業務の効率化だけでなく、企業の成長や環境の変化に応じた柔軟な改善を行うことで、継続的な業務改善を実現します。
BPS導入の注意点と成功のポイント
BPSを導入することで、業務の効率化や業務プロセスの最適化が可能になりますが、導入前に適切な準備を行わないと、期待した効果が得られないことがあります。特に、どの業務をBPSに委託するか、どのベンダーを選ぶかといったポイントをしっかり検討することが成功のカギとなります。
本章では、BPSを導入する際に押さえておくべきポイントと、成功のための注意点を解説します。
BPS導入の前に、最適な業務運用方法を見極めることが重要
BPSは業務の効率化や負担軽減に役立つ一方で、すべての業務を外部委託すればよいわけではありません。
企業によっては、従来の業務プロセスの見直しをはじめ、ITツールを適切に導入・運用することで、BPSを利用せずともコスト削減や業務の効率化が可能になる場合もあります。
例えば、業務フローを整理し、不要な手作業を削減するだけで効率が向上することもありますし、ITツールを活用すれば、業務を内製化しながらコスト削減と業務最適化を同時に実現できるケースもあります。
そのため、BPSを導入する前に、以下のポイントを検討することが重要です。
- 現行の業務プロセスを見直し、最適化できる余地がないか確認する
- 自社でITツールを運用することで、業務の効率化が可能か検討する
- BPSに依頼することで、本当にコスト削減や業務効率化が実現できるのか比較する
こうした検討を行ったうえで、自社での対応が難しい業務や、ITツールの運用リソースを確保できない業務についてBPSを活用することで、より効果的に業務を最適化することができます。
BPS導入の際に押さえておくべきポイント
BPSを導入する前に、現状の業務プロセスを整理し、適切な運用体制を整えることが重要です。以下のポイントを事前に検討することで、スムーズな導入と最大限の効果を得ることができます。
業務の課題を明確にし、BPS導入の目的を整理する
BPSを導入する目的を明確にしないまま進めると、導入後に「どの業務がどのように改善されたのか」が分かりにくくなり、期待した効果を得られない可能性があります。
そのため、まずは自社の業務にどのような課題があるのかを整理し、BPS導入によって解決したいポイントを明確にすることが重要です。
目的の例
- コスト削減
人件費の抑制、外注コストの最適化など - 業務効率化
定型業務の自動化、作業時間の短縮など - 人的ミスの削減
人的ミスによる修正・確認作業の短縮など
BPSに委託する業務と社内で対応する業務を切り分ける
BPSを導入する際、すべての業務を外部に委託すればよいというわけではありません。
BPSで対応できる業務と、自社で管理すべき業務を明確に切り分けることで、業務の流れが整理され、運用がスムーズになります。
具体的な業務の切り分けについては後ほどお伝えします。
BPS導入後の運用フローを可視化する
BPSを導入すると、社内の業務フローが変化するため、事前に「BPS導入後の業務がどのように進行するのか」を明確にしておくことが重要です。
例えば、「毎月末にBPS提供企業から経費精算データを受け取り、社内で最終チェックを行う」といった流れを事前に決めておくことで、スムーズな運用が可能になります。
委託範囲の明確化と適切な業務切り分け
BPSの導入を成功させるためには、どの業務をBPSに委託し、どの業務を社内で対応するのかを明確にすることが重要です。適切に業務を切り分けることで、BPS導入後の業務負担を軽減し、スムーズな運用を実現できます。
BPSに適した業務の特徴
一般的に、ルール化や標準化がしやすく、一定の手順に沿って処理できる業務はBPSに適しており、ITツールを活用できる業務や、人とテクノロジーの組み合わせによって効率化できる業務も対象となります。
以下のような業務は、BPSの活用によって大きな効果が期待できます。
<BPS利用に適した業務例>
- 定型業務でルールが明確な業務
- ITツールを活用することで効率化できる業務
- 業務の一部はルール化できるが、人の判断が必要な業務
- 繁閑の差が大きく、リソース調整が必要な業務
BPSに委託すべきでない業務の特徴
BPSは業務の効率化や標準化を支援する便利なサービスですが、すべての業務を外部に委託できるわけではありません。BPSに適さない業務を無理に外注すると、業務の品質や機密性の管理が難しくなることがあります。
<BPS利用に適さない業務例>
- 企業のコア業務や戦略に関わる業務
- 高度な専門知識が必要な業務
- 機密性が高く、外部に委託しづらい業務
- 企業文化やブランドに直結する業務
BPSベンダー企業の選び方
BPSの導入効果を最大化するためには、適切なBPSベンダーを選定することが重要です。ベンダーによって対応できる業務範囲や活用するITツール、サポート体制が異なるため、事前にしっかり比較・検討することが重要です。
BPSベンダーを選ぶ際の主なチェックポイント | |
---|---|
業務範囲の適合性 | 自社の委託したい業務に対応できるかを確認する |
ベンダー企業のITツールの活用力 | RPA、AI-OCR、iPaaS、BI、生成AIなどの技術を適切に活用できるか |
柔軟な対応が可能か | 業務量の変動や例外処理にも柔軟に対応できる体制があるか |
セキュリティ対策が万全か | 機密情報を扱う場合、データ管理や情報漏洩対策が徹底されているか |
導入後のサポート体制 | 業務改善の提案や継続的なサポートが受けられるか |
コストの適正性 | 単なる費用の安さだけでなく、サービス内容とのバランスが取れているか、BPS導入によるコスト削減効果を見込めるか |
BPSは単なる業務の外部委託ではなく、業務の最適化やDX推進を支援するサービスです。そのため、単純にコストが安いからという理由で選ぶのではなく、導入による効果や長期的な運用のしやすさも考慮する必要があります。
最適なベンダーを選定することで、BPS導入のメリットを最大限に活かすことができます。
BPSとは:まとめ
BPS(ビジネスプロセスサービス)は、テクノロジーを活用して企業の業務プロセスを最適化するためのアウトソーシングサービスです。従来のBPO(業務の外部委託)と異なり、RPA、AI-OCR、iPaaS、生成AIなどのITツールやテクノロジーと人の力を組み合わせることで、業務の効率化と品質向上を両立できる点が特徴です。
BPSを活用することで、企業は定型業務の自動化だけでなく、非定型業務の対応も含めた柔軟な業務運用が可能になり、DX推進やコスト削減にもつながります。
BPS導入を成功させるためには、業務の適切な切り分け、最適なBPSベンダーの選定、導入後の継続的な改善が重要です。企業ごとの課題に応じた適切な活用を行うことで、BPSのメリットを最大限に引き出すことができます。
スターティアレイズのBPSサービスとは?
スターティアレイズのBPSサービスは、企業の業務負担を軽減しながら、テクノロジーと業務ノウハウを活用して業務プロセスを最適化するサービスです。RPA、AI-OCR、iPaaS、生成AIなどの最新技術を組み合わせ、企業ごとの業務課題に応じた最適なソリューションを提供します。
長年の業務改善のノウハウを活かし、業務の標準化や効率化を支援しながら、業務プロセスの見直しを行い、より効果的な運用を実現します。RPAやAI-OCRなどのITツールを活用することで、手作業による業務を削減し、作業スピードの向上や精度向上にもつなげます。また、テクノロジーだけでなく、人の判断や確認が必要な業務にも対応できるため、従来のBPaaSでは対応しきれない非定型業務の最適化も可能です。さらに、業務量の変動に応じたリソース調整ができるため、繁忙期や業務の増減にも柔軟に対応できる体制を提供します。
スターティアレイズのBPSは、業務効率化だけでなく、企業のDX推進や業務改善をトータルでサポートします。BPSの活用を検討している企業は、まずは現状の業務課題を整理し、最適な業務プロセスの構築に向けてご相談ください。