製造業

RPA導入でプラントデータや帳票のダウンロード作業、人事情報の通知など毎日の業務を自動化し、担当者の負担を軽減。これまでできていなかった作業も実現し効率化につなげる

  • Excel/CSV
  • プラントデータ
  • 人事システム
RPA導入企業 株式会社レゾナック様

RPA導入企業 株式会社レゾナック様

エレクトロニクス事業とモビリティ事業を中心に事業を行う化学メーカーの株式会社レゾナック 石油化学事業部 大分コンビナートSCM部の下田様にRPA導入前の課題、RPA活用法や成果・効果についてお話を伺いました。

課題

  • DX部門で既にRPAを導入していたが、開発に専門技術を必要とするもので ロボットを作成するにはIT部門に依頼が必要であった
  • 自動化されるのは効率化の効果が高く複雑な内容の業務の自動化が中心のため、日々の細かい作業の自動化を実現するツールを知らず効率化に手を付けられていなかった

効果

  • 日々、発生する細かい定型業務の自動化が実現した
  • 部署にいる社員の多くが業務の効率化について考えるようになり、一部の人間に任せるのではなく、自分たちで解決しようという思考になった

既存RPAでは難しかった日々の細かい定型業務自動化を目的に自部署でも新たなRPA導入を決意

株式会社レゾナック様WEBサイト
―御社の事業内容を教えていただけますでしょうか。

元々は昭和電工という会社で基礎化学のメーカーとして主にエレクトロニクス事業や黒鉛電極、その他有機化学品、無機化学品と石油化学という多種多様な製品を提供していました。2023年に昭和電工と日立化成が統合し、株式会社レゾナックが誕生しました。現在は昭和電工が持っていたエレクトロニクス事業と日立化成の自動車関係のモビリティ事業を中心に事業を行っています。

私は、大分県にある旧昭和電工の事業を継承した石油化学事業部、大分コンビナートのSCM部企画グループに所属しており、エチレンやプロピレンなど、自動車のバンパーやガソリンタンクの素材を提供する事業において、DX推進を担当しています。

―RPA導入の検討を開始した理由を教えていただけますでしょうか。

弊社では、DX推進のためにIT部門が他社のRPAツールを導入し、複数のシステムを使ったデータ収集作業の自動化を進めていました。しかし、自動化したい業務がある場合、都度IT部門に開発を依頼する必要があり、他の部署の案件との調整ですぐに着手できないことがあったり、業務効率化の効果が高い業務プロセスでなければ依頼しにくかったりという課題を抱えていました。

私たちの大分コンビナート部門で自動化したかったのは、日々発生する細かな定型業務でした。そこで、何とか自分たちで解決しようと考え、DXツールを探している中で、自分たちでも簡単に操作できるRPAツールがあることを知り、導入の検討を始めました。

RPA導入の決め手は、マニュアルやサポートが充実していたことと、誰でも操作できそうだったこと。自ら比較表を作成し承認を得て導入へ

―「RoboTANGO」の導入を決めたポイントは何ですか?

RoboTANGOの導入を決めた大きな理由は次の3つです。

  • icon image日本製でマニュアルやサポートが充実していたこと
  • icon image他のRPAと比べ低価格ながら多機能だったこと
  • icon image操作が簡単でプログラム知識がなくてもRPAロボットの作成ができたこと

元々社内で導入されていたRPAは大規模企業向けということもあり、ロボットを作成するために専門的な知識や技術が必要で、業務効率化の効果が高い業務や、複雑な業務の自動化が中心でしたので、私たちが求めるような「ちょっとした業務」の効率化を実現できるRPAツールがあるということを知りませんでした。

自分たちでも使える効率化ツールを探し、展示会に参加した際にRPAツール「RoboTANGO」を知り、無料トライアルを実施しました。
国産のRPAソフトということで、インターフェースが見やすく、直感的に使いやすそうな印象を受けました。その後、個別に製品の紹介を受け、費用面や活用方法を検討し、トライアルを経て導入に至りました。

選定の決め手となったのは、「自部門のちょっとした単純作業を簡単に自動化できる」という点です。IT部門を通さずに短時間でロボットを開発でき、すぐに効果を実感できるツールだと感じました。

導入時には、既に他部署で導入されていた他社のRPAや、無料で利用できるRPAも候補に挙がっていました。しかし、無償版では機能が限られていることや、マニュアルが整備されておらず、知識がある人しか使いこなせない点が懸念材料でした。
今後の継承や運用を考えた際に、マニュアルやサポート体制がしっかりしていることが重要だと考え、「RoboTANGO」がその要件を満たしていたことが導入の大きな理由となりました。
また、他のRPAと比べて低価格でありながら、機能が豊富で、録画機能も搭載されているため、ITに詳しくない社員でも操作が簡単だった点も導入を決める大きな要因となりました。
最終的には、3つのRPAの機能や利点、課題、事例などをまとめた比較表を作成して、「RoboTANGO」が最も自分たちに適していることを上司に報告し、導入に至りました。

RPA導入で細かな定型業務の削減だけでなく、これまで手が回らなかった作業の自動化も実現

―どのような業務に「RoboTANGO」を利用されていますか?

現在、「人事情報の配信」「プラントデータの収集業務」「帳票のダウンロード」の3つのRPAロボットを作成して運用しています。

人事異動のお知らせメール配信

人事システムから人事異動のお知らせをダウンロードして関係者にメール配信する作業です。

従来、人事異動の情報を得るには、社内ポータルサイト経由で人事システムにログインし、人事異動の連絡が掲載されているExcelデータを見に行かないと、誰の異動が出ているかわかりませんでした。

そこで、RoboTANGOで人事システムにログインして、ダウンロードしたExcelファイルを、人事情報を知りたい人にメールで配信するまでを自動化しました。最初は2、3人でしたが、現在では口コミで情報が拡散されて50人ぐらいでしょうか、本社の人事部門にも配信しています。人事情報はほぼ毎日更新されているので、作業もほぼ毎日発生しています。

また、過去の人事情報も一覧で見られるようしてほしいという要望から、過去の人事異動のデータの蓄積も自動化しました。作業的にはOneDrive内にあるExcelの一覧表を更新するのですが、これも自動化しています。ほか、自分の事業部に関わる情報だけを知りたいといった要望もあったので、事業部ごとに別シートにまとめてマクロで更新する作業も自動化しました。

この業務は、RPAを導入するまでは手を割けずに実施できていなかかったものです。
これらの作業をすべて人の手で行うとすれば、1日20分程度(月間約7時間)はかかると思いますが、現在はRoboTANGOともう1つのRPAを組み合わせて自動でできるようになりました。

プラントデータの収集業務

もう一つは、日々稼働している化学プラント装置のデータ収集業務にRPAを導入しています。
具体的には、製造に使う原料の「流量」や原料タンクの「在庫量」など、前日のプラントデータをRPAが自動で取得し、生産管理部の共有フォルダに保存しています。プラント装置は24時間365日稼働しているため、土日のデータも月曜の朝に自動でダウンロードされる仕組みになっています。

以前は、これらの作業を毎朝7時から8時の間に人の手で行っており、1日10分ほどの作業でしたが、月に換算すると約200分、3時間半ほどの工数を費やしていました。現在では、朝出社したらRPAを起動するだけで、あとは完全に自動化され、人手は一切かからなくなりました。

トライアル利用の際から自動化の要望が強かった業務ですので、RPA導入による効果は非常に大きいと感じています。

月末締め作業で利用する帳票のダウンロード

最後は、月末締め作業に使用する帳票のテンプレートダウンロード業務です。
月末に在庫量を確定するためには、在庫ごとの帳票テンプレートを5~6種類ダウンロードする必要があり、この一連のダウンロード作業をRPAで自動化しました。

以前は、人が社内システムにログインし、指定された帳票テンプレートを1つずつダウンロードし、完了したら次のテンプレートをダウンロードするという作業を、5~6回繰り返す必要がありました。作業自体は難しくないものの、ダウンロード待ちの時間が発生し、手間がかかる業務でした。
また、Aの作業が終わらないとBの作業が確定しないという連鎖的な作業も多く、進捗が分からなくなることもありました。

RPA導入後は、帳票テンプレートのダウンロードから共有フォルダへの保存までを自動化し、共有フォルダでの作業に統一されたことで、誰がどの段階の作業を進めているかが明確に把握できるようになりました。これにより、進捗管理が容易になり、業務効率も大幅に向上しました。

帳票1つのテンプレートダウンロードに約5分、全体では30分程度の作業時間を要していましたが、RPAの自動化によって、担当者の負担が大幅に軽減されました。

―ほかに自動化を検討している業務はありますか?

直近で考えているのは、月末処理で営業部門が作成した翌月の販売予測情報をExcelからExcelに転記する作業です。

営業部門が作成する販売予測の製品は7種類程度あって、それぞれのExcelフォーマットがすべて異なっているため、人の目では認識できるものの、RPAから更新されているかどうかを判断させるのは工夫が必要かと思います。
ロボットを作成すること自体はそれほど難しくはないと思いますし、1人で月間3時間かけて作業をされているので、できるだけ早く自動化して担当者の負担を軽減させたいです。

―RPAを導入したことで作業時間の短縮以外にどのような効果がありましたか?

単純作業の自動化による業務効率化はもちろんですが、それに加えて、他のメンバーも自分たちで業務効率化について考えるようになった点が大きな効果です。

大規模向けのRPAツールでは、システム部門に任せきりになりがちですが、RoboTANGOなら無料トライアルを通じて「こういう使い方ができるんだ」と担当者自身が理解できるようになりました。
その結果、現場のメンバーから業務プロセスにおける課題やRPA化のアイデアが積極的に提案されるようになったのは、大きな成果だと考えています。

―社内でRPAを展開していくために工夫していることはありますか?

IT部門以外の総務や購買、経理部門などに導入事例を紹介する形でRPAの理解を深めてもらう活動をしています。

また、元々RPAを導入していた部門の担当者にもRoboTANGOのトライアルに参加してもらったり、ライセンスを1つ渡して自由に使ってもらったりしています。

ゼロからロボットを作成できる人材を育成することも重要ですが、まずは元々RPAを使っていた部門でロボットを作成できるようになってもらい、そこから使えるものを増やしていければと、情報交換をしつつ動いています。

RoboTANGOの活用でExcelを使った自動化を中心に日々の細かな業務効率化を進めていきたい

―今後、「RoboTANGO」をどのように活用していこうとお考えですか?

RoboTANGOは、拡張スクリプト機能を使ってRPAの安定性を高められ、Excel連携を強化できるとお聞きしました。

現状、Excelを使った定型業務が多いので、拡張機能を最大限に活用しつつ、Excelを使った業務の自動化を進めていきたいと思っています。

まずは効率化できそうな業務があればどんどん自動化していき、1年でどれだけ自動化できて、どのような効果が出たかを整理したうえで、さらにどのような活用ができるか、他の部門に広げていけるかを考えていきたいです。

日々の業務は当たり前ではなく、もっと良くできる

―現在、RPAの導入を検討している企業にメッセージをお願いします。

特にパソコンを使った定型業務、いわゆるルーティン業務が多い事務職には非常にRPA導入は向いていると思います。
また、自分たちが普段処理している日々の業務はもっとラクにできると考え、現状を改善しようという意志を持っている方には、RPA導入が非常に向いていると思います。

日々の作業に追われていると、現在の手間が当たり前だと感じてしまい、改善にまで手が回らないことも少なくありません。ですから、現状が「当たり前」ではなく、「もっと良くできる」と意識することが重要だと考えています。

RoboTANGOは非常に使いやすいツールであり、サポート体制もしっかり整っているため、システムに詳しくない方でも十分に活用できるようになります。まずは現状を変えようという意思を持つことが、RPAを成功させる第一歩だと思います。

―ご協力いただきまして、誠にありがとうございました。
会社名

株式会社レゾナック
https://www.resonac.com/jp

事業内容

社会インフラを支える基礎化学品から最先端の半導体材料まで取り扱う機能性化学メーカー

従業員規模

23,840人(2023年12月31日現在)※連結従業員数

導入サービス

RPA「RoboTANGO」

利用部門

石油化学事業部 大分コンビナートSCM部

RPA導入経験

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