事例から学ぶRPA導入に失敗する原因と対策

中小企業を中心に、現在RPAの導入を検討しているという担当者は少なくないはずです。ITコンサルティング会社のガートナーが昨年発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」によると、「RPAは幻滅期の谷底を脱し、本格的な普及期に入った」と捉えられているそうです。これを目にし、導入に対して焦燥感を覚えている方も多いのではないでしょうか。 しかし、RPAの導入が活発になってから月日が経つにつれて、失敗事例も共有されるようになってきました。 RPAは運用を続けなければならないツールであるため。金銭面だけでなく時間や人員のコストも発生します。せっかく導入するなら失敗したくない、という担当者の方も多いでしょう。 今回は、RPAの失敗事例からどんな原因が失敗につながるのかを検証します。ぜひ読んだうえで失敗を回避し、RPAの導入を成功させてください。

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知識

目次

    よくあるRPA導入の失敗事例

    最初にRPAの導入について、よくある失敗事例をご紹介します。まずはこれを読んで、どんな状況が失敗を招くのかを把握してください。

    十分に活用できず導入効果を感じられない

    RPAの導入失敗事例としてよく聞かれるのが「十分に活用できない」という感想です。その結果として「導入効果を感じられない」というケースが見られるようです。

    現場側と経営側で温度差があり浸透しない

    「現場の社員はRPAを導入したいと考えているが、経営側がRPAの必要性を感じていない」、その反対に「経営側がRPAを導入して業務を効率化したいけれど、現場で働く社員が自分の仕事を奪われる危機感を覚えて導入に反対している」というケースもよく聞かれるものです。
    このように、RPAを導入したら利用することになる現場側と、経営戦略の一つとしてRPAを導入したい、あるいは導入に関して決裁権のある経営側でRPAに対する温度差があると、RPAは浸透しません。そして、導入したとしてもなかなか利用されないという結果になってしまいます。

    メンテナンスや促進する社内リソースがない

    RPAはロボットを開発して運用する仕組みであるため、定期的にメンテナンスをする必要が発生します。このメンテナンス作業を社内や部署内のリソースでスムーズに行うためには、一定のプログラミングの知識が必要になります。
    ロボットの作成の際には、プログラミングの知識を必要としないサービスも数多く存在します。実際に、「プログラミングの知識は不要」というサービスやベンダーも複数あります。
    しかし、それを当てにしてプログラミングの知見がほとんどないまま導入し、運用していると、ロボットに覚えさせたシナリオの変更のための入力やメンテナンスができない事態に直面してしまいます。これを回避するためにはベンダーの支援を利用する、プログラミングの知識のある社員を採用・育成するなどのソリューションが考えられます。しかしこの方法は、トラブルがすぐに解決できない、採用・育成にコストと時間がかかるなどのデメリットがあります。

    結論としては、社内にロボットを作成できる人やプログラミングの知見がある社員、保守管理ができる社員が少ない状態では、RPAを気軽にできる状況ではないため、使われなくなってしまいます。

    RPAの導入が失敗してしまう原因とは

    それでは、このようにRPAの導入が失敗してしまうのは、どんな原因があるのでしょうか。

    目的が不明確なままの導入

    よくある原因の一つは、RPAの導入目的が不明確なまま導入してしまうというものです。「よさそうだから」「RPAが流行っているようだから」「競合他社も導入したから」などの理由で導入を決定してしまうと、「果たして何のためにこのツールを導入しているのか?」という事態に陥ってしまいます。その結果として、RPAが使用されないというケースが多いようです。

    RPAで改善したい業務範囲を把握していない

    RPAに限らず、新しいツールを導入する際には「この業務を効率化させたい」という課題が先にあり、そのソリューションとしてツールを導入すべきと考えます。しかし、目新しいツールを導入する際のシチュエーションでありがちなのが「このツールを利用する」ことが先に走ってしまう、つまり手段と目的が入れ替わってしまうことです。これは、RPAを始めとしたDX化のためのツールの導入においても当てはまります。
    この状態では、ツールを導入したとしても何をしたらよいか分からないという状況を招きます。そのため、RPAを導入したとても最初は使われるかもしれませんが、新しくロボットを開発したりメンテナンスをしたりといったことが面倒に感じられ、次第に使用されない状態になってしまいます。

    担当者を決めていない/管理体制が整っていない

    RPAを導入したものの、RPAの担当者を決めないとなかなか主体的に利用されません。RPAに関わらず、オフィスワーカーは日々たくさんの業務を抱え、こなしています。そこに新しいツールを導入したとしても、よっぽどモチベーションが高いか担当者としてアサインされたかでないと、忙しい中時間を割いて使おうという気持ちは起こりません。
    また、RPAはロボットを作成して実行する形で運用します。ロボットは業務の数だけ作成できるので、誰が・いつ・どんなロボットを作成したのかを把握していないと、メンテナンスやトラブル、誤動作への対応の際に困難が発生します。このような運用周りの管理体制の不備も、導入失敗の原因となり得ます。RPAの導入が目的になり業務改善の効果・検証をしない先にも触れましたが、「RPAを導入すること」が目的になってしまうと主体的・具体的な運用がされない事態を招いてしまいます。
    また、導入して運用をスタートしたとしても、どれくらい業務が改善されたのかの検証を行わないと、果たしてRPAの導入をして効果があったのか、また効果がなさそうな場合はどんな改善を行っていけばよいのかが分からないため、継続して使用されない可能性が高くなってしまいます。

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    RPA導入を失敗させない5つの対策方法

    それでは、上記のような事態を防ぎ、RPA導入を失敗させない方法はどんなものがあるのでしょうか。

    導入目的を社内に示す

    まずは、RPAを導入する目的を社内に示しましょう。RPAを導入する目的は、業務効率化・製品やサービスの質の向上・業務時間の削減・スピードアップなど、企業によってさまざまなものが考えられますが、その企業固有の目的であることが望ましいといえます。このことから、RPA導入に関してはトップダウン方式が適していると考えられます。そもそも、RPAの導入はDX戦略などとリンクしていることが多いため、本来ならば経営トップからビジョンとともに示されるのが最適でしょう。

    RPAで改善する業務を洗い出し選定する

    RPAを導入することが決定したら、導入前に準備が必要です。その準備の第一段階として、まず社内や該当部署内の業務を全て洗い出し、さらにその中からRPAに適している業務を選定します。
    なぜこの準備作業が必要になるのかというと、理由は2つあります。一つは、RPAは向いている業務がはっきりしているツールだからです。RPAは定型業務や大量に処理を行う必要がある業務などを得意としています。そのため、やみくもにロボットを作成しても想定するような効果を得られません。
    もう一つの理由は、RPAを導入する目的の一つとして、経営戦略として業務改善を行う必要があるといったケースがよくあるためです。そのため、業務戦略上スリム化したい業務をRPAに任せているのか(無駄を省けているのか)の視点が必須なのです。
    RPAに向いている業務を自動化させ、さらに的確に業務コストを削減するために、この準備作業を忘れないようにしましょう。

    担当者やプロジェクトメンバーなど管理体制を整える

    RPAを導入する際には、社内や該当部署内に導入プロジェクトを立ち上げ、担当者を専任しましょう。
    プロジェクトは該当部署の社員はもちろん、経理・総務などRPAに向いている業務を多く抱える部署、システム開発・管理部門などのRPAの知見がある部署などからメンバーを加えるのもよいアイデアです。また、担当者はRPAを始めとしたITの知見がある社員、若くリテラシーやモチベーションが高い社員などが向いているといえます。
    また、導入までに行うべき作業を調べリストアップし、それぞれがどのように進行しているのかを管理できる体制を整えましょう。

    目標を達成できる、かつ現場が操作しやすい

    RPAの選定どんなによいツールでも、使われなければ意味がありません。それではどんなツールが使われるのかというと、操作しやすいツールです。
    使いやすいツールであるかを見極めるため、RPAを導入する前にはぜひ事前にツールを調べ、比較しましょう。導入事例やツールごとの特徴を調べ、自社や部署にとって最適なツールを決定します。
    その後、必ずトライアルを行って、果たしてそれが本当に使いやすいのかを確認しましょう。現在法人向けに提供されているRPAツールや製品は、ほとんどが2週間から1ヶ月程度のトライアルが可能です。

    導入前後にサポートがあるベンダーを選ぶ

    導入するだけでなく、使い続けるためにはベンダーからのサポートが得られる環境であることが重要です。近年は導入後だけでなく、導入前からサポートが得られるサービスもあります。
    RPAツールの代表的な導入前後のサポートは、それぞれ以下のようなものがあります。

    導入前

    業務診断、業務ヒアリング、業務の洗い出し、業務改善の提案、トライアル、ロボット作成のサポート、研修、テスト稼働のサポートなど

    導入後

    電話・メールによるサポート、対面サポート、FAQ、サポートコミュニティの提供、セミナー、ユーザー交流会の提供など

    もちろん、どのRPAツールでもこれらのサービスが全て得られるわけではありません。自社や部署がどんなサポートを必要としているのかを検討し、それが得られるツールを選びましょう。RPAの知見や運用に自信がない場合、導入前に手厚いサポートが得られたり、導入後に対面でのサポートが得られたりするツールを選ぶとよいでしょう。

    必ず読みたいRPAの導入成功手順

    これらを踏まえ、ここからはRPAを導入させるための手順をご紹介します。必ず読んで実行し、導入を成功させてください。

    RPA導入の全体設計を立てる

    RPAの導入は場当たり的に行うのではなく、導入プロジェクトを組織する必要があります。どんなプロジェクトにするかは、社内や部署の規模、メンバーのリテラシーなども関わることですので、これさえすればよいというものはありません。他の導入事例を参考にしたり、書籍やセミナーから学んだりして、最適なプロジェクトを組織しましょう。
    ただ、どんなプロジェクトであっても最低限行うべきなのは、事前準備から導入後まで行うことをリストアップし、時系列にそって並べることです。さらに、これらが無理なく実行できるスケジュールが立てられるか、またプロジェクトに関わる社員が十分に確保できるかを併せて検討しましょう。

    現場の管理体制を整える

    現場の管理体制とは、主に業務管理と課題管理を行うメンバー、およびその管理内容を指します。
    業務管理とは、RPAに任せる業務のピックアップや選定といった、ロボット開発やシナリオ作成に直結する部分を管理し、コントロールすることを意味します。
    そして、RPAを導入する部署や社内における課題を見つけ、それらがRPAの導入によって解決できるかを判断することも大切です。例えば、膨大な定型作業にかなりの時間がかかっている、人手が足りない、業務時間が常に超過しているなどの課題であれば、RPAの導入によって解決できると判断できます。これらを把握するためには、該当する社員へのヒアリングやアンケートを行い、ありのままの実態や率直な意見の把握につとめましょう。
    また、社内にRPAに関するリテラシーが高い社員がいない、数が少ないなどの状況であれば、RPA人材を採用することも検討しましょう。採用には時間とコストがかかりますが、社内や部署内の知見が少ないままスタートすると、上手く行かないケースが多く、失敗を招きかねません。
    RPA人材を無駄なく採用するためには、転職エージェントや求人サイトを活用しましょう。

    まずは小規模で試験的に運用する

    RPAの導入は煩雑な業務を膨大に進行させる必要がありますので、一度に複数の部署で導入したり、いきなり全社やホールディングスに展開するのは避けた方がよいと考えられます。最初は1つの部署でPoC(Proof of Concept)を行い、運用に慣れてきたら他の部署や全社にわたって展開するといったスモールスタートでの運用をおすすめします。

    効果測定と検証、改善を行う

    RPAの導入によって本当に業務の効率化を達成できたのか、また他の課題もRPAによって解決できないかなどを検証するために、効果測定も忘れずに行いましょう。効果測定の項目は、導入における総コスト・データ処理量・エラー件数・残業時間の推移といった定量的なものから、従業員のモチベーションといった定性的なものまで、高く的に検証を行いましょう。
    そして、その結果をもとに改善傾向が見られない内容にフォーカスしてロボットや運用方法を改善することで、RPAの業務自動化による恩恵を最大限に活かすことができます。

    成功体験を積んでから会社全体に導入する

    小さい規模でRPAを導入し、効果を得られたら、他の部署にも積極的に導入し、最終的には全社展開、ホールディングス展開なども検討しましょう。RPAに適しているような大量の定型業務はどんな部署にもありますし、RPAによって解決できる可能性のある課題はどんな部署にも存在します。

    まとめ

    今回は、RPAの導入に失敗する原因と、失敗を回避するための対策をご紹介しました。RPAは2018〜2019年頃からアクセンチュアを始めとした大企業を中心に導入が活発になり、2021年の現在、RPAは企業だけでなく自治体にも導入されるなど、“RPAブーム”と呼べる状況が続いています。一時は“RPAブームは下火になった”と言われ、その功罪が語られたこともありますが、依然としてその利便性は評価されいます。
    この傾向は日本だけでなく、海外でも起こっています。そのため、国内海外問わず失敗事例が散見されるようになり、これらを目にして導入を躊躇している人も多いでしょう。

    しかし、RPAの導入は手順を踏んで準備を行えば、成功に導けるものです。失敗事例があるということは、言い換えればそこから原因を学び、成功のためのポイントを見出せるということなのです。

    RPAは事前に一定の準備や知識を必要とします。この記事だけでなく、他の記事や書籍、セミナーや導入(あるいは失敗)事例などを参考にしながら準備を行い、導入を進めてください。書籍(単行本)はAmazonの星の数やレビューを参考にしながら、適切なものを選びましょう。
    自社内のリソースだけでなく、採用した人物や時にはベンダーのサポートを得ながら手順を踏んで進めていけば、きっとよい成果を得られるはずです。

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