光洋陶器株式会社が「RoboTANGO」を導入した経緯
―御社の事業内容を教えていただけますでしょうか。

弊社はホテル・レストランの業務用食器を中心に12,000点を生産、取り扱っている食器のメーカーです。最近は個人向けの食器も幅広く取り揃えています。
―RPA導入を検討したきっかけを教えていただけますでしょうか。
RPA導入の検討を開始した理由は、多くの業務が属人化していて担当者がいないと業務が滞ってしまう点、システム連携や一括処理の多くが手作業で多くの手間がかかってしまっていた点などです。
システムの一括処理については、社内リソースの関係から外注しなければならず、年に1回ではありますが、数十万円のコストがかかっていました。
また、データ抽出を行う作業では、毎日決まった時間に行うため、その作業を行う時間になったら、ほかの作業を中断しなければなりません。
お客様からの問い合わせ電話が入っている時でも、時間になれば行わなければならず、お客様にもご迷惑をおかけすることになるため、早急に解決したいと考えRPA導入の検討を始めました。
導入の決め手は価格の安さ、録画機能、シンプルな操作性、他ツールとの連携、複数人でロボットが作成できる点
―「RoboTANGO」の導入を決めたポイントは何ですか?
最初にトライアルを行ったRPAツールは、コスト面やロボット作成の難しさから導入を断念し、導入に至ったRPAツールは1年間利用したものの、やはりコストが高く、安定性など運用上で問題が発生したため切り替えることにしました。
7~8社から情報収集を行い比較検討をしていく中で、最終的に
・低コスト
・録画機能
・操作がシンプルで分かりやすい
・複数人でロボットが作成できる
・フローティングライセンス
・RPAを作るまでの過程がどのソフトよりも早くスムーズに作成できる
・チャットワークと連携しているのがとても便利
という理由からRoboTANGOに決めました。
特に複数人でロボットを作成できる、フローティングライセンスがあったのが大きな決め手です。将来的にRPA活用の幅を広げる際に多くの社員がロボットを作成できる必要がありますので、一人ではなく、複数人でロボットを作成できるのは大きかったですね。
さらに、プログラミングの知識がなくてもロボットを作成できるのも、RPA活用の幅を広げていくという意味でRoboTANGOに決めた要因の一つです。
現在は、RoboTANGOのほかに他社製のRPAと2台体制で、業務時間帯によって使い分けています。
「RoboTANGO」導入で業務効率化が進み、属人化防止やお客様対応のサービスの質向上を実現

―日常ではどのような業務に「RoboTANGO」を利用されているのでしょうか?
今は、ECサイトでの在庫状況更新、販売管理システム上での商品品番の変更、商品受注後に販売管理システムでの印刷作業、売上管理ファイルの作成、Googleアナリティクス(GA4)のデータ抽出、電子帳簿保存法対応業務などで活用しています。
・在庫状況の更新
もともとはECサイトでお客様から業務時間外に注文があった場合、販売管理システムでは自動で売上処理ができないため、在庫数も変動しません。そのため、次の営業日に人の手で更新していたためタイムラグが生まれ、在庫切れの商品の注文を受けた際は、お客様にご連絡しなければなりませんでした。そこで、RPAで自動化したことで常に正しい在庫状況の更新をほぼリアルタイムでできるようになりました。ご注文いただいたお客様にご迷惑をおかけするリスクが減るのはもちろん、在庫切れの連絡をする手間がなくなることで担当者の負担軽減も実現しています。これがRPA導入による最大の成果です。
・商品品番の変更
システムやマスターの変更業務は誰かが使っている時にはできません。そのため、社員が休みで誰もシステムを触っていない日に行う必要がありました。その中の一つが販売管理システムの品番の変更です。
廃版商品を不要の品番として、今後使わないように処理を行う必要があるのですが、これまではリモートデスクトップで社内のPCにつなぎ、出社せずに手作業で行っていました。ただ、毎回2,000行ほどの処理が必要なため、手作業で行うと700行/日(7時間)なので、21時間(3営業日)はかかっていたのです。
これがRPAの導入によって1日で完了するうえ、自動化されたため、休みの日に作業を行う必要もなくなりました。
・商品受注後に販売管理システムでの印刷作業
商品を受注後、在庫がなかった場合、該当商品の生産手配を行ってお客様にいつ頃入荷なのかをすぐに連絡しなければなりません。そのためには、少しでも早く紙のリストを生産管理部に提出する必要があります。
しかし、このリストは10時、12時、15時と決まった時間に出るため、その都度、今やっている業務を中断しなければなりません。さらに 手作業ではタイムラグも生まれやすくお客様への連絡も遅れがちでした。そこで生産管理システムと販売管理システムの連携を行い、販売管理システムから在庫データの抽出、生産管理システムにて生産手配書の作成・印刷をRPAで自動化しました。これによりタイムラグなくお客様への連絡遅延リスク低減も実現しています。
・売上管理ファイルの作成
販売管理システムから在庫・売上数量をExcelでエクスポートし、営業生産管理部用に在庫や売上、基準在庫、売上によるABCランクなどの更新を、RPAを使い毎朝処理しています。一つのExcelに複数のCSVを貼り付ける場面もあるので、それも自動化することで手作業の手間が削減されました。
・Googleアナリティクス(GA4)のデータ抽出
ECサイトのアクセス解析データを抽出・CSV化して経営者側と管理者側に送っています。また、営業用の資料として営業担当にも送っています。
・電子帳簿保存法対応業務
電子帳簿保存法に対応するため、FAXで受けた注文書をPDF化した後の処理で、指定のファイル名への変更とタイムスタンプ付与作業にもRPAを活用しています。
ファイル名はもともと年月日時間で作成されるので、電子帳簿保存法に対応できるように「得意先コード」と「得意先名」を追加する作業を行った後、タイムスタンプ付与システムで処理する流れを自動化しました。
「RoboTANGO」の導入によってどのような成果が出ていますか?

RPAを導入したことで時間による縛りがなくなり、業務を中断することが大幅に減りました。今まではお客様の電話対応中にも作業を行わなければならないこともあり、お客様対応に集中できないこともあったのですが、それもなくなりお客様対応の質向上も実現しています。
ほかにも、販売管理システムで得意先単位で商品情報を「削除」するという一括処理ができず手作業で行っていた業務をリソースの関係で毎回数十万円かけて外注していました。カタログの切り替えで年1回の作業ではありますが、毎回大きな費用がかかっていたものがRPAで自動化したことでゼロになったのも大きな効果です。
今後はRoboTANGOの活用を広め、他部署や関連会社での展開。さらにはブランドイメージの向上も目指す
―今後、「RoboTANGO」をどのように活用していこうとお考えですか?
現在は営業出荷部での活用が主です。今後は他部署、部署間での連携でもロボットを活用したいですし、いずれは関連会社にも活用の幅を広げていきたいです。
現在、営業出荷部だけで日次30個、月次、随時のロボットを合わせると70個のロボットが稼働していますが、ロボットを作成できるものが一人しかいません。そこでまずは、他部署でもロボットを作成できる人材を育成していきたいと考えています。
その第一歩として不定期ですが、社内で勉強会を実施しています。そこに営業出荷部以外の社員にも参加してもらって、RPAの扱いに慣れてもらえるようにしているところです。
また、これからは自社のブランドイメージ向上にもRPAを役立てていければと思っています。その取り組みとして現在、スタートしているのは観光産業の一環としてオープンさせた、カフェ、ショップ、ワークショップ、工場見学の複合体験施設です。
この中の工場見学では一般客向けと企業向けがあり、企業向けの工場見学で事務所見学も含まれているのですが、そこではRPAでの業務について説明しています。
その際の説明も、メインは電子帳簿保存法対応やECサイトのリアルタイム更新を中心に話をし、業務効率化や働き方改革への取り組みについてお話しすることで、ブランドイメージ、企業イメージ向上に役立てばと思っています。実際、自社のRPAやITツールを活用したDX化はお客様にも少しずつ浸透しています。
働き方改革やDX化を行う手段としてRPAも使用しており、お客様にはサービスの質の向上と情報の鮮度、精度の向上を行い他社との差別化を図っているところです。
―現在、RPAの導入を検討している企業にアドバイスはありますか?
できるだけ業務を効率化したいのであれば、RPAの活用についていろいろと学び、試行錯誤を続けて欲しいと思います。作成の楽しさに気づけたら、RPAに興味がわくと思いますので、興味がある方はまず一度使ってみることをおすすめします。