株式会社エステム管理サービスの概要とRPA導入の検討を開始した経緯
―御社の事業内容を教えていただけますでしょうか。

当社は不動産業界の中でも建物の管理をしています。マンションやビルの居住者・契約者からの家賃収受、定期清掃や植木の手入れなど建物の環境管理、また、管理人さんの派遣も行っています。
―RPA導入の検討を開始した理由を教えていただけますでしょうか。
RPA導入の検討を開始した理由は、経理業務やマンション管理の周辺業務において繰り返しの業務が多く、担当者の負担が増大してしまっている点を課題に感じていました。
特に経理部門ではほとんど手作業で処理していたため、入力ミスにより請求金額を間違えてしまうリスクも抱えており、お客様にご迷惑をおかけしないための社内の重いチェック作業と従業員の精神的負担を減らしたいと考えていました。これらの理由からRPAの導入検討を行いました。
導入の決め手は価格の安さ、使い勝手の良さ、複数人で使える便利さ
―「RoboTANGO」の導入を決めたポイントは何ですか?
RPA検討時は、10社近い業者から情報を収集し、比較検討しました。最初はグループ会社が活用していたRPAの導入を考えたのですが、価格や操作が難しいと感じたため断念し、価格が安く、初めてRPAを扱う人でもすぐに使えそうなツールを探していたところRoboTANGOを知り、導入を決めました。
多くのRPAの中からRoboTANGOに決めた大きな理由としては、1ライセンスで5台のパソコンにインストールして使える点です。将来的に経理部門の社員15名全員のパソコンにRPAをインストールして活用していきたいという思いがあったため、RoboTANGOのフローティングライセンスを活用して、3ライセンスの導入であれば稟議を上げる際にハードルが低く導入しやすかったことも決め手のひとつです。
ほか、他社と比較して導入コストが安かった点やExcelで数式に触れるようなレベルであっても容易に使いこなせたのも大きかったです。
RPAとAI-OCRの導入で業務の効率化とミス防止、新入社員でも簡単に業務が行える環境の整備が実現
―どのような業務にRPA「RoboTANGO」とAI-OCR「DX Suite」を利用されているのでしょうか?
今は、経理業務とマンション管理周辺業務です。具体的には、口座振替の登録、駐輪場での自転車やバイクの申し込み・解約の入力処理。マンションごとにある銀行口座の入出金データ取得作業。そして、管理人さんの勤怠管理などです。
口座振替業務
これまでは、口座振替の用紙が届いたものを手作業でマンション管理の専用ソフトに登録するという流れの作業が数百件、多い月では700~800件も発生しており、管理するマンションの数が増えるほどに引っ越す人、引っ越して来た人も増え、登録だけで毎日30分以上かかっていました。
しかしAI-OCRとRPAの導入により、以下の手順でボタン一つでほぼ自動化することができるようになっています。
(1) 口座振替の用紙をPDF化
(2) AI-OCRでスキャン後、Excelデータ化し特定のフォルダに保存
(3) RPAで基幹システムに口座登録
自転車やバイクの申し込み・解約の入力処理
自転車やバイクの申し込み・解約の入力処理については、これまでは管理人が住人に申込・解約を直接確認したものを紙に書いてFAXで送信するという流れでした。ただ、人によってヒューマンエラーによる問題が多発したため、管理会社内で厳重にチェックを行う手間がかかっていたのです。
今回RPAを導入するにあたり、業務フローを全体的にデジタル化することができました。具体的には、まず、自転車やバイクの駐輪登録をしたい方がマンション内に貼られているQRコードで申し込むことができるように運用を変更し、その後の処理をRPAで自動化しやすいように工夫しました。
以下の業務の一連の流れを自動化しています。
(1) QRコード経由で申し込みを受け付け、Excelデータとして抽出
(2) 物件の担当者から共有された何番の駐輪場が使えるか、解約するかなどの使用状況データと照合
(3) マンション管理の専用ソフトに登録
(4) 請求データを作成
管理している物件のうち100件ほどは上記の運用で自動化できており、ミスの軽減と効率化を実現しました。
マンションごとの銀行口座の入出金データ取得作業
マンションごとにある銀行口座の入出金データ取得作業については、電話代、水道代といったマンションごとの管理費の引き落としといった紙の請求書が送られてくるのをAI-OCRでスキャンしてデータ化し、RPAでマンション管理の専用ソフトに登録しています。
手作業に比べ短時間でできるようになった以上に、「お金」を扱うためミスが許されない業務のため、これまでは社員が担当していました。しかし、RPA導入によってだれでも対応できるようになり、社員の負担が減ったのは大きな効果です。
(1) 紙の請求書をAI-OCRでスキャンし、Excelデータ化
(2) RPAでマンション管理ソフトに登録
管理組合の入出金データの印刷
ほかにも毎月数百枚以上ある管理組合の入出金データについて、ネットバンクからPDFを開いて印刷するという作業をRPAで自動化しました。
これまでは、週に1回の作業ですが、人の手で作業しており件数が多く1~2日かかっていました。特に他の業務が大量にある月末の支払いに関する印刷が非常に多く、社員にはかなりの負担となっていたのです。しかし、RPAによりボタンをクリックするだけで後は自動でデータ取得、印刷が行われるようになったため、大幅に作業量が減り、月末の多忙な時期でも余裕が生まれほかの業務に集中できるようになりました。
(1) ネットバンクにログイン
(2) 入出金データのPDFファイルを開く
(3) 印刷ボタンをクリック
すべて完了するまで上記の手順を繰り返し行うように設定し、自動化しています。
―「RoboTANGO」の導入によってどのような成果が出ていますか?
日々発生する定型業務のほとんどが手作業でした。これがRPA導入で自動化されたことで、大幅に業務効率化が進んでいます。
RPAを使って行う業務も今では自動で完了するのが当たり前となっていますが、改めて手作業でやると考えたらもう無理なのではと思いますね。
以前は新しく入社してきた人にいきなり業務を任せるのは難しいと思っていましたが、今はロボをつくって流れさえできてしまえば、覚えることも少なくなったので以前に比べてすぐに仕事ができるようになっています。その結果、部署全体での残業時間削減にもつながっています。
今後はRoboTANGOの活用を広め、グループ会社での展開も目指す
―今後、「RoboTANGO」をどのように活用していこうとお考えですか?

現在は経理部とマンション管理周辺部門での活用が主となっていますが、今後は他の部署でもロボをつくれる人を増やしていきたいなと考えています。
他部署やグループ会社でもまだまだ、効率化が進んでいない業務が多く、できれば早急にRPAを広めていきたいのですが、現状RPAを理解し、メリットを活かしたいといった意識の社員が少ないのが現状です。まずはここを変革していきたいですね。
そのためにもRPAの基礎から広めていきたいと考えていて、自らRPAを使いたい、ロボを作りたいといった意識を持つ社員を増やしたいです。そしていずれはグループ会社にも展開していきたいですね。
―現在、RPAの導入を検討している企業にメッセージをお願いします。
同じ成果を上げるのであれば、できるだけ手間をかけずに効率的に進めたいですよね。同じ成果をできるだけ効率的に上げたい方にはぜひ、RPAの利用をお薦めします。最初は「RPAの活用は難しい」といったイメージもあるかもしれませんが、実際に使ってみると思ったほど難しくはありません。慣れれば自分でロボを作れますし、サポート体制がしっかりしているため、操作面で分からない場合もすぐに教えてもらえます。ロボを作成するための時間は必要ですが、作成後は業務がとてもラクになり効率化も進みますので、検討しているのであれば、ぜひ使ってみることをお薦めします。