そもそもRPAとAI-OCRとは?
RPAとAI-OCRは、どちらも業務効率化の技術ですが、それぞれの役割は異なります。まずはRPAとOCRが何をする技術なのかを整理し、なぜOCRとRPAを組み合わせて活用されることが多いのかをご紹介します。
RPAとは?

RPA(Robotic Process Automation)とは、人間がパソコン上で行っている定型的な業務を、ソフトウェアロボットが自動で実行する技術です。
Excelへのデータ入力、メールの送信、Webシステムへの操作など、決まったルールに基づく繰り返し業務をミスなく高速で処理できるのが特徴です。
RPAは、繰り返し発生するタスクや、手順・ルールが明確に決まっている業務を自動化するのが得意です。特に人が毎回同じような操作をしている業務に対して、高い効果を発揮します。
PRAが人の業務を代行することで、今まで人がおこなっていた定型業務の負担が減り、本来取り組むべき重要な仕事に集中できるようになります。また、人的なミスの発生を抑え、生産性や業務の品質向上にもつながります。
そもそもOCRとは?

OCR(Optical Character Recognition/光学式文字認識)とは、紙に印刷された文字や手書き文字、PDFや画像データに含まれる文字情報を読み取り、テキストデータに変換する技術です。
請求書、申込書、領収書、手書きのアンケートなど「紙や画像の非デジタルな情報」を読み取り、デジタルデータとして活用可能にする点が特徴です。ただし、OCR単体では「読み取るだけ」であり、その情報をどこかに入力したり、保存したりといった業務処理までは対応できません。
AI-OCRとは?

近年では、AI(人工知能)技術を活用した「AI-OCR」が普及してきています。従来のOCRに比べ、AI-OCRはより幅広く柔軟に文字を読み取れるのが特徴です。
たとえば、レイアウトが異なる非定型帳票や手書き文字、かすれた印字、傾いたスキャンデータにも対応できるようになり、読み取り精度が大きく向上しています。
そのため、現場で扱う紙文書の種類が多い企業でもAI-OCRを活用することで、これまで人手に頼っていた情報のデジタル化が可能となり、業務全体の効率化や自動化の幅が大きく広がっています。
AI-OCRでテキストデータ化できる町長や書類データは主に以下の通りです。
注文書 | 請求書 | 申込書 | 見積書 |
納品書 | 領収書 | レシート | アンケート・調査票 |
口座振替依頼書 | 報告書 | 証明書 | 健康診断書 |
契約書 | 議事録 | 履歴書 | 住民票 |
検査表 | 日報 | 手書き伝票 | 勤怠表 |
なぜRPAとOCRを組み合わせて活用するのか?

RPAとOCRは、それぞれ単独で活用しても効率化に役立ちますが、組み合わせることでより広範な業務を自動化できるようになります。
たとえば、OCRで紙の請求書から取引先名・金額・日付などの情報をテキスト化し、その後、RPAがそのデータを会計システムに入力するというRPAと流れが可能です。OCRが「紙→デジタル」の橋渡しをし、RPAがその前後の「業務の自動処理」を担うことで、手作業に頼っていた業務が一連の流れで自動化されます。
このように、OCRは“情報のデジタル化”、RPAは“業務の自動化”を担う役割を持っており、両者を組み合わせることで「紙業務を含めた業務全体の効率化」が実現できます。
AI-OCRとRPA連携のメリット

AI-OCRとRPAの連携によって得られる主なメリットは以下の3つです。
1.手作業の工数を大幅に削減できる
紙の帳票やPDFなどから情報を抜き出し、別のシステムへ入力する作業は、多くの手間と工数を要します。特に月末月初や繁忙期には、業務担当者の大きな負担となり、残業の増加にもつながります。
OCRとRPAを組み合わせることで、こうした繰り返し発生するルーティン業務を丸ごと自動化でき、人手に頼っていた作業の負担を大幅に軽減することが可能です。
また、作業時間や人件費を削減できるため、業務効率の向上だけでなく、全体のコストカットにもつながります。
2.人的ミスや確認作業の削減につながる
紙帳票やPDFデータを見ながら、手作業でシステムに入力する業務では、どれだけ注意していても記入ミスや入力漏れなどの人的ミスが発生しがちです。
OCRで文字情報を正確に読み取り、RPAがそのデータを自動で登録することで、入力・転記ミスといった人的ミスを防ぐことができます。さらに、ミスを前提とした修正作業やWチェックといった確認作業も不要になり、業務全体の精度とスピードの両方が向上します。
3.紙から始まる業務フローも含めて自動化できる
RPAは本来、パソコン上のデジタルデータを前提とした自動化ツールですが、OCRを組み合わせることで、紙や画像データが起点となる業務にも対応できるようになります。
たとえば、紙の申込書やFAXで届いた帳票をOCRでデータ化し、その後のデータ入力・システム登録・ファイル保管といった一連の作業をRPAで自動処理することが可能です。
これにより、紙の書類を扱う業務であっても、最初から最後まで自動化の流れに組み込むことができ、紙文化が根強く残る現場や部署でも業務効率化を進めることができます。RPA×OCRの組み合わせは、DX推進のはじめの一歩としても非常に有効です。
AI-OCR×RPA連携の活用シーン・活用方法11選

紙の書類や手書き情報、PDFデータの入力作業が業務のボトルネックになっている企業は少なくありません。本章では、AI-OCRで紙情報をデジタル化し、RPAで処理を自動化するという連携によって、どのような業務が効率化できるのか、具体的な活用シーンを11例ご紹介します。
1.発注書・請求書・納品書のデータ入力
取引先から届く帳票は、メール添付のPDFやWEBシステム経由、FAX、郵送された紙書類などさまざまです。

メールでPDFファイルが届いた場合は、RPAが自動で添付ファイルを取得し、AI-OCRを起動して、請求書や納品書に記載された取引先名・金額・品目・日付などの情報をテキストデータ化します。
Web-EDIなどのWEBシステム経由で受け取った場合も同様に、RPAがシステムにログインしてデータを自動で取得し、AI-OCRを起動してテキストデータ化します。
一方、紙で届いた書類はスキャンして画像やPDFに変換した後、AI-OCRでテキスト化します。
その後、テキストデータ化された情報をもとに、RPAが特定の会計ソフトや基幹システムへ自動で入力・登録を行います。
これによって、これまで担当者が手作業で行っていた帳票の確認や入力作業を大幅に削減でき、特に月末や締め処理のタイミングで発生する大量の処理にも、迅速かつミスのない対応が可能になります
2.領収書・経費精算処理の効率化
最近ではOCR機能を標準搭載している経費精算システムも増えてきましたが、まだまだ紙の領収書を手作業で入力している企業も少なくありません。
特に、出張や立替経費の精算を手作業で行っている場合、社員は受け取った領収書をもとに、金額・日付・支払先などを1件ずつフォーマットやシステムに入力する必要があり、申請者にも経理担当者にも大きな負担がかかります。
AI-OCRを活用すれば、領収書をスキャンするだけで記載情報を自動で読み取り、金額・支払先・利用日・支払方法などをテキスト化できます。その後、RPAがそのデータをもとに経費精算システムへ自動登録を行うことで、申請の手間を大幅に軽減できます。
さらに、入力ミスや差し戻し、Wチェックなどの確認作業も削減され、経理部門全体の処理効率が大きく向上します。
3.口座振替依頼書のデータ化と登録自動化
金融機関への口座振替依頼書は、いまだに紙でのやり取りが中心で、記入された情報を社内システムへ手作業で入力している企業も多く見られます。
たとえば、新規契約時に顧客から提出された紙の口座振替依頼書の内容を、人が確認しながら1件ずつ手入力する作業は、時間がかかるだけでなく、入力ミスや読み間違いのリスクも少なくありません。

AI-OCRを活用すれば、依頼書をスキャンするだけで、口座名義・銀行名・支店名・口座番号・依頼日などの情報を自動でテキスト化できます。
その後、RPAがその情報を使って、会計システムや顧客管理システム、金融機関提出用のCSVフォーマットなどに自動で入力・登録を行うことで、作業負担を大幅に削減できます。
RPAとAI-OCRを組み合わせて活用することで、経理や管理部門の入力作業が効率化されるだけでなく、金融情報というミスが許されない重要なデータの精度も確保できます。
4.アンケートや申込書類のデータ化とシステム連携
来店時やイベント会場などで顧客から回収したアンケートや申込書の情報をExcelやCRM、顧客管理システムに登録する作業は、件数が多いほど手間も時間もかかり、入力ミスのリスクも伴います。
AI-OCRを活用すれば、アンケートや申込書をスキャンするだけで、氏名・住所・電話番号・希望商品・アンケート回答内容などを自動でテキスト化できます。
その後、RPAがこのデータをもとに、CRMやSFA、MAツールなどの顧客管理システムに自動登録することで、入力作業の負担を大幅に軽減し、迅速なデータ活用を可能にします。
RPAとAI-OCRを組み合わせて活用することで、マーケティングや営業活動でのタイムロスを減らし、顧客対応のスピード向上や分析業務の効率化にもつながります。
5.点検表・作業報告書のデータ化と入力
保守・点検・施工などの現場では、作業終了後に手書きで点検表や作業報告書を記入し、帰社後、社内でデータ入力を行うという運用が多く見られます。現場で記入した紙書類を手作業でExcelや業務システムに入力するには時間と手間がかかり、入力ミスや転記漏れといった人的ミスも起こりやすくなります。

このような業務に対しては、AI-OCRとRPAの組み合わせが効果的です。
たとえば、現場担当者がスマートフォンで記入済みの点検表や報告書を撮影し、メールで社内に送信すれば、RPAが自動でファイルをダウンロードし、AI-OCRを使って内容をテキストデータ化します。その後、RPAが点検記録や作業実績などの情報を社内システムに自動登録することで、手作業なしで報告処理が完了します。
RPAとAI-OCRを組み合わせて活用することで、外出先や現場からの報告書提出であっても自動化が可能となり、担当者の業務負担を軽減しつつ、リアルタイムな情報反映や業務スピードの向上を実現できます。
6.郵便物・FAX書類の仕分けと通知自動化
企業には日々、注文書や申込書、請求書など、さまざまな書類が郵便やFAXで届きます。書類を一つひとつ人の手で確認し、担当者に連絡・回付し、その後内容をシステムに入力、さらにファイルとして保存するという一連の業務は、非常に手間がかかり、対応の遅れや入力ミスが発生しやすい作業です。
AI-OCRとRPAを組み合わせれば、この流れを一括して自動化できます。
まず、届いた書類をスキャンすることで、AI-OCRが宛名や書類の種類(注文書、申込書など)を判別し、記載された顧客名・商品名・日付・金額などの情報をテキストデータとして抽出。RPAがその内容をもとに、担当部署へメールやチャットで通知を行うと同時に、顧客管理システムや受発注システムへの入力・登録まで自動で処理します。
さらに、元のスキャンデータやAI-OCRによってテキスト化されたデータも、書類の種類や顧客名・日付などに応じて自動で命名・分類し、指定されたフォルダやクラウドストレージに保存することも可能です。
通知、処理、保存まで一連の流れを自動化できることで、紙書類に関わる業務全体の負担を大幅に軽減でき、業務スピードや精度も大きく向上します。
7.契約書・稟議書の電子保存・分類
契約書や稟議書などの社内文書は、紙で保管されていたり、スキャン後にファイル名や保管先を手作業で設定していたりする企業も多く見られます。ですがこの方法では、検索性が低く、保管ミスや情報の属人化も起こりやすくなります。
AI-OCRを活用すれば、スキャンした契約書や稟議書から企業名・日付・書類種別などの情報を自動で読み取り、RPAがその情報をもとにファイル名をリネームして保存したり、指定のルールに従ってフォルダ分けを行うことが可能です。
たとえば、「2025-04-01_株式会社サンプル_業務委託契約書.pdf」といった命名で保存したり、「契約書 > 取引先別 > 年度別」などの階層フォルダに自動で仕分けをおこなったりすることができます。
また、AI-OCRで読み取った情報をもとに、サーチャブルPDF(全文検索可能なPDF)として保存することも可能です。そのため、保存後にフォルダを開かずとも、ストレージ内でキーワード検索をかけるだけで、必要な書類をすぐに見つけることができます。
AI-OCRとRPAを組み合わせて活用することで、文書管理の手間や属人化を防ぎつつ、検索性の高い電子データを効率的に保管できるため、履歴の確認や情報の追跡がしやすくなり、契約書類の整理・活用が格段にスムーズになります。
8.履歴書・入社書類のデータ化と人事システムへの登録
採用活動や入社手続きにおいて、応募者が提出する履歴書や職務経歴書、誓約書、扶養控除申告書、運転免許証のコピーなどは、いまだに紙で提出されるケースが多くあります。
また、近年ではPDFでメール添付されるケースも増えていますが、いずれの場合も人事担当者が内容を確認し、氏名・住所・経歴・入社日・緊急連絡先などを手作業で人事システムや社内管理台帳に入力する必要があり、特に入社が集中する時期には大きな負担となります。

こうした業務も、AI-OCRとRPAの組み合わせで効率化が可能です。紙やPDFデータで提出された履歴書や入社書類をAI-OCRで読み取れば、AI-OCRが氏名・生年月日・住所・学校名・職歴・入社日などを自動でテキストデータ化し、RPAがその情報をもとに人事管理システムや労務管理ツールに入力・登録します。
また、スキャンした書類やテキスト化されたデータは、候補者ごとに自動でフォルダ分けして保存することもできるため、後からの書類確認や照会も簡単に行えるようになります。
RPAとAI-OCRを組み合わせて活用することで紙ベースの採用業務にかかる入力作業やファイリングの手間を削減し、人的ミスも防止できるため、少人数で人事・採用業務を行う企業にとって有用です。
9.勤怠表・タイムカードの集計業務自動化
製造業や小売業、工事現場などで、紙の勤怠表やタイムカードを使って勤怠管理を行っている場合、手書きの記録を人事や経理担当者が確認しながら手作業で集計・入力する作業は、非常に手間がかかるうえ、入力ミスや集計ミスが発生するリスクも伴います。
AI-OCRを活用すれば、手書きの勤怠表やタイムカードをスキャンするだけで、日付・出退勤時刻・休憩時間・残業時間などの情報を自動で読み取ることができます。
その後、RPAがそのデータをもとに勤怠管理システムや給与計算ソフトに自動で入力・連携し、月次の勤務集計や給与計算の下準備まで自動化することが可能です。
また、スキャンデータや読み取った情報は社員別・月別に自動で整理・保存することもできるため、後からの確認や再集計にも対応しやすくなります。
RPAとAI-OCRを組み合わせて活用することで、勤怠集計にかかる作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、人的ミスによる給与トラブルを未然に防ぐことにもつながります。特に、複数拠点・現場を抱える企業や、給与計算業務を限られた人数で行っている企業にとっては、大きな業務改善効果が期待できます。
10.商品・資産の棚卸し記録や在庫表の入力業務の効率化
倉庫や店舗、工場などの現場で、商品や備品、資産の棚卸し作業を紙の記録用紙や手書きの在庫リストで管理を行っている企業もあります。担当者が紙の内容を集計し、在庫管理システムや資産台帳に転記・入力する作業は、時間がかかるうえに入力ミスや集計ミスも発生しやすいです。
こうした業務も、AI-OCRとRPAの活用で効率化が可能です。現場で記入された棚卸し表や在庫記録をスキャンするだけで、AI-OCRが商品名・品番・数量・棚卸し日などの情報を自動でテキスト化します。その後、RPAがそのデータをもとに、在庫管理システムや資産管理システムに自動で入力・登録を行います。
さらに、読み取った情報やスキャンデータは、拠点別・商品カテゴリ別などのルールに従ってフォルダに自動保存することもでき、過去の棚卸し履歴の管理や差異分析にも活用できます。
RPAとAI-OCRを組み合わせて活用することで、現場と本部の情報連携がスムーズになり、正確でスピーディな棚卸し業務が実現します。
11.保険申請書類や事故報告書の処理自動化
労災や業務中の事故、体調不良による休業などが発生した際には、保険申請書や事故・疾病報告書、診療明細書などの書類提出が必要になります。
こういった保険や事故・行基に関する書類は現在でも手書きの紙ベースで提出されることが多く、提出内容の確認や記載不備のチェック、基幹システムへの転記、関係部門との共有など、多くの手間と確認作業が発生します。
こうした業務は、企業側の労務・人事部門だけでなく、保険会社や共済団体など、書類を受け取る側の事務処理にも共通する課題です。
AI-OCRを活用すれば、紙で提出された申請書や報告書、明細書をスキャンするだけで、申請者情報・発生日・内容・申請区分などを自動でテキスト化でき、RPAがその情報をもとにシステムへの入力やファイル保管まで自動で行うことができます。
このように、社内だけでなく申請受付側においても、処理の迅速化・ミス削減・文書管理の効率化が実現できるため、保険・労災対応業務の効率化に広く活用することが可能です。
RPA×AI-OCR導入企業の成功事例
医療・福祉業:医療法人社団平郁会様

導入前の課題
医療法人社団平郁会様では、以前RPAロボットの構築・保守を外部に委託していたものの、電子カルテのシステムアップデートの度にRPAロボットのメンテナンス(改修)が発生していたため、多くの手間と時間がかかっていました。
RPA作成やメンテナンスをスムーズに行うため、自社でRPAを導入することを検討し、カスタマーサポート部門でニーズのあったAI-OCRとともに導入されました。
活用方法・成果
平郁会様ではAI-OCRで請求先情報を読み取り、電子カルテシステムに入力する作業をRPAで自動化することで作業時間ゼロを実現されています。念のため最終確認は人が行っているものの、ミスなく登録が完了していることから、人による作業工数を大幅に削減することができました。
その他、検査データのアップロード作業や入金情報の突合作業、処方箋データの抽出作業、従業員の入退社処理などさまざまな業務を自動化し、年間1,800時間の作業時間の削減に成功されています。
不動産業:株式会社エステム管理サービス様

導入前の課題
株式会社エステム管理サービス様では、マンション・ビルの管理業務で発生する定型的な事務作業・経理業務を、手作業で行っており担当者の負担が膨大でした。
また、顧客に請求する金額を間違ってしまうと、信頼を失うなど会社の損失につながってしまうため、人的ミスの防止も強化していきたいと考え、AI-OCRとRPA導入に踏み切りました。
活用方法・成果
お客様から提出される口座振替依頼書や、紙で送付されてくる請求書のデータをAI-OCRで読み取り、マンション管理システムへの入力作業をRPAで自動化されました。
その他経理部門の定型業務をRPAで自動化し、担当者の業務負担軽減や、RPAが正確に操作することでミス防止・Wチェックの工数削減につながりました。
また、自動化により、新入社員でもすぐに業務が行える環境が整備され、部署全体での残業時間削減にも貢献しています。
士業:社会保険労務⼠法⼈第⼀コンサルティング様

導入前の課題
社会保険労務士法人第一コンサルティング様では、約450社分の社会保険手続きを5名の従業員で担当しており、手続き業務の多さと非効率さが課題となっていました。特に、マニュアルが整備されておらず、各従業員が独自の方法で作業を進めていたため、属人的で非効率な状況が続いていました。
活用方法・成果
AI-OCRとRPAを活用して、算定基礎届の処理を自動化しました。具体的には、返送されてくる公文書(新しく決定した標準報酬額)をAI-OCRでデータ化し、そのデータをRPAで業務支援ソフトに貼り付け、保険料控除一覧表を作成する一連の業務を自動化しました。これにより、繁忙期には1日8時間×5営業日×3人分+入力ミスのチェック分の120時間以上の削減に成功しました。さらに、残業が減少し、売上も向上したことで、従業員から「仕事が楽しくなった」という声が上がり、メンバーのやる気も向上しています。
BtoBサービス業:株式会社 I&R ビジネスアシスト様

導入前の課題
株式会社 I&R ビジネスアシスト様では、会計・経理業務のアウトソーシングを行っており、転記作業や振込作業などの定型業務を手作業で対応していました。これらの業務は重要であるものの、付加価値が低く、毎月150時間以上の作業時間が発生していました。短納期の場合も多く、担当者は残業を余儀なくされる状況が続いていました。また、業務の効率化と標準化が急務であり、無理をしてでも納期を守るという風土が定着していました。
活用方法・成果
ネットバンクから入出金データを抽出し、会計システムへインポートする作業にRPAを導入。また、紙データやPDFはAI-OCRを活用してCSVに変換しました。その結果、1社あたり1~2時間かかっていた作業が約1分に短縮され、人力での確認作業を含めても全体で30分以下で完了するようになりました。クライアントは100社以上にのぼり、これにより毎月150時間以上の作業時間削減に成功しました。さらに、現場の従業員からも改善提案が積極的に出るようになり、「無駄をなくす」から「無理をなくす」働き方への意識改革が進みました。今後は、年末調整や給与計算などの業務にもRPAを展開し、さらなる効率化と付加価値の高い業務へのシフトを目指しています。
RPA×AI-OCRの導入時に知っておくべきポイント・注意点
RPAとAI-OCRを連携することで、紙や画像ベースの業務も含めた幅広い自動化が可能になりますが、導入時にはいくつか押さえておくべきポイントがあります。
1.AI-OCRの読み取り精度は100%ではない
AI-OCRは高精度な文字認識が可能ですが、読み取り範囲の枠内に数字入りの押印がされていたり、手書き文字が極端に崩れていたりすると、読み取りミスが発生することもあります。
導入前に、対象となる帳票や書類のパターンをいくつかOCRツールで試験的に読み取り、どの程度の精度が出るかを確認しておくと安心です。
2.読み取ったデータをどう処理・登録するかの業務設計が重要
OCRはあくまで「読み取り」までの処理であり、そこから先の「情報の整理・入力・登録」はRPAが担います。両者を連携させる際には、どのタイミングでどのデータをどう処理するか、処理の条件や例外対応のルールなど、事前にフローを明確にしておきましょう。
3.手動での修正・確認が必要なケースも想定しておく
すべての書類が完璧に読み取れるわけではないため、読み取り精度が不十分な項目については、人がチェック・修正する工程を残す運用も現実的です。無理にすべてを自動化しようとせず、業務フローの一部に「確認ステップ」や「例外処理の対応窓口」を設けておくことで、安定的な運用が可能になります。
また、AI-OCRサービスの中には、読み取ったテキストデータを画面上で確認・修正できる「読取チェック機能」が備わっているものもありますので、読み取り直後に人がチェックを行うことで、より高精度なデータを安定して出力することができます。
4.読み取る範囲と量を決めて、無駄なコストを防ぐ
AI-OCRサービスの多くは「従量課金制(読み取り枚数や項目数に応じて料金が発生する仕組み)」を採用しています。導入前に料金体系を確認し、「どの業務で、どの帳票を、どれくらいの頻度で読み取るのか」を具体的に洗い出しておくことが重要です。
すべての帳票や書類をテキストデータ化しようとすると、処理件数が増え、想定以上のコストがかかる場合もあります。そのため、まずは「入力項目が多い帳票」や「頻度の高い取引先」「人的ミスが起こりやすい業務」など、効果の高い部分に絞って段階的に導入していくのがおすすめです。
また、帳票全体ではなく「必要な項目だけを抽出する」という活用方法でも、費用を抑えながら効率化を実現できます。
業務の優先度や予算に応じて調整し、無理なく運用をスタートしましょう。
RPAとAI-OCR連携による活用方法まとめ
RPAとAI-OCRを連携して活用することで、これまで人の手に頼っていた紙書類や手書き情報の処理も含めた、より広範囲な業務の自動化が実現できます。
AI-OCRによって文字情報を正確にデータ化し、その後の登録や通知、ファイル管理といった一連の業務をRPAが担うことで、日々の作業を効率化できるだけでなく、入力ミスや確認作業の削減にもつながります。
とはいえ、すべての業務をいきなり自動化するのではなく、対象業務や帳票の種類、読み取り精度、処理件数などを事前に整理し、自社に合った設計で段階的に導入することが、スムーズな活用の鍵となります。
現場での業務負荷や人的リソースの状況も踏まえ、無理のない形で自動化を進めていきましょう。
RPAなら「RoboTANGO」、AI-OCRなら「DX Suite」がおすすめ

RPAツールを検討中の方には、誰でも簡単にロボット作成ができるデスクトップ型RPA「RoboTANGO(ロボタンゴ)」がおすすめです。
専門知識がなくても直感的に操作でき、複数台で使えるフローティングライセンスや、実際の業務を自動化しながら使いやすさを確認できる無料トライアルもご用意しています。操作感や実務での運用イメージをしっかり試したい方に最適です。
実際にRoboTANGOを選ばれたお客様の選定理由第2位が「操作性」となっており、実務担当者やITに不慣れな方でも安心して導入できる設計になっています。

また、OCRツールには、AI技術を活用した高精度な文字認識が特長の「DX Suite(ディーエックス・スイート)」がおすすめです。
定型帳票だけでなく、レイアウトが異なる非定型帳票や手書き文字にも対応でき、RPAとの連携による業務自動化にも幅広く活用できます。
スターティアレイズは、DX Suite の販売から導入・運用支援までを担うコンサルティングパートナーとして活動しており、RoboTANGOと同様に導入後も手厚いサポートを提供しております。
RPA×AI-OCRを現場で無理なく活かすためには、扱いやすさと導入後の支援体制が整ったツールを選ぶことがポイントです。RPAやOCRなど自動化をご検討の方は是非お気軽にお問い合わせください。
※「DX Suite」はAI inside 株式会社の登録商標です。