フローティングライセンス(floating licensing)とは
フローティングライセンスは、ライセンス数の範囲でソフトウェアを同時に起動することができるライセンス形式で、特にビジネスにおいてソフトウェアの利用と管理を最適化するために有用です。
本章では、フローティングライセンスの定義と、主なメリットに焦点を当てて解説します。
フローティングライセンスの定義
フローティングライセンスとは、分かりやすく言うと、複数のユーザーが同じライセンスを共有してソフトウェアを使用できるライセンス形式です。
フローティングライセンスは、ソフトウェアの同時使用が可能なユーザー数がライセンス数によって定められていますが、特定の端末に固定されることなく、任意のユーザーが自由に利用できるという特性を持っています。
例えばRPAツールにおいて2つのフローティングライセンスを購入した場合、複数のパソコンやデバイスにソフトウェアをインストールすることは可能ですが、同時に使用できるのは2ユーザーのみという制約があります。これにより、ユーザーは必要な時にどのデバイスからでもソフトウェアを利用することができるため、利便性が向上します。
特に、ユーザーの1日のRPAツールの利用時間が1~2時間のみで限定的な場合や、複数のユーザーが異なる時間で使い回すことが多い企業や組織において、ソフトウェアのコストを効率的に管理することが可能になるため、フローティングライセンスは非常に有用です。
フローティングライセンスのメリット
フローティングライセンスの導入は、「コスト削減」「柔軟なライセンス管理」「誰でもすぐに利用できる」「他部門や多拠点での利用が可能」「スケーラビリティ」といった多くのメリットをもたらします。
以下に各メリットを詳しく解説します。
コスト削減
フローティングライセンスの最大のメリットは、コスト削減です。
企業は実際に同時に使用される予定のユーザー数のみのライセンスを購入するため、全員分のライセンスを購入する必要がありません。
これにより、各ユーザーに個別のライセンスを割り当てる従来の方法に比べて、大幅なコスト削減が可能になります。
また、近年はリモートワークの普及により、複数の端末を使い分けたり、オフィスの外部やクライアント先で利用したりする機会が増えています。フローティングライセンスは、働き方や働く場所が異なってもRPAを効率良く利用できる方法だと言えます。
柔軟なライセンス管理
フローティングライセンスは、企業がライセンスをより柔軟に管理できるようにします。ライセンスの使用状況をリアルタイムで追跡し、必要に応じてライセンスの割り当てを調整できます。これにより、企業は実際の使用状況に基づいてライセンスを最適化し、効率的に配分することができます。
いつでもすぐに利用できる
フローティングライセンスでは、利用者が必要とする時にいつでもソフトウェアへのアクセスが可能になります。
使用予定のパソコンにあらかじめソフトウェアをインストールしておくことで、ユーザーが必要なときにいつでも利用できます。
固定ライセンスの場合、ライセンスが不足しているとユーザーは作業を開始できませんが、フローティングライセンスではそのような問題が発生しにくくなります。
他部門や多拠点での利用が可能
ソフトウェアがインストールされている端末であれば誰でも利用することができるため、チーム内だけでなく部門や拠点をまたいだ活用が可能です。また、リモートワーク下での業務自動化も可能になり、利便性が向上します。
スケーラビリティ
フローティングライセンスは、企業の成長や変化に柔軟に対応できます。需要が増加した場合、追加のライセンスを購入するだけで、簡単にスケールアップできます。これにより、企業の急激な成長にも迅速に対応し、ビジネスの拡大をサポートできます。
フローティングライセンスにより、企業はコストを削減しながらも、ソフトウェアの利用と管理の柔軟性を大きく向上させることができます。これにより、効率的かつ効果的な運用が可能になります。
フローティングライセンスの仕組み
フローティングライセンスの仕組みを理解することは、効率的なライセンス管理とコスト削減の戦略を立てる上で非常に重要です。本章では、フローティングライセンスがどのように機能するかについて詳しく説明します。
ライセンスサーバーの役割
ライセンスの管理
フローティングライセンスシステムにおいて、ライセンスサーバーは中心的な役割を果たします。ライセンスサーバーはネットワーク上で稼働し、使用可能なライセンスの総数を管理します。
ライセンスの割り当て
ユーザーがRPAのソフトウェアを起動する際にライセンスサーバーに接続し、利用可能なライセンスがあれば割り当てられます。ソフトウェアの使用が終了すると、ライセンスはサーバーに返却され、他のユーザーがRPAを使用できるようになります。
ライセンスのリリース
ユーザーがソフトウェアの使用を終了すると、割り当てられたライセンスはサーバーに返却され、再び利用可能な状態になります。これにより、他のユーザーがライセンスを使用できるようになります。
利用可能なライセンスの割り当て方
企業が必要なライセンス数を購入すると、ライセンスサーバーに登録されます。
ユーザーがソフトウェアを利用しようとすると、ライセンスサーバーが動的にライセンスを割り当てます。
ライセンスサーバーは、利用状況をリアルタイムで監視し、必要に応じてライセンスを割り当てまたは回収することができます。
フローティングライセンスでは、一度に使用できるライセンスの数に上限があります。しかし、全てのユーザーが同時にソフトウェアを使用するわけではないため、利用できるライセンスを随時ユーザーに割り当てることでライセンスの利用率が最大化され、コストの無駄を削減できます。
フローティングライセンス形式は、特にリソースの使用が不規則であるか、多数のユーザーがソフトウェアへのアクセスを必要とする環境において、コスト効率と柔軟性の両方を実現することが可能です。
ノードロックライセンスとの違い
ライセンス数の範囲内なら複数の端末で同時にソフトウェアを使用できるというフローティングライセンス形式に対し、特定の端末のみでの使用が認められている「ノードロックライセンス(またはスタンダードライセンス)」について解説します。
ノードロックライセンス(node-locked licensing)とは
ノードロックライセンスとは、特定の端末やパソコンにライセンスを固定的に紐づけるライセンス方式で、そのライセンスが割り当てられた端末でのみ、ソフトウェアを使用することが可能になります。
ノードロックライセンスは、スタンダードライセンスや、スタンドアロンライセンスと呼ばれることもあります。
ノードロックライセンスでは、ライセンスが特定の端末に紐付けられるため、ソフトウェアをインストールした端末でしか動かすことができません。そのため、インストールする端末の台数と同じ数のライセンスが必要になります。
ライセンスの移動や共有が困難で、他の端末でそのソフトウェアを使用するためには新たにライセンスを購入する必要があります。
RPAをインストールした端末だけで、RPAを利用したり、ライセンスを管理したりするため、仮に1つのライセンスを購入していてAさんのパソコンにインストールした場合、RPAはAさんのパソコンでしか利用することができません。BさんやCさんのパソコンでもRPAを使いたい場合は、その分のライセンスの購入が必要になるのです。
ノードロックライセンスの利用には、個人使用者や小規模なビジネス、あるいはソフトウェアを一台のデバイスでのみ使用する場合に適しています。
フローティングライセンスとノードロックライセンスとの違い
フローティングライセンスとノードロックライセンスは、ソフトウェアの利用権を管理するためのライセンス形式です。
フローティングライセンスが複数のユーザーが同じライセンスを共有してソフトウェアを使用できるのに対し、ノードロックライセンスはライセンスが割り当てられた端末でのみ、ソフトウェアを使用できます。
2つのライセンス形式は、ライセンスの割り当て方法、利用の柔軟性、管理の容易さなどの点で異なります。
以下に、違いを明確に理解できるよう、主な特徴を比較した表を記載しています。
フローティングライセンス | ノードロックライセンス (スタンダードライセンス) |
|
---|---|---|
ライセンスの割り当て | ・複数のユーザーがライセンスを共有できる ・同時に使用できるユーザー数に制限があるが、使用するユーザーやデバイスは固定されない |
・ライセンスは特定のデバイスやユーザーに固定される ・ソフトウェアをインストールしたデバイスやユーザーのみが利用できる |
利用場所の制限 | ・利用場所に制限がない ・組織内のどのユーザーも利用可能なライセンスがあればソフトウェアを使用できる |
・ライセンスが割り当てられたデバイスやユーザーのみがソフトウェアを使用できる ・端末ごとにライセンス購入が必要 |
コスト効率 | 複数のユーザーが少数のライセンスを共有できるため、全体としてのライセンス購入費用を抑えることが可能 | 各デバイスやユーザーごとにライセンスを購入する必要があるため、フローティングライセンスに比べてコストが高くなる可能性がある |
管理 | 管理が比較的複雑になる可能性がある | ライセンスが特定のデバイスに紐付けられるため、管理がシンプル |
利用対象者 | ・複数のユーザーが同じソフトウェアを不規則に使用する企業 ・チーム内や他部門、多拠点での利用 |
・個人利用 ・特定のデバイスでのみソフトウェアを利用する場合 |
フローティングライセンスかノードロックライセンスかは、ニーズや使用状況に応じて選択する必要があります。組織の要件、ソフトウェアの使用パターン、予算などを考慮して、最も適したライセンス形式を選択することが重要です。
フローティングライセンスはどのような企業に適しているか
複数のユーザーが使用する必要がある場合
フローティングライセンスは、企業や組織内で複数のユーザーがソフトウェアライセンスを共有できるため、チームや部署内でソフトウェアを共用する必要がある場合に最適です。
使用者が同時にアクセスする数がライセンスの範囲内であれば、誰でもソフトウェアを使用できます。
これにより、個々のユーザーごとにライセンスを購入するよりも、コストを大幅に削減することが可能です。
部門や拠点をまたがって使用したい場合
異なる拠点や複数の部門でソフトウェアを共有したい企業にとってもおすすめです。フローティングライセンスなら、地理的に離れた場所にある拠点や部門間でのソフトウェア利用が可能になり、特にグローバルに展開している企業や複数の拠点を持つ企業にとって、リソースの効率的な利用と管理を実現することができます。
ソフトウェアの利用が高頻度で変動する企業
プロジェクト単位で作業を行う企業や、季節や市場の需要によってソフトウェアの使用頻度が大きく変動する場合、フローティングライセンスが適しています。利用が少ない時期にはライセンスが余ってしまうことを避けることができ、必要な時には多くのユーザーが同時に利用できるようになります。
ライセンス数を最小限に抑えたい企業
特にスタートアップや中小企業のように、初期投資や運用コストをできるだけ抑えたい企業にとって、フローティングライセンスはコスト削減の面で大きなメリットを提供します。必要なライセンス数を正確に見積もり、その数だけを購入することで、無駄な出費を避けることができます。
フローティングライセンス利用時の注意点
フローティングライセンスは、複数のユーザーがソフトウェアライセンスを共有できる柔軟なライセンス方式であり、コスト効率とアクセスの利便性を向上させます。
しかし、ライセンスサーバーの設置や管理の複雑性、ネットワークへの依存度の高さ、同時使用可能なライセンス数に限りがあるため、利用希望者が多い場合はアクセス制限に直面することがあります。
ライセンスサーバーはベンダー企業が提供していることもあるため事前に確認しておきましょう。
また、予期せぬ追加コストや、利用状況の監視と最適化の必要性も考慮する必要があります。これらの注意点を理解し、適切に対応する必要があります。
フローティングライセンスのRPAツールなら「RoboTANGO」
RPAツールには、ライセンスの種類が決められていたり、ライセンスを選択できたりする場合があります。フローティングライセンスのRPAを検討している場合は、フローティングライセンスが標準搭載された「RoboTANGO(ロボタンゴ)」がおすすめです。
フローティングライセンス標準搭載
RPAツール「RoboTANGO(ロボタンゴ)」でもフローティングライセンスが標準搭載されており、1つのライセンスで5台までRPAをインストールしてご利用いただけます。
離れた拠点や部署同士でも利用できる
同じ業務を離れた拠点でも行う場合があると思いますが、東京と大阪など離れた拠点でも1つのライセンスを切り替えてRPAを動かすことができ、作成したRPAロボットの共有も可能です。社内でも異なる部署でライセンスを共有することで、RPAロボットを動かす時間を増やすことができ、コスト削減にもなります。
録画機能でロボ作成
自動化させたい業務のパソコン操作を録画するだけで、RPAロボットの作成が簡単にできます。RoboTANGOはシンプルな機能と分かりやすい操作性から、初心者でも運用できるRPAです。
低価格の料金プラン
フローティングライセンス込みで、1ライセンスあたり初期費用10万円、月額費用5万円という安価な料金体系でRPAを導入できます。最低契約期間が1カ月のため、期間限定でライセンスを増減したい場合や、RPAをスモールスタートしたい場合にも最適です。
中小企業向けのRPAツールで、製造・メーカーをはじめ、卸売・小売り、建設、不動産BtoBサービス、BtoCサービスなど幅広い業種でご利用いただいております。
フローティングライセンスのまとめ
フローティングライセンスは、多くの企業にとってRPAなどのソフトウェア利用の最適化とコスト削減の鍵を握るライセンスモデルです。
1つのライセンスを複数の端末や人で共有できるフローティングライセンスは、最小限のライセンス数でRPAの運用が可能です。フローティングライセンスの特性上、複数人で1つのライセンスを共有できることから、社内でRPAの利用が活性化したり、コスト削減ができたりとさまざまなメリットがあります。
適切な知識をもってフローティングライセンスを導入することで、RPAを含む多岐にわたるソフトウェアツールを最大限に活用し、ビジネスの効率化と成長を促進することが可能です。