RPAの活用方法・事例

2024.11.29

マーケティング業務におけるRPA活用とは?事例とともに解説

マーケティング業務におけるRPA活用とは?事例とともに解説

日本企業でもRPAの導入している企業が増えつつあることから、導入を進めようと検討している企業担当者の方も多いのではないでしょうか。アメリカのIT調査やアドバイザリー業務を行うGartner社が提供する統計によると、2019年8月時点で調査対象企業の47.5%がRPAを導入しています。そして、導入済企業へRPAを導入しての作業状況をヒアリングしたところ、社内システムからのデータ抽出、データの転記、二次加工などが中心とのことでした。

それでは、定型業務が少なく、反対にプレゼンテーションやクライアントの要望にレポートなど、顧客のニーズに臨機応変に対応する必要のあるマーケティング業務で、RPAは活用できるでしょうか?この問いに対する答えはイエスです。

今回はRPAがマーケティング業界で注目されている理由と、RPAはマーケティングのどんな分野で活用できるかを解説し、実際の活用事例などを紹介します。

目次

    RPAがマーケティング業界で注目されている理由

    マーケティングというと華々しいイメージが先行しがちですが、実際にはマーケット情報・ターゲット分析・広告効果の測定データなど、膨大なデータを取り扱う業務でもあります。これらのデータを収集・集計しデータ加工を行い、クライアントにレポートを提示するのもマーケティング業務の一環です。

    いわゆるビッグデータを扱う機会も多い昨今では、データの収集・分析・加工などデータにまつわる定型業務は増加する一方です。しかし、マーケターの業務はデータ収集やレポート作成ではなく、マーケティング戦略を考えることです。ですから、RPAを導入することで、データにまつわる単純作業を行う時間やそれにともなう精神的なストレスを軽減することは十分可能です。

    RPAのメリットとは?本当にマーケティングで活用できる?

    それでは、マーケティング業務でRPAを活用するメリットはどんなものがあるのでしょうか。

    1つ目は、先ほど挙げたように単純作業から解放されることです。今までデータ作業に当てていた時間を、マーケターのコア業務である戦略の立案や売上をアップさせるための施策を考えることに当てられれば、より生産性が高まります。

    2つ目は、デジタルマーケティングのニーズに対応できることです。近年、IT技術を利用したデジタル領域の拡大により、この市場に対応できる人材、いわゆるデジタルマーケターが求められる機会が多くなっています。しかし人材育成が困難であること、そもそも少子高齢化で人材の確保が大変であることから、デジタルマーケティングの領域では依然としてマーケターが単純作業を行いデータ収集・分析をしているというケースも見られます。

    しかし、これでは業務のクオリティの悪化や慢性的な人材不足をまねく一方です。デジタルマーケティング業務でRPAを導入すれば、人材不足をカバーし業務の質を向上させることにつながります。

    それでは、具体的にマーケティング業務でRPAがどのように活用可能なのかを、他の業界の事例を見ながら「これはマーケティング業務に応用可能か?」という観点から見ていきましょう。

    マーケティング業務における活用事例〜その1:市場調査における活用例〜

    市場調査において、データを扱う業務は数多く存在します。例えば、POSデータの分析、ECサイトの価格調査、アンケート結果の収集などです。また、ネット上の自社製品の口コミを収集してまとめる業務や商品要望書のシステム登録などの単純作業も多く、何かと手作業が必要になることが多いのです。

    RPAプロバイダー・Automation Anywhere Japanのサイトに掲載されている導入事例では、あるアパレルメーカーの商品企画担当者が売上・販売傾向などをExcelで集計し報告書を作成しており、この作業に多くの時間を費やしていました。また、同じ会社の経理部門では各店舗の売上や仕入状況、経費などの数値を手入力で集計することが大きな負担となっていました。そこで、同社の商品「Automation Anywhere」を導入したところ、トータルで2000時間の業務時間を削減することができました。そしてRPAのロボットにより、商品企画部門では始業時に資料が完成しているため、よりクリエイティブな業務に時間を費やせることが嬉しい成果として挙げられています。

    ドイツの自動車メーカーは、世界中の顧客に行っているアンケートの集計にSAPが提供するRPA「SAP Intelligent RPA」を導入しています。同社の顧客は世界中にいるため、アンケートは多言語で質問・回答されており、質問項目は利用車種からフェアやノベルティに関することまで多岐にわたります。この業務にRPAを導入することにより、正確に、継続的に、適切な情報として収集し、アクションを実行できるとしています。

    また、NECネクサスソリューションズが提供するRPA「Blue Prism」を導入したとある半導体企業では、各メーカーから送られてくる紙の仕様書をスキャンしてPDF化した上で、読み取れない文字を担当者が確認する必要があり、何かと手間がかかることが問題視されていました。この業務をBlue Prismに置き換え、データ化された仕様書から自動的にCSVファイルを作成されるようにしたところ、データの記載ミスが0%になるという目覚ましい成果を上げています。市場調査につきもののデータの取り扱いにも、RPAは大きな役割を果たせそうです。

    マーケティング業務における活用事例〜その2:広告宣伝・販売促進活動における活用例〜

    広告宣伝や販売促進活動はクリエイティブなイメージが強い業務ですが、その裏には膨大な提携作業があります。例えば、リスティング広告レポート作成、イベント申込と顧客情報管理システムの提携、SNSへの投稿、ECサイトへの商品登録などです。

    インターネット広告のリーディングカンパニーのS社は、年々複雑さを増す広告オペレーション業務を「Ui Path」でまかなっています。これにより年間9000時間の工数を削減できただけでなく、ヒューマンエラーが削減できて従業員がストレスなく業務をすすめられることが嬉しいと、担当者は語っています。

    アメリカのある保険会社では、メール、ファックス、電話、ウェブフォームなどさまざまな経路で寄せられる顧客からのコンタクトやクレーム、不服申し立てを取り扱う業務に「work fusion」を導入しました。それまでは顧客の個人情報などを全て手入力しており、例えばFAXに手書きされた顧客名と自社の顧客データを一致させるのに時間を費やしていました。work fusion導入後、この業務にかかる時間を85%削減できたとの報告がなされています。個人情報を取り扱う業務に関しては、情報漏洩のリスクを恐る声があることは確かです。しかし、細かい確認作業が多いこの分野でRPAをうまく運用できれば、大きな成果を挙げられます。

    マーケティング業務における実際の活用事例〜その3:レポート作成におけるRPAの活用〜

    マーケティング業務において大事なクライアントへのレポート作成は、膨大なデータを取り扱う必要があります。しかし、繰り返しになりますがレポート作成はデータを集計して加工することではなく、戦略を考えて質を向上することが本質的なものであるはずです。

    Microsoft社が開発し、2020年からサービスを開始した「Microsoft Power Automate」を導入している電子計測器・IT機器の大手レンタル会社では、同ソフトウエアによって海外からのメールの翻訳をオートメーション化しています。これにより、翻訳に時間をかけるのではなく、返答の内容、つまり、お客様への応対業務に専念できるので、質の高いホスピタリティを提供することができるのです。マーケティング業務におけるレポート作成にも同じことが当てはまります。

    現在RPAを導入している企業は銀行や保険、不動産、コンサルティング、製造業などの業界が多いと言えます。一方、マーケティングや広告の分野でRPAが導入されるケースはまだまだ少なくなっています。

    しかし、裏を返せば、マーケティング業界はRPAによって効率を高める予知を多く残していると言えます。また、この記事を読んだ方の中には、RPAに興味を持っていただいた方もいるかと思います。

    当サイトでは、RPAツールの選び方を詳細に解説しているページもご用意しております。少しでも興味のある方はぜひご確認ください。