DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
DX(ディーエックス)とは「デジタルトランフォーメーション(Digital Transformation)」の略称で、企業がデジタル技術を活用してビジネスモデル、業務プロセス、企業文化、顧客体験などを根本的に変革し、競争力を強化する取り組みを指します。単なるIT化や業務の効率化に留まらず、企業全体の革新を目指すという概念でもあります。
分かりやすく簡単に言うと、デジタル技術を使って、企業や組織がその業務やビジネスモデルを大きく変えることを指します。デジタル技術を活用して、業務の効率化や新しい価値の創造を目指す取り組みのことです。
経済産業省が提唱する「デジタルガバナンス・コード」において「DX」は以下のように定義されています。
DXの定義
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
出典・引用元:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」
また、中堅・中小企業等向けの「デジタルガバナンス・コード-実践の手引き-」ではもう少しかみ砕いて述べられています。
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)
とは何か
デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。
出典・引用元:経済産業省「デジタルガバナンス・コード実践の手引き」
企業が急速に変化する市場環境に迅速に対応し、競争力を維持・向上させるためにはDXの取り組みが非常に重要なのです。
DX推進のメリット5つ
DX推進のメリットには主に、「業務効率化と生産性向上」「競争力の強化」「顧客体験の向上」「BCP対策の向上」「レガシーシステムからの脱却」の5つの大きなメリットが挙げられます。以下にそれぞれ解説します。
1. 業務効率化と生産性向上
DXは繰り返しのタスクやルーティン業務を自動化し、効率化します。例えば、RPAの導入により、定型作業を自動化することで作業時間を削減し、従業員がより価値の高い業務に集中できるようになります。
2. 競争力の強化
DXにより、企業は迅速な意思決定と市場対応力を高めることができます。デジタル技術の活用で新しいビジネスモデルを構築し、市場の変化に柔軟に対応することで、競争優位性を維持できます。
3. 顧客体験の向上
DXは、顧客データを分析し、パーソナライズされたサービスを提供することで顧客体験を向上させます。AIやビッグデータ分析を活用して顧客の行動や嗜好を予測し、最適なタイミングで適切な提案を行うことで、顧客満足度とロイヤルティを高めます。
4.BCP対策の向上
DXはBCP(事業継続計画)対策を強化します。クラウドコンピューティングやリモートワークツールの導入により、災害やパンデミックなどの緊急事態においても業務を継続する能力を向上させます。これにより、企業はリスク管理能力を高め、予期せぬ事態に対応する力を強化します。
5.レガシーシステムからの脱却
DXは、古いシステムから脱却し、最新のデジタル技術やクラウドサービスを導入することを促進します。これにより、システムの保守管理コストを削減し、柔軟でスケーラブルなITインフラを構築することが可能になります。結果として、新技術への適応が容易になります。
RPA(ロボティックプロセスオートメーション)とは?
RPAとは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略で、ソフトウェアロボットを使って人間が行う定型的な業務を自動化する技術です。これにより、企業は効率を大幅に向上させ、コストを削減することができます。
RPAは、ユーザーがパソコン上で行うデータ入力や転記作業、データの集計作業、ファイルのダウンロードやアップロード、メール送信などの操作を記録し、それを自動的に再現することができます。
DXとRPA、IT化の違い
本章ではよく間違われるDXとRPAの違い、DXとIT化の違いについて解説します。
DXとRPAの違いと関係性
RPAとDXは、どちらも企業のデジタル化を進める重要な取り組みですが、その範囲と目的に大きな違いがあります。
比較項目 | DX(デジタルトランスフォーメーション) | RPA(ロボティックプロセスオートメーション) |
---|---|---|
定義 | デジタル技術を活用して、業務プロセス、ビジネスモデル、企業文化を全体的に変革し、企業の競争力を高める取り組み。 | 定型業務を自動化するための技術。 ソフトウェアロボットが人間の操作を模倣し、データ入力や転記などの繰り返し作業を行う。 |
目的 | 企業全体の競争力を強化し、持続可能な成長を実現すること。 効率化、コスト削減、新しいビジネスモデルの創出、顧客満足度の向上を目指す。 |
業務の効率化とコスト削減。 特に手作業のミスを減らし、定型業務のスピードと正確性を向上させること。 |
適用範囲 | 企業全体。 業務プロセス、ビジネスモデル、顧客体験、企業文化など、あらゆる領域での変革を含む。 |
特定の業務プロセス。 主にバックオフィス業務やルールベースの定型業務。 |
利用技術・ツール | 多様なデジタル技術 ・IoT ・AI ・ビッグデータ ・クラウドコンピューティング ・VR/AR など |
・RPAツール |
RPAは、主に定型的な業務を自動化する技術であり、繰り返し行われるデータ入力、転記、メール送信などの作業をソフトウェアロボットが代行します。これにより、業務効率が向上し、人的ミスを削減し、コストを節約することができます。
一方、DXはデジタル技術を活用して企業全体のビジネスモデル、業務プロセス、企業文化を根本的に変革する取り組みです。DXは、AI、IoT、クラウドコンピューティングなどの先端技術を駆使して、新たな価値を創出し、顧客体験を向上させることを目指します。
そのため、RPAの導入=DXではないということです。
RPAはDXの一部として利用されることが多く、DX推進の初期段階やプロセス改善の一環として導入されています。つまり、RPAはDXを支える一つの重要なツールという位置づけになります。
IT化(デジタル化)とDXの違い
IT化(デジタル化)は、企業がITツールを使って業務の効率化を図ることを指します。
例えば、紙の書類を電子化したり、手動の計算をエクセルで自動化したりすることがこれに当たります。IT化は、主に一部の業務プロセスをデジタルツールで改善することを目指しています。
一方、DXは、デジタル技術を活用して企業全体のビジネスモデルや業務プロセス、企業文化、顧客体験を根本的に変革することです。
例えば、車の保有からカーシェアリングへの移行、動画レンタルからストリーミングサービスへの移行、銀行の窓口からオンラインバンキングへの移行、店舗販売からECへの移行などが挙げられます。
比較項目 | DX(デジタルトランスフォーメーション) | IT化(デジタル化) |
---|---|---|
定義 | デジタル技術を活用して、企業全体を変革し、競争力を強化すること。 | アナログデータやアナログな作業をデジタル化すること。 |
目的 | 競争力の強化と持続可能な成長。 新しいビジネスモデルの創出、顧客満足度の向上、効率化の推進など。 |
作業の迅速化と効率化。 情報の保存や伝達を容易にし、日常業務を効率化すること。 |
適用範囲 | 企業全体。 業務プロセス、ビジネスモデル、顧客体験、企業文化など、広範な領域での変革を含む。 |
特定の作業やプロセス。 アナログからデジタルへの変換が主で、特定の業務やタスクのデジタル化に焦点を当てる。 |
利用技術 | 多様なデジタル技術 ・IoT ・AI ・ビッグデータ ・クラウドコンピューティング ・VR/AR など |
・スキャナー ・データベース ・電子メール ・基本的なオフィスソフトウェア など、デジタル化を支援する基本的な技術。 |
つまり、IT化は部分的なデジタル化を目指すのに対し、DXは企業全体の戦略的な変革を追求する広範な取り組みを指します。IT化はDXの一部として位置づけられることが多く、DXは長期的かつ包括的な視点で行われます。
なぜDX推進にRPAが最適なのか
RPAは、DX実現のフェーズである「デジタライゼーション」としての重要なツールです。RPAは業務効率化、コスト削減、データの可視化、柔軟な運用を実現することができます。
これにより、DX推進の基盤を築き、企業全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させることができます。
具体的には、RPAは定型的な業務を自動化し、従業員がより価値の高い業務に集中できるようにします。
さらに、導入が簡単で迅速に効果を実感できるため、企業はDXの初期段階をスムーズに進めることができます。自動化された業務プロセスは一貫しており、業務の標準化とデータの可視化も可能になります。
これにより、データに基づいた意思決定が可能になり、企業はAIやビッグデータ分析などの高度なデジタル技術を導入するための基盤を構築できるのです。
これらの理由から、RPAはDX推進において最適なツールと言えます。
DX推進のためのRPAの役割・有用性
本章では、DX推進においてRPA導入が適している企業やRPAで自動化できる業務、RPA活用のメリットをご紹介いたします。
DX推進においてRPA導入が適している企業
1.ルーティンや繰り返しの多い業務が存在する企業
企業が多くの定型的で繰り返し行われる業務を抱えている場合、RPA導入によってこれらの作業を自動化することで、大幅な効率化とコスト削減が可能です。特に、手作業によるデータ入力や転記作業、データの集計、請求書処理、在庫の突合作業、配送ステータス更新、メールの送信などのルーティン業務が多い企業に適しています。
2.人的ミスが頻発しやすい業務を抱える企業
経理業務などで正確性が求められる業務が多い部門は、RPAの導入により人的ミスを削減し、業務の品質を向上させることができます。
RPAは一貫して正確な作業を行うため、データの整合性と正確性を確保するのに適しています。
3.コスト削減が求められる企業
従業員のコスト削減や運用コストの削減が求められる企業にとって、RPAは非常に有効です。人件費の削減や効率的なリソース配分が可能となり、特に労働集約型の業務を多く抱える企業では、その効果が顕著です。RPAは24時間稼働できるため、夜間や週末の作業も自動化できます。
RPAで自動化できる業務例
RPAで自動化できる業務は様々ですが、弊社のお客様では主にデータ入力や更新作業、データダウンロード、データの取得、メール送信のような単純作業や定型業務で自動化されていることが多いです。
- Excelからシステム、システムからシステムへのデータの入力・転記作業
- Excelでのデータ集計
- システムや社内サーバーへのデータアップロード
- システム間のデータ連携
- 入金情報の突き合せ作業
- 在庫の更新作業
- Web-EDIからの発注データ登録作業
- 請求書の処理、発行
- 勤怠データの集計および会計システムへの転記
- 日報ダウンロード
- システムからの印刷業務
- TTM(仲値)の取得
- 電子帳簿保存法対応
- クライアントへの通知
業種や部門に関わらずご担当者様の業務を幅広く自動化することが可能で、上記以外でも様々な業務の自動化を実現できます。
ただ、初めての方には「自動化できそうな業務」というとイメージが湧きづらいかもしれません。例えば、下記のような処理がある作業にRPAが適しています。
DX推進によるRPA活用のメリット
業務効率化による生産性向上
RPAは、繰り返しのタスクや定型的な業務を自動化することで、業務効率を大幅に向上させます。今まで行っていた手作業をRPAに任せることで、人はより付加価値の高い業務に集中することができるようになります。例えば、データ入力や請求書処理などの手間と時間のかかる業務をRPAが自動化することで、業務全体のスピードが上がり、生産性が向上します。
人的ミス削減による品質の向上
RPAは正確に作業を行うため、手作業による人的ミスを大幅に削減できます。
そのため、業務の品質が向上し、漏れやミスによるエラーに伴うチェック作業や修正作業によるコストも軽減できます。特に、データの転記や計算などの精度が求められる作業において、RPAは非常に効果的です。
人材コストの削減
RPAの導入により、手作業の業務が減少し、人件費を削減できます。さらに、RPAは24時間365日稼働できるため、夜間や早朝、週末の業務も自動化できることから、残業代の削減が可能です。企業は人材リソースを戦略的な業務に再配置し、より高い効率を実現できます。
業務の見える化とプロセス改善
RPAで自動化することで、業務の流れを可視化できます。これにより、業務の進行状況やボトルネックを把握でき、業務フローの改善点を明確にすることができます。
自動化による属人化解消にもつながるだけでなく、退職や求職、産休育休などの理由による人材不足を埋めることも可能です。
コア業務への集中と価値の創造
RPAによる定型業務の自動化は、従業員がコア業務や今まで取り組むことができなかった業務に集中できる環境を創出できます。
そのため、企業は人材をより創造的で戦略的な業務にリソースを割り当てることができ、新たな価値の創造が促進されます。
RPA導入でDXを成功させるためのポイント
RPA導入は、DXを成功させるための重要なステップです。本章では、「適切な業務の選定」「スモールスタート」「利用者に適したツール選び」「効果測定による費用対効果の検証」といった成功のポイントを解説します。
適切な業務の選定
RPAの導入に適した業務を選定することが成功の鍵です。繰り返し行われる定型業務やルールベースの業務がRPAに最適です。業務プロセスを洗い出し、自動化が可能な部分を特定します。まずは手間がかかる簡単で単純な作業から自動化を始めて、なるべく迅速に成果を出すことをおすすめします。
最初から業務フローのすべてを自動化しようとせず、部分的にでも自動化できれば良いでしょう。
スモールスタートでの導入
RPA導入は、初めから大規模に展開するのではなく、スモールスタートで始めることをおすすめします。
例えば特定の業務や個人のタスクなど、小規模な作業の自動化から始めて成功体験を積み重ね、段階的に拡大していくことで失敗のリスクを抑えつつ、効果的に導入を進めることができます。
利用者にあった適切なツールの選定
企業のニーズに最適なRPAツールとベンダーを選定することも重要です。使いやすさ、機能性、運用コストなどを総合的に評価し、利用者にとって最適なツールを選びましょう。
また、ベンダーのサポート・フォロー体制など、導入後のサポートが充実しているかどうかを確認することが重要です。
効果測定による費用対効果の検証
RPA導入後は、定期的に効果を測定し、必要に応じて改善を行います。KPIを設定し、導入前後の業務効率やコスト削減効果を評価します。
実際の作業時間や工数の測定だけでなく、顧客満足度や精神的負担の削減など定性的な成果も見ていきましょう。
RPAを活用したDXの成功事例
成功事例1:新たなECモールへの参入による売上創出と残業時間削減を実現
三誠商事株式会社様は、RPA導入により新たなECモールへの参入を成功させ、売上創出と残業時間削減を実現しました。以前は、業務時間外に行う請求処理作業やECモールごとの在庫管理が負担となり、多くの時間と労力を費やしていました。
RPAを導入することで、これらの繰り返し作業を自動化し、リアルタイムでの在庫管理とデータ更新が可能となりました。結果として、手作業によるミスが減少し、作業効率が大幅に向上しました。さらに、残業時間が削減されただけでなく、新しいECへの参入が可能になり売上創出につながりました。
成功事例2:手書き書類や電子カルテ業務にAI-OCRとRPAを活用し医療DXを実現
医療法人社団平郁会様は、手書き書類や電子カルテの管理にAI-OCRとRPAを導入し、医療DXを実現しました。
以前は、手書き書類のデータ入力や電子カルテの更新作業に多くの時間と労力がかかっていました。
AI-OCRを活用することで、手書き文字を正確に読み取り、デジタルデータに変換することが可能となり、RPAを通じてこれらのデータを自動で電子カルテに反映させるプロセスを構築しました。これにより、手作業による入力ミスと作業工数が減少し、データ入力のスピードが大幅に向上しました。
また、処方情報の分析にスピーディに取り組めるようになり、年間で1,800時間の作業時間を削減し業務効率化できたとのことです。
成功事例3:サービスの質向上と業務効率化を実現し製造業DXを実現
光洋陶器株式会社様は、RPA導入によりサービスの質向上と業務効率化を実現し、製造業DXを成功させました。
以前は、ECサイトにおける在庫管理をはじめとする手作業でのシステム間連携や一括処理が多いことが課題でした。特にECサイトの在庫管理は時間外での在庫連携が難しい状況でした。
RPAを導入したことで、これらの作業を自動化し、ECサイトでも24時間体制での在庫連携が可能となりました。これにより、正確な在庫状況の表示や在庫切れのリスクを回避できるようになり、サービスの質が大幅に向上しました。
また、売上管理ファイルの作成や電子帳簿保存法対応などの作業も自動化できたことから、結果として、従業員は顧客対応などより重要な業務に集中できるようになり、全体的な生産性が向上しました。
まとめ
DXとRPAの違いを理解し、適切な戦略を立てることで、企業は競争力を大幅に強化することができます。RPAの導入は、業務効率化やコスト削減、品質向上に寄与し、DX推進の重要なステップとなります。適切な業務選定やスモールスタート、効果測定を行い、最適なツールを選定することで、RPA導入の成功を確実にしましょう。また、具体的な成功事例から学び、自社に合ったDX戦略を構築することが重要です。これからのデジタル時代に向け、RPAを活用してDXを推進し、持続的な成長を目指しましょう。
DXを取り組み始めたばかりの企業様のRPA導入なら「RoboTANGO」がおすすめ
DXを推進し始めたばかりの企業様には、「RoboTANGO(ロゴタンゴ)」のRPAツールがおすすめです。「RoboTANGO」は、初めてRPAを導入する企業でも扱いやすく、迅速な導入が可能です。
特に、中小企業向けに設計されており、使いやすいインターフェースと柔軟なカスタマイズが特徴です。また、RoboTANGOは低コストでの導入が可能であり、スモールスタートから段階的に拡大することができます。
さらに、手厚いサポート体制が整っており、導入前からのRPA作成支援を受けることができます。そのため、企業のご担当者様は安心してDX推進の第一歩を踏み出していただけます。