RPAとは

RPAとは、「Robtic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略で、人間がパソコン上で行う定型業務をロボットで自動化するシステムです。人間の代わりにロボットが業務を代行するため「デジタルレイバー(Digital Labor)」や「仮想知的労働者」とも呼ばれます。

RPAの利用にはプログラミングの知識やスキルが必要不可欠だと思われがちですが、近年、プログラミングの知識がなくても直感的に操作できるRPAツールも増えてきました。例えば、人間が行うパソコンの画面上の操作を録画するだけでロボットが作成できるものもあります。RPAのロボット作成方法はツールによって異なるため、導入を検討する際にはどのようにロボットを作成するのか、自分でロボットを作成できるかどうかを確認しておきましょう。プログラミング不要で利用できるRPAを導入すれば、初心者でも簡単にロボットを作成して業務の自動化が実現できます。

まずは、RPA導入までのおおまかな流れを確認しておきましょう。RPAは以下の5つのステップで導入を進めます。

RPAの導入ステップ

  • ステップ1. 業務調査と現状把握
  • ステップ2. 導入する業務範囲の決定
  • ステップ3. RPAの開発・管理・運用体制のロードマップ作成
  • ステップ4. ロボットのシナリオ開発
  • ステップ5. 保守・運用

「業務調査と現状把握」は導入を検討している部署や部門の業務を全て洗い出し、現状を把握します。そして、どのような業務がどれくらいの量・頻度・人数・時間で行われているのか、課題はどんなものかなどを調査しましょう。

業務調査と現状把握を行ったら、導入する業務範囲を決定します。洗い出された内容を元に、「手順が決まっている定型業務」や「処理件数が多い単純作業」を中心にRPAに任せる業務を決定します。多くのRPAツールの WEBサイトにはすでにRPAを導入している企業の導入事例が掲載されているケースが見られます。その中から、同じ業界や職種の事例を参考にしながら自社で導入する業務範囲を決定するのも良いでしょう。

下記の記事では、RPAでできる業務とできない業務を詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

RPAに任せる業務が決まったら、導入後のロボット開発や管理・運用体制のロードマップを作成します。ロードマップには、以下のような内容を盛り込みましょう。

  • 期間(導入から○カ月後など)
  • 戦略(RPAをどのように稼働させるか。トライアル、本格導入など)
  • ロボットの開発スケジュール
  • 運用設計(マニュアルの作成など)
  • その他(人材育成、セミナー、勉強会、研修の受講・開催など)

このようなロードマップを作ることにより、いつ・だれが・何をすべきかが明確になり、スムーズな導入を図ることができます。

ロードマップまで作成したら、いよいよシナリオを作成し、RPAを運用していきます。おそらく、シナリオ作成はRPAの導入フローの中で担当者が最も難しいと感じるポイントでしょう。次章では、シナリオ作成について詳しく解説します。

RPAのシナリオの作り方を解説。シナリオ作成の流れやポイント

それではシナリオについて、詳しくご紹介します。ここでは、シナリオとは何かという基本からシナリオ作成の流れとポイント、注意点を見ていきましょう。

RPAの「シナリオ」とは

シナリオとは、自動化する業務の作業手順のことを指します。RPAは導入しただけでは業務効率化を達成できません。シナリオと呼ばれる一連の業務の流れやルールをロボットに覚えさせることでRPAが動き出します。

例えば、Excelファイルへの交通費の入力作業を自動化するシナリオを作成するには、以下の5つの「ノード」と呼ばれる操作の単位を並べてロボットに作業手順を記憶させます。

ノード

  • Excelのアプリケーションを開く
  • 指定されたExcelファイルを開く
  • 決められたセルに日付、適用、行先、金額を入力する
  • 入力内容を保存する
  • エクセルを閉じる

ロボットの作成やシナリオの開発の方法はRPAツールによって異なりますが、最近ではパソコン画面を録画し、人間が行った操作をシナリオとして記録できるものもあります。オブジェクト認識や画像認識を使ってシナリオを作成できるツールを導入すれば、複雑な作業やプログラミングの知識を必要とすることなく簡単にロボットが作成できるのでおすすめです。

シナリオ作成のポイント

シナリオを作成する際のポイントは、「シナリオの目的を明確にする」「実行環境を確認する」「小さなシナリオから作成する」の3つがあります。

シナリオの目的を明確にするには、まずRPA活用の目的を明確にします。そして自動化する業務の手順の中で余計な作業や非効率な作業がないかを見直します。業務の無駄を省いたら、ロボットでどのように自動化するかを決定し、設計書(要件定義書)を作成しましょう。そして、設計書をもとにRPAを導入する目的の達成に向けてシナリオを作成すれば、効率的な業務の自動化が実現できるでしょう。

またシナリオを作成する際は、実行環境の確認も必ず行うようにしましょう。例えば、シナリオを作成しても、RPAがアプリケーションやシステムと連携できなかったり、頻繁に動作が止まったりするようでは安定的な運用は難しいです。自動化する業務で使用するソフトウェアやアプリケーション、ツール、データの種類は何か、また処理の判断基準は何かを確認しておきましょう。実行環境を確認してからシナリオを作成することで、非効率なシナリオの作成を防ぎ、安定的なRPA運用が可能になります。

スムーズに導入を進めるためには、小さなシナリオから作成することもポイントの一つです。特に導入時にはロボットがうまく動作しないなどのトラブルが発生しやすいです。最初からトラブルが発生したときに全社に影響が出るような大きなシナリオを作るのではなく、まずは部署や業務単位の小さなシナリオから作成しましょう。そして、シナリオ設計に慣れてきたら、少しずつ自動化する業務の範囲を広げていくと失敗がありません。

シナリオ作成での注意点

シナリオ作成は導入担当者だけで行うのではなく、社内のエンジニアやベンダーの担当者など、第3者の意見を取り入れながら行いましょう。第3者にシナリオを確認してもらうことで、導入担当者が気づかなかった点を指摘してもらえたり、アドバイスやサポートをもらえたりする可能性があります。シナリオを作成する際は、良い意見は積極的に取り入れて、より良いものを作っていきましょう。

またシナリオには、大量のデータを読み込んだときにかかる計算処理の時間を見込んで、工程毎に待機時間を組み込んでおく必要があります。待機時間を設けずに次から次へとデータ処理を進めていくと、ロボットが止まってしまう可能性があるため注意しましょう。

シナリオ作成を簡単にする方法

プログラミングの知識やスキルを必要とする「開発型」のRPAツールでシナリオを作成するには、ショートカットキーを使うと効率良くシナリオの作成ができます。例えば、コピーは「Ctrl+C」、ペーストは「Ctrl+V」、すべて選択するには「Ctrl+A」、元に戻すには「Ctrl+Z」などです。ショートカットキーの活用で、マウスで操作するよりも短時間で正確に作業ができるようになります。

またシナリオ作成は、手順が少ない業務から進めると良いでしょう。例えば、コピー&ペーストを繰り返す転記作業や、Excelの情報を基幹システムに入力する作業は比較的簡単にシナリオを作成できます。手順が多いシナリオを作る際も、手順を細かく分けて小さなシナリオを作成して、最終的に大きなシナリオを完成させていくと作業がしやすいでしょう。

社内のエンジニアが不足している場合は、プログラミングの知識がなくても操作ができる「簡易型」のRPAの導入がおすすめです。「簡易型」のRPAを導入した場合は、もっと簡単にシナリオの作成ができます。例えば、スターティアレイズ株式会社が提供する「RoboTANGO」は録画機能が搭載されており、パソコン上の操作を録画することで、動画から簡単にロボットの作成ができます。これにより、プログラミングの知識がない初心者でもロボットの作成が可能になります。社内のエンジニアに頼ることなく、現場の担当者がロボットを作れるようになれば、RPAの活用も促進されるでしょう。

シナリオをテストする

シナリオを作成したら、必ず動作テストを行いましょう。動作テストでは、作成したシナリオが正しく実行されるか、また自動化した業務が正しく進行するかを確認しましょう。

動作テストには「単体テスト」」「結合テスト」「本番データテスト」「耐久テスト」の4つがあります。

単体テストは処理内容を一つ一つ細かく確認します。そして結合テストは、シナリオの一連の流れが正しく動作するかを確認します。このとき、ループ処理や分岐処理が正しく行われるかもテストしておきましょう。

単体テストと結合テストを行ったら、実際のデータを使って本番テストを行います。この段階で、想定外のパターンが発生した場合は、シナリオに追記して修正しましょう。本番テストが完了したら、耐久テストを行います。耐久テストは、ロボットを長時間稼働させたり、処理するデータ量を増やしたりして、ロボットに負荷をかけた状態で処理スピードの低下や停止がないかを確認します。

このようにさまざまな角度から動作テストを行うことで、安定したRPAの運用につながります。

おすすめするRPA学習方法は?

シナリオ作成が難しいと感じた場合、自社メンバー間で悩んで作業がストップしてしまうことが導入の停滞につながります。そのようなときは、外部の力を借りることをおすすめします。

RPAツールの中には手厚いサービスを売りにしているものもあり、ロボット開発の相談を受け付けている会社もあります。また、ロボット開発を支援するサービスを展開している会社もありますので、RPAを導入する際はサポートが充実しているツールを選ぶと安心です。

外部サービスを利用する際、導入の部分だけを依頼するのではなく、導入後のサポートも行っているベンダーを選ぶと、実際に運用して発生するトラブル、特に運用・保守に関する問題を相談できるので、継続して運用を行えます。スターティアレイズ株式会社のRoboTANGOは、業務の把握から改善案の提案を含めた導入支援サービスを提供していますので、ぜひチェックしてみてください。

また、ベンダーが開催するセミナーや勉強会を活用しながら社内で人材を確保・育成し、ゆくゆくは自社が主体となって運用・保守ができる体制を整えることも重要です。

スターティアレイズ株式会社ではRPA導入の際に役立つセミナーを多数開催していますので、ぜひご参加ください。

 

皆さんも経験があると思いますが、人間が慣れ親しんだ環境や習慣を変えるのは大変なものです。なので、RPAの導入に関してやりにくい・難しいと感じると「こんなに大変なら、面倒くさいけど今まで通り手間や時間をかけて手入力すればいいや」と感じ、導入や運用が進まなくなってしまいます。

RPAの導入に取り組むときは、導入から運用までを「プロジェクト」と考え、該当部署の業務改善の必要性を認識しているメンバーやある程度ITリテラシーの高い人材をプロジェクトリーダーに任命しましょう。そして、リーダーを中心としてメンバー一人一人が主体的に導入・運用に取り組むことが重要です。最終的には部署内の全てのメンバーがRPAに業務を委託できるという状況を目指して、ロボットの自作を担当できる人材を増やしていきましょう。

まとめ

「RPAを導入したいけれども、シナリオ作成が難しそうだ」という印象を持っている担当者の方は多いことでしょう。確かに、シナリオはプログラミングの知識があった方がスムーズに作成できるかもしれません。しかし、最近はプログラミングの知識がなくてもシナリオを簡単に作れるRPAツールが増えています。RPAを導入する際は、どのようにロボットを作成するのかを確認し、自社の環境や状況に合わせてツールを選ぶと良いでしょう。社内のエンジニアが不足している場合は、RoboTANGOのような録画した動画から簡単にロボットが作成できるツールを導入するのがおすすめです。

自社でシナリオを作る場合は、シナリオの目的を明確にし、実行環境を確認してから、手順の少ないシナリオから作成するのがポイントです。また、担当者だけでシナリオを作成するのではなく、第3者の意見にも耳を傾け、良い意見は取り入れながらシナリオを作成すると、より効率よく業務を自動化できるでしょう。さらに、大量のデータを読み込んだときは計算処理に時間がかかるため、あらかじめシナリオには工程毎に待機時間を組み込んでおくことも必要です。

シナリオ作成はショートカットキーを活用したり、手順の少ない業務から取り掛かったりするなど工夫することで、効率良く作業を進めることができます。社内のエンジニアに頼ることが難しい場合は、簡単にシナリオが作成できる「簡易型」のRPAを導入するのも手です。

シナリオを作成したら、本記事で紹介した4つの動作テストできちんとロボットが動くかどうかを確認し、安定したRPA運用を目指しましょう。

自社でのシナリオ作成が難しいと感じたら、外部のサポートを受けながら、RPAを活用するのもおすすめです。ベンダーが提供するセミナーや勉強会を活用しながら、RPAに関する理解を深め、社内の人材を育成していくことも重要です。本記事で紹介したシナリオの作り方やポイントをぜひ自社のRPA活用にお役立てください。

当サイトでは、RPAツールを導入し実際に業務改善ができた事例もご紹介しております。RPAツールをご検討されている方は、ぜひご一読ください。