中小企業がRPAを導入すべき理由

まずは、中小企業がRPAツールを導入すべき理由にはどんなものがあるのか、確認しましょう。

少子高齢化による働き手不足

日本はここ数十年にわたって出生率が低下し、それにともない人口減少が続いています。それに比例して生産年齢人口、つまり働き手が不足するという事態が、景気の状況にかかわらず長い期間続いています。

その反対に、進んでいるのは高齢化です。高齢化が進むことは、働ける人口が減ることを意味します。

実際、内閣府の資料によると日本の生産年齢人口は2002年に約8,600万人でしたが、2015年には約7,700万人にまで減少しています。その反対に、総務省の資料によると高齢者人口は2,000年には約2,250万人でしたが、2015年には約3,500万人へと増加しています。そして、この2つの傾向は今後も加速すると予想されています。

働き手が減るということは、よい条件で人材募集を行っても応募者や採用者が現れないことを意味します。採用活動に力を入れることは働き手不足対策のひとつですが、生産年齢人口は増える見込みがない以上、別の解決法を探ることを考える必要も生じます。その解決法の一つとして、RPAツールが考えられるというわけです。

働き方改革により、業務改善が求められている

2019年4月から施行したいわゆる働き方改革関連法案は、企業の規模を問わず重要な経営課題であると認識されています。この法案が施行された背景には、上に挙げた生産年齢人口の減少、働く方のニーズの多様化などが挙げられれます。これをどのように解消したいか、について、政府や厚生労働省は「投資やイノベーションによる生産性向上」と述べています。

この「イノベーション」及び「生産性向上」のためのツールの一つがRPAなのです。

「働き方改革」の最終目的は、「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指す」ことです。

RPAツールを導入すれば業務の向上性や業務時間の削減が期待でき、それにともなって残業時間の削減や社員の健康が向上すると考えられます。これは働き方改革の目的と親和性が非常に高いものといえます。

中小企業がRPAを導入するメリット

それでは、中小企業がRPAツールを導入するメリットをご紹介します。

コスト削減

RPAツールはロボットを作成し、実行させた後は休みなく稼働できます。その上、人を雇う時に発生する採用・教育・人件費などに対するコストは発生しません。この点を考えるだけでも、コストが削減できることは明白です。また、働き手不足の解決にも役立ちます。

また、RPAツールの導入事例をいくつか見てみると、「導入により○○の業務時間を年間で××時間削減」などのフレーズが目に付くはずです。RPAツールは膨大な件数をミスなく処理できるため、業務時間が削減できる可能性は高いといえます。業務時間の削減は、業務にかかるコスト削減にもつながります。

実際、MM総研がRPAツールを導入済みの企業に実施したアンケート結果では、RPAツールへの満足度が高い理由の第2位に「人手不足が解消につながった」が、第3位に「残業等の削減ができた」が挙げられています。

生産性向上

ヨーロッパ生産性本部によると、生産性とは「生産諸要素の有効利用の度合い」を表します。生産、つまりものやサービスを産み出すために必要なリソースをどれくらい効率的に利用できるか、少ないリソースで最大のものやサービスを生み出せるか、という意味合いです。

生産性を表す指標はいくつかありますが、最も単純なものは「アウトプット(産み出された製品、サービスなど)÷インプット(投入した資源)」で示される指標です。この数値を向上させるためには、分子であるアウトプットを増やすか、分母であるインプットを減らすかのどちらか(あるいは両方)を行う必要があります。

ただ、アウトプットは自社のみで決められるものではないことがあります。例えば、お客様の要求や需要などが影響するため、いくら努力しても増えないこともあります。一方でインプットを減らすことについては常に改善の余地があります。この「インプットを減らす」ことを徹底的に行っているのが「カイゼン」「カンバン方式」などの概念を産み出したトヨタ自動車です。

このアウトプットを減らす手段の一つがRPAツールの導入・運用です。RPAツールを運用することにより、業務にかかる時間を削減できれば、インプットを減らせます。

コア業務にリソースを割ける

社内の業務効率化を行う上で考えるべき概念として「コア業務」「ノンコア業務」があります。「コア」とはものごとの中心・中核という意味ですが、それでは「コア業務」「ノンコア業務」とはどんなものなのでしょうか。

コア業務とは、企業の利益や売上を直接生み出す業務のことです。これは企業が利益を生み、存続させていくためになくてはならないものです。コア業務は型が決まっていないものの、難易度が高いものであることが多く、また専門的な判断を必要とします。具体的にコア業務を行っている部門の名前を挙げるとすると、企画・営業・新規事業部門などが該当します。

その反対に、ノンコア業務とは直接利益や売上を生みませんが、コア業務をサポートする部門です。具体的にノンコア業務を行っている部門の名前を挙げるとすると、総務・経理・人事部門などが該当します。

コア部門が行っている業務でも、コアな業務とそうでない業務があります。この2つを見分けるポイントは、直接利益や売上を生み出しているかどうかです。例えば、営業部門のコア業務、ノンコア業務は以下の通りです。

  • 【コア業務】…顧客の問い合わせへの対応、商談(営業活動、プレゼンテーション)など
  • 【ノンコア業務】…提案書作成、営業リスト作成、経費精算、日程調整など

コア業務にリソースを投入することは、生産性を向上させ、利益を生み、企業を存続させることにつながります。そのため、企業にとってコア業務に集中することは企業にとっても社員にとっても重要なことなのです。RPAツールにノンコア業務を任せ、人間はコア業務に集中することで生産性を向上させられることが期待できます。

中小企業でRPAを導入する際の選定ポイント

それでは、中小企業がRPAツールを導入する際には、どんなポイントに注意するべきなのでしょうか。大企業と中小企業の違いは、予算や人員といったリソースの少なさです。予算や人員が限られている中、どんな点を注意するべきなのかをご紹介します。

予算に合った価格か

多くの企業では活動に対して予算が割り当てられているはずです。新しいツールを導入する際においても同様ではないでしょうか。

せっかくRPAツールを導入しても、予算オーバーしたものであれば生産性を落としてしまいかねません。また、予算オーバーしているツールは、中小企業に見合わないスペックであることもあります。そのため、導入したいツールが予算にあった価格であるかは重要なポイントです。

非エンジニアでも作成できるか

RPAツールはロボットを作成し、運用することで業務を効率化します。このロボット作成にはプログラミングの知識を必要とします。

そのため、プログラミング人材に乏しい企業は人材を採用する、トレーニングを行ってロボットが作成できる人材を育成するなどを行わなければなりません。しかし、これには時間も予算もかかります。

また、社内にプログラミング人材がいたとしても、その人しかロボットを開発できないのであれば気軽にRPAツールを触れる状況とはいえません。当該部署の社員が気軽にロボットを開発したり修正したりできる環境でなければ、RPAツールを導入したとしてもやがて使われなくなってしまいます。

それでは、プログラミング人材に乏しい中小企業がRPAツールを導入したい場合はどうすればよいでしょうか。ソリューションのひとつとして当ページから提案したいのは、プログラミング不要のRPAツールを選ぶことです。

近年はパソコン上で行われる作業を録画し、その内容からロボットを自動的に作成するRPAツールが登場しています。このようなツールを導入すれば、プログラミング人材が不足している中小企業でも業務を効率化することができます。

サポート体制は充分か

RPAツールに限った話ではありませんが、どんなツールを導入した場合でもサポート体制は十分チェックすべきです。特にRPAツールのような操作に不安のあるツールを導入する場合、ベンダーからどんなサポートを得られるのかをチェックしましょう。

現在日本の法人が利用できるRPAツールのサポート内容として一般的なものは、FAQやユーザーコミュニティの提供、メールやチャットボットで質問を行えるなどのサポートです。これらのサポートは便利ですが、即座に問題を解決できないなどの欠点があります。

そこで、特にRPAツールの運用やトラブル、保守管理などに不安のある企業は、固定の担当者によるサポートやヘルプデスクによるサポートを得られるRPAツールを選ぶとよいでしょう。また、RPAツールの運用支援会社などを頼ることもおすすめします。

中小企業でRPAを導入する際の注意点

さらに、ここからは中小企業がRPAツールを導入する際、どんなことに注意すればよいのかをご紹介します。

スモールスタートで導入

RPAツールの導入事例を見ると、「年間数千時間の業務時間を削減」「今まで丸1日かかっていた業務が1分で終了」などの声が散見されます。そのため、RPAツールの導入に関しては大きな期待を抱いている方も多いでしょう。

しかし、RPAツールの導入においてはあえてスモールスタートで導入すると成功しやすいとお伝えします。その理由は以下の通りです。

まず、RPAツールは向いている業務とそうでない業務がはっきりと分かれています。どんな業務が向いているのかというと、手順が決まっている業務や処理件数が多い業務です。

RPAツールを導入する際には、当該部門の業務を棚卸しし、これらの条件に当てはまる業務、つまりRPAツールに任せたい業務をピックアップします。それらの中から1つか2つの工程ををロボットに覚えさせ、実行させます。実行したらうまくいっているかの効果検証を行い、うまくいっている場合はさらなる改良点を、うまくいっていないのであれば改善点を探ります。いわゆるPDCAサイクルを常に回していくことが、RPAツール運用のポイントです。

RPAツールの運用にはこのような工程を経る必要があります。やるべきタスクは多いといえるでしょう。そのため、一気に多くの業務をRPAツールに任せるのではなく、1〜2つなど小規模に始めるのがよいといえます。そして、このPDCAサイクルがうまく回るようになったら複数の作業を任せる、あるいは他部署に展開していくといったステップを踏むとよいでしょう。

RPAツールでできること・できないことを理解する

先ほども言ったように、RPAツールには向いている業務と向いていない業務があります。よりシンプルにいうと、できることとできないことがはっきりしているツールなのです。

そのため「せっかくRPAツールを導入するのだから、どんな仕事も任せたい」「ひとまず面倒くさい業務を自動化したい」といった考え方では、RPAツールの導入・運用はうまくいかないでしょう。RPAツールは企業の面倒ごとを全て解決してくれる救世主ではありません。

ポイントは、RPAツールで自動化できること・できないことを理解し、導入部署の業務でどんな業務が該当するのかを把握することです。この過程においては、部署内の全ての業務を書き出し、自動化したい業務を決定してください。なぜなら、業務を棚卸しすることそのものも、業務効率化プロジェクトの一環だからです。

対応OSを確認する

OSとはOperating Systemの略で、パソコンやスマーフォンに搭載されているソフトやアプリケーションを動かすための仕組みです。Apple製品にはiOSが、Microsoft社製品にはMicrosoft Windowsが搭載されています。

自社で導入したいRPAツールは、自社で導入されているパソコンのOSに対応しているかを確認しましょう。近年はiOSもしくはMicrosoft Windowsであればどちらにも対応している製品が多いですが、まれにiOSが未対応などの製品がありますので、念のため確認することをおすすめします。

中小企業におすすめのRPA「RoboTANGO」

それでは、果たして中小企業におすすめのRPAツールはどれなのでしょうか。現在日本の法人が利用できるRPAツールは20以上あり、どれも使い勝手やセキュリティ、サポートに力を入れているものばかりです。そのため、「結局どのツールがいいの?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

当ページが特に中小企業におすすめしたいRPAツールが、スターティアレイズ株式会社が提供する「RoboTANGO」です。理由は以下の通りです。

低価格で導入できる

中小企業だと特に、新しいツールを導入したいけど予算が限られているケースが多いことでしょう。RoboTANGOは1ライセンスあたり50,000円、最低利用期間は1ヵ月から始められます。また、繁忙期のみ契約ライセンスを増やすといったことも可能です。この価格体系は気軽に導入できるため、初めてRPAツールを導入する企業や予算の限られた中小企業におすすめです。

サポート体制が充実している

新しいツールを導入する際、手厚いサポートを望むという人も多いはずです。RoboTANGOはユーザー専用のサポートサイトをご用意します。操作でわからないことがある場合はサイト内を検索して調べたり、質問を投げたりといったことが可能です。また、プランによっては固定の担当者によるサポートやオンラインサポートを提供することもあります。初めてRPAツールを運用する際には心強いですね。

簡単に使い始められる

RPAツールを運用する上での最初の、そして最大のハードルはロボット作成です。RoboTANGOは画面上の操作をそのまま録画することができる録画機能を搭載しています。そのため、初心者でもスムーズにロボットを作成できると好評を得ています。

1アカウントで複数拠点・人数で使える

初めは1つのパソコンでロボットを運用していたけど、RPAツールの運用に慣れてきたり評判が社内で広まったりしたことで、他の社員や支社でもRPAツールを使いたいシーンもあるかもしれません。

RoboTANGOは1つのライセンスを複数のパソコン端末で使えるフローティングライセンスを標準搭載しています。そのため離れた拠点や部署間でもアカウントを使えますので、低コストでRPAツールを利用できます(ただし、1ライセンスを同時利用はできませんのでご了承ください)。

まとめ

今回は中小企業こそRPAツールを導入すべきである、という内容とその理由、また中小企業がRPAツールを導入して得られる効果やおすすめのツールなどをご紹介しました。これを読んで中小企業のご担当の方が、RPAツールに興味を持っていただけましたら幸いです。

近年大企業のRPAツール導入率は一定のピークに達し、代わって中小企業がRPAツールを導入して成果を挙げているという話を聞くようになりました。しかし残念ながら、成功事例と同じくらい失敗事例や「導入しようとしたけれど反発にあった」という話も耳にします。

これは何もPRAツールに限った話ではありません。最近「デジタルトランスフォーメーション(DX)」のワードが広まりつつあります。これは「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことと定義されています。しかし、この概念をより簡単にいえば、アナログのものや仕組みを「デジタル化」し、よりよい方向や体験を得ることなのです。

このDX化に関してはいろいろな企業が取り組んでおり、また政府も補助金制度などで支援する方針を打ち出しています。しかし現在、企業間でDX化に向けた取り組みについては、あまりスムーズに進まないというのが現状のようです。例えば、ある会社でトップがDX化を宣言したら、現場の社員から「自分の仕事がなくなるのではないか」いう反発があるそうです。中には社長がDX化を宣言しただけで退職者が頻発した会社もあるほどだそうです。特にトップダウンでDX化を宣言するとこのようなケースが見られるように感じます。

現場での反発を抑え、スムーズにツールを導入する方法は一つではありません。しかし重要なことは、社員一人ひとりに「このツールを導入すれば、あなたの仕事はもっと楽になりますよ」「仕事が奪われるのではなく、ノンコア業務をツールに任せてコア業務に集中したり、残業をしなくて済んだりしますよ」と訴えることです。そしてそれでも不安を覚える社員にはきめ細かいサポートを行うことも必要でしょう。また実際に業務の棚卸しやロボット開発に参加してもらい、RPAツールの導入に当事者意識を持ってもらうことも重要です。

DX化は経営戦略とも密接に結びついているためトップダウンで行うことが一般的ですが、RPAツールの導入は必ずしもそうでなければならないわけではありません。先ほど伝えたように、RPAツールはスモールスタートから始めることが推奨されるからです。

ただ、RPAツールを導入することで反発や退職がないとはいえないかもしれません。

しかし、現場で働いている社員は、多かれ少なかれ定型業務や膨大な件数を処理しなければならない業務に苦痛や改善の余地を感じているのではないでしょうか。そんな社員に対して、「RPAツールを導入したら仕事が楽になる」「ノンコア業務をRPAツール任せて生産性を向上させられる」というイメージを持たせられるかがポイントなのではないでしょうか。

現在ホワイトカラーのビジネスパーソンが従事しているオフィスワークの特徴として「とにかくやることが多すぎる」「紙とデジタルが並存している」「パソコンが普及したことでかえって仕事の強度が高まっている」などがあります。実際、これほどまでに次から次へと業務が降ってくるのであれば、いくらパソコンがあるとはいえ人がインプットしているだけでは間に合わないという印象を受けます。それなら、ツールに任せた方がよい、特に得意分野がはっきりしているツールがあるのならそのツールに任せたいという考えは自然なものではないでしょうか。特に、RPAツールが得意としている手順が決まっている業務や処理件数が膨大な業務は、人間が行うと決まりきっているわりに時間がかかったり、ヒューマンエラーが起こりやすいという欠点があるはずです。もちろん、RPAツールはこれらのデメリットをカバーした上で生産性向上や業務時間の圧縮という効果を達成できるツールです。

RPAツールの導入を検討している方向けに、国内で流通しているツール20個をピックアップし、比較資料としてまとめました。ぜひダウンロードしてご覧ください。

【2022年度版】RPAツール比較20選

【2022年度版】RPAツール比較20選

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