この記事を監修した人
鈴木健太
鈴木 健太(すずき けんた) 

2003年スターティアに営業として入社。2005年ネットワークエンジニアに転身し、エンジニア部隊を立ち上げ。セキュリティ製品、NW機器選定やサービス企画等を行いつつ、NWの設計から構築まで携わり、NWセキュリティ関連のエバンジェリストとしても活躍。現在は業務自動化ソリューション部にてRPAコンサルタントに従事する傍ら、新サービスの企画を行っている。

RPAとは?

まずRPAとは、Robot Process Automation=ロボティックプロセスオートメーションの略です。今まで人がコンピューターを使って行ってきた入力業務などを、ロボットが代わりに対応し、自動化する技術です。 Officeアプリケーション内の作業に限られるVBAや、自主的に学習するAIとは内容が異なります。RPAはVBAのようにOfficeアプリケーションに限定されないため、あらゆるツールに対応することが可能です。 その反面、AIのように自主的に学習して学んでいくことはありません。 RPAが得意とするのは、パソコンで完了できる業務で尚且つ、ルール化されている定例業務です。 RPAは、指示された内容通りに作業を進めます。よってRPAに向いている作業は、メール配信や伝票・請求書の作成、大量のデータをまとめることなどです。 同じように人が作業しても日によってムラがでたり、ヒューマンエラーを起こすこともあるでしょう。しかしRPAはロボットであるが故に、そのようなエラーの心配はいりません。 またRPAはロボットなので休憩なども必要なく、24時間365日稼働させることもできます。

RPA国内シェアは?

世界各国で導入が進んでいるRPAですが、国内シェアの市場規模はどうなっているのでしょうか。国内企業の導入率や普及状況について解説します。 早速、RPAの国内シェアについて見てみましょう。

国内企業でRPA導入率は38%

株式会社MM総研が市場調査した国内利用動向調査2020データによると、一企業のRPA導入数は38%で4割近くの企業が導入していることが分かります。 さらに大手企業に限定すると、51%という高い導入率を誇っています。前年度の2018年6月に同調査を実施した時は22%、2019年1月時点では32%と1年程度で大幅に上昇していることが分かります。 このことからも多くの国内企業はRPAツールの導入に前向きであること、今後も多くの企業でRPAツールを導入し、普及していくことが考えられます。 企業規模別でRPAの導入率を見てみましょう。 年商1,000億円以上の大手企業だと51%、年商50億円から1,000億円未満の企業規模は25%の導入率という結果が出ています。 業界別の導入率に関しても、事務作業が多いとされる金融業界では59%、金融以外の業界でも学校、医療福祉と多くの業界でさかんに導入されていることが伺えます。

<参考>RPA国内利用動向調査2020 | 株式会社MM総研

RPA導入している企業は年々増えている

国内利用動向調査2020データから、RPAを導入している企業は、年々増加していることも分かります。 ちなみにこれらのデータは2019年11月時点のデータです。 コロナ過により急速にリモートワークが広がった2021年現在で考えると、国内シェア率はさらに増加していることが予測されます。 RPAが未導入な企業も全体だと25%、大手企業は19%です。大手企業に関しては、8割の企業でRPAを導入しているという結果が出ています。 大手企業に比べると、中小企業は予算や専門部署の配置などの関係で、なかなか導入に踏み込めないマイナス要因があるかもしれません。 中小企業に留まらず、国内の大手企業についても導入する際は、スモールスタートで始める傾向があります。 スモールスタートで始めることで、エラーが起きた際に会社全体で業務がストップしてしまうようなトラブルを防ぐことができます。 予算を抑えつつ導入する方法もあること、RPA利用企業が増えたことでパソコン1台からでも導入できるサービスもでてくるようになりました。 RPAは大手企業だけが利用する時代ではありません。中小企業向けのサービスも多々あるので、ぜひ自社に合ったRPAの導入を検討してみてください。

大手企業が利用するRPAランキング

RPA国内利用動向調査2020で市場調査された主要なRPAツール17製品の中で、大手企業が利用するRPAランキング1~3位をそれぞれ見てみましょう。 各社RPA製品の概要や特徴についても紹介するので、ぜひご覧ください。

1位 UiPath

UiPathサイトのキャプチャ

大手企業におけるRPA製品別の浸透率によるとUiPathは45%と一番高い浸透率です。ニューヨークに本社を構えるUiPath社が提供しており、世界三大RPAソフトの一つとして絶大な人気を誇っています。 海外製品であるにも関わらず、日本語での動画による説明やサイトがあること、無料トライアルによるお試しができることも導入しやすい理由の一つでしょう。 導入してみたものの、仕様が分かりにくかったり、操作が難しかったりすると、想定していたような導入効果が得られない場合もあります。その点、UiPathのように無料トライアルがあると、お試し利用した上で導入を検討することができるので安心です。 またドラッグ&ドロップでロボットのアクティビティを指示できること、コーディングの必要もなく、専門知識がなくても直感的に操作できる点もメリットであると言えるでしょう。 ほかにも実際に操作した内容を記録するレコーディング機能も搭載しており、使いやすさをより追求しているRPAツールであると言えます。

2位 BizRobo!

BizRobo!サイトのキャプチャ

国内シェアで浸透率が次に高かったのは、BizRobo!で浸透率40%でした。BizRobo!は国内シェアトップクラスのRPA事業実績をもつRPAテクノロジーズが提供しています。 BizRobo!は、Kofax社のRPAツールKofax Kapow 10をもとに日本企業向けに改良されているため、使いやすく日本企業のニーズに合った設計であると言えます。 低コストで無制限にスケールできること、利用規模や利用者の要望に合わせて料金体系が設定されていることも魅力です。 利用コストを抑えながらまずはスモールスタートで社内の様子や作業効率を確認しながら、徐々に導入を進めていくことも可能です。 またプログラミングやRPAについての知識が乏しくても簡単にロボットを作成できます。 仮に導入まで問題なく進めることができても社内にRPAがうまく浸透するのか、運用についても社内で問題なく管理できるのか不安は付きまといます。 コストだけでなく、何かトラブルが起きた時のことを考えると社内一括管理はリスクが伴うでしょう。 BizRobo!は何か困りごとがあっても、サポート体制が充実しているので安心です。導入時からからサポートを受けることができ、運用後もテクニカルサポートやセミナーなどのあらゆるサービスを受けられます。 日本企業ならではのサポート力に満足しながら利用できるRPAツールでしょう。

3位 WinActor

WinActorサイトのキャプチャ

国内シェア浸透率3位は、38%のWinActorです。WinActorは、NTTアドバンステクノロジーが提供する国内シェア率の高いRPAツールです。 Windows上で操作が可能なアプリケーションや業務システムを使った作業をシナリオとしてWinActorが自動記録します。自動記録したものを元に処理を追加したり、微調整して整えたものを自動化させることができます。 利用できるアプリケーションに制限がなく、Excel、Access、Word、Outlookなどに対応しているのはもちろんのこと、ERPやOCRというように個別の業務システムでも問題なく連携して自動化させることができます。 よって、多くの作業や業務を自動化できるでしょう。 また、操作しやすいGUIを装備しており、プログラミングの必要もありません。専門知識がなくても導入できること、パソコン1台から利用できることを考えると、運用までスムーズに進められそうです。 サポート体制についても日本語・英語に対応可能で、日本製品ならではの手の行き届いたサービスを受けることができそうです。 トライアルでお試し利用できるので、使用感を確認しながら、導入できるメリットもあります。

RPA導入のメリット

大手企業が利用しているRPA国内シェアランキングについてお伝えしました。各社サービスも特徴も異なることが理解いただけたと思います。 実際にRPAを導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。 今一度、一つずつ利点を確認してみましょう。

業務改善につながる

RPAを導入する場合、導入前に業務内容や業務フローを一つずつ確認する必要があります。 というのも導入する業務のどの部分でRPAを利用するべきか考えなければいけないからです。またRPAに切り替える業務はRPAが得意とする内容であるのか確認する必要もあるでしょう。 この確認作業を怠ってしまうと、RPAを導入しても効果を得られなかったり、余計なコストがかかるだけで失敗に終わってしまう可能性もあります。 そのためRPAの導入前は、業務フローを細かく確認する必要があるのです。 そしてこの確認作業によって、従来の業務を客観的に見直すことができます。 なぜその作業が必要なのか、無駄な作業ではないか、そもそも作業が重複していないか、などについても見直せるでしょう。 RPAによる自動化は、業務改善についても効果を見い出すことができるのです。

人為的ミスの削減

単調な作業や細かい作業が続くと集中力が切れてしまい、思いも寄らないところでミスを起こしてしまいます。 また経理などの事務処理の場合、誤った数字で処理を進めてしまえば、全体的に数値がズレたり、顧客に迷惑をかけてしまう可能性もあります。 後でミスを探すのも、時間と手間がかかり大変な作業になるでしょう。 RPAの導入で、これら人為的なミスも削減することができます。RPAロボットは、設定されたルールに沿って作業を進めます。 計算についてもすべて自動で計算されるので、計算ミスや記載ミスというようなヒューマンエラーの心配はいりません。 その上、作業スピードも人間よりも遥かに速いので、今までよりも多くのデータを作業対象にすることができるでしょう。

作業効率アップ

人に代わってRPAが対応することで、長時間かけて対応していた業務を短時間で終わらせることができます。 作業後に間違いはないかチェックしたり、作業以外の確認にもコストがかかっていたかもしれません。 しかしRPAに代替することで、作業効率をアップさせることが可能です。 作業時間が短縮されることで、残業時間も減らすことができるでしょう。 会社としては人件費やコスト削減を見込め、従業員は今までよりも早く帰宅できます。 そして空いたリソースは、コア業務へ集中させることが可能です。資料作成や見積作成、数字入力などの定例業務はRPAが対応し、新規事業や商談、ユーザー対応など人にしかできない業務に注力すべきです。 作業効率をアップさせることは、会社の成長にも大きく貢献するでしょう。

コスト削減

RPAツールの導入によって人件費などのコストを大きく削減することができます。 人が対応する場合、一日の労働時間には制限があります。 またコンディションが優れず、ヒューマンエラーをおこしてしまうこともあるでしょう。 ほかにも採用して教育してもいつ何時、退職するか分かりません。 その点、RPAは24時間365日稼働させることも可能です。またロボットが対応するため、ヒューマンエラーの心配もなく、その上、人が作業するよりもはるかに早く処理できます。 RPAの導入は人件費を削減するだけでなく、削減され余ったリソースを別の業務に費やすこともできるのです。

RPA製品の選び方

RPAを導入することで得られるメリットについてお伝えしました。RPAを取り入れることで多くのメリットがあるのはもちろんのこと、会社の成長にも大きく関与することが分かります。 では、実際に導入する場合、どのようなRPA製品を選べばいいのでしょうか。 実際に使用されているユーザー情報なども参考になりますが、それよりも自社に合った内容であるのか、国内シェアだからこそのサポート体制など、あらゆる点から検討することが大切です。

価格

RPAには、初期費用に多額な費用が必要であったり、相当な額の利用費を支払っていくツールもあります。 大手企業であればある程度、予算から算出できるかもしれませんが、中小企業の場合なかなか手が出せず、導入にいたらないケースもあるでしょう。 以前に比べると、このようなツールばかりでなく数台から導入できるツールも充実するようになりました。 RPAによっては、初期費用がかからなかったり、クラウド型のRPAであれば月々数万円から利用できるものも増えてきています。 価格帯もサービス会社によって大きく異なるため、どのような料金形態になっているのか、契約前にしっかりチェックするようにしましょう。

サポート体制

RPAの導入には、時間や手間がかかります。作業フローの確認やシナリオ作成というように、社内の担当者やベンダーと一つずつ確認しながら地道に進めていく部分もあります。 社内に専門部署やエンジニアがいて、何かあればすべて自社で解決できる場合、それほどサポート体制は気にしなくてもいいかもしれません。 しかし、基本的にベンダーに頼りたい場合、万全なサポート体制であるRPAツールを選ぶ方が安心です。 また、社内でもどの部分で導入するべきか、社内勉強会はどうするべきかというように、さまざまな点で現場担当者と打ち合わせを繰り返すことを考えると、少しでも内部の負担は軽減したいものです。 運用開始後もトラブルがあれば、その都度確認し原因を追求しなければなりません。 これらのことを考えると、サポート体制はRPAを選ぶ上で重要な決め手となりそうです。 何かトラブルがあればきめ細かくサポートしてくれるベンダーであるのか、そもそも運用開始までの期間もサポートしてくれるのか、契約前にどのようなサービス内容で提供しているのか確認しておく必要があります。 提供会社によってサポート体制も大きく異なるため、自社に合った内容を選ぶようにしましょう。

使いやすさ

RPAは、さまざまな社員が使用することになります。 そのため必要な機能が備わっているのはもちろんのこと、視覚的に理解しやすく使いやすいツールである必要があります。 デジタルに強い社員もいれば、アナログな社員も存在します。デジタルに強い弱いということは関係なく、どんな人でも問題なく利用できるツールであることが必要不可欠です。 もちろん導入前に社内勉強会や事前説明会をおこなう必要もありますが、シンプルで且つ操作しやすいほうが、社内への浸透も早まるでしょう。 あらゆる機能がついているRPAのほうが、パッと見たところ性能が良さそうに見えるかもしれません。 しかし、実際には使用しない機能が搭載していることで作業を難しくさせたり、画面自体も見づらいデザインにさせているかもしれません。 多くの機能が備えられていることよりも、自社にとって必要な機能が搭載されているのかを重点においてRPAツールを選ぶようにしましょう。

初心者でもカンタンに使いこなせるRPA「RoboTANGO」

RoboTANGOサイトのキャプチャ

RPA初心者でも安心して利用できるのが、RoboTANGOです。パソコン画面で録画機能とshiftボタンをクリックするだけで、RPAロボットを作成することができます。 一つのライセンスで複数台のパソコンに使えること、月額50,000円という低価格で利用できることもあり、初めてのRPA導入ツールにおすすめです。 料金プランも4種類から選ぶことができるので、利用規模に合わせて選択できます。

  • 基本プラン ¥50,000/月
  • リモレクライト ¥80,000/月
  • リモレクスタンダード ¥100,000/月
  • リモレクアドバンス ¥150,000/月

プランによって受けられるサポートは異なりますが、1ライセンスで複数台のパソコンに導入できること、操作動画やFAQによるサポートは、すべてのプランで可能です。 個別のチャットサポートやオンラインレクチャー、専属の担当者をつけることも可能です。 スモールスタートでRPAを導入したい企業や、RPAについて詳しくなくてもRoboTANGOならサポート体制が万全なため、安心して導入することができるでしょう。

まとめ

RPAの国内シェアについてお伝えしました。RPAの国内シェアは大手企業をメインに今後もますます広がりをみせるでしょう。 国内シェア率が高いものは、サポート体制が充実していたり、長年の導入実績も豊富です。 ただ、導入する際はシェア率や知名度で選ぶのではなく、RPAの導入目的に合致したものを選ぶようにしましょう。 またより高い効果を得るためにも、各社サービス内容やサポート体制を導入前にしっかり確認して進めるべきです。