DX(デジタルトランスフォーメーション)とは? 意味や定義
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DX(ディーエックス)とは「デジタルトランフォーメーション(Digital Transformation)」の略称で、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスや社会の構造を根本的に変革するプロセスを指します。従来のビジネスモデルや業務プロセスを見直し、新しい価値を創出することを目的としています。単なるIT化や業務の効率化に留まらず、企業全体の革新を目指すという概念でもあります。
分かりやすく簡単に言うと、デジタル技術を使って、企業や組織がその業務やビジネスモデルを大きく変えることを指します。AI、IoT、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、RPA、AR/VRなどのデジタル技術を活用して、業務の効率化や新しい価値の創造を目指す取り組みのことです。
経済産業省が提唱する「デジタルガバナンス・コード2.0」において「DX」は以下のように定義されています。
DXの定義
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
出典・引用元:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」
企業が急速に変化する市場環境に迅速に対応し、競争力を維持・向上させるためにはDXの取り組みが非常に重要です。
身近にあるDX成功事例
消費者の身近なDXの成功事例として、「自動車の保有からカーシェアリングへの移行」「紙媒体の保存からオンラインストレージの利用」「手紙や電話からチャットやSNSでのコミュニケーション」「店舗からオンラインショッピングでの購入」といった事例があげられます。
自動車の保有からカーシェアリングへの移行
従来は自動車を所有することが一般的でしたが、カーシェアリングサービスが普及したことで、必要な時にだけ車を利用するスタイルが広がりました。これにより、維持費や保険料などのコストを削減し、環境にも優しい選択が可能となりました。
紙媒体での保存からオンラインストレージの利用
以前は重要な書類や写真を紙媒体で保存していましたが、現在ではクラウドストレージサービスを利用することで、データをオンラインで安全に保管・共有することが一般的になっています。これにより、物理的なスペースやコストを節約し、いつでもどこでもアクセス可能な便利さが実現しました。
手紙や電話からチャットやSNSによるコミュニケーション
手紙や電話が主なコミュニケーション手段だった時代から、LINEやFacebook、TwitterなどのチャットアプリやSNSを使ったリアルタイムでのやり取りが主流となりました。これにより、遠く離れた家族や友人とも簡単にコミュニケーションが取れるようになり、情報の共有も迅速かつ効率的に行えるようになりました。
店舗からオンラインショッピングでの購入へ
約25年前は店舗や商業施設での購入が主流でしたが、Amazonや楽天などのオンラインショッピングプラットフォームが普及したことで、自宅にいながら商品を簡単に購入できるようになり、利便性が大幅に向上しました。
これにより、消費者は店舗に行かずに豊富な選択肢から商品を選ぶことができ、時間と労力を節約することができます。特に、必要な商品を売っている店舗が近くにない場合や、外出が難しい場合でも、いつでもどこからでも購入が可能になりました。
上記の事例からもわかるように、DXは既存の製品やサービス、業務プロセスにデジタル技術を取り入れることで、新たなビジネスモデルを創出し、大きな変革をもたらします。
これにより、企業は効率化や顧客満足度の向上だけでなく、競争力を強化し、急速に変化する市場で生き残ることができるのです。
DXとIT化の違い
DXとIT化はしばしば混同されますが、範囲と目的に違いがあります。
IT化とは、デジタルツールやシステムを使って既存の業務を効率化することを指します。例えば、紙の書類を電子化することや、手作業で行っていた業務をソフトウェアで自動化することがIT化に該当します。これは、作業のスピードや正確さを向上させる部分的な改善に焦点を当てています。
一方、DXは単なるIT化を超えて、デジタル技術を活用してビジネスモデルそのものを変革し、新たな価値を創出することを目指します。これは業務プロセスの効率化にとどまらず、企業の戦略や文化、組織全体を変革する大規模な取り組みです。
つまり、IT化が部分的な改善を目指すのに対し、DXは全体的な変革を目指すものです。
DXが重要視される理由
DXが重要視される理由として、特に「2025年の壁」「競争力の強化」「顧客目線での価値創出」「少子高齢化による働き手不足の対策」といった点が挙げられます。下記に詳しく解説します。
「2025年の崖」問題
「2025年の崖」とは、経済産業省が提唱した、日本の企業が直面する可能性が高い大規模な経済リスクのことを指しており、主にレガシーシステム(古いITシステム)の利用に依存し続けることによって発生する問題が原因です。経済産業省の「DXレポート」では、この問題が解決されない場合、年間12兆円の経済損失が発生すると予測されています。
日本の多くの企業は、数十年前に導入された古いITシステムを依然として使用しており、これらのシステムの維持管理には多大なコストと労力がかかっています。これに加え、新しいデジタル技術への移行が遅れているため、システム障害の増加をはじめ、管理コストの増加、デジタル技術の導入遅れによる競争力の低下のリスクが懸念されます。
DXを推進することで、最新のデジタル技術を導入し、レガシーシステムから脱却することが可能になります。
競争力の強化
現代のビジネス環境は競争が非常に激しく、企業は生き残るために常に進化を続ける必要があります。デジタル技術やデータを活用し、DXを推進することで、競争力を高めることができます。
デジタル技術を導入することで、業務プロセスの効率化やコスト削減を実現し、迅速な意思決定を可能にするとともに、顧客データの分析によって顧客ニーズに合った製品やサービスを提供し、顧客満足度を向上させることができます。
また、AIやIoT、ビッグデータなどの技術を活用することで、新しいビジネスモデルを創出し、市場の変化に柔軟に対応する力が強化されます。これにより、企業の競争力が向上し、持続的な成長が可能になります。
このように、デジタル技術を積極的に活用しDXを推進することは、現代の企業にとって不可欠な戦略です。これにより、企業は競争力を強化し、未来のビジネスチャンスを確実に捉えることができます。
顧客目線での価値創出
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)
とは何か
デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。
出典・引用元:経済産業省「デジタルガバナンス・コード実践の手引き」
経済産業省の「デジタルガバナンス・コード」でも提唱されているように、DXは顧客目線での価値創出が重要です。
デジタル技術を駆使して顧客データを収集・分析することで、顧客のニーズや嗜好を深く理解し、それに基づいた製品やサービスを提供できるようになります。
これにより、顧客ごとに最適化された体験を提供し、満足度を高めることが可能です。また、リアルタイムでのフィードバックを受け取り、迅速に対応することで、顧客との信頼関係を強化しながらサービス改善につなげることもできます。
結果として、顧客ロイヤルティの向上や新規顧客の獲得に繋げることが可能です。
少子高齢化による働き手不足の対策
日本は急速に少子高齢化が進んでおり、働き手の不足が深刻な問題となっています。
DX推進は少子高齢化による働き手不足への対策として非常に重要です。自動化技術やAIを導入することによって人手不足の業務を効率化・省力化することが可能になります。
また、テレワークやリモートワークによって、育児や介護を担う人々も働きやすくなり、多様な人材を活用できます。
さらに、デジタルスキルの教育を通じて、最新技術に対応できる人材を育成し、労働生産性を向上させることが可能です。
これらの取り組みから、労働力不足を補い、経済の持続的成長に繋げられます。
DX推進のメリット
DX推進は、業務効率化の向上、顧客体験の革新、BCP対策の強化、データ活用による新たなビジネス機会の創出、コスト削減と生産性向上など、企業に多くのメリットをもたらします。
業務効率化の向上
DX推進により、企業は業務プロセスを自動化し、効率化を図ることができます。
例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入することで、反復作業や定型業務を迅速かつ正確に処理できます。
これにより、人手不足の問題を解消し、従業員はより付加価値の高い業務に集中することが可能になります。また、業務の効率化は、ミスの減少や作業時間の短縮につながり、全体の生産性を向上させます。
顧客体験の革新
DXは顧客体験を大きく変革します。AIやビッグデータを活用することで、顧客の行動や嗜好を分析し、個々のニーズに合わせたサービスや製品を提供できます。
例えば、ECサイトでは過去の購買履歴や閲覧履歴をもとに、パーソナライズされた商品提案が可能です。また、チャットボットやSNSを通じたリアルタイムのサポートにより、顧客満足度を向上させ、リピーターの増加を図ります。
BCP(事業継続計画)対策の強化
DXは企業の事業継続計画(BCP)を強化します。クラウドサービスを利用することで、災害や緊急時にもデータを安全にバックアップし、いつでもどこからでも業務を続けることができます。
これにより、予期せぬ事態が起こった場合でも、企業は迅速に対応し、業務を中断することなく継続できます。
また、IoT技術を使ったモニタリングシステムにより、設備や環境の異常をリアルタイムで検知し、早期に対策を講じることができます。
新たなビジネス機会の創出
DXはデータ活用による新たなビジネス機会の創出を促進します。大量のデータを収集・分析することで、市場のトレンドや顧客のニーズを正確に把握し、迅速に対応できます。
例えば、ビッグデータ解析により新商品やサービスの開発、マーケティング戦略の最適化が可能です。さらに、データをもとにした意思決定は、競争優位性を高め、新たな収益源を生み出します。
コスト削減と生産性向上
DX推進はコスト削減と生産性向上に直結します。業務の自動化や効率化により、人件費や運営コストを削減できるだけでなく、作業のスピードと精度も向上します。
例えば、反復作業を自動化することで、ミスが減り、作業時間が短縮されます。また、クラウドコンピューティングを導入することで、サーバーや設備の維持費を抑えつつ、必要に応じてシステムを拡張することができます。これにより、企業は迅速かつ効率的に事業を展開できるようになります。
DX実現のステップとDX・デジタイゼーション・デジタライゼーションの違い
DXは、企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを根本的に変革するプロセスです。DXを実現するためには、まずデジタイゼーション、次にデジタライゼーション、最後にDXと3段階のフェーズで進めます。
まず、デジタイゼーションでは、紙の書類やアナログデータをデジタル化し、データ基盤を整備しつつ、情報管理を効率化します。次に、デジタライゼーションでは、デジタル技術を活用して業務プロセスを最適化し、生産性を向上させます。最終段階のDXでは、デジタル技術を駆使してビジネスモデル全体を変革し、新しい価値を創出します。
段階的に3段階のステップを踏む必要があるのは、適切な基盤整備ができていないと、システムの混乱や非効率が発生するリスクがあるためです。デジタイゼーションとデジタライゼーションの段階を踏むことで、リスクを最小限に抑え、持続的な成功を実現することができます。
下記にデジタイゼーションとデジタライゼーションについて具体例と共に詳しく解説します。
「デジタイゼーション」とは
デジタイゼーション(Digitization)とは、アナログ情報をデジタル化するプロセスで、DXの最初のステップとなります。
例えば、紙の書類をスキャンして電子データに変換することや、手書きの記録をデジタル入力することが該当します。デジタイゼーションにより、情報の保存、検索、共有が容易になり、業務の効率化が図れます。
デジタイゼーションの具体例
- 紙の請求書をスキャンしてPDFに変換する
- 手書きの日報をデジタルフォーマットに入力する
- 紙の名刺をスキャンしてデジタルアドレス帳に登録する
- アナログの音声録音をデジタル音声ファイルに変換する
- 紙のカルテを電子カルテシステムに入力する
「デジタライゼーション」とは
デジタライゼーション(Digitalization)とは、デジタイゼーションでデジタル化された情報を使って業務プロセスを改善・最適化するプロセスです。
デジタル技術を導入することで、効率化や自動化を図り、生産性を向上させます。デジタイゼーションで得たデータを活用し、新しいツールやシステムを導入して業務プロセスを革新します。
デジタライゼーションの具体例
- 受注管理システムを導入して、注文処理を自動化する
- クラウドサービスを利用して、プロジェクト管理を効率化する
- 顧客管理システム(CRM)を導入し、顧客情報を一元管理する
- 人事管理システムを導入し、社員の出勤管理や給与計算を自動化する
- データ分析ツールを使用して、マーケティングキャンペーンの効果をリアルタイムで分析する
- RPAを活用することによりデータの手入力や集計作業を自動化し、業務を効率化する
「デジタライゼーション」とは
比較項目 | デジタイゼーション | デジタライゼーション | デジタルトランスフォーメーション(DX) |
---|---|---|---|
定義 | アナログデータをデジタルデータに変換 | デジタル技術を活用してプロセスを最適化 | デジタル技術を活用してビジネス全体を変革 |
目的 | 情報の保存、検索、共有を容易にする | 業務プロセスの効率化・自動化を実現し、生産性を向上させる | ビジネスモデルや組織全体を変革し、持続可能な成長と競争力を確保する |
特長 | シンプルなデジタル変換 | 業務プロセスのデジタル最適化 | 組織全体のデジタル変革と新しい価値の創出 |
具体例 | 紙の書類をスキャンして電子化 | 受注管理システムの導入で注文処理を自動化 | AIを活用した新サービスの創 |
DX、デジタイゼーション、デジタライゼーションは、デジタル技術を活用して企業の業務やビジネスモデルを変革する異なる段階を示しています。デジタイゼーションはアナログ情報のデジタル化、デジタライゼーションはデジタル化された情報の活用による業務プロセスの改善、DXはビジネス全体の変革を目指します。
日本国内のDX推進における現状と課題
国内企業のDXは遅れている
日本のDX推進は、近年、さまざまな企業で積極的に取り組まれていますが、進捗は欧米と比べて遅れ気味です。
PwCが2024年におこなった「日本企業のDX推進実態調査2024(速報版)」の調査によると、DXの取り組みで「十分な成果が出ている」と回答した日本企業は約10%にとどまり、2023年から2024年にかけてのDXに関する取り組み状況も停滞している状況から、日本企業ではDX推進が積極的に進んでいないことが分かります。
出典元:PwC「日本企業のDX推進実態調査2024(速報版)」
また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2024」の調査結果からも、デジタイゼーションや業務の効率化による生産性向上では過半数の企業で成果が出ている一方で、DXによる成果が出ている企業の割合は約2割にとどまっているという実態が分かりました。
特に、従業員規模が1,001名以上の大企業では約96%以上がDXの取組を行っている中、従業員数100人以下の企業の取組割合は44%にとどまり、DXの取組は大企業に比べて遅れていることが分かります。
出典元:IPA「DX動向2024」
これらの調査結果から、日本企業のDX推進にはまだ多くの課題が残されていることが明らかです。
2023年世界デジタル競争ランキングでは、日本は過去最低の32位に
2023年にIMDの世界競争力センターが発表した「世界デジタル競争力ランキング」によると、日本は過去最低の32位でした。
このランキングは、各国がどれだけデジタル技術を効果的に取り入れ、将来にわたって競争力を持つことができるかを示すものですが、2021年は28位、2022年は29位、2023年には32位と前年より3つ順位を下げてしまった結果となりました。
韓国や台湾など他のアジア圏との差が拡大し、17年の調査開始以降、最低の順位でした。
アジアでは韓国6位、台湾9位、香港10位と、トップ10に4カ国・地域が入っていますが、日本は5年連続で順位を落とし、低迷ぶりが際立っています。
日本のDX推進は徐々に進んでいるものの、アジア圏や欧米諸国と比べて依然として遅れていることが分かります。
この課題を解決するためには、デジタル人材の育成、デジタルリテラシーの向上、明確な経営戦略の策定、全社的な取り組み、適切な投資が不可欠と言えます。
DX人材不足
日本企業のDX推進において最大の課題の一つは、DX人材の不足です。
経済産業省の「中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2023年)アンケート調査報告書」によれば、多くの企業が「ITに関わる人材が足りない」(28.1%)、「DX推進に関わる人材が足りない」(27.2%)と回答しています。
この背景には、高度なデジタルスキルを持つ人材の確保が難しいことがあり、特に中小企業では予算の制約も大きな課題となっています。また、DXの重要性を理解し、推進するためのリーダーシップを発揮できる人材の育成も急務です。
そのため、企業は人材育成のための教育プログラムや外部リソースの活用を検討する必要があります。
DX推進の進め方・始め方
DX推進の進め方は、現状の評価から始まり、組織体制の整備、デジタル技術の導入、データ活用までの一連のステップを経て行われます。それぞれのステップを着実に進めることで、DXの効果を最大化し、企業の競争力を高めることができます。
ステップ0:現状のDX推進度を評価する
DXを進めるためには、まず自社の現状を正確に把握することが重要です。
現状のDX推進度を評価することで、どの部分が遅れているのか、どの分野で改善が必要なのかを明確にできます。
具体的には、現在のITインフラやデジタル技術の活用状況、従業員のデジタルスキルなどを評価します。これにより、DXの目標と達成すべき課題が明確になります。
ステップ1:現状の業務プロセスを見える化する
次に、現状の業務プロセスを「見える化」します。これは、各業務がどのように行われているか、どこに無駄があるかを明確にするためのステップです。
プロセスマッピングや業務フローの図示化を行い、手順や作業時間、問題点を洗い出します。これにより、どの業務プロセスをデジタル技術で改善すべきかを把握できます。
ステップ2:DX推進に必要な人材と組織体制を整える
DX推進には適切な人材と組織体制が不可欠です。デジタル技術に精通した人材を育成・採用し、DX推進の専門チームを設置します。
また、経営層のリーダーシップも重要です。全社的なDX推進の方針を明確にし、全社員が一体となって取り組む環境を整えます。これにより、DXの推進力が強化されます。
ステップ3:デジタル技術を活用した業務効率化を実現する
具体的なデジタル技術を導入して業務の効率化を図ります。例えば、RPAやiPaaS、AIを導入して、繰り返し作業を自動化します。
また、クラウドサービスを利用してデータの共有やアクセスを容易にし、業務のスピードと効率を向上させます。これにより、作業時間の短縮やコスト削減が実現します。
ステップ4:データの有効活用を推進する
最後に、データを有効に活用して新たな価値を創出します。データ分析ツールを導入し、収集したデータを基にマーケティング戦略や商品開発を最適化します。また、AI(人工知能)を活用して顧客の行動パターンを予測し、個別のニーズに対応したサービスを提供します。これにより、競争力を高め、新しいビジネス機会を創出します。
企業がDXを成功させるためのポイント
企業がDXを成功させるためのポイントとしては、主に「経営者のリーダーシップやコミットメント」「身近な業務のデジタル化からはじめる」「デジタル人材の育成」「継続的な取り組み」「デジタル文化の醸成」が挙げられます。以下に詳細を紹介いたします。
経営者のリーダーシップ・コミットメント
DXを成功させるためには、経営者の強力なリーダーシップとコミットメントが不可欠です。経営者自らがDXを推進し、DXの重要性を示すことで、全社員が一丸となって取り組む環境を整えましょう。
経営者による号令はかけるだけでDXを実現するための仕組みが伴っていないと失敗するため、経営者がリーダーシップをとって推進していくことが重要です。
経営層の明確なビジョンと積極的な関与が、DX推進の成功に大きく寄与します。
身近な業務のデジタル化からはじめる
DXを進める際には、まず身近な業務のデジタル化から始めることが効果的です。日常的な業務プロセスをデジタル化することで、効率化のメリットを早期に実感できます。例えば、紙の書類を電子化したり、スケジュール管理をデジタルツールで行ったりすることから始めると、全社的なデジタル化への移行がスムーズに進みます。
デジタル人材の育成と確保
DX推進には、デジタル技術に精通した人材の育成が重要です。
そのため、DXを推進する際には、社員のITリテラシー向上のための取り組みを必ず並行して進めることが必須です。
具体的には、社内の人材に対してデジタルスキルを向上させるための研修プログラムを活用したり、外部からの専門人材の採用をしたり、積極的に行いましょう。
これにより、DXの専門知識を持つ人材を確保し、企業全体のデジタル技術のレベルを向上させることができます。
中長期の継続的な取り組み
DXは一過性のプロジェクトではなく、中長期的に継続して取り組むことが必要です。
持続的な改善とイノベーションを推進するために、定期的に進捗を評価し、戦略を見直します。また、短期的な成功体験を積み重ねることで、DXの効果を実感しやすくなります。
全社的なデジタル文化の醸成
企業全体でデジタル文化を醸成することがDX成功のためにも重要です。
従業員一人ひとりがデジタル技術を積極的に活用し、業務の改善に取り組む意識を持つことが求められます。定期的な情報共有や成功事例の紹介を通じて、デジタル文化の浸透を図りましょう。
これらのポイントを押さえることで、企業はDXを効果的に推進し、持続可能な成長と競争力の強化を実現することが期待されます。
DXを進めるための主なデジタル技術
DXを進めるための主なデジタル技術には、AI(人工知能)をはじめ、IoT(モノのインターネット)、RPA/iPaaS、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、AR/VR、リスキリングなどが挙げられます。これらの技術が連携することで、DXは企業の競争力を大幅に向上させます。
以下にそれぞれのデジタル技術について簡単に解説します。
AI
AI(人工知能)とは、コンピュータが人間の知能を模倣して学習・推論・問題解決を行う技術のことを指します。AIの特長は高度なデータ分析と自動化能力にあります。
AIは、顧客サービスのチャットボット、予測分析、画像認識、自然言語処理などで利用され、ビジネスプロセスの効率化と精度向上を可能にします。
主なツールとして、ChatGPT、Gemini、Copilot for Microsoft 365、TensorFlow、IBM Watsonなどがあります。
近年、AIを搭載したOCR(紙媒体や画像、PDFデータの文字情報を読み取り、デジタルデータに変換する)ツールや、チャットボットも企業において導入率が非常に高くなってきています。
IoT
IoTとは、「Internet of Things」の略で「モノのインターネット」を意味し、家電製品・車・建物・住宅など、さまざまな「モノ」とインターネットと繋ぐ技術を指します。
インターネットに接続されたデバイスがデータを収集・共有する仕組みで、リアルタイムのデータ収集と遠隔操作が特長です。これにより、スマートホーム、自動車のテレマティクス、産業用モニタリングなどの分野での活用が進んでいます。
IoT機器の種類は多岐にわたっており、スマートフォンやタブレット、スマートスピーカーなどがあります。
RPA/iPaaS
RPAとは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、手作業による繰り返しのタスクや定型業務を自動化する技術です。
iPaaSとは複数の異なるシステム間のデータ連携を簡単にするプラットフォームのことです。
RPAもiPaaSもどちらも業務効率化と自動化を目的としており、具体的には、データ入力の自動化、人的ミスの削減、システム間のデータ同期など業務の工数削減に役立ちます。
RPAの主要ツールにはUiPath、Automation Anywhere、RoboTANGO、WinActorがあげられます。iPaaSにはZapier やJENKA、Boomi、Asteria Warpなどが挙げられます。
ビッグデータ
ビッグデータとは、大量かつ多様なデータを分析し、価値あるインサイトを得る技術です。特長は大規模データの迅速な処理と高度な分析能力にあり、マーケティング分析、顧客行動分析、予測保全などの分野で利用されています。
主要ツールにはApache Hadoop、Spark、Clouderaなどがあります。
ビッグデータ
ビッグデータとは、大量かつ多様なデータを分析し、価値あるインサイトを得る技術です。特長は大規模データの迅速な処理と高度な分析能力にあり、マーケティング分析、顧客行動分析、予測保全などの分野で利用されています。
主要ツールにはApache Hadoop、Spark、Clouderaなどがあります。
クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングとは、インターネットを通じて計算リソースやデータストレージを提供するサービスです。
特長はスケーラビリティとコスト効率にあり、企業はこれを利用してデータストレージ、アプリケーションホスティング、データ分析を行い、ビジネスの柔軟性と効率を高めています。主要ツールにはAmazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureがあります。
AR/VR
ARとは、現実世界にデジタル情報を重ねる技術で、VRは完全な仮想の3D環境を作り出す技術です。
臨場感とインタラクティブな体験が特長です。これにより、トレーニングシミュレーション、ゲーム、教育、医療などの分野で革新的な利用が進んでいます。
ARを利用するためには主にスマートフォンやタブレット、スマートグラス、ARグラスを利用します。
VRを利用するためには主にVRゴーグルやVRヘッドセットを利用します。
<DX人材育成>リスキリング
リスキリングとは、既存の従業員に新しいデジタルスキルを習得させる研修プログラムのことです。デジタル技術とは違いますが、DXに関わるデジタル技術について学ぶための研修プログラムで、DX人材の不足に対応するためには非常に重要です。
リスキリングにより、企業は既存の人材を活用して、最新のデジタル技術や業務プロセスに対応できる人材を育成し、競争力を維持・向上させることができます。これには、オンラインコースや専門的なトレーニングプログラムの利用が含まれます。
DXで使える主な補助金・助成金
DXを推進する場合、企業はさまざまな補助金や助成金が利用可能です。特に、IT導入補助金2024、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、事業再構築補助金は、デジタル技術の導入や業務プロセスの改善に役立ちます。これらの補助金を活用することで、企業はDXを加速させ、競争力を強化することができます。以下にそれぞれの補助金を簡単に解説します。
IT導入補助金
IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業補助金)とは、中小企業・小規模事業者を対象に業務効率化やDX推進、生産性の向上など、さまざまな経営課題を解決することを目的としたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援するための補助金です。
補助金の対象となるITツールは、事前にIT導入補助金の事務局の審査を受け、かつ公式サイトに公開・登録されているものに限られます。
IT導入補助金を利用する主なメリットとして「返済の必要がないこと」「受給時期が早いこと」「導入コストを大幅に軽減できること」の3つが挙げられます。
IT導入補助金制度は採択率が高いものの、予算消化型のため、予算がなくなり次第補助金の申請受付が終了してしまいますので、早めの申請がおすすめです。
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金で、正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。
中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、新製品・サービスの開発や生産プロセス等の省力化に必要な設備投資等を支援するというものですので、業種に関係なく、生産性向上につながる設備の導入であれば補助対象になります。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰、地域サプライチェーン維持・強靱化又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する、中小企業等の挑戦を支援するための補助金です。
補助対象には、設備投資や新事業開発、人材育成などが含まれます。
中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、新製品・サービスの開発や生産プロセス等の省力化に必要な設備投資等を支援するというものですので、業種に関係なく、生産性向上につながる設備の導入であれば補助対象になります。
「DXとは」まとめ
DXは、デジタル技術を活用してビジネスプロセスや社会の構造を変革し、新たな価値を創出する取り組みです。企業は業務効率化や顧客体験の向上、BCP対策、データ活用によるビジネス機会の創出など、多くのメリットを享受できます。日本国内ではDX推進が進んでいるものの、欧米に比べて遅れが見られます。これを克服するためには、適切な人材育成や組織体制の整備が不可欠です。DXを支えるデジタル技術や補助金制度を活用し、持続可能な成長を目指しましょう。
スターティアレイズでは、RPA「RoboTANGO」、iPaaS「JENKA」、AI-OCR「DX Suite」、法人向けのAI人材を育てるリスキリングサービス、PAD研修「Power Automate Desktop入門・初級者研修」、生成AI研修など、DX推進の一助となるサービスを多数取り扱っております。
もしDX推進について検討されている場合や、何から始めればいいのか分からないというお悩みをお持ちの場合は、お気軽にお問い合わせください。