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生産性向上を目的にRPAを導入。300時間/月の業務削減、業務担当者の負担軽減を実現
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課題
- 自社の基幹システム周りで発生するルーチン作業(特に支払いシステムへのデータ連携業務や帳票出力系業務)を複数部署・複数人で分担していた。自社の売上拡大に向けて、スタッフの作業工数が正比例で増加するのを防ぐために、業務自動化を検討していた。
- 当初導入したRPA(すでにグループ会社内で使用していたもの)は、開発アカウントと実行アカウントが分かれており、かつ開発に一定以上の知見が必要だったため、グループ会社に開発を依頼していたが、日々のエラー対応やチューニングを、要件を整理して依頼しなければならず運用負荷が高かった。そのため、専門知識不要で手軽に開発・実行できるRPAを検討することとした。
効果
- 月間300時間相当の業務工数削減を実現。
- 手作業が減ったことでヒューマンエラーのリスクが軽減され業務の正確性が担保された。
- RPAでルーチン業務が自動化され、単純作業が軽減され作業の待ち時間がなくなったことで業務担当者の工数的負担が軽減した。
株式会社 博展の事業内容とRPA導入の検討を開始した経緯
弊社は、パーパス「人と社会のコミュニケーションにココロを通わせ、未来へつなげる原動力をつくる。」のもと、イベントや展示会、施設空間などにおいて、人の“体験”を統合的にデザインし、企業や社会の課題解決を支援する事業を行っています。
そのなかで私は業務推進部に所属していて、基本的にはバックオフィス全般の業務効率化を担当しています。
一つは業務推進部での生産性向上が喫緊の課題であった点です。
特に基幹システム周りの作業が多いスタッフ部門において、これまで通りの仕事の仕方を前提とすると、売上拡大に伴って人員を正比例で増やす必要が生じます。高い成長目標を掲げる弊社にとって利益圧迫の大きな要因となりうるため、改善の方法を模索していました。
支払い業務を行う業務推進部(旧購買部)では、基幹システムから注文書などの書類の出力の際型の決まった作業ではあるものの、件数に応じてかなりの工数がかかっていました。
わたしの前任者は、当初、すでに社内で導入されていた別のRPAの導入を進めましたが、開発用ライセンスと実行用ライセンスが分かれており、開発には知識が必要だったため、グループ会社にRPAロボットの開発を依頼して実行用ライセンスのみを導入しました。エラー対応や仕様変更を細かく依頼するのは運用負荷が高く、もっと簡単に開発・運用可能なRPAを探すことになりました。
RPA導入の決め手は「導入・運用コストの安さ」「明確な料金体系」「現場レベルで扱える容易さ」
最終的には次の点で導入を決めました。
- 機能がシンプルで必要十分であったこと
- ITリテラシーが高くない社員であっても簡単に扱えること
- 1ライセンスで複数台に導入でき、開発と運用を同時に進められること
- 開発用ライセンスと実行用ライセンスが分かれておらず、少ないライセンス数で始められること
- 月額でのお支払いのため、気軽に試すことができたこと
当時、導入を担当したチームのITリテラシーはさほど高くなく、専門知識を持つメンバーがいたわけではなかったため、検討したRPAのなかで使いやすく現場レベルでも開発・保守ができる点、料金体系がわかりやすいうえ、導入・運用コストが抑えられる点でRoboTANGOが最もよかったのが導入の決め手となりました。
RPA導入で300時間/月の作業時間を削減し、業務担当者の心理的負担軽減が実現
基幹システムからデータのダウンロード・整形作業
主にレポート作業でRPAを活用しています。弊社の基幹システムはAPI連携ができるサービスではないため、これまでは基幹システムのデータを使用する場合、まずエクセルでデータを出力して、必要に応じて二次加工を行ったり、受益部門が見られる共有ドライブに保管したりといった作業を手作業で行っていました。
また、基幹システムにサーバ負荷をかけすぎないよう出力の順番待ちが発生したり、基幹システムの稼働が多い日中に複数のデータを出力して集計する際、数値の差異が生じたりという課題がありました。
現在では社員が稼働していない深夜を含め、一日数回RPAが稼働することで、データを使用・加工するスタッフ組織だけでなく、常に最新のデータを経営層や営業組織に提供することができるようになりました。
またRPAを活用することで、効率化と取得するデータに差分が生じてしまうことを防ぎ正確性の担保も果たしています。
データのダウンロードを夜間に行えるようになったことで、日中は他の生産性を高める業務に集中できるようになったのは、RPA導入の大きなメリットです。
注文書や請求書の出力、メール送信
基幹システムからの請求書出力や、基幹システムから注文書を出力してオンラインストレージにアップロードする作業にもRPAを活用しています。
基幹システムから注文書を出力してオンラインストレージにアップロードする作業は1日に数回行っていて、これを人の手で行うと数時間はかかり、繁忙期には3倍の量になります。そこで正確さを担保しながら効率化するという2つの目的を実現する手段としてRPAを活用しています。
現在はRPAにより24時間フル稼働しており、月間150時間の工数削減を実現できました。
また注文書は、オンラインストレージ上で送付する場合とメールに添付して送付する場合があるのですが、現在ではメール送付に関しても自動化を行い、かなりの業務削減を実現しました。この自動化が一番成果が出たと実感しています。
さらに、エラーが起きても検知するためのロボも作成し、ダブルチェックまでを自動化させたことで、正確さを担保しながらの自動化、高速化を実現させました。
チーム内でアイデアを出し合い進化
現在は、社員同士でアイデアを出し合うことで、小さな業務を含めさまざまな使い方を見出せるようになっています。
例えば弊社では掃除当番があるのですが、Excelで社員の名前とメールアドレスのリストを作成し、それを元にRPAがメールで通知する作業の自動化を行っています。
UIがわかりやすく「怖くない」ので、チーム内の全員がRoboTANGOを触った結果、「こんな作業も自動化できないか」という会話と連携が非常に活発に行われるようになりました。最初は小さなアイデアだったものも、組み合わせることで、汎用性の高い仕組みに進化させることもできています。業務効率化に対するモチベーションが上がり、改善スピードも目を見張るほど高速化しています。
また、その流れが拡散され、他部署からも情報や要望が寄せられるようになったことで、会社全体の業務改善にも大きく寄与できるようになりました。
現在、50~60個のロボを作成していて、月間300時間相当の業務時間削減に成功しています。
モジュール化・疎結合化でRPAロボットのメンテナンスを効率化
新しいシナリオを作る手間を削減する工夫は色々と行っています。具体的には、モジュール化です。例えば基幹システムにログインするための短いシナリオを作って、それを呼び出す仕組みにすれば、ログインの方法が変わった場合も1つのシナリオを修正するだけで済みます。
これによりロボ作成時だけではなく、保守作業の工数も削減されるので、作成や保守の負担が減れば、将来的に他部署からロボ作成の依頼が来てもすぐに対応できるようになり、社内での展開がしやすくなります。
勉強会の実施
また、ロボを作成するうえでアルゴリズムの流れを知っていればとっつきやすくなるので、小中学生向けのプログラミング入門的な勉強会を自主的に実施しています。それに加えVBAのコーディングルールの話も業務推進部の中でしています。RoboTANGOでExcelを操作するだけではなく、VBAの実行と組み合わせるとさらなる高速化、安定化が可能です。よりRPAのメリットを生かすためにもこれからも継続していきたいと考えています。
稼働状況の可視化
保守管理の効率化という点では、RPAロボットの稼働状況が一目で分かるようにスプレッドシートでタイムテーブルを作っているのですが、ロボの稼働開始・終了時にSlackのワークフローをクリックすることでスプレッドシートの利用状況が変わるようにしました。これでどのパソコンで作業しているのか、空いているのかが瞬時にわかり、複数人での保守管理が適切に行えるようになっています。
ほか、RPA実行用のパソコンに「業推 挑美(ぎょうすい いどみ)」という名前を付けて呼んでいます。擬人化することで、RPAに愛着が湧くようになり、さらに広めていきたいといった気持ちが高まるようになりました。
今後は他部署でもRPAを活用し、削減効果を拡大させていきたい
ロボを作成していて一番嬉しかったのが、実際に削減効果が出たことが具体的な数字で表されたことです。現在は300時間/月で人にして2人分といったところなので、まずはこれを拡大していきたいと考えています。
また、モジュール化をさらに進めたり、保守しやすい形を作ったりなどルール作りも同時に行っていきたいです。そのうえで、これまでは自分が所属する業務推進部が行う業務の効率化ばかりを進めてきたので、他部署でもRPAを推進していきたいですね。現状、業務推進部が7、他部署が3ぐらいの割合なのでこれからはRPAの認知を広めて他部署の割合を高めていきたいです。
まずは業務推進部のなかでチームを立ち上げ、主に4人でシナリオの作成をしたり、ロボの保守をしたりしていますが、これを少しずつ横展開して業務推進部の全員がシナリオを作れるようになることを目指しています。
私は元々、情報システム部門で働いていた技術職なのですが、そういった分野の人ほどRPAに抵抗があるケースが多いように感じます。とりわけ、「GUIのRPAツールは非技術部門向けで、わかりやすい代わりに自由度が低くやりたいことができない」と考えている人は多いのではないでしょうか。私の経験上、そういった人にこそRPAを使って欲しいと思っています。
GUIのRPAツールでも、単純なことしかできないわけではなく、工夫次第で階層化やモジュール化といったルール化もできる柔軟性があります。
ループや分岐といった基本のアルゴリズムは揃っており、これらを組み合わせることで大規模な業務の自動化もできるので、不自由さを感じることも少ないです。
また、ITリテラシーがあまり高くない方でも直感的に理解できるUIであることは大きいです。非技術職の方への説明が容易であるため、属人化しにくい業務の構築を行うことができます。いわゆる「ひとり情シス」「ひとり社内SE」、あるいはそれに近い立場の人には非常に有益と言えるのではないでしょうか。
RoboTANGO導入事例
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