バックオフィスでAI活用が進んでいる理由

近年、生成AIをはじめとしたAIツールが急速に普及し、企業のバックオフィスでもAIを活用する動きが広がっています。
これまでのAIは、導入に専門的な知識や大きなコストが必要になるケースもありましたが、現在では、普段使っているパソコンやクラウドサービスから利用できるAIツールも増え、人事・総務・経理・情報システムなど、さまざまな部門で活用しやすくなっています。本章では、バックオフィスでAI活用が進んでいる主な背景を3つ紹介します。

生成AIの普及でAI導入のハードルが下がった

ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、AIは専門的な知識を持つ一部の人だけが利用するものではなく、一般的な業務でも活用しやすいツールになりました。
例えば、メールや社内文書の作成、長い資料の要約、翻訳、アイデア出し、情報収集など、これまで人が時間をかけて行っていた作業をAIに支援してもらえます。自然な言葉で指示できるサービスも多く、プログラミングなどの専門知識がなくても利用を始めやすい点が特徴です。

また、Microsoft 365やGoogle Workspaceをはじめ、日常的に利用する業務ツールにもAI機能が組み込まれるようになっています。新しいシステムを一から導入しなくても、普段の業務の延長線上でAIを利用できる環境が広がっています。
こうした変化により、バックオフィスでも身近な業務からAI活用を始めやすくなっています。

人手不足・業務効率化への対応が求められている

バックオフィスでは、請求書処理やデータ入力、勤怠管理、社内からの問い合わせ対応、各種資料の作成など、企業活動を支えるさまざまな業務を担っています。

一方で、日々の定型業務や問い合わせ対応に時間を取られると、本来注力したい業務に十分な時間を確保することが難しくなります。さらに、働き手の減少が続くなか、人員を増やすことだけで業務量の増加に対応していくことも難しくなっています。

そこで注目されているのがAIによる業務効率化です。文章作成や情報検索をAIに支援してもらったり、定型的な問い合わせへの回答を自動化したりすることで、人が行う作業を減らすことができます。

AIですべての業務を置き換えるのではなく、AIに任せられる作業はAIに任せ、人は判断や確認などの業務に集中するという役割分担が、バックオフィスの生産性向上につながります。

AIは「文章作成」だけではない

生成AIというと、ChatGPTなどを使った文章作成や要約をイメージする方も多いかもしれません。しかし、現在のAI活用は文章作成だけにとどまりません。
例えば、AI-OCRを使えば請求書や申請書などの紙・PDFを読み取ってデータ化できます。AI音声認識ツールでは会議の文字起こしや議事録作成、AIチャットボットでは社内問い合わせへの自動回答が可能です。
さらに、AIワークフローやAI搭載iPaaSを使って複数のシステムを連携したり、AIエージェントに情報収集から判断、処理までを任せたりするなど、AIを業務プロセスそのものに組み込む活用方法も登場しています。
このように、現在では「文章を作る」「情報を探す」「書類を読む」「問い合わせに答える」「データを分析する」「業務を自動化する」など、AIが支援できる領域が広がっています。
そのため、バックオフィスでAIを活用する際は、生成AIだけを見るのではなく、自社の業務や課題に合わせてさまざまなAIツールを使い分けることが重要です。

次章では、バックオフィスで活用できるAIツールを11カテゴリに分け、それぞれの特徴や活用方法を紹介します。

バックオフィスで活用されるAIツール11カテゴリ

バックオフィスで活用できるAIツールには、さまざまな種類があります。それぞれ得意な業務が異なるため、「AIツール」とひとまとめにして考えるのではなく、何ができるのか、どのような業務に向いているのかを理解して使い分けることが大切です。

本章では、バックオフィスの業務効率化や自動化に活用できるAI・関連ツールを11カテゴリに分けて紹介します。

1.生成AI

生成AIとは人が入力した指示や質問をもとに、文章・画像・動画・音声・プログラムコードなど、新しいコンテンツを生み出すことができるAIのこと

生成AI(Generative AI)とは、入力した指示や質問をもとに、文章・画像・動画・音声・プログラムコードなど、新しいコンテンツを生成できるAIです。代表的なサービスには、ChatGPT、Gemini、Claude、Microsoft Copilotなどがあります。
生成AIというと文章を作成するAIをイメージしやすいですが、現在では用途に応じてさまざまな種類のサービスが登場しています。

主な生成AIの種類

生成AIにはさまざまな種類があり、生成するコンテンツや目的によって得意分野が異なります。代表的な種類と主な用途、ツール・サービスは以下のとおりです。

種類 主な用途 主なツール・サービス
文章生成・推敲AI メール・社内文書の作成、要約、翻訳、文章の校正・推敲 ・ChatGPT
・Claude
・Gemini
・Microsoft Copilot
情報検索・リサーチAI Web検索、情報収集、複数情報の整理・比較、調査結果のまとめ ・Perplexity
・Genspark
・Gemini Notebook
(旧NotebookLM)
資料作成AI プレゼン資料の構成作成、スライド生成、デザイン支援 ・Gamma
・Genspark
・Canva
・Microsoft Copilot
画像生成AI イラスト、広告素材、バナー、イメージ画像などの生成 ・Adobe Firefly
・Midjourney
・ChatGPT
動画生成AI テキストや画像から動画を生成、既存動画の編集・加工 ・Sora
・Runway
・Adobe Firefly
音楽・音声生成AI 音楽、ナレーション、音声コンテンツなどの生成 ・Suno
・ElevenLabs
コード生成AI プログラムコードの作成、修正、説明、エラー解決などの支援 ・GitHub Copilot
・Cursor
・Claude Code

※複数の用途に対応する生成AIもあるため、上記は主な活用方法をもとに分類しています。

バックオフィスでは、特に文章生成・推敲や情報検索、資料作成などの活用が考えられます。例えば、社内案内メールの下書きを作成する、長い資料を要約する、必要な情報を調査して整理する、プレゼン資料のたたき台を作成するといった使い方があります。
また、一つの生成AIサービスで複数の機能を利用できるものも増えています。そのため、「文章生成AI」「画像生成AI」のように完全に別々のツールとして考えるのではなく、生成AIが対応できる用途の違いとして理解しておくとよいでしょう。

生成AIは特定の業務だけを自動化するものではなく、日々発生する「調べる・考える・書く・まとめる・作る」といった幅広い作業を支援できることが特徴です。

2.AIエージェント

AIエージェント解説図

AIエージェントとは、人から与えられた目的に対して、必要な作業をAI自身が考え、情報収集や判断、ツールの操作などを組み合わせながら処理を進める仕組みです。
生成AIとの大きな違いは、「回答するだけで終わるか、その先の行動まで行うか」という点にあります。

例えば「競合3社について調べて」と生成AIに依頼した場合、Web上の情報を調査して結果をまとめてもらう、といった使い方が一般的です。
一方、AIエージェントでは「競合3社を調査して、比較表を作成し、レポートとして保存して担当者へ共有する」といったように、目的を達成するために必要な複数の作業をつなげて実行できます。

生成AIとAIエージェントの違い

生成AI AIエージェント
主な役割 質問への回答やコンテンツ生成 目的に沿って作業を進める
情報収集 ○ ○
文章・資料の作成 ○ ○
必要な手順を考える △ ○
外部ツールを利用する 製品・機能による ○
複数ステップの処理 製品・機能による ○
業務上のアクションを実行する 製品・機能による ○

例えばバックオフィスでは、次のような活用が考えられます。

  • 問い合わせ内容を確認し、必要な情報を調べて回答する
  • 複数の情報源からデータを集め、比較・整理してレポートを作成する
  • 申請内容を確認し、条件に応じて次の処理を選択する
  • 必要な情報をシステムから取得し、結果を担当者へ通知する

代表的なAIエージェント関連のサービス・プラットフォームには、Microsoft Copilot Studio、Microsoft 365 CopilotのAgents、GoogleのGemini Enterprise、OpenAIのエージェント構築機能などがあります。

Microsoft Copilot Studioでは、データやツールを接続し、状況に応じて適切なアクションを選択するエージェントを構築できます。GoogleのGemini Enterpriseでも、Googleが提供するエージェントの利用に加えて、独自のAIエージェントを作成・管理できます。

なお、現在の生成AIサービスにも検索や外部ツールの操作など、AIエージェントに近い機能が搭載されるようになっているため、両者を明確に分けられない場合もあります。

そのため、初心者の方は、「生成AIは回答や成果物をつくるもの」「AIエージェントはAIが考えた結果をもとに、次の作業まで進めるもの」と捉えると分かりやすいでしょう。

3.生成AIチャットボット

自然な対話で、生成AIチャットボットが知りたい情報をすぐに回答

生成AIチャットボットとは、生成AIを活用して、利用者からの質問の意図を読み取り、自然な文章で回答するチャットボットです。チャットボットには、大きく分けて「従来型(シナリオ型)」と「生成AI型」があります。

従来のシナリオ型チャットボットは、あらかじめ設定した選択肢や質問・回答、会話の流れに沿って回答する仕組みです。決められた問い合わせには安定して回答できる一方、想定していない質問への対応や、質問パターンが増えた場合には、シナリオやFAQを追加・修正する必要があります。
一方、生成AIチャットボットは、質問の言い回しが異なっていても内容や意図を読み取り、登録したマニュアルやFAQ、社内規程などを参照して回答できます。

従来型チャットボットと生成AIチャットボットの違い

従来型(シナリオ型) 生成AIチャットボット
回答方法 設定したシナリオやFAQに沿って回答 質問の意図を理解して回答を生成
質問の自由度 想定した質問・選択肢が中心 自由な文章で質問しやすい
表現の違いへの対応 質問パターンの登録が必要になる場合がある 異なる言い回しにも対応しやすい
事前設定 シナリオや質問・回答の設計が必要 マニュアルやFAQなどをもとに構築可能
メンテナンス シナリオやFAQの追加・修正 参照する文書や情報の更新が中心

生成AIチャットボットがバックオフィスに向いている理由

人事・総務・情報システムなどのバックオフィスには、「有給休暇の申請方法を知りたい」「住所が変わったときはどうすればいい?」「パソコンのパスワードを忘れた」など、さまざまな問い合わせが寄せられます。

同じ内容でも質問の仕方は人によって異なるため、従来型チャットボットでは複数の質問パターンを想定して設定しなければならない場合があります。また、制度や社内ルールが変われば、それに合わせてシナリオを見直す必要もあります。

生成AIチャットボットであれば、質問の意図を読み取りながら、マニュアル・FAQ・就業規則・社内規程などの情報をもとに回答できます。そのため、質問パターンや会話シナリオを一つひとつ細かく設定する負担を抑えながら、多様な問い合わせに対応しやすいことがメリットです。

例えば、以下のバックオフィス業務で生成AIチャットボットを活用できます。

  • 人事・労務:有給休暇、勤怠、各種申請、福利厚生などの問い合わせ
  • 総務:備品、施設利用、社内制度、各種手続きなどの問い合わせ
  • 経理:経費精算、請求書、支払申請などの問い合わせ
  • 情報システム:パスワード、アカウント、PC設定、システム操作などの問い合わせ

ただし、生成AIチャットボットも導入後のメンテナンスが不要になるわけではありません。制度やルールが変更された場合には、参照するマニュアルや社内規程などを最新の状態に更新する必要があります。

こうした社内問い合わせ対応に活用できる生成AIチャットボットとして、IZANAI Powered by OpenAI、Helpfeel Agent Mode、Admina AIヘルプデスクなどのサービスがあります。
一方、Google Workspaceなど、すでに社内で利用しているサービスの生成AI機能を活用する方法もあります。例えばGemini Notebookでは、社内マニュアルやFAQ、規程、Googleドキュメントなどを参照情報として登録し、その内容について自然な言葉で質問できます。

従来型のように「回答を一つずつ登録する」のではなく、「回答のもとになる社内情報を整備・更新する」ことで、多様な問い合わせに対応しやすい点が生成AIを活用した問い合わせ対応の特徴です。

4.AI-OCR

紙や画像の文字をAI-OCRが高精度で読取、テキストデータに変換。手入力の手間を削減し、業務を効率化します。

AI-OCRとは、紙やPDF、画像などに書かれた文字をAIを活用して読み取り、デジタルデータに変換する技術・ツールです。一般的なOCRが文字をデータ化するのに対し、AI-OCRではAI技術を活用することで、手書き文字やさまざまなレイアウトの帳票などにも対応しやすくなっています。

バックオフィスでは、請求書・領収書・申込書・履歴書などから、氏名や日付、金額、取引先名といった必要な情報を読み取る用途で活用できます。紙やPDFを見ながらシステムへ手入力していた業務の効率化に適しています。
また、AI-OCRの中には、単純に「文字を読み取る」だけでなく、帳票を受け取ってからデータとして活用できる状態にするまでを支援する機能を備えた製品もあります。
AI-OCRサービスとしては主にDX Suite、RECERQA Scan、スマートOCR、LINE WORKS PaperOnなどが挙げられます。

AI-OCRでできる主なこと

機能 できること
帳票の自動仕分け 請求書・申込書・注文書など、複数種類の帳票を判別して分類
画像の補正 スキャン時の傾きや向き、歪みなどを補正して読み取りやすい状態に調整
文字・項目の読み取り 氏名・住所・日付・金額・商品名など、必要な情報を抽出してデータ化
非定型帳票の読み取り 取引先ごとにレイアウトが異なる請求書などから必要な項目を抽出
データの修正・加工 読み取った文字列の表記を整えたり、必要な形式に変換したりして後続処理で使いやすくする
外部システムとの連携 CSV出力やAPI連携などを利用し、会計・販売管理などのシステムへデータを渡す

※対応する帳票や補正・加工・連携機能は製品によって異なります。

例えば請求書処理なら、PDFを受け取る → 請求書を判別する → 傾きなどを補正する → 取引先名・請求金額・支払期限を読み取る → データを整える → 会計システムへ連携する」といった流れを作ることもできます。
さらに、RPAやAIワークフローと組み合わせれば、AI-OCRで読み取ったデータをもとに、システムへの登録や担当者への通知など、後続の業務まで自動化できます。

そのためAI-OCRは、単なる「紙をデータ化するツール」としてだけでなく、紙・PDFを起点としたバックオフィス業務を自動化する入口として活用できる点も特徴です。

5.RPA

繰り返しの定型業務をRPAで自動化し、業務を効率化・人的ミスを削減

RPA(Robotic Process Automation)とは、人がパソコン上で行っている決まった手順の操作を、ソフトウェアロボットによって自動化する技術・ツールです。データ入力やファイル操作など、繰り返し発生するルールベースの業務を得意としています。
例えば、WebシステムからデータをダウンロードしてExcelへ転記する、会計システムへデータを入力する、決まった時間にレポートを作成してメールで送信するといった業務を自動化できます。

従来のRPAは、あらかじめ設定したルールや手順に沿って処理を行うため、文章の内容を理解したり、状況に応じて柔軟に判断したりする業務は得意ではありません。
そこで近年では、RPAと生成AIやAI-OCRなどを組み合わせる活用も広がっています。AIが「読む・考える・判断する」、RPAが「入力・転記・操作する」と役割を分担することで、これまでRPAだけでは対応しにくかった業務も自動化しやすくなります。

例えば請求書処理では、請求書データを受領後、AI-OCRで内容を読み取らせた後、RPAがCSVデータダウンロードし、会計システムへ自動で入力するといった一連の処理が可能です。

RPA×AI-OCR連携による自動化フロー

RPAにもAIを搭載した製品が登場している

近年では、外部のAIと連携するだけでなく、RPA製品そのものに生成AIなどのAI機能を搭載したサービスも登場しています。例えば、自然な言葉で自動化したい業務を指示してロボットやワークフローの作成を支援したり、AIを使って処理内容を判断したりするなど、RPAで自動化できる範囲も広がっています。
そのため、現在のRPA活用は大きく、

  • 従来型RPA:決められた手順に沿ってPC操作を自動化
  • AI機能を搭載したRPA:RPA製品に搭載されたAIを活用し、自動化の作成や処理を支援
  • RPA+外部AI:生成AIやAI-OCRなどと連携して自動化できる業務を拡大

といった形で考えると分かりやすいでしょう。

代表的なRPAツールと導入の考え方

RPAツールには、RoboTANGO、UiPath、Power Automate Desktopなど、さまざまなサービスがあります。ツールによって、操作方法や機能、AIへの対応、導入・運用のしやすさなどが異なるため、自社の業務や利用する担当者に合ったものを選ぶことが重要です。
また、RPAを導入するからといって、最初からAIを組み合わせた複雑な自動化を目指す必要はありません。初めてRPAを導入する場合は、

  • 毎日・毎月繰り返している
  • 作業の手順が決まっている
  • データ入力や転記が多い
  • Excelやファイルの操作が多い
  • 人による判断がほとんど必要ない

といったシンプルな定型業務から自動化するのがおすすめです。対象業務を絞って始めることで、RPAによる削減効果を確認しやすく、社内に自動化のノウハウも蓄積できます。

そのうえで、文章や書類の内容を読み取る業務や、人による判断が必要な業務まで自動化したい場合には、生成AIやAI-OCRとの連携、AI機能を搭載したRPAなどへ活用範囲を広げていくとよいでしょう。

6.AIワークフロー・AI搭載iPaaS

AIワークフロー・iPaaSならノーコードで連携・自動化を実現

AIワークフロー・AI搭載iPaaSとは、生成AIなどのAI機能と複数のクラウドサービスや業務システムを連携し、一連の業務を自動化するための仕組み・ツールです。

例えば、「メールを受信する → 添付ファイルの内容をAIで読み取る → 内容を判断・分類する → システムへデータを登録する → 担当者へ通知する」といったように、AIによる処理や判断と、複数のシステムをまたぐ処理を一つの業務フローとしてつなげられることが特徴です。
生成AI単体では、文章の作成や要約、情報の整理などはできても、その結果を別のシステムへ登録したり、条件に応じて次の処理を実行したりするには別の仕組みが必要になる場合があります。AIワークフロー・AI搭載iPaaSを利用することで、AIを実際の業務プロセスに組み込み、前後の処理まで自動化しやすくなります。
主なAIワークフローサービスとして、JENKAやZapier、make、Workatoなどがあります。

AIワークフロー・AI搭載iPaaSとRPAの違い

AIワークフロー・AI搭載iPaaSとRPAは、どちらも業務を自動化するためのツールですが、得意とする処理が異なります。

AIワークフロー・AI搭載iPaaS RPA
主な役割 AIや複数のシステムをつないで業務を自動化 PC上で人が行う操作を自動化
得意な処理 API連携、データ連携、AIによる処理・判断、条件分岐 入力・転記、クリック、ファイル操作、Webからのデータ取得
システム連携 APIなどを利用したシステム間連携が中心 画面操作による連携も可能
AIとの組み合わせ AIを業務フローの中に組み込みやすい AI-OCRなどと組み合わせて利用可能
向いている業務 複数サービスをまたぐデータ連携やAIを含む業務 手順やルールが決まった定型的なPC操作

例えば、クラウドサービス同士をAPIで連携できる場合は、AIワークフロー・iPaaSによってデータを直接やり取りできます。
一方、APIが用意されていないシステムや、Webサイト・デスクトップアプリへの入力、Excelやファイルの操作など、人が画面上で行っている操作をそのまま自動化したい場合はRPAが適しています。

AIワークフローとRPAは組み合わせることもできる

AIワークフロー・AI搭載iPaaSとRPAは、どちらか一方を選ばなければならないものではありません。

例えば請求書処理であれば、メールで請求書データを受信したら自動でAI-OCRに連携してテキストデータ化します。その後、AIワークフローがデータ化された内容や特定の条件を自動で判定・整理し、API連携が可能なシステムであればそのままデータを送信して登録を完了させます。一方で、API連携に対応していないレガシーシステムや自社開発システムに対しては、RPAが判定結果を引き継いで画面操作を自動で行い、手入力で登録作業を代行するといった使い分けが可能です。

AIワークフロー×RPAの自動化フロー

このように、AIは「読む・考える」、AIワークフローやiPaaSは「つなぐ・処理を振り分ける」、RPAは「画面を操作する」と役割を分けて考えると、それぞれの違いが分かりやすくなります。
業務やシステム環境に合わせてそれぞれを使い分けたり組み合わせたりすることで、部分的な効率化だけでなく、一連のバックオフィス業務を自動化できる範囲を広げられます。

7. AI議事録・会議支援ツール

AI議事録・会議支援ツールとは、会議や面談で話した内容をAIが聞き取り、文字起こしから要約、議事録作成までを支援するツールです。

例えば1時間の会議が終わると、会話の全文だけでなく、「何が決まったのか」「誰が何をするのか」「次回までの宿題は何か」といった内容までAIが整理します。会議中にメモを取り続けたり、終了後に録音を聞き直して議事録を作ったりする作業を減らせます。

AI議事録・会議支援ツールの仕組み

さらに、ツールによっては話者ごとの発言記録、決定事項・ToDoの抽出、キーワード検索、外国語の翻訳などにも対応しています。そのため、定例会議だけでなく、採用面接、1on1、オンライン商談、研修など、「会話の内容を記録して、その後の業務に活用したい場面」に向いています。

主なツールのタイプ

AI議事録・会議支援ツールには、大きく分けて「Web会議ツールにAI機能が搭載されているタイプ」と「AI議事録・会議支援に特化した専用ツール」の2タイプに分かれます。
Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなどは、普段利用するWeb会議の中で文字起こしや要約などのAI機能を利用できます。一方で、Nottaやtl;dv、AI GIJIROKUなどの専用ツールは、複数のWeb会議サービスや対面での会議・面談など、幅広い場面の記録に活用できます。

8.DAP(デジタルアダプションプラットフォーム / AI操作ガイド)

DAPなら、操作ガイドやナビゲーション、ポップアップ、FAQ機能をシステム画面上に表示し、利用者が迷わず操作できるようサポート

DAP(Digital Adoption Platform)とは、業務システムの画面上に「次にどこをクリックするか」「何を入力するか」といった操作ガイドを直接表示するツールです。

例えば、新しい経費精算システムを導入した場合、従業員が操作方法を覚えていないと、マニュアルを探したり、総務や経理へ問い合わせたりする必要があります。
DAPを導入すると、実際のシステム画面を操作しながら、
「申請ボタンをクリック」
→「利用日を入力」
→「領収書を添付」
→「内容を確認して申請」

と、その場で次の操作を案内できます。「分からなくなったらマニュアルを見る」のではなく、「操作している画面がそのままマニュアルになる」ようなイメージです。

バックオフィスでは、経費精算、勤怠管理、人事システム、CRM、社内申請システムなど、従業員が利用するさまざまなシステムの操作支援に活用できます。特に、新しいシステムを導入したときの操作説明、入社者のオンボーディング、社内からの「このシステムどう使うの?」という問い合わせの削減に役立ちます。

さらに近年では、生成AIを活用したDAPや操作支援サービスも登場しています。例えば、利用者が「住所変更はどうすればいい?」と自然な言葉で質問すると、関連する情報を検索したり、必要な操作方法を案内したりするなど、従来の決められた操作ガイドから、より柔軟な支援へと広がっています。

「システムそのものを自動化する」のではなく、「人がシステムを迷わず使えるようにする」のがDAPの役割と考えると分かりやすいでしょう。国内ではFullstarやOnboarding、テックタッチなどのDAPが提供されており、システム上での操作ガイドや利用定着の支援などに活用されています。

9.リーガルAI

リーガルAI

リーガルAIとは、契約書のチェックや作成、法令・判例のリサーチなど、法務に関する業務をAIで支援するツールです。
例えば、取引先から契約書が送られてきた場合、担当者は契約内容を読み、「自社に不利な条件はないか」「必要な条項が抜けていないか」「自社の契約ルールと違う部分はないか」などを確認します。
リーガルAIを活用すると、契約書を読み込ませることで、確認が必要な条項や注意したい箇所を抽出し、修正案や参考情報を提示するなど、契約書チェックを支援できます。

イメージとしては、
取引先から契約書を受領
→リーガルAIに契約書を読み込ませる
→条項やリスクをチェック
→注意箇所・修正候補などを提示
→担当者が確認・修正
→契約締結へ

という流れです。

リーガルAIでできる主なこと

活用方法 できること
契約書レビュー 契約書を読み取り、確認が必要な条項やリスクをチェック
契約書の比較 自社ひな形などと比較して、変更された箇所や差分を確認
契約書作成支援 契約書や条項のひな形作成、修正文案の作成を支援
法務リサーチ 法令・判例など、法務判断に必要な情報を検索・整理
契約管理 契約書の情報を整理し、更新期限などの管理を支援

代表的なサービスには、LegalOn、GVA assist、MNTSQなどがあります。
リーガルAIというと法務部門だけが使うものに見えますが、契約書を扱う総務、人事、購買などのバックオフィス部門でも活用できます。
ただし、AIが契約の可否や法的な判断をすべて代わりに行うものではありません。「契約書を一から人が確認する」のではなく、「AIにチェックを支援してもらい、最後は人が判断する」という使い方で考えると分かりやすいでしょう。

10.AIデータ分析 / 予測アナリティクス

AIデータ分析 / 予測アナリティクス

AIデータ分析・予測アナリティクスとは、売上や勤怠、問い合わせ履歴など、企業に蓄積されたデータをAIで分析し、傾向や変化を見つけたり、将来の数値を予測したりする仕組みです。
例えば、毎月の売上データをExcelで管理している場合、人が表やグラフを見ながら分析するだけでなく、AIを活用して「売上が伸びている商品はどれか」「どの時期に売上が落ちているか」といった傾向を分析できます。
さらに、過去のデータをもとに、「来月の売上はどのくらいになりそうか」「問い合わせ件数は増えそうか」など、今後の数値を予測する用途にも活用できます。

イメージとしては、
Excel・基幹システムなどにデータがたまる
→AIがデータを分析
→傾向・変化・異常などを発見
→将来の数値を予測
→業務改善や意思決定に活用

という流れです。

AIデータ分析・予測アナリティクスでできること

活用方法 具体例
傾向分析 部門別の残業時間や経費の増減を分析
原因分析 売上が減少した時期や要因を探る
異常検知 通常とは異なる経費や数値の変化を検知
将来予測 過去の実績から売上・需要・問い合わせ件数などを予測
レポート作成 分析結果をグラフや文章にまとめて報告資料を作成

人事部門なら、勤怠データを分析して「残業が増えている部署」を把握したり、経理部門なら経費データから「前年より支出が増えている費目」を見つけたりできます。
情報システム部門であれば、問い合わせ履歴を分析して「最近増えているトラブルや問い合わせ」を把握し、FAQやマニュアルの改善につなげるといった使い方も考えられます。
また近年では、専門的な分析ツールだけでなく、生成AIにExcelやCSVなどのデータを読み込ませ、自然な言葉で「部署別の残業時間を比較して」「このデータの特徴を教えて」と指示して分析を支援してもらう使い方もできます。
そのため、AIデータ分析は「データ分析の専門家だけが使うもの」ではなく、バックオフィスに蓄積されたデータから課題や改善のヒントを見つけるための手段としても活用できます。

11.AI人材育成・リスキリング

AI人材育成・リスキリングにより、企業の未来をつくる

AI人材育成・リスキリングとは、従業員が生成AIをはじめとしたAIツールを、実際の業務で活用できるようにするための教育・研修です。

AIツールを導入しても、「何に使えばいいか分からない」「ChatGPTを使っているが検索や文章作成にしか使えていない」「情報漏えいが心配で社員に使わせられない」といった課題から、社内で活用が進まないことがあります。
そこで、AIの基本的な使い方だけでなく、自社の業務でどのように使うのか、どのような点に注意して使うのかまで学ぶのがAI研修・リスキリングです。

\こんな課題がある企業におすすめ/
  • 生成AIを導入したものの、利用する社員が一部に限られている
  • 社員によってAIの知識や活用レベルに差がある
  • 「自分の仕事で何に使えるのか」が分からない
  • プロンプトの書き方が分からず、期待した回答を得られない
  • AIを活用できる人材を社内で増やしたい

部門や役割によって学ぶ内容も異なる

AI研修は、全社員が同じ内容を学ぶだけではありません。部門や役割、AIの習熟度に合わせて内容を変えることで、実際の業務に活かしやすくなります。

対象 研修内容の例 業務での活用イメージ
全社員 生成AIの基礎、基本操作、情報セキュリティ メール作成、要約、情報整理
人事・採用 人事業務での生成AI活用 求人票作成、面接質問作成、研修資料作成
総務 社内文書・問い合わせ業務へのAI活用 社内通知作成、FAQ作成、規程の要約
経理 経理業務での生成AI・自動化活用 データ整理、レポート作成、業務手順の整理
情報システム AIツールの活用・管理、業務自動化 問い合わせ対応、マニュアル作成、AI導入支援
管理職・推進担当 AI活用企画、導入・運用方法 活用業務の選定、社内ルール策定、効果測定

例えば経理担当者であれば、単に「ChatGPTの使い方」を学ぶのではなく、Excelデータの整理やレポート作成、業務マニュアルの作成など、普段の経理業務を題材にAIの使い方を学ぶことで、実務につなげやすくなります。

研修形式も目的や学習内容に合わせて選べる

AI人材育成・リスキリングには、オンライン動画研修やZoomなどを使ったオンライン研修、講師が会場で実施する対面研修など、さまざまな形式があります。

研修形式 特徴 向いているケース
オンライン動画研修 録画された講座を好きな時間に受講 全社員への基礎教育、各自のペースで学習
オンライン研修 Zoomなどを使って講師からリアルタイムで学習 質問しながら学びたい、複数拠点で一斉に研修したい
対面研修 講師が会場で講義や演習を実施 実際にAIを操作しながら学ぶ、グループワークを行う
ワークショップ・伴走型研修 自社の業務を題材にAI活用方法を検討・実践 AIを具体的な業務改善につなげたい

AIの基礎知識を広く学ぶ場合は動画研修、実際の業務での使い方まで身につける場合はオンライン・対面での演習やワークショップなど、目的に応じて研修形式を選ぶことが重要です。

AI研修というと、ChatGPTの操作方法やプロンプトの書き方を学ぶものをイメージしやすいですが、操作方法を学ぶだけでは、実際の業務での活用につながらないこともあります。
そのため、研修を受けて終わりにするのではなく、実際の業務でAIを使いながら活用方法を身につけていくことが重要です。

基礎を学ぶ
↓
自分の業務で試す
↓
活用事例を共有する
↓
より良い使い方を学ぶ

このサイクルを繰り返すことで、AIを日常業務で活用する習慣をつくり、社内全体のAI活用レベルを高めていきます。
AI人材育成・リスキリングは、AIの専門家を育てることだけが目的ではありません。「普段の仕事の中でAIを使える社員を増やす取り組み」と考えると分かりやすいでしょう。

このように、バックオフィスで活用できるAI・業務効率化ツールにはさまざまな種類があります。文章作成や情報整理を支援するものから、紙書類のデータ化、問い合わせ対応、システム操作、データ分析、業務プロセス全体の自動化まで、得意とする領域はそれぞれ異なります。

そのため、AIツールを導入する際は、機能の多さだけで比較するのではなく、「自社のどの業務を改善したいのか」「AIに何を任せたいのか」から適したツールを選ぶことが大切です。

バックオフィス向けAI活用大全

バックオフィス向けAI活用大全

バックオフィスで活用されるAIツール10カテゴリやその特徴、部門別の具体的なAI活用例などわかりやすく解説。

バックオフィス向けAI活用大全の資料をダウンロードするicon image

バックオフィス向けAIツールの選び方

バックオフィス向けAIツールの選び方

AIツールには、生成AIやAIエージェント、AI-OCR、AIワークフローなどさまざまな種類があります。それぞれ得意なことが異なるため、「有名なツールだから」「AIなら何でもできそうだから」と選ぶのではなく、自社の課題や対象業務に合っているかを確認することが大切です。
ここでは、バックオフィス向けのAIツールを選ぶ際に確認しておきたい7つのポイントを紹介します。

1.まずは解決したい業務課題を明確にする

AIツールを選ぶ前に、まず「どの業務の、何を改善したいのか」を整理しましょう。
例えば、「メールや社内文書の作成に時間がかかっている」「社内から同じような問い合わせが何度も届く」「紙やPDFを見ながらシステムへ手入力している」「複数のシステム間でデータを転記している」など、日々の業務の中にはさまざまな課題があります。
こうした課題を具体的にすることで、文章作成なら生成AI、問い合わせ対応ならAIチャットボット、紙やPDFの読み取りならAI-OCRといったように、検討すべきAIツールを絞り込みやすくなります。

最初から「どのAIを導入するか」を考えるのではなく、「どの業務を改善したいか」から考えることがポイントです。

2.AIに任せたい範囲を決める

同じ業務でも、AIにどこまで任せたいかによって適したツールは変わります。
例えば、問い合わせ対応の場合、「回答文を考える作業だけを支援してほしい」のであれば生成AIが候補になります。一方で、社内マニュアルを検索して自動回答するところまで任せたい場合は、AIチャットボットなどが候補になります。
さらに、問い合わせ内容をAIが判断し、その結果をもとにシステムへの登録や担当者への通知まで自動化したい場合は、AIエージェントやAIワークフローなども選択肢になります。

「人の作業をサポートしてほしいのか」「一部の作業を自動化したいのか」「一連の業務まで自動化したいのか」を整理すると、必要なツールが見えやすくなります。

3.既存システムとの連携方法を確認する

バックオフィス業務では、AIツールだけで業務が完結するとは限りません。会計システム、人事・勤怠システム、グループウェア、Excelなど、すでに利用しているシステムと組み合わせて使うケースもあります。
例えば、AI-OCRで請求書を読み取っても、そのデータを会計システムへ登録する作業が残っていれば、完全な自動化にはなりません。その場合は、APIやiPaaS、RPAなどを使って後続の処理までつなげる方法を検討します。

そのため、AIツールを選ぶ際は、現在利用しているシステムと連携できるか、どこまで自動化できるかを確認しておきましょう。

4.扱うデータや情報に適したツールを選ぶ

AIツールにはそれぞれ得意なデータや情報があります。対象業務で「何を扱っているのか」を確認することも、ツール選びでは重要です。
例えば、メールや社内文書などの文章を扱うなら生成AI、会議や電話などの音声を扱うならAI音声認識ツール、請求書や申請書などの紙・PDFを扱うならAI-OCRが候補になります。契約書の確認にはリーガルAI、売上や業績などの数値データを分析したい場合にはAIデータ分析・予測アナリティクスなども考えられます。

「AI」という大きなくくりで考えるのではなく、文章・音声・画像・帳票・契約書・数値データなど、扱う情報から候補を絞ると選びやすくなります。

5.セキュリティ・管理機能を確認する

人事・総務・経理などのバックオフィス部門では、従業員情報や給与情報、取引先情報、契約情報など、社外に漏れてはいけない情報を扱うことがあります。
AIツールを導入する際は、入力した情報がAIの学習に利用されるのか、データがどのように保存・管理されるのか、アクセスできるユーザーを制限できるのか、利用履歴を確認できるのかなどを確認しておく必要があります。

また、ツール側のセキュリティだけでなく、「どの情報まで入力してよいか」「誰が利用できるか」といった社内ルールも必要です。
機能や価格だけで比較せず、自社のセキュリティ基準に合ったサービスかどうかも確認しましょう。

6.現場で使い続けられるか確認する

AIツールは、導入しただけでは業務効率化につながりません。実際に業務を行う担当者が継続して使えることが重要です。
例えば、多機能なツールでも、設定や操作が難しく、一部の担当者しか使えない状態になると、社内での活用が広がりにくくなります。
操作画面が分かりやすいか、専門的な知識がなくても利用できるか、困ったときに問い合わせできるサポートがあるか、マニュアルや研修が用意されているかなども確認しておきましょう。

特に初めてAIを導入する場合は、機能の多さだけでなく「現場担当者が無理なく使えるか」という視点で比較することが大切です。

7.費用対効果を確認して小さく試す

AIツールを比較するときは、月額料金や初期費用だけで判断するのではなく、導入によってどの程度の効果が期待できるかも確認しましょう。
例えば、毎月20時間かかっている作業を5時間に削減できれば、月15時間の工数削減になります。このように、「作業時間を何時間削減できたか」「手入力を何件削減できたか」「問い合わせ件数をどの程度減らせたか」など、具体的な指標を決めておくと効果を判断しやすくなります。
また、最初から複数部門や多くの業務へ導入する必要はありません。まずは対象となる業務や部門を絞って試し、使いやすさや精度、削減できた工数などを確認します。

小さく始めて効果を確認し、成果が出た業務から対象範囲を広げていくことで、導入後のミスマッチを抑えやすくなります。

AIツール導入時の5つの注意点

AIツール導入時の5つの注意点

AIツールは業務効率化に役立つ一方で、使い方を誤ると情報漏えいや誤った情報の利用、想定していなかった処理につながる可能性があります。導入後に安心して活用するためにも、AIを利用する際のルールや人による確認方法をあらかじめ決めておくことが大切です。
ここでは、AIツールを業務で利用する際に注意したい5つのポイントを紹介します。

1.AIに入力してよい情報の範囲を決める

生成AIを業務で使っていると、メールの作成や資料の要約などで、顧客情報や従業員情報、社内資料などを入力したくなる場面があります。しかし、利用するAIサービスや契約プランによって、入力したデータの取り扱いや保存方法などは異なります。
そのため、サービス側のデータの取り扱いを確認したうえで、「個人情報は入力しない」「社外秘資料は指定されたAIのみで利用する」など、社内で具体的なルールを決めておきましょう。
また、ルールを作成するだけでなく、利用する従業員に周知し、どのような情報なら入力してよいのか判断できる状態にしておくことも重要です。

2.AIの回答をそのまま信用しない

生成AIは、もっともらしい文章を作成できる一方で、誤った情報や存在しない情報を回答することがあります。そのため、AIが生成した内容をそのまま正しいものとして利用するのは避けましょう。
例えば、社内向けメールの下書きであれば担当者が内容を確認してから送信し、制度や法律に関する情報であれば公的機関などの一次情報と照らし合わせるなど、用途に応じた確認が必要です。
特に、人事・経理・法務など、誤りが大きな影響につながる業務では、「AIが作成して、人が最終確認する」といった運用を決めておくことが大切です。

3.AIに任せる範囲と人が判断する範囲を決める

AIを導入するからといって、対象業務のすべてをAIに任せる必要はありません。業務の内容によっては、人による判断や確認を残した方が安全な場合があります。
例えば、問い合わせ対応ではよくある質問への回答はAIに任せ、AIが回答できない質問だけ担当者へ引き継ぐ方法があります。請求書処理であれば、通常の処理は自動化し、金額や内容に問題がある場合だけ担当者が確認するといった運用も考えられます。
「通常時はAI、例外時は人」「下書きはAI、最終判断は人」のように役割を決めておくことで、AIを活用しながら人によるチェックも残せます。

4.既存の業務フローをそのままAI化しない

現在行っている業務をそのままAIに置き換えれば、必ず効率化できるとは限りません。もともとの業務に不要な作業や重複した確認が含まれている場合、それらまで自動化してしまう可能性があります。
例えば、「Excelへ入力した内容を別のシステムへ転記する」という業務がある場合、転記作業をAIやRPAで自動化するだけでなく、そもそもExcelへの入力が必要なのか、システム同士を直接連携できないかを検討することも大切です。
AIを導入する前に、現在の業務を「なくせる作業」「簡単にできる作業」「自動化できる作業」に整理し、必要な業務にAIを取り入れましょう。

5.導入後も精度や利用状況を見直す

AIツールは、一度設定すればそのまま使い続けられるとは限りません。社内ルールや業務内容が変わったり、参照しているマニュアルが古くなったりすることで、期待していた回答や処理ができなくなることがあります。
例えば、AIチャットボットであれば回答できなかった質問を確認してFAQを追加する、生成AIであればよく使うプロンプトを改善するなど、利用状況に合わせた見直しが必要です。
また、「どのくらい利用されているか」「作業時間は減ったか」「誤った回答や処理は発生していないか」などを定期的に確認し、必要に応じて運用方法を改善しましょう。
AIは導入して終わりではなく、実際の利用状況を確認しながら改善を続けることが、業務への定着につながります。

バックオフィスで使えるAIツールまとめ

バックオフィスで活用できるAIツールは、ChatGPTなどの生成AIだけではありません。AIエージェント、生成AIチャットボット、AI-OCR、AIワークフロー、AI議事録、リーガルAI、AIデータ分析など、業務や目的に応じてさまざまな選択肢があります。重要なのは、「どのAIツールを導入するか」から考えるのではなく、「どの業務の、何を改善したいのか」から考えることです。

例えば、文章作成に時間がかかっているなら生成AI、紙やPDFからの入力が多いならAI-OCR、決まったPC操作を繰り返しているならRPAといったように、業務課題を整理することで適したツールを選びやすくなります。

また、最初から大規模なAI導入や複雑な自動化を目指す必要はありません。まずは対象となる業務を絞って試し、作業時間や処理件数などの効果を確認しながら、成果が出た業務から利用範囲を広げていく方法もあります。
生成AIやAIツールの使い方に不安がある場合は、AI研修やリスキリングを活用するのも一つの方法です。基本的な使い方や注意点だけでなく、自社の業務でどのようにAIを活用できるのかを学ぶことで、導入したツールを実際の業務で活かしやすくなります。
AIを導入した後も、人が確認すべき範囲を決めたり、利用状況や精度を確認したりしながら運用を改善していくことが大切です。

「自社ではどのAIを、どの業務に使えるのか」をさらに具体的に知りたい方は、「バックオフィス向けAI活用大全」もぜひご活用ください。AIツールのカテゴリごとの特徴や主要サービス、部門・業務別の活用例などをまとめています。

バックオフィス向けAI活用大全

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スターティアテクノスでは、企業の業務課題に合わせて、AI・業務効率化ツールの導入から活用・定着まで幅広く支援しています。
AI-OCR「DX Suite」「RECERQA Scan」、AIワークフロー「JENKA」、RPA「RoboTANGO」、生成AIチャットボット「IZANAI Powered by OpenAI」、DAP「Fullstar」など、さまざまなツールを取り扱っているため、「どのツールを導入するか」だけでなく、「どの業務を、どのような方法で効率化するか」という視点から、企業ごとの課題に合わせた提案が可能です。
また、ツールの導入だけでなく、生成AI研修やリスキリングによる人材育成にも対応しています。AIの基本的な使い方から業務での活用方法まで学ぶことで、導入したAIを社内で使いこなせる体制づくりを支援します。

「AIや自動化に取り組みたいものの、社内に対応できる人材やリソースがない」といった企業向けには、AIや業務効率化ツールを活用したアウトソーシングサービス「BPS」も提供しています。
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