RPAは外注と内製化どちらを選ぶべき？外注のメリットやデメリット、選び方、注意点を解説

RPAの内製化とは

RPAの内製化とは、RPAの導入から運用・保守までを自社内で完結させることを指します。具体的には、業務を自動化するシナリオ（RPAロボット）の作成や、RPAの動作管理、エラー対応、業務変更に伴う修正などを自社の担当者が行います。
また、運用を安定させるために、シナリオの定期的な見直しや改善、社内でのナレッジ共有も必要です。
外部のベンダーに依頼せず、自社の判断で柔軟に運用・改善できる点が特徴です。

RPAの外注（外部委託）とは？

RPAの外注とは、RPAのロボット開発、運用・保守といった業務を、外部の専門業者（ベンダー）に外部委託することを指します。
自動化したい業務の内容をベンダーに共有し、業務フローの整理やシナリオ（ロボット）開発、テスト、導入後の修正や保守対応まで任せられるため、自社内にRPAの知見や人材がない場合でも、専門家の支援を受けて短期間で導入を進めることができます。
ベンダーによっては、外注する範囲を必要な部分だけに絞ることも可能です。

RPAの内製化と外注の違いを比較

RPAの内製化と外注の主な違いは以下の通りです。

RPAを内製化することでスピードや柔軟性、ノウハウの蓄積という面では優れていますが、体制づくりやスキル習得に一定の労力がかかります。
一方で外注は、専門家の支援を受けて短期間で導入できる反面、コストや改善のスピード面での制約があります。
自社のリソースや目的に応じて、どちらが適しているかを見極めることが重要です。

RPA開発を内製化する場合

RPA開発を内製化する場合は、主に初期導入費用とランニングコスト（月額のライセンス費用）が発生します。開発そのものを社内で行うため、外注費用はかかりませんが、RPAロボットを作成する工数は必要になります。
ノーコードで使えるRPAツールを選べば、数日〜1週間程度で小規模な自動化は可能ですが、大規模な業務や複雑な処理を自動化しようとすると、RPAの技術的な知識や運用設計が必要になるため、運用までに1〜2か月以上かかる場合もあります。

また、RPAを内製化する際のコストや期間は、RPAツールのタイプによっても大きく異なります。

タイプ	初期費用の 目安	月額費用 （ライセンス）	開発期間の目安
デスクトップ型	10万〜30万円	5～15万円/月	数日〜2週間
クラウド型	無料〜50万円	5,000円〜20万円/月	1週間〜1か月
サーバー型	50万〜100万円以上	10万〜100万円/月	1か月〜2か月以上

RPA開発を外注する場合

RPA開発を外注する場合は、初期費用や月額のライセンス費用に加えて、RPAロボット（シナリオ）の開発費用や運用・保守費用が別途発生します。
自社に専門スキルがなくても導入可能ですが、要件定義・仕様の説明・発注のやりとりに時間がかかる点には注意が必要です。また、業務が変わるたびに修正を依頼する必要があり、その都度費用と調整工数が発生します。

RPAを開発だけ外注した場合、納品されたロボットは基本的に“完成品”として引き渡されることが一般的です。しかし、実際の運用では以下のような調整が頻繁に発生します。

こうした作業は「運用保守」や「スポット改修対応」として、別途契約・費用で提供されるのが一般的です。ベンダーによっては、月額固定の保守契約を用意している場合もあれば、必要な都度に見積もりを出して対応するスポット型での運用が基本となる場合もあります。
いずれにしても、契約時に保守対応の範囲・費用条件をしっかり確認しておくことが大切です。

また、RPAエンジニアを自社に一定期間派遣してもらい、開発や運用支援を受ける「常駐型」の支援方法もあります。
この場合の費用は月額50〜100万円前後が相場で、短期（1〜3か月）から長期（半年〜）までの契約が多く見られます。
「スポット対応ではなく、伴走型で業務改善に取り組みたい」「要件整理から迅速に相談に乗ってほしい」といった場合には常駐型が良いでしょう。

RPA開発を外注するメリット

RPA開発を外注するデメリット

RPA内製化のメリット・デメリットは下記の記事で紹介していますので、よろしければ一読ください。

RPAを内製化した方が良い企業

RPAを内製化した方が良い企業は、継続的に自社で業務改善を進めていきたい企業や、現場主導で実務担当者が柔軟にRPAを活用していきたい企業です。

たとえば、定型業務が多く、今後も複数の部門でRPAを広く展開していきたいと考えている企業では、社内にRPAスキルやノウハウを蓄積できる内製化が効果的です。

また、業務フローや使用するシステムのUIが定期的に変わるような環境では、その都度ベンダーに依頼していてはスピードやコストの面で負担が大きくなるため、自社内で即時対応できる体制が有利になります。ノーコード型のツールを活用すれば、現場の非エンジニアが自らロボットを作成することも可能です。

さらに、「まずは自社でやってみたい」「できるだけコストを抑えてスモールスタートしたい」といった企業にも、内製化は有効な選択肢です。
最初は一部業務の自動化から始めて、効果や運用の感触を確認しながら、少しずつ社内展開を進めていくという段階的な導入がしやすいのも、内製化の大きなメリットと言えます。

RPA開発を外注した方が良い企業

RPAを外注した方が良いのは、どうしても社内のリソースや人材、スキルが不足しているため、自力での開発や運用が難しい企業です。

たとえば、業務の自動化を進めたいという意欲はあっても、RPAツールの操作に慣れた担当者がいない、あるいは業務部門・IT部門ともに手が回らないといった状況では、ベンダーに開発や保守を委託することで、最低限の工数でスムーズに導入を進めることができます。

また、複数の部署をまたいだ業務フローや、複雑で大規模な自動化を行う場合は、シナリオ設計の難易度が高くなりやすく、エラーや例外処理も複雑化しがちです。こうしたケースでは、品質を担保するためにも、経験豊富な外部パートナーに開発を委託する方がスムーズな立ち上げにつながる場合があります。

さらに、一度は内製化を試みたものの、エラー対応や業務変更に伴う修正作業が思った以上に負担となり、うまく活用しきれなかったというケースでも、外注への切り替えを検討するタイミングと言えます。
外部にロボットの作成・運用を任せることで、社内リソースを圧迫せずに、必要な業務の自動化を安定的に継続できます。

内製と外注のハイブリッド運用もあり

最近では、「すべてを内製」「すべてを外注」という二極化ではなく、内製と外注をうまく組み合わせた“ハイブリッド型”の運用を行う企業様もいらっしゃいます。

たとえば、最初の導入フェーズでは外部ベンダーに業務整理やロボット開発を任せ、安定稼働後に社内担当者へ徐々に引き継いでいくパターンや、基幹業務や難易度の高い業務は外注、ルーチン的な簡易業務は内製で対応するパターンなどがあげられます。
「社内のスキル状況」や「業務の難易度」に応じて柔軟に使い分けることで、無理なくRPAの活用を拡大できるのがハイブリッド運用のメリットです。
外注で得た知見を活用しながら、少しずつ内製のノウハウを育てていく流れも現実的です。

要件定義をしっかり行う

「どの業務を、どの範囲まで自動化したいのか」を明確にすることが、外部委託する際の重要なポイントです。
たとえば、「この業務は何時までに終わらせたい」「エラーが起きたときはメール通知してほしい」など、具体的な要望や業務フローを事前に整理して伝えることで、後々の認識違いや再開発を防げます。
準備が難しい場合は、業務の画面操作を動画で撮っておくだけでもベンダーとの打ち合わせがスムーズになります。

運用後のサポート体制も確認しておく

RPAは導入して終わりではなく、運用中にエラー対応や軽微な修正が必要になることがよくあります。
そのため、外注先が「納品後の問い合わせ対応」や「定期的なメンテナンス」にどこまで対応してくれるのかを事前に確認しておくことが重要です。
運用後のサポート費用が別途発生することもあるため、契約内容をよく確認しておきましょう。

費用の内訳と追加対応の条件を明確にする

「開発費用」「ライセンス費」「保守費用」など、RPA外注にかかる費用は複数に分かれていることが多く、初期費用が安く見えても、追加対応や変更ごとに費用が発生することがあります。
たとえば「月額の保守費にはどこまで含まれるのか」「仕様変更が発生した場合の見積もり単位はどうなるのか」など、あらかじめ聞いておくことで予算超過のリスクを減らすことができます。

属人化を防ぐ工夫を

ベンダーにすべて任せきりにしてしまうと、「どう動いているのか分からない」「ちょっとした修正ができない」といった属人化リスクが生まれます。
納品時には、ロボットの仕様書や操作マニュアルの提供を依頼したり、操作レクチャーを受けたりするなどして、社内でもある程度の理解を持てる状態にしておくと安心です。

将来的な内製化も視野に入れておく

将来的に「他の業務も自動化したい」と考えている場合は、一部業務だけ外注し、内製化のきっかけとして位置づけるのも一つの方法です。
たとえば、最初の導入支援は外部に依頼しつつ、納品後は社内で修正や再利用ができるような設計にしてもらうことで、無理なくRPA活用の幅を広げていけます。

スターティアレイズなら内製化も外注もどちらも支援いたします

スターティアレイズでは、企業の業務課題や体制に応じて、RPAの内製化・外注のどちらにも対応できる支援体制を整えています。
自社でRPAを運用していきたい企業様にはノーコードで使える国産RPAツール「RoboTANGO」をご提供しております。RoboTANGOは初めての方でも直感的に操作でき、さらにフローティングライセンスのため複数のPC端末にインストールしてご利用いただくことが可能です。スモールスタートから段階的な内製化に最適です。

リソース不足や早期導入のニーズがある企業様には、RPAロボットの構築をまるごと代行する「まるなげRPA」サービスをご用意しております。要件整理から開発まで一貫してお任せいただけます。

また、定型業務だけでなく一部に判断が必要な非定型業務が含まれるようなケースでも、業務全体を最適化する「BPS（ビジネス・プロセス・サービス）」として対応可能です。
RPAだけにとらわれず、お客様の業務プロセス全体を見直し、本質的な改善をご提案できるのがスターティアレイズの強みです。

内製か外注かで迷っている方も、ぜひお気軽にご相談ください。