製造業
RPA導入でWeb-EDI周りの作業時間を月間40時間削減。製造業界のDX推進支援のために、パートナーとしてRPA普及にも貢献
- 基幹システム
- Excel/CSV
- Web-EDI
- 勤怠管理
複雑形状部品の重切削から高精度切削までの機械加工全般を手掛けられている製造メーカー、有限会社東亜工作所の代表取締役社長 黒﨑様にRPA導入前の課題、RPA活用法や成果・効果についてお話を伺いました。
課題
- 付加価値の低い定型業務に多くの時間を割かれていた
- 本来取り組むべき業務に注力したく、業務効率化が急務であった
効果
- 定型業務にかかる時間が減り、本来取り組むべき付加価値の高い業務に取り組む時間が増えた
- 手作業だと忘れがちになってしまう作業も、自動化により漏れがなくなった
- RPAの高い効果や将来性を強く感じ、現在ではRoboTANGOの販売代理店として同じ業界の企業に紹介し、DX化の支援も行うようになった
付加価値の低い定型業務の負担が増大し、本来やるべき業務に取り組めないことからRPAの導入を検討
当社は、複雑形状部品の重切削から高精度切削までの機械加工全般を手掛けております。昭和27年の創業以来、「Continue to Change」を企業理念とし、その時代のニーズに応じた設備、人材、技術、仕組みを構築しており、近年はJISQ9100(航空宇宙)の品質保証体制にて航空宇宙関連部品、半導体製造装置関連部品、一般産業製造装置部品の製造に取り組んでおります。
近年は航空宇宙関係部品の製作も行っていて、最近では月面に着陸した実証装置の燃料タンクを製作して納品した実績があります。ほか、オムツの製造装置の部品、モーターの部品などの製造や卸も行っています。
業務の中で重要ではあるものの付加価値が低い、いわゆる定型業務に時間を奪われてしまっており、本来、取り組まなければならない業務に注力できていないという課題がありました。
そこで、まずは定型業務にかかる時間をなくすための施策を考えていて、約4年前にRPAが良いのではないかという話もあがったのですが、導入コストが高額だったことや操作が難しそうな印象があり、その時点では導入に踏み込めませんでした。
それからしばらくして、安価なRPAツールを提供している企業が増えてきたことから、改めて検討を始め、展示会に参加して情報収集を始めました。
導入の決め手は「低価格での導入」「操作性の良さ」「導入サポートの良さ」
情報収集で参加していた展示会にてRoboTANGOに出会い、低価格で始められるという点が一番大きなポイントでした。とにかく価格が手頃だったので比較検討なしで導入を決めました。
最初は、とりあえず導入してみて上手くいかなければ途中で止めてもいいかとも思っていました。ただ、私が以前IT関係の仕事をしていてプログラミングが好きだったこともあり、無料トライアルの段階からRoboTANGOは使いやすさも抜群で、なおかつ操作レクチャーもしていただけたので、すぐに本格的な導入が可能でした。
RPA導入で定型業務にかかる作業工数の削減により、今まで取り組むことができなかった新規業務への取り組みを実現
現在、受注処理と現場との情報共有の2つの業務をRPAで自動化しています。さらに、勤怠・給与管理システムでの処理の自動化を進めています。
・受注情報を各社Web-EDIから自社システムに取り込む作業
顧客から送付された注文情報の取り込み作業にRPAを活用しています。
顧客から注文があった際、顧客ごとのWeb-EDIから注文が入ったことの通知がくるため、それを基に顧客のWeb-EDIにログインします。注文書や図面などの情報をダウンロードしたら共有フォルダに保存し、ダウンロードしたものを業務部のメンバーにメールで通知をすることと、自社システムに転記入力する必要があります。
今まではすべて手作業で行う必要があり、多くの手間と時間を要しており、特に顧客ごとに異なるWeb-EDIにログインし、深い階層まで入って情報をとりにいくことが大きな手間でした。
手作業で行う際はダウンロードした注文書を紙に印刷し、文字情報を目視で確認しながら手作業で1件ずつ入力。その後別の担当者がWチェックするため、2人がかりの作業でした。
これがRPA導入により正確に処理してくれるため、作業工数の削減はもちろん、チェックにかかる手間もなくなったのです。また、図面や仕様書の共有フォルダへの保存も自動化することができました。
この作業は毎日、数十件の注文情報の入力に1時間、チェックに1時間程度かかっていましたので、自動化したことで月間40時間程度の削減になりました。
また、現在自社システムへの転記入力までを自動化していますが、今後は、指示書を印刷して担当部署に提出する作業の効率化のために、印刷作業の自動化も考えています。これが実現すればさらなる効率化と作業時間の削減が可能です。
・社内への情報共有の自動配信
発注内容を現場に共有する作業もRPAで自動化しています。以前は業務部門内だけで共有していましたが、実際にはものづくりをしている現場でもその情報は必要で共有して欲しいと要望があったため、私が自社システムから前日の注文情報をダウンロードし、LINE WORKSにて配信していました。
しかし、私が出張中や他の業務で忙しい時に配信を忘れてしまうことが課題でした。配信漏れが生じると注文情報が不明確になり、後になってから確認の問い合わせが多発し、対応の手間が増えてしまいます。そこでRPAを活用し、毎朝自動で発注内容が共有されるようにしました。
注文情報のダウンロードから配信までにかかる時間はわずか10分程度ですが、これが自動化されたことの最大のメリットは、配信のことを覚えておく必要がなくなり、その分クリエイティブな業務や本来やるべき業務に集中できるようになったことです。時間の削減以上に定型業務のために頭を使う時間がなくなったことが、RPAの大きな効果のひとつとして実感しています。
・勤怠・給与管理システムへの入力作業
現在RPAロボットの作成を進めているのが、勤怠・経理情報についての会計管理ソフトとの連携です。
弊社では勤怠をバーコードで管理しており、Excelでエクスポートできるのですが、そのデータを勤怠・給与管理システムに転記入力する作業が発生します。この作業の自動化を今進めておりまして、これが実現すれば、現在従業員35人分の勤怠情報管理を1人の担当者で行っておりますが、大幅に効率化され負担軽減につながると思います。
導入した時点では販売代理店をやろうと考えていませんでした。ただ、あまりに当社で使った時に効果が高かったので、これは弊社と同じ製造業で横展開した方がいいのではないかと考え代理店として活動を始めました。
弊社が所在している長崎県は土地柄もあり、なかなか情報が入りにくいうえに製造業は他の業種に比べてデジタル化が遅れていますので、私がデジタル化についてのノウハウを広め、同じ課題を抱えている中小企業の効率化・人手不足の解消を支援していければと思い取り組んでいます。
今後はRPA運用の拡大と代理店としてのRPA普及の両方に注力していく
RPAの活用はこれからも拡大していきたいと考えていますが、RPAロボットの作成担当が私と合わせて2人しかいませんので、スピード感を持って進めていくのは難しい状況です。ただ、現状のままだと2人以外はRPAを使えずに属人化が生まれてしまうリスクがありますので、RoboTANGOの設計書を作成することで、他の社員でも使えるようにしていきたいとは考えています。
また、代理店としてお客様先で業務ヒアリングを行ったり、サポートの過程で情報交換を行い、自社でも同様の業務が自動化可能なのか検証し、効率化の幅を広げていければと思います。
私たちと同じ業界の製造業ではとにかく紙を扱うことが多く、例えば、勤怠情報を手書きで紙に記入して、担当部署に提出し手入力していく流れが多発しています。
人手不足の解消や本来やるべき業務に専念できるように、まずはITに目を向け一緒にデジタル化にシフトしていきましょう。