製造業
RPA導入で単純作業や面倒な作業を自動化し、毎月90時間以上の工数削減。属人化の解消や価値の高い業務に取り組めるように。
- 基幹システム
- 可視化システム
- Excel/CSV
- 測定データ
- ラベル印刷
高機能プラスチックの加工をおこなう某大手製造業様にRPA導入前の課題や活用方法、成果・成果についてお話をお伺いしました。
課題
- コピー&ペーストを繰り返す単純作業に時間を割かれてしまっていた
- 基幹システムとのデータ連携をすべて手作業で行っていた
- 単純作業に多くの工数を割いており、本来やるべき業務に時間を割けていなかった
効果
- 単純ながら面倒で手間のかかる業務から解放された
- 本来やるべき業務に集中できる時間が増えた
- 精神的ストレスの削減
- 今まで手作業で行っていた業務のサポート担当者の残業時間が削減された
手作業で行っていたシステム間のデータ連携や単純作業を効率化するためRPA導入を検討
弊社では多種多様な業界を手掛けていますが、私の所属する事業部では高機能プラスチックの加工を行い、機能部品や部材を提供しています。
自社で開発した生産実績の可視化システムのデータを基幹システムに連携する作業や製品を製造する際に測定しているデータを指定のExcelにコピー&ペーストするなどといった単純作業が多いうえ、すべて手作業で行っていました。従業員のリソースを単純作業ばかりに割いていたので、業務の自動化を検討しました。
導入の決め手は「直感的な操作性」「低価格」「柔軟性と拡張性」
RoboTANGOの導入を決めた大きな理由は次の3つです。
- 「RoboTANGO」は柔軟性と拡張性が高く、多くの業務プロセスに運用できると感じた。
- 「RoboTANGO」は直感的で使いやすいインターフェースなので、プログラミングの知識がないユーザーでも自動化プロセスを設定できた。
- 価格が安いため、導入への抵抗が少なかった。
RPAの検討を始めた際、会社指定のRPAを検討したがプログラミングの知識がないと運用ができないような難易度の高いツールであり、もっと簡単に扱えるRPAを探すことにしました。
その中でRoboTANGOを見つけ、トライアルを行った上で自分たちでも使えると判断し導入に至りました。1か月ほど触っていたら操作に慣れ使えるようになっていました。
もちろん、RPAを扱うのは初めてだったのでわからないこともありましたが、不明点があったときはヘルプセンターを活用すれば解決できたので、問題なく利用しています。
また、ほかのRPAに比べて運用コストが安かったのも決め手の一つです。
RPA導入で生産部門や管理部門で発生していた単純作業が自動化され、月間90時間以上の作業時間を削減
現在、30個以上のRPAロボットを作成して運用していますが、特に高い効果があったのは次のようなRPAロボットです。
システムの更新作業
現在、運用しているRPAロボットの約8割がシステムの更新作業です。具体的には生産実績や製造量、仕掛り、在庫などを可視化するシステムからCSVデータを抽出して基幹システムにアップロードする作業です。
今までは毎朝出社してすぐに手作業で30分ほどかけて行っており、さらに毎月の更新作業も2名で半日(約5時間)かけて行っていました。RPA導入後はすべて自動化され人の作業がゼロになり、出社したときにはすでに作業が完了している状態です。
生産部門は5つのチームに分かれており、現在はそのうちの1チームでシステムの更新作業を自動化しています。今後は5チームすべての作業を自動化できれば大きな効果につながると思っています。
測定データを専用のExcelに更新する作業
生産業務での傾向管理を行うために必要な作業で、測定器から測定データをCSVで抽出して専用のExcelにデータを貼り付ける作業の自動化です。
これも毎日1~2回発生する作業頻度の高い作業で、これまでは1名のスタッフが1日中つきっきりで行っていました。
RPAで一部を自動化したことで、1日で3時間程度の削減につながっており、スタッフの工数削減が実現しています。
納品書を入れる封筒の宛名自動印刷
これは私が作成したRPAロボットのなかでも一番の傑作で、お客様に納品書を送付する際に使う封筒の宛名印刷作業を自動化しました。
これまでは、毎日30枚前後の封筒に印刷をする際、印刷ソフトで1つ1つ宛先を選択して印刷するといった作業を20~40分程度かけて行っていました。
RPAで自動化させるためにExcelにマスターを持たせ、宛先によってキー操作で何回ダウンキーを押すかの指示を記載する工夫をしました。この工夫により1件ずつ宛先を選択せずに自動で印刷が完了し、人の作業は封筒をプリンタにセットすることと、印刷が完了した封筒を回収するのみに削減されました。
簡単な作業ですが作業工数が削減されたことや、面倒な作業がなくなりストレスもゼロになりました。
管理課に報告する資料の作成
基幹システムや可視化システムから抽出してきたデータをExcelに貼り付ける作業を今まで月末に手作業で半日(5時間)かけて処理していました。
RPAでは毎日データを取得し1行ずつ更新し、月末に処理を行うことで1か月分のデータとして完成させています。作成した資料の最終確認は人間が行いますが、それ以外は自動化を実現しています。
手作業では5時間程度かかっていた作業が最終確認作業の1時間だけで済むようになり、月に4時間程度の削減につながっています。
為替レートの抽出
弊社は海外に製品の出荷もしているため、日々の為替レートを把握する必要があります。ただ、これまでは手のかかる作業であることからできていませんでした。
しかしRPAを導入後、毎日金融機関のWebサイトでドル、ユーロ、元、香港ドルなどのTTMを取得し、弊社のポータルサイトにある掲示板に掲示する作業を自動化しました。さらに、自動で抽出できるようになったことで、過去の為替相場をダウンロードして為替変動の傾向分析ができるようになったのもRPAのおかげです。
出荷作業のための指示書作成・印刷
商品を出荷する際に指示書を確認しながらピッキング作業を行います。その指示書の印刷を出荷係が毎朝20分かけて行っていました。
RPAでは基幹システムから1週間分の出荷情報を抽出し印刷する作業を自動化しています。さらに、今まで手作業だと多くの手間がかかりなかなかできていなかったのですが、当日作成する梱包用の箱の数やその箱の作成にかかる時間、台車の必要個数なども細かく指示書に記載することができるようになりました。
RPAで自動化してからは手間もミスもなくなり、スムーズにピッキング作業ができるようになっています。
とにかく、RPAがどういったものかを知ってもらうことが必要なので会議で人が集まったときにプレゼン資料を見てもらったりしています。RoboTANGOには読み上げ機能がありますので、最初に設定だけしておけば私が出席しない会議でもプレゼン資料の説明を自動でやってくれます。こういったときでもRPAを活用し、社員に知ってもらえるようにしています。
また、生産部門のメンバーにRPAを紹介したところ、すぐに相談が発生し各課で5個ずつ課題が挙がってきました。それをRPAで自動化が可能なのか確認し、可能なもののRPAロボットの作成を進めています。
さらに、私が所属している事業部以外に本社の人や私と仲の良い社員を集めてTV会議で情報交換もよくやっています。主にITやDX、AIなどについて話すグループですが、そのなかでRPAについてもアピールをして認知拡大に努めています。
RPAの活用で単純作業を自動化し、やるべき業務に集中する時間の拡大を目指そう
これまでも単純作業の自動化を進めてきましたが、今後もたとえ2~3分で終わるような作業であっても、面倒だと感じるものは極力自動化をしていきたいと考えています。
また、属人化業務の削減と今いるスタッフの業務を少しずつ減らしていき、今後の雇用人数を抑えていけるようRPAを活用していきたいです。
そして、自部門以外にもRPAを展開するのと同時に各部門にもRPAロボットを作成できる人材の教育もしていきたいと考えています。現在すでに製造部門の他のメンバーにもRPAに興味をもってもらい、少しずつ自動化が広がっています。今年度は30個の業務を自動化するという目標があり、現時点で14個の業務の自動化を実現しています。私ともう1名のRPA担当者でRPAロボットの作成を進めていき、目標達成できるよう努めます。
とにかく人が行う単純作業をなくして本来やるべき業務に集中したいと考えているのであれば、RPAは非常に高い効果が見込めます。さらに製造業とRPAは相性が良いと思いますので、製造業の方にはぜひ導入してほしいです。特に面倒な作業をなくしたいと考えている方にはおすすめです。
RPAで成果を上げるポイントとしては、最初から100%を求めないことです。まずは80%を目指し、そこから試行錯誤を続けながら100%を目指していくと成功につながる可能性も高まると思います。