RPAの費用対効果とは?計測方法もご紹介

業務効率化や生産性の向上、コスト削減など企業に多くのメリットをもたらすと注目のRPA。
働き方改革やDX推進への取り組みもあり、多くの企業がRPAの導入を推進しています。

そんな中、RPAの導入を検討しているという担当者も多いのではないでしょうか。

RPAの導入に至るまでには、RPAツールの種類やメリットなどの特徴を理解し、最適なツールを選択するなどクリアすべき課題がたくさんあります。
特にボトムアップでRPA導入を検討している場合、「経営側へ費用対効果を提示し説得する」という大きな壁があります。
「RPAの費用対効果をどのように算出すれば良いのかわからない…」「社内を説得させられる材料がない…」と立ち止まっているわけにはいきません。

この記事では、RPAの費用対効果の測定方法とそのポイントを解説します。ぜひ参考にしてRPA導入に必要な費用対効果の算出に活かしてください。

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知識

目次

    RPA導入のメリット

    まずは、RPAを導入することで得られるメリットから確認してみましょう。RPAが人に代わって対応することで、人件費を抑えることができたり、ミスの削減、作業効率が向上したりと多くのメリットを受けることができます。

    それぞれ詳しく確認していきましょう。

    コスト削減

    まず、RPAの導入によって、定例業務に掛ける時間を削減することができます。

    例えば下記のような業務をRPAに代替できます。

    • 見積書や請求書の作成
    • ダイレクトメールの作成、送信
    • 入力業務
    • 勤怠管理や労務管理 など

    上記のような手順が決まっている単純業務を、RPAに代替することで、今までかかっていた人件費や時間を削減することができます。

    例えば3名で対応していた作業をRPAに代替することで、2名体制でも対応できるようになります。他にも時期によっては作業ボリュームが増え、短期的に人員を増やす必要がある場合もあるでしょう。

    しかしRPAが人に代わって対応することで、人員体制を変更したり増員する必要もなくなります。RPAの導入によって、それらにかけていた時間やコストを削減することができるのです。

    人為的ミスの削減

    人が行う作業には、入力間違いや記載漏れというようなミスがつきものです。これらは、ヒューマンエラーと呼ばれ、ケアレスミスや作業の不慣れ、疲労というようにさまざま要因が引き金となり、ミスを引き起こしてしまいます。

    どれだけ注意して作業しても人が行う以上、ミスをゼロにすることはできません。ミスを減らしたり、ミスを防ごうとすると、Wチェックなどの確認作業が別途必要になります。

    要するに作業する人と別にチェックや管理をする人が必要になるのです。よって作業が完了するまでに倍の時間がかかり、人件費も複数人分必要となってしまいます。

    しかしRPAを取り入れることで、作業を自動化することができます。RPAロボットは、設定された指示通りに作業します。

    逆にいうとRPAが勝手に自己判断し、設定されていない動きをすることはありません。よって設定された指示通りに動くので、ミスをしてしまうようなこともありません。

    単純作業といえど、作業ボリュームが膨大であったり、チェックに時間を要してしまう時もあるでしょう。作業ボリュームが膨大になるほど、疲れてしまったり、単純作業が続くことによって、思いもよらないところでミスしてしまうこともあります。

    このような作業をRPAに代替することで、作業にかけていた時間を削減することができます。

    生産性の向上

    今まで時間をかけて対応していた、入力作業や書類作成をRPAロボットに代替できれば、その時間を違う業務に充てることができます。

    書類作成や単純な入力作業も会社にとっては、重要な仕事ですが、同じ作業を繰り返してばかりだと、社員のモチベーションが低下したり、やりがいを見失ってしまいかねません。

    また定型業務にかける時間が多すぎると、重要度の高い業務や、新規事業など本来時間を費やすべく業務の対応ができません。例えば特殊な資格を要するような業務がメインであるにも関わらず、コア業務にかける時間以上に、定例業務が多い現場であれば社員は疲弊し、やりがいを見失ってしまいます。

    上記のような理由が原因となり、社員のモチベーションが低下し、最悪の場合、離職してしまう原因になります。せっかくよい人材を確保できても、職場環境が整っていなければ、会社から離れていってしまいます。

    定例業務をRPAが対応し、人の判断を必要とする新規事業やクリエイティブな業務にリソースを費やせる職場環境を構築しましょう。コア業務にかける時間を確保できると、必然的に生産性も向上します。生産性が向上することで、会社の業績もアップするでしょう。

    RPA導入の効果は大きく分けて2種類

    費用対効果を正しく測るために押さえておきたいのが、定量的な効果と定性的な効果です。

    RPA導入効果は、基本的にこの2種類に分けて測定されます。それぞれ詳しく確認していきましょう。

    定量的な効果

    定量的効果とは、量や数値で表す効果のことを言います。RPAの導入で大きく変化することは、RPAロボットが人に代わって作業してくれるということです。

    定量的効果の指標の示し方は、RPAの導入によって、今までかかっていた時間や人件費を削減できたのか効果を測定することを指します。

    例えば下記のような内容を測定することができます。

    • 単純作業をRPAに代替したことで削減された人件費
    • 導入することで削減できた作業時間
    • 処理能力の向上によって作業件数がアップ/その一日の作業件数
    • ミスの削減数

    定量的効果は、費用対効果を算出する上で必要なデータになります。なぜRPAを導入するのか、そもそもの目的を思い出しましょう。そして、解決したい課題に合わせてデータを収集することが大切です。

    また年単位で、削減できた人件費であれば下記のような計算式になります。

    削減した人件費(年)=1件の処理時間×1年の処理件数×担当者の時給

    定量的効果を正しく算出するためにも、RPA導入前の作業時間や、件数を記録しておく必要があります。もし、複数人で対応しているのであれば、人によって給料や、作業時間が異なるでしょう。

    それぞれの現状を把握し試算した上で、算出することが大切です。

    定性的な効果

    定性的効果とは、定量的効果とは異なり、数量や数値で表しづらい効果のことを指します。数値で表せないが故に効果測定しづらい点が挙げられます。

    ただ、間接的に生産性の向上に寄与する効果であることが多く、定性的効果はRPAの導入には欠かせないとも言えます。具体的には、下記のようなものになります。

    ■ヒューマンエラーによるもの

    • 顧客満足度が向上
    • ミスによる損害の防止
    • 納品物などの精度向上

    ■業務の自動化

    • 生産性の向上
    • 社員のモチベーション向上
    • 作業ムラの削減

    ■セキュリティに関して

    • 情報漏洩などのリスク軽減

    RPAはロボットなので、人が作業するよりもミスを大幅に削減できます。人だと起こしかねない入力ミスや作業漏れというようなこともRPAなら起こりません。

    また、疲れたりすることもないので、必要であれば24時間365日稼働させることもできます。

    作業漏れやミスは定量的効果に該当しますが、ミスしたことで間接的に関係する会社としての信用や顧客の信頼度などは、定性的効果に分類されます。

    ミスがなくなるだけでなく、作業慣れや経験値などによる品質の差も生まれません。RPAの導入によって一定の品質を保つことができるという意味でも、大きな効果が見込めると言えるでしょう。

    費用対効果を測るポイント

    RPAの導入を成功させるためにも、費用対効果について確認しておく必要があります。費用対効果とは、投資物に対してどれぐらい見返りがあるのか示すことです。

    そのためRPAの導入・運用にかかる費用や時間と、RPAの導入で削減できる費用や時間についてそれぞれ確認しておく必要があります。

    その中でも以下のようなポイントに注意して費用対効果を測るようにしましょう。

    それぞれの業務にかかる費用・時間を明確にする

    RPA導入前と導入後でそれぞれにかかっている時間や人件費、その他費用についても明確にしておく必要があります。現状作業完了までにどの程度時間がかかっているのか、Wチェック者含め何名で対応しているのか、というようにいくつか項目を挙げ、現状を明確にしておきましょう。

    また、RPAの導入にあたって初期投資や維持費なども継続的にかかってきます。これらの費用を一つずつ細かく確認しておかないと、導入後に維持費などが圧迫してしまい、費用対効果が見込めなくなってしまいます。

    例えばRPAの導入には、下記ようになコストがかかります。

    • RPAツールのライセンス費用
    • ハードウェア取得費用
    • RPAの選定や運用ルール、研修などを行うチームの人件費(社内が厳しい場合、外部への委託費用)
    • 月額費用
    • 保守・運用及びロボットメンテナンス費用 など

    導入時にかかるコスト以外にも、RPAを取り入れることで継続的に必要になる費用もあります。RPAを導入することで、上記のようなコストがかかったとしても、無理なく継続して利用できるのか見極めましょう。

    また、人件費を削減できたものの、それ以上にRPAの管理費が必要となってしまうと導入する意味がなくなってしまいます。

    それぞれにかかる費用や時間を明確にしましょう。そしてそれぞれの項目を確認し、費用対効果が見込めるのかしっかり確認した上で導入するように心がけましょう。

    定性的な効果も測る

    数値から測定できる定量的効果を測ることも大切です。ただ、RPAの導入によって得られる効果は、定量的な効果だけではありません。

    数値からは読み取りにくい定性効果についても測るようにしましょう。納品物のクオリティの低さに不満を抱いている顧客、単純作業のくり返しやチェック業務の圧迫でモチベーションが低下している社員がいるかもしれません。

    RPAの導入で納品物のクオリティがアップしたり、コア業務に専念できる環境を作ることでモチベーションがアップする可能性もあります。また、社員がモチベーションを取り戻すことで、顧客満足度も向上するでしょう。

    このように数値には現れにくい定性的な効果も大きく影響するのです。定性的な効果についても必要な項目を確認し、データ化する必要があります。RPAの導入で期待できる効果について事前にリストアップしておき、RPA導入前と導入後で比較できるようなデータを収集しておきましょう。

    ほかにも導入前と導入後で該当社員や顧客にアンケートなどを実施し、導入効果が得られる回答であったのか確認するのも一つの方法です。

    コア業務にリソースを割けているか

    その人によってコア業務の内容は変わりますが、コア業務とは会社の中心業務、要するに注力すべき業務になります。

    高度な技術が必要になったり、複雑な内容になるほど判断一つにも時間を要するでしょう。これらコア業務に注力することで、会社としての利益や売上を向上させます。

    もちろん入力業務や、勤怠管理、経費処理などの作業も会社としては、重要です。しかし、これらの作業を行っても、会社の売上や利益に繋がったり貢献してくれるものではありません。

    上記のような業務は、RPAに代替し、効率化させましょう。そして、本来対応すべきコア業務に注力できる環境を会社は整えるべきです。

    コア業務にリソースを費やし、高い効果が得られるようになれば、生産性が向上し、会社の業績も良い方向に向かいます。従業員にとってもやりがいを見いだせるようになり、成長できる環境を提供できます。

    今一度、コア業務に対してどの程度時間を割けているのか、会社の売上に繋がる仕事ができているのか確認してみましょう。

    まとめ

    RPAの費用対効果、計測方法についてお伝えしました。RPAを導入する際は、メリット、デメリットを押さえた上で、定量的効果、定性的効果の二つの観点から得られる効果を検証する必要があります。

    また数値から得られる効果だけでなく、社員のモチベーションや顧客満足度などの定性的効果についても算出し、さまざまな視点から判断すべきであると言えます。

    そして費用対効果を得るためにも、RPAの導入や維持費にどれぐらい必要になるのかについて押さえておくのもポイントです。

    自社に合ったRPAツールを選ぶためにも、費用対効果を試算し、自社にマッチしたサービス内容であるRPAツールを選ぶようにしましょう。

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