AI-OCRの基本概要
AI-OCRは、従来のOCR技術に人工知能を融合させることで、文字認識の精度と効率を大幅に向上させた技術です。本章では、まずOCRとAI-OCRの基礎知識から、進化の過程について詳しく解説します。
そもそもOCRとは?
OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)とは、印刷物や文書から文字を読み取り、デジタルデータに変換する技術です。
従来のOCR技術は、スキャナーで読み取った画像を解析し、文字のパターンを認識することでテキストデータを生成します。OCR技術は、紙の文書をデジタル化し、検索や編集を可能にするため、多くの業界で広く使用されています。しかし、従来のOCRでは、手書き文字や複雑なフォーマットでの対応が難しいことが課題でした。
AI-OCRとは?
AI-OCR(Artificial Intelligence Optical Character Recognition:人工知能光学文字認識)とは、従来のOCR技術に人工知能(AI)を統合した進化版のOCR技術で、AIによる機械学習のアルゴリズムを利用して、手書きの文字や複雑なフォーマット、異なる言語や様々な活字フォントに対しても高い精度で文字を認識します。
AI-OCRは自己学習能力を持ち、使用するたびに認識精度を向上させることができるため、より多様な文書に対応することが可能です。従来のOCRが苦手としていた領域でも、正確かつ迅速に文字をデジタル化することが可能で、企業の文書管理やデータ入力の効率化に大きな役割を果たしています。
AI技術によるOCRの進化
AI技術の進化は、OCRの能力を飛躍的に向上させました。従来のOCRはパターンマッチングに基づいており、特定のフォントや形式に依存していましたが、AI-OCRは機械学習やディープラーニングを活用して膨大なデータを分析し、パターンを学習することで、文書の構造やレイアウトを理解し、より正確に文字を認識することができるようになりました。
AI技術の導入により、OCRは手書き文字や非定型フォーマット、複数言語の文書に対応できるようになり、さまざまな業界での活用が広がっています。これにより、企業や組織は文書処理の効率を大幅に向上させることが可能となりました。
AI-OCRと従来のOCRの違い
AI-OCRと従来のOCR技術には、認識精度と柔軟性、自己学習能力、多言語対応と多様な文字フォントの対応、レイアウト認識、そして処理速度と効率の向上など多くの違いがあります。本章では、それぞれの違いを具体的に解説します。
まずは両者の違いを分かりやすく表で説明し、詳しく解説していきます。
特徴 | 従来のOCR | AI-OCR |
---|---|---|
認識精度 | △ 文字の認識精度(識字率)は低い |
〇 高度な文字認識で 使い続けることで精度が上がる |
自己学習能力 | × 固定されたアルゴリズムに基づいて動作するため、学習能力がない |
〇 自己学習能力を持ち、新しいデータを学習して認識精度を継続的に向上させる |
帳票の識別 | 手動 | 自動 |
手書き文字の認識 | × 活字のみで 手書き文字は認識できない |
〇 手書き文字が認識できる |
非定型帳票の読み取り | × 定型フォーマットに依存 |
〇 非定型帳票の読み取り可能 |
補正機能 | × | 〇 歪み・傾きの補正やノイズ除去が可能 |
文字の位置情報 | × 文字の内容のみ認識し、 読み取り位置の調整が必須 |
〇 AIが自動で文字の位置情報を取得し、読み取り範囲を認識 |
処理速度 | △ 大量の文書を処理する際の速度や効率に制約があり、処理時間が長くなることがある |
〇 高速な処理能力を持ち、大量の文書を短時間で処理することが可能 |
認識精度と柔軟性の違い
従来のOCRは、印刷されたテキストや定型フォーマットの文書に対して高い認識精度を持っていますが、手書き文字や不定形なレイアウトの文書には弱点がありました。
AI-OCRは機械学習とディープラーニングを活用し、手書き文字や複雑なフォーマットにも対応することが可能です。AI技術により、認識精度が大幅に向上し、文書の多様なバリエーションに柔軟に対応することができます。
自己学習能力による継続的な改善
従来のOCRは固定されたアルゴリズムに基づいており、新しいフォーマットや文字スタイルに適応することは困難です。
一方、AI-OCRは自己学習能力を持ち、使用するたびにデータを学習して認識精度を向上させます。これにより、長期的な利用においても常に最新の認識能力を維持し、より精度の高いデータ処理が可能です。
多言語対応と多様な文字フォントの対応
従来のOCRは特定の言語やフォントに限定されることが多く、複数の言語や特殊な活字フォントの認識には限界があります。
AI-OCRは多言語対応が進んでおり、異なる言語や複雑な文字を高精度で認識できます。これにより、グローバルな業務展開や多文化対応が必要な環境でも効果的に利用することができます。
レイアウト認識と構造理解
従来のOCRは文字認識に特化しており、文書のレイアウトや構造を理解する能力が限られています。特に表やグラフなどの複雑なレイアウトを正確に認識するのは難しいです。
AI-OCRはディープラーニングを活用して文書全体のレイアウトや構造を理解し、表や図、段落の配置なども正確に認識します。これにより、複雑な文書のデジタル化やデータ抽出が容易になります。
処理速度と効率の向上
従来のOCRは、大量の文書を処理する際の速度や効率に限界があります。処理速度が遅い場合があり、大規模な文書処理には向いていません。
AI-OCRは高速な処理能力を持ち、大量の文書を短時間で処理することが可能です。これにより、業務全体の効率を大幅に向上させることができ、リソースの最適化やコスト削減に寄与します。
上記のように、AI-OCRは従来のOCRに比べて多くの点で優れており、特に認識精度、柔軟性、処理速度において大きなメリットを得られます。
AI-OCRの導入メリット4つ
AI-OCRには、高精度な文字認識、非定型フォーマットへの対応、高速な処理能力、そしてRPAとの連携による業務効率の大幅な向上など多くのメリットがあります。本章では、AI-OCR導入のメリットについて詳しく解説します。
1.高精度な文字認識
AI-OCRは機械学習やディープラーニングを活用しており、従来のOCRに比べて圧倒的に高い認識精度を誇ります。
特に手書き文字や複雑なフォント、ノイズの多い画像でも正確に文字を認識する能力があります。
例えば、二重線や訂正印の読み飛ばしや、複数行や白抜き文字、縦書きの文書などの読み取りができるだけでなく、歪み・傾き・ズレも自動補正し、文字を読み取ることができます。
これにより、データ入力の手間を大幅に削減し、正確なデータ抽出が可能となります。
2.非定型フォーマットも対応できる
従来のOCRでは対応が難しかった非定型フォーマットの文書にも、AI-OCRは対応可能です。契約書、領収書、手書きメモなど、様々な形式の文書を高い精度でデジタル化し、必要な情報を抽出することができます。これにより、文書の種類に関わらず、一貫して高品質なデジタル化を実現します。
3.高速な処理能力
AI-OCRは大量の文書を短時間で処理する能力を持っています。従来のOCRシステムでは時間がかかる大規模なデータ処理も、AI-OCRなら認識処理が高速化されているため、短時間で処理が完了します。これにより、業務のスピードが向上し、時間とコストの節約が可能となります。
4.RPAとの連携で業務効率を大きく向上
AI-OCRはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と連携することで、業務効率を飛躍的に向上させることができます。
AI-OCRで文書データを自動的に読み取り、RPAによってそのデータをシステムに入力したり、特定の業務を自動化したりすることで、手作業によるデータ入力や確認作業を大幅に削減できます。これにより、業務の効率化と人為的なミスの削減を同時に実現します。
特に紙媒体を多く扱う医療や不動産・金融・製造業では、RPAとAI-OCRを活用することで大幅な業務効率化に成功した企業が多く見受けられます。
AI-OCRの種類
I-OCRは、用途や対応する文書の形式に応じていくつかの種類があります。本章では「汎用×定型フォーマット型 」「汎用×非定型フォーマット型」「業務特化×非定型フォーマット型」の3つのAI-OCRの種類について詳しく解説します。
まずは表でまとめて分かりやすく解説します。
種類 | フォーマット例 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
汎用×定型フォーマット型 | 請求書や領収書、契約書など、特定のレイアウトが決まっているフォーマット | ・様々な種別の帳票に対応できる ・抽出精度が高い |
・人が事前にフォーマット定義を行う必要がある ・定義したフォーマットしか読み取れない |
汎用×非定型フォーマット型 | 手書きのメモ、アンケートの回答、電子メールの内容など、フォーマットが一定でない文書 | ・幅広い種別の帳票に対応できる ・手作業でのフォーマット定義が不要 |
・事前に多くのAI学習が必要(学習に必要なデータ収集や学習させるための時間が必要)な場合がある |
業務特化×非定型フォーマット型 | 医療分野では医療記録や処方箋の読み取り、金融業界では手書きの申込書や各種報告書のデータなど | ・特定の業務ニーズに合わせてカスタマイズされており、高度な精度と効率を実現 ・ユーザーによる事前学習の手間が不要 |
・特定の業務や、特定の帳票に限定される |
汎用×定型フォーマット型
汎用×定型フォーマット型は、定型的な文書フォーマットに対応しています。例えば、請求書や領収書、契約書など、特定のレイアウトが決まっている文書に適しています。
このタイプのAI-OCRは、高い精度で定型フォーマットのデータを抽出でき、スピーディーな処理が可能です。一般的に、定型フォーマットの文書を大量に処理する必要がある企業にとって非常に有用です。
汎用×非定型フォーマット型
汎用×非定型フォーマット型は、さまざまな形式の文書に対応できます。手書きのメモ、アンケートの回答、電子メールの内容など、フォーマットが一定でない文書も正確に読み取ることが可能です。このタイプのAI-OCRは、異なる種類の文書を扱う必要がある場合に非常に便利で、特に手書き文字や複雑なレイアウトの文書にも対応可能です。これにより、文書管理の効率が大幅に向上します。
業務特化×非定型フォーマット型
業務特化×非定型フォーマット型は、特定の業務や業界に特化したタイプです。例えば、医療分野では医療記録や処方箋の読み取り、金融業界では手書きの申込書や各種報告書のデータ抽出など、特定の用途に特化されています。
このタイプのAI-OCRは、特定の業務に合わせてカスタマイズされており、高度な精度と効率を実現します。業務特化型のAI-OCRを導入することで、特定の業務プロセスが劇的に改善され、専門的な文書処理が効率化されます。
AI-OCRの具体的な活用事例7つ
AI-OCRはさまざまな業界や分野で活用され、業務効率化やコスト削減に大きく貢献しています。本章では、金融・保険業界、医療分野、製造業、不動産、物流・倉庫管理、教育分野、そして出版業界におけるAI-OCRの具体的な活用事例を紹介します。
1.金融・保険業界でのAI-OCRの活用
金融・保険業界では、AI-OCRを活用して顧客の申込書や契約書、請求書の処理を自動化しています。
例えば、銀行では手書きの申込書をAI-OCRでデジタル化し、システムに自動的に入力することで、処理時間を大幅に短縮できます。また、保険会社では、保険請求書のデータもAI-OCRで読み取り、システムに反映させることで、迅速な保険金支払いを実現しています。これにより、顧客満足度が向上し、業務プロセスの効率化が図られます。
2.医療分野でのAI-OCRの応用
医療分野では、AI-OCRを利用して患者のカルテや処方箋情報、請求先情報をデジタル化し、電子カルテシステムに統合できます。
例えば、手書きの診療記録や処方箋、請求先情報をAI-OCRで読み取り、RPAを用いて電子カルテシステムに自動入力することで、ミスのない情報が登録されます。これにより、医療従事者は迅速に必要な情報にアクセスでき、患者の診療履歴や処方内容を正確に把握することができます。その結果、医療サービスの質が向上します。
さらに、紙ベースの記録を減らすことで、医療現場のペーパーレス化も推進されます。
3.製造業でのAI-OCR活用
製造業では、AI-OCRを活用して受発注管理や生産管理、品質管理のプロセスを効率化しています。
例えば、手書きの作業報告書や品質検査報告書、または取引先から送られてくるFAXやPDFでの注文書や請求書をAI-OCRでデジタル化し、RPAでシステムに自動で取り込むことで、データの一元管理が可能になります。
これにより、迅速な対応と人的ミスの削減が可能となります。
4.不動産業でのAI-OCR活用
不動産業界では、AI-OCRを利用して物件情報や契約書類の管理を効率化しています。
例えば、手書きの契約書や物件の詳細情報をAI-OCRでデジタル化し、データベースに保存することで、迅速な検索や参照が可能になります。これにより、顧客への迅速な対応や物件情報の正確な管理が実現します。
また、顧客から受け取る口座振替依頼書や電気代などの請求書をAI-OCRでデジタル化することで、誤入力を防ぎ、管理システムに正確に登録することができます。RPAを活用すれば文書のテキストデータ化から入力作業までの一連のプロセスを自動化することが可能です。
5.物流・倉庫管理におけるAI-OCRの導入
物流・倉庫管理の分野では、AI-OCRを利用して納品書や出荷指示書、在庫リストなどの文書をデジタル化し、業務プロセスを効率化しています。
例えば、納品書をAI-OCRで読み取り、在庫管理システムに自動的に反映させることで、在庫のリアルタイムな把握が可能になります。また、出荷指示書をデジタル化することで、正確な出荷作業が行われ、ヒューマンエラーを減少させることができます。これにより、物流業務全体の効率が向上し、コスト削減が実現します。
6.教育分野でのAI-OCRの役割
教育分野では、AI-OCRを利用して試験答案やアンケート結果のデジタル化、学生の手書きレポートの評価などが行われています。
例えば、手書きの試験答案をAI-OCRでデジタル化し、採点システムに入力することで、迅速かつ正確な採点が可能になります。また、アンケート結果をデジタル化することで、データの集計や分析が容易になり、教育の質の向上に役立ちます。
さらに、学生の手書きレポートをデジタル化することで、教員が効率的に評価できるようになり、教育現場の業務負担が軽減されます。
7.出版業界でのAI-OCRの活用
出版業界では、AI-OCRを利用して古い書籍や手書きの原稿をデジタル化し、電子書籍やデジタルアーカイブを作成しています。例えば、歴史的な文書や古い書籍をAI-OCRでスキャンしてテキストデータに変換することで、保存や検索が容易になります。また、手書きの原稿をデジタル化することで、編集作業が効率化され、出版プロセス全体のスピードが向上します。
さらに、月刊雑誌の冊子内にある応募用紙がハガキの紙媒体で送られてくるため、それをAI-OCRで読み込みデータ化しています。FAXや郵送で送られてくる応募用紙をそのままテキストデータ化することで、応募の集計期間を大幅に短縮することができます。これにより、迅速な集計が可能となり、読者対応やキャンペーン結果の分析を迅速に行うことができるようになります。
AI-OCR×RPA導入で業務効率化に成功した企業3選
医療:医療法人社団平郁会様
導入前の課題
医療法人社団平郁会様では、以前RPAロボットの構築・保守を外部に委託していたものの、電子カルテのシステムアップデートの度にRPAロボットのメンテナンス(改修)が発生していたため、多くの手間と時間がかかっていました。
RPA作成やメンテナンスをスムーズに行うため、自社でRPAを導入することを検討し、カスタマーサポート部門でニーズのあったAI-OCRとともに導入されました。
活用方法・成果
平郁会様ではAI-OCRで請求先情報を読み取り、電子カルテシステムに入力する作業をRPAで自動化することで作業時間ゼロを実現されています。念のため最終確認は人が行っているものの、ミスなく登録が完了していることから、人による作業工数を大幅に削減することができました。
その他、検査データのアップロード作業や入金情報の突合作業、処方箋データの抽出作業、従業員の入退社処理などさまざまな業務を自動化し、年間1,800時間の作業時間の削減に成功されています。
不動産:株式会社エステム管理サービス様
導入前の課題
株式会社エステム管理サービス様では、マンション・ビルの管理業務で発生する定型的な事務作業・経理業務を、手作業で行っており担当者の負担が膨大でした。
また、顧客に請求する金額を間違ってしまうと、信頼を失うなど会社の損失につながってしまうため、人的ミスの防止も強化していきたいと考え、AI-OCRとRPA導入に踏み切りました。
活用方法・成果
お客様から提出される口座振替依頼書や、紙で送付されてくる請求書のデータをAI-OCRで読み取り、マンション管理システムへの入力作業をRPAで自動化されました。
その他経理部門の定型業務をRPAで自動化し、担当者の業務負担軽減や、RPAが正確に操作することでミス防止・Wチェックの工数削減につながりました。
また、自動化により、新入社員でもすぐに業務が行える環境が整備され、部署全体での残業時間削減にも貢献しています。
製造:ヘガネスジャパン株式会社様
導入前の課題
ヘガネスジャパン株式会社では、工場での入出荷業務において、伝票のPDFデータを統合基幹システムへ転記する作業が手作業によるもので手間がかかっていました。また、システムへの転記作業での入力漏れや入力ミスなどのヒューマンエラー防止を強化したいと考えていました。
そこで、手書きの発注書もスムーズ且つ高性能で読み取りが可能なAI-OCRとRPAを導入。
活用方法・成果
AI-OCRとRPAとの連携により、伝票の読み取りから転記作業の自動化をほぼワンストップで実現し手間が大幅に削減できました。
また、自動化によりヒューマンエラーが大幅に削減し正確に入力されることで、従業員の精神的負担が軽減したとのことです。
AI-OCR導入前の注意すべきポイントと選び方
AI-OCRの導入にはいくつかの重要なポイントがあります。本章では、AI-OCR導入時の注意点、最適なAI-OCRサービスの選び方について詳しく解説します。
AI-OCR導入時の4つの注意点
AI-OCR導入時のあらかじめ知っておくべき注意点として、「100%の認識精度は不可能であること」「自社で取り扱う帳票の種類・量を把握しておくこと」「帳票の種類が多くて帳票の処理枚数が少ない場合、AI-OCRは向いていないこと」「導入前に必ずトライアルや無償帳票読み取りの実施を行うこと」の4つが挙げられます。
下記に詳しく解説します。
100%の認識精度は不可能だと知っておく
AI-OCRは非常に高い精度を持っていますが、100%の認識精度を保証するものではありません。
文書の品質やフォーマット、クセの強い手書き文字などによっては誤認識が発生する可能性があります。その際は人による確認作業や修正作業が発生してしまいます。
ただし、現在かかっている手間や人的ミスが削減でき、従業員の精神的負担も軽減できるのであれば、AI-OCRの導入は非常に有効です。
AI-OCRの読み取り精度が低ければデータ修正に手間がかかるため、認識精度の高いものや、事前学習が不要なクラウド型AI-OCRサービスを選ぶことをおすすめします。
自社で取り扱う帳票の種類・量を把握しておく
導入前に、自社で取り扱う帳票の種類や毎月発生する量を把握しておくことが必要です。
読み取る量や枚数によって料金体系が変わってくるため、必ず事前に把握しておきましょう。
帳票の種類については、定型帳票と非定型帳票があります。
定型帳票とは、あらかじめレイアウトが決まっているタイプの帳票で、非定型帳票とはレイアウトがまったく決まっていないタイプの帳票を指します。自社の帳票の種類はどちらが多いのか確認しておきましょう。これにより、比較検討する際にAI-OCRが対応できる文書の範囲や処理能力を評価し、適切なサービスを選択できます。
帳票の種類が多くて帳票の処理枚数が少ない場合、AI-OCRは向いていない
AI-OCRは大量の文書処理に向いていますが、帳票の種類が多くて処理枚数が少ない場合には、導入コストや設定の手間が見合わないことがあります。一種類ずつ設定しなければならないため、かえってリソースを使い手間になってしまう可能性があります。その場合、他のソリューションや手作業による処理が適しているかもしれません。
導入前に必ずトライアルや無償帳票読み取りの実施を行う
導入前には必ずトライアルや無償の帳票読み取りを実施し、実際の業務環境での性能を確認することをお勧めします。自社で扱う帳票がAI-OCRでスムーズに読み取り可能かチェックしてください。
これにより、AI-OCRの実用性や効果を事前に見極め、導入後のリスクを最小限に抑えることができます。
最適なAI-OCRサービスの選び方
最適なAI-OCRサービスを選ぶために、いくつかの基準を考慮する必要があります。
下記に確認すべき項目を記載していますので、読取精度を検討する際にご利用ください。
確認項目 | 確認内容 |
---|---|
認識精度の確認 | ・高い認識精度(制度は許容範囲)か ・特に手書き文字や非定型フォーマットに対応できるか |
多言語対応 | ・取引先に海外企業がある場合、多言語対応しているAI-OCRサービスが必要なため、日本語以外の対応言語を確認 |
処理速度 | ・大量の文書を短時間で処理できる速度を持つかどうか |
料金・コスト | ・月額制か、完全従量課金成果 ・予算内で収まるか |
操作性 | ・設定やアップロードなど簡単にできるか、操作性が良いか(専門知識がない従業員でも扱えるか同課を確認) ・ユーザーインターフェースが使いやすいか |
サポート体制 | ・継続的に運用するための導入後のサポートが充実しているか ・質問を投げたらすぐに担当から返答がくるか |
他のシステムとの連携 | ・システムとのAPI連携が可能か ・将来性を考慮してRPAとの連携が可能か |
クラウドか、オンプレミスか | ・クラウドサービスなら事前学習が不要で精度が既に高い ・セキュリティ・コンプライアンスの関係でクラウドサービスの利用が難しい場合はオンプレミス対応のものを選択する |
AI-OCRのまとめ
AI-OCRは、AI技術を活用して従来のOCRを大幅に進化させたもので、認識精度の向上や多様な文書形式への対応が可能となっています。
手書き文字や非定型フォーマットの文書にも対応できるため、多くの業界で業務効率化に寄与しています。AI-OCRの導入にはいくつかの注意点がありますが、自社のニーズに合ったAI-OCRを選ぶことで、文書処理の迅速化、コスト削減、人的ミスの削減を実現できます。
導入前には、自社で取り扱う文書の種類と量を把握し、AI-OCRサービスが適しているかを確認することが重要です。AI-OCRの導入には初期費用とランニングコストがかかりますが、クラウド型のサービスを利用することで、すぐに利用を開始できる利便性があります。また、導入後のサポート体制やシステムの定期的なアップデートも重要な要素です。
昨今、多くの企業がAI-OCRを活用して業務効率化に成功しており、今後も需要は増加していくと考えられます。
AI-OCRなら「DX Suite」がおすすめ
AI-OCRサービスなら、市場シェアNo.1の「DX Suite(ディーエックス・スイート)」が特におすすめです。
「DX Suite」は高い認識精度を誇り、手書き文字や非定型フォーマットにも対応可能です。さらに、使いやすいインターフェースとクラウドサービスにより、導入後すぐに利用できる利便性があります。また、多言語対応や、歪み・ズレ・傾きの自動補正機能も保有。
さらに優れたサポート体制も整っており、導入後のトラブルシューティングや定期的なアップデートもスムーズに行えます。
スターティアレイズでは、「DX Suite」の販売パートナーとして、企業の導入をサポートしています。導入前の無償の読み取りサポートも行っておりますので、お試しで自社の帳票の読み取り具合を知りたい場合に最適です。
さらに、スターティアレイズはAI-OCRと互換性の高いRPA「RoboTANGO」も提供しており、AI-OCRとRPAの連携による業務自動化を実現します。
これにより、文書処理からデータ入力までの一連の作業を効率化し、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援します。AI-OCR「DX Suite」とRPA「RoboTANGO」の組み合わせは、業務効率化を目指す企業にとって最適なソリューションです。
AI-OCRや、RPAの連携に興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。
※「DX Suite」はAI inside 株式会社の登録商標です。
AI-OCRのよくある質問(FAQ)
AI-OCRを導入するためのコストはどれくらいですか?
AI-OCRの導入コストは、使用するAI-OCRサービスや文書の処理量によって異なりますが、平均的には、初期費用として無料~数十万円、月額費用は数千円~数万円ほどかかることが多いです。プラン内の規定の枚数より超過した分は別途従量課金される仕組みになっています。
また、完全従量課金制のプランの場合は、1ページあたり数円〜数十円程度かかることが多いです。
具体的な費用は、ベンダーに問い合わせて見積もりをとることをお勧めします。
見積もりをとる前には、自社の帳票の種類や枚数を把握しておきましょう。
どのような文書にAI-OCRが適していますか?
AI-OCRは、印刷された紙媒体や手書きの文字をデジタル化するために使用されており、見積書、注文書、請求書、納品書、領収書、契約書、申込書、口座振替依頼書、運転免許証、住民票、証明書、勤怠表・出勤簿、配送伝票、アンケート用紙などの定型および非定型フォーマットの文書に適しています。手書き文字や複雑なレイアウトの文書にも対応可能です。
どんな業種・業界がAI-OCRを導入していますか?
AI-OCRは、業種・職種問わず様々な分野で活用されています。例えば、製造、運輸・物流、商社・卸売、小売、金融・保険、士業、公共団体、不動産、出版業、教育、BtoCサービスなどが挙げられます。
AI-OCRは紙媒体やPDFデータを多く扱う業界に最適です。
AI-OCRの導入にどれくらいの時間がかかりますか?
AI-OCRの導入時間は、システムの規模や導入環境によって異なります。
一般的には、システムのセットアップと初期設定に数日から数週間程度かかります。さらに、カスタマイズやトレーニングが必要な場合は、追加で時間がかかることがあります。
最近ではクラウド型のAI-OCRサービスが増えてきており、サービスに申し込み後、事前学習なしですぐに使用を開始できるため、多くの企業がクラウド型AI-OCRを導入しています。これにより、初期導入の手間を大幅に削減し、迅速に業務に活用することが可能となります。
紙媒体をスキャンするとき、指定のスキャナーが必要ですか?
AI-OCRを利用する際に指定のスキャナーが必要かどうかは、使用するAI-OCRサービスによって異なりますが、多くのAI-OCRでは一般的なスキャナーと互換性があり、特定のスキャナーは指定されない場合が多いです。
重要なのは、スキャン画像の解像度と品質です。一般的に、300dpi以上の解像度でスキャンされた画像が推奨されます。また、スキャナーがAI-OCRで読み取るファイル形式(PDFやJPEG、PNG、TIFFなどの標準的な拡張子)をサポートしていることも重要です。