ヘガネスジャパン株式会社と「DX Suite」「RoboTANGO」との出会い
― 御社の事業内容とOCR、RPA導入前の課題を教えていただけますでしょうか。
鉄粉をスウェーデンの本社から輸入しまして、それを直接売ったり、工場で一部加工したりして販売しております。私は埼玉工場の工場長をしており、全体のマネジメント業務をしております。
工場での入出荷業務では、紙伝票の発注書のPDFデータがメールに添付されていて、その目視チェックしたデータを統合基幹システムに転記するという作業が発生していました。そしてこのほとんどの作業が手作業だったのです。そのため、どうしても入力ミスが起きやすくなっていました。
件数としては1日で多くて20件程度です。1件の処理時間は10分程度でそれほど難しい作業ではありませんが、とにかく手作業だったのでミスを防ぐために複数人でチェックをする必要がありました。そのためどうしても入出荷業務に工数がかかってしまったり、「ミスをしてはいけない」というプレッシャーから、従業員の精神的負担も大きくなってしまっていたのです。
そこで、PDFから転記する際のミスをなくす目的でOCR導入の検討を始めました。OCR導入はかなり前から検討していましたが、本格的に探すようになったタイミングで御社で取り扱っている「DX Suite」を知りました。
そして、OCR導入を検討しているなかで、御社から「RoboTANGO」を紹介され、入力ミスがさらに減らせるということで、合わせて導入の検討を始めました。
導入の決め手は読取精度と費用対効果の高さ
― 「DX Suite」「RoboTANGO」の導入を決めたポイントは何ですか?
DX Suiteに関しては、読取精度の高さが一番のポイントです。手書きの発注書でも問題なく読み取れました。また、クラウド型システムであったこともポイントの一つです。
弊社はスウェーデンにある本社にて統合基幹システムを管理しているため、カスタマイズをするには本社に掛け合う必要がありました。これまでも要望を出しても受け入れられなかったことも多かったのですが、DX Suiteはクラウド型システムのため、インストールの必要がなかった点も大きかったです。
RoboTANGOに関しては、費用対効果が一番の理由です。自分たちで考えていた価格よりも大幅に安く導入できるうえ、トライアルをした際も操作性がよく、サポートも充実していたのが導入の決め手となりました。
手作業による入力ミス解消と社員の精神的負担軽減が実現
― 主にどのような業務に「DX Suite」「RoboTANGO」を利用されているのでしょうか?
お客様からの注文書のPDFデータをDX Suiteで読み込み、テキストをデータ化してExcelファイルとしてダウンロード。その内容をRoboTANGOで、統合基幹システムの方に自動転記するということをやってます。
― 導入後、どのような成果が出ていますか?
DX Suiteの導入で、活字はもちろん手書きの発注書のテキストデータも正確に読み込むことができます。
また、RoboTANGOとの連携で、統合基幹システムへの転記などほとんどの作業が自動化され、入出荷業務のミスがなくなりました。
これらにより、社員が何度もチェックする必要がなくなり、「ミスをしてはいけない」というプレッシャーから解放され、精神的負担の軽減も実現しました。
録画機能の活用でシナリオ作成が簡単に
―導入後の運用に際して操作性が難しいといった問題はありましたか?
ほとんどありません。これまでと作業工程が大きく変わるということで現場の社員の抵抗があるかと思いましたが、それもほとんどなく、スムーズに運用を開始できました。
RoboTANGOの操作に関しては、録画機能を活用しています。まず対象業務の操作を録画機能で録画しシナリオの土台を作成します。その後細かい修正を加えることで簡単に作成ができました。
コマンドを1つ1つ覚えるのは時間がかかってしまうので、録画機能は助かっています。
DX Suiteの帳票設定に関しても導入時に1度してもらった操作レクチャーを受け、すぐに使えるようになりました。簡単に設定ができるため、現場の担当者でも問題なく運用できています。
すべてのフォーマットに適した設定を行っていく
― 現在、RoboTANGOでは何個ぐらいロボットを作成されているのでしょうか?
現在は、トライアル期間に作成したものが1つ。運用を開始してから作成したものが1つで合わせて2個です。
2つのロボットはどちらも同じ入出荷業務を行うものですが、お客様によって入出庫の内容が異なるため、別のロボを作成しました。DX Suite に関しても、フォーマットが異なるため、2種類の帳票設定をしています。
― 現在、DX Suite やRoboTANGOの運用で課題はありますでしょうか?
RoboTANGOの方は、まだ完全にはコツをつかんでいないというのが現状であり、課題でもあります。
入出荷業務が1日で20件程度とお話しましたが、フォーマットがお客様によってバラバラで、現状ではまだそのうちの2つにしか対応できていません。
録画機能だけでは対応できない細かい設定の部分では躓くこともあるため、何社か設定を行ううちにコツを掴んでいきシナリオ作成や操作に慣れていきたいです。
DX SuiteはAI機能で非定型帳票も読み取ることが可能です。しかし、すべてはカバーできていないので、まずは個社ごとに帳票設定を調整していきます。現時点では、注文書の数が多い企業から優先順位をつけて設定を行っています。
今後はまずDX Suiteでそのフォーマットの帳票を読み取るのか、仕分け作業をRPAで自動化し、工数をできるだけ減らせたら良いなと思っています。
今後は工場の別業務、本社業務と活用の場を拡大していきたい
― 今後、活用の幅を拡大させていく予定はありますか?
工場だと品質検査結果をメモしたあと、統合基幹システムへ転記する業務があるので、2つのツールを活用して自動化できるかなと思っています。あとは、ピッキング後の伝票を出す業務も自動化したいです。
現在はフローティングライセンス機能を活用して、4名の従業員のPCにRoboTANGOをインストールしています。まずは慣れるのが先決なので、積極的に使用してそれぞれの従業員がRoboTANGOを操作できるようになればいいなと思っています。
また、同じ入出荷業務は本社でも行っていますので、埼玉工場で作成したシナリオを共有し、同じロボを動かせば本社でのシナリオ作成の手間を省けると考えています。また、本社と埼玉工場で同時に活用したいタイミングもあるため、2ライセンス導入しており、さらに効率化を推進していきたいです。