記事では導入事例やRPAの導入による業務改善について、より詳しくご説明しておりますので動画と合わせてご覧ください。
RPA導入による業務改善
まず、RPAを導入するとどのような業務を改善できるのかについて解説します。
RPA導入によって実現できること
RPAを導入することで、単純作業に割いていた時間を別の作業に割くことができるようになり、全体的な生産性を向上することが可能になります。。
例えば、給料の計算を人が実施している場合を考えてみましょう。
おそらくこの場合、エクセルなどを用いて雇用者の役職や、雇用形態、勤怠の実績に応じて計算式を当てはめていることでしょう。こういった作業は機械的に対応しやすい業務であるため、人がやるよりもRPAで対応する方が圧倒的に早く終わります。担当者がこれまで要していた単純作業に掛ける工数を減らすことができ、浮いた時間を別の作業に投じることができるようになります。結果として、RPAを導入する前よりも担当者の生産性を向上させることができるのです。
BPR・BPOとの違い
RPAと似たような概念としてBPR、BPOが挙げられることがありますが、これらは全く別物です。
まず、BPRは「Business Process Re-engineering」と呼ばれるもので、企業内におけるビジネスのプロセスを根本的に再構築することを目的にする改善策のことです。対象となる企業における中長期的事業戦略や顧客のニーズを対象にした際に、改善すべき企業内の業務プロセスをどのように改善していくかといった、企業における大きなビジネスの流れを改善するために利用されます。
次にBPOですが、こちらは「 Business Process Outsourcing」の略で、企業内の特定の業務を外部に委託することで効率化を図る方法のことです。例えば先ほど給与計算の例を挙げましたが、BPOにより給与計算業務を外部の企業に委託する企業も存在します。
対してRPAは「Robotic Process Automation」と言われるように、ロボットなどのシステムを用いた業務プロセスの自動化が目的になります。
このように、どれも改善を目的としたビジネスの手法ではありますが、それぞれが目的としている対象物とその手段に用いるリソースが人かロボットか、という違いがあることを覚えておきましょう。
業務改善を成功させるための進め方
RPAは業務の自動化による大きな業務改善が期待できますが、設計でミスが生じるとその効果を十分に発揮せず、費用対効果の最大化が見込めません。そのため本章では、実際にRPAを用いて業務改善を成功させるために押さえるべきポイントを解説していきます。
プロジェクトの成果を明確に定義する
まずRPAを用いた結果、アウトプットとして何を得られるのかを明確に定義しましょう。
改善しようとしている対象業務の成果を明確にしないと、必要な作業が抜け落ちてしまい、結果としてRPAの効果が最適化されない場合があります。
また、成果が明確に定義できない状態で業務を進めてしまうと、目指すべきゴールを見誤って、本来と異なる方向に進んでしまうこともリスクです。そのため、RPAを設計するプロジェクトにおいて、必ず最終的なアウトプットや成果で何を得る必要があるのかを明確にしましょう。
現行業務の棚卸しをする
プロジェクトの成果を定義できたら、次に現行の業務で何をしているのか、棚卸しをして確認しましょう。
RPAは、それぞれの業務プロセスに対して処理を充てていくため、業務の棚卸しをすることで、どの部分をRPAで作成する必要があるのかが明確になります。棚卸しができれば、あとはそれぞれの細かい業務をRPAの中にどう変換させるかを考えるのみです。
また、棚卸しをした際には、エクセルなどを用いて各業務にナンバーリングをすることもおすすめです。そうすることで、後々それぞれの業務をRPAツール上で実装したかどうかのチェックも容易になります。
業務フローを可視化する
業務の棚卸しのほかに、それぞれの業務がどの順番で処理されていくのかを可視化しましょう。
可視化をすることで、曖昧な順番で処理をしていた業務などが洗い出されて、正しいフローが何かを考えるきっかけにもなります。業務フローを可視化する際のツールは自由ですが、大事なことはそのプロジェクトに携わるメンバー内で、業務フローに共通の認識を持つことです。
また、RPAツールでは画面上での操作でパズルのようにフローを組み立てていくことがあります。業務フローを可視化しておくと、後々RPAツール上で構築をする際に誤りがないかの確認がしやすいので、おすすめです。
比較的単純な業務からRPA化させる
RPAを成功させるコツは、比較的単純な業務から少しずつRPAのロボットを作っていくことです。
複雑で手順の多い業務を一気にRPA化しようとすると、設計が複雑になり、どうしてもハードルが高く感じられてしまいます。そのため、まずは身近な簡単な業務の中でRPAを導入して、徐々にRPAの導入範囲を広げていくのがおすすめです。まずは小さなロボットを作っていくところから始めてみましょう。
実行・評価
RPAの実行準備が整ったら、プロジェクトを開始して、どの程度業務改善がされているかを評価しましょう。評価をするにあたって、定性と定量の両面から評価をすることが重要です。
仮に定性的に「ボタンを押したらこれまで入力していた作業がなくなって楽になった!」という好評価が得られたとします。しかしそのRPAの実行時間を計算した時に、手作業で行っていた時に比べて2倍かかるようになり、その間そのパソコンを用いた作業は何もできなくなってしまっていたら、どうでしょう。この場合、「時間」という定量面では業務改善がされたとは言えないでしょう。
このように定性的な業務改善の評価だけをするのではなく、実際にどの程度の工数が削減されるようになったのかを明確に評価するようにしましょう。
RPAツールを活用した改善事例
ここまで、RPAを用いた業務改善におけるポイントを解説してきました。本章では、実際にRPAツールを活用して業務改善を成功させた事例を紹介します。
東邦レオ株式会社様
東邦レオ株式会社は、緑化資材、造園資材、建築資材それぞれを開発しているコミュニティディベロップメント業を展開する企業です。
同社の基幹システム内のデータを顧客管理ツールのデータベースにアップロードする作業が毎日10分程度発生しており、自動化しています。
同社は導入当初、無料のRPAツールを使っていたが、サポートが全て英語で不便に感じていたそう。導入したRPAのRoboTANGOでは、一緒に作り込みを行い、なんでも相談できるところに魅力を感じて導入に至ったようです。
RPAの自動化により空いた時間は、営業業務に専念したりと他業務へリソースを割り当てており、業務改善に役立てています。今後は基幹システムの管理をRPAで行っていく計画のようです。
コーユーレンティア株式会社様
コーユーレンティア株式会社は、建設業・不動産業・イベント業などの企業向けに家具や据え付け設備、什器を貸し出しする企業です。
同社では、毎日全国の顧客から送られてくる20~30件のメールの振り分け・送信作業を担当者2名で1~2時間をかけて行なっていました。その際の作業自体にかかる工数のみならず、振り分けの人的ミスも問題視していました。
そこでRPAツールを導入したことで、メールを自動でチェックし、適切に振り分け、さらに送信までを対応できるようにしました。チェック作業に要していた工数がなくなるだけでなく、人的ミスもなくなったため、顧客からの信頼も取り戻すことができました。
同社では、RPAツールの導入支援コンサルを受けながら、RPAツールを堅実に設計していったことで、RPAの導入をスムーズに進めることができました。
イーエムネットジャパン様
株式会社イーエムネットジャパンはリスティング広告やYouTube、Facebook、LINEのパッケージ広告などをクライアントに提供するオンラインの広告代理店です。
同社では、営業部門で作成しているテレアポ先のチェックリストにチェックを入れる作業や、お客様へのレポートを作成する工数に時間を要していました。
業務改善のためにRPAツールを導入したことで、営業全体で1日100時間分の業務時間が削減され、大幅な業務改善の実現を成功しました。
まとめ
今回は、RPAツールを導入することでどのように業務改善が図れるかを解説しました。
確かにRPAツールは、単純作業を自動化することで大幅な業務効率の向上が期待できますが、使い方を誤ると期待していた効果を得ることが難しくなります。今回紹介した成功するためのポイントを着実に押さえることで、RPAツールでの業務改善が見込めます。
RPAツールの導入を検討されている方は、ぜひ今回解説した内容を参考にしていただければと思います。RPAを駆使することで、業務の生産性を向上させていきましょう。