RPAとは?メリット・デメリットや仕組み、導入方法など徹底解説

近年、政府による働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)化が促される中、ロボットによって業務を自動化する「RPA(アールピーエー)」を導入する企業が増えています。 そんな中、「そもそもRPAとは何かがわからない」「RPAのメリットとは何か?」「なぜ多くの企業が導入しているのか?」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、RPAとは何かからはじめ、導入のメリットやデメリット、成功事例や導入ステップ、ツールの選定ポイントなどを詳しく解説します。
RPAを最近知ったという方も、RPAの導入を検討しているという方も、この記事を読んでRPAへの理解を深めていきましょう。

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知識

目次

    RPAとは

    RPAとは、Robotic Process Automationの略で、「ロボットによるプロセスの自動化」という意味です。デジタルレイバー(仮想知的労働者)と呼ばれるロボットが、人間に代わってさまざまな業務をこなしてくれるソフトウェア、またはその仕組みのことを言います。

    たとえば、売り上げレポートや請求書の作成、顧客名簿や販売データの入力作業など、主にコンピューターを使ったデスクワークを自動化できます。

    RPAの仕組み

    RPAは、ユーザーが作成したシナリオに従って作業するソフトウェアです。そのため、RPAを作動させるにはまず、業務手順を示したシナリオを作成する必要があります。「シナリオの作成」と聞くと、コードを書き込んだり、プログラミングをしたりと、何かと難しいイメージがある方もいるでしょう。しかし、近年提供されているRPAの多くは、人によるマウスやキーボード操作を認識するものが一般的です。そのため、ITの専門知識やスキルがない人でも、普段の業務手順をそのまま実行するだけで、簡単にシナリオを作成できてしまいます。
    ただし、シナリオが間違っていると間違った手順のまま作業が進行します。簡単と言えども、シナリオの作成には細心の注意が必要です。

    シナリオ作成後はボタン一つで自動化を実行するか、あるいは指定した時間にRPAが自動で作動するよう設定するだけ。ロボットが人間に代わって業務を自動化します。一度作業を開始すれば、エラーが起きない限り継続して作業します。人間と違ってRPAはロボットです。休む必要なく24時間365日稼働できるため、大量の入力作業などを任せれば、大幅な工数短縮・業務効率化が期待できます。

    ただし、エラー発生時には人間が対応する必要があります。エラー発生時の対応者を決めたり、マニュアルを作成したりなど事前に体制を整えておくと、スムーズな運用ができるでしょう。

    RPAの特徴

    RPAの特徴は3つ。詳しく説明していきます。

    定型業務や反復業務を自動化できる

    RPAは、定型業務や反復業務を自動化できます。たとえば、データの転記やファイルのアップロード、請求書発行やメールの送信などさまざまなデスクワークの自動化が可能です。こうした定型業務や反復業務にRPAを導入することで、業務時間を短縮できるだけでなく、入力ミスなどの人的ミスを防ぐことも期待できます。

    24時間365日稼働できる

    RPAはロボットです。コンピューターなどの環境が正常でさえあれば、昼夜関係なく24時間365日稼働できます。もちろん、人間と違って疲労の概念もないので、作業スピードが低下することもありません。人間が行うと時間がかかる作業を、正確かつ高速に処理できるため、業務効率は確実にアップします。

    プログラミングスキル不要で誰でも作成できる

    RPAはVBAなどと違って、プログラミングスキルはいりません。多くのRPAツールは、操作パネルに従って操作するだけの扱いやすい設計がされているため、IT関連の専門知識がなくても、誰でも簡単に作成できます。
    しかしながら、エラー発生時などは、プログラミングスキルがあるとスムーズな解決ができます。そのため、プログラミング未経験者のみでRPAの導入を進める場合は、ベンダーによる勉強会に積極的に参加したり、しっかりとしたサポート体制があるRPAツールを選んだりと、運用体制を整えるといいでしょう。

    RPAが注目されている背景

    RPAツールが多くの企業から注目され、導入されているのはなぜでしょう?
    ここでは、RPAが注目され求められている背景を見ていきます。

    少子高齢化に伴う働き手不足

    少子高齢化に伴う働き手不足はRPAの推進を後押ししていると考えられます。日本では、生産活動における中核となる15歳~64歳の生産年齢人口が減少傾向にあります。こうした中、人間に代わって業務を自動化できる技術があれば注目されるのは当然でしょう。
    RPA導入で一部業務を自動化すれば、数人分もしくは数百人分もの仕事を代替できます。
    RPAは今後さらに深刻化していく労働力不足問題を解決するテクノロジーの一つとして期待されています。

    働き方改革の推進

    RPAは、働き方改革の推進をサポートするツールとしても注目されています。政府が打ち出した働き方改革は、限られた労働力で生産性を維持することを目的の一つとしています。
    RPA導入で一部業務を自動化すれば、従業員の業務負担を軽減でき、コア業務に専念できる時間が増やせます。従業員がコア業務に専念できるようになれば、生産性の向上が期待できます。
    RPAの導入でリソースの有効活用をすることで、働き方改革の推進に貢献すると期待されています。

    DX推進によるビジネスモデルの変革

    DX推進によるビジネスモデルの変革もRPAが注目される理由のひとつです。「ITの活用による生産性の向上」は、DXの推進において極めて重要なテーマ。企業は積極的にITを活用し、新しいビジネスモデルのもとで成長戦略を描いていく必要があります。RPAはそれを成し遂げるためのITソリューションです。
    RPAを導入し、単純で非効率な作業はロボットが代行。人間は人間にしかできないより付加価値の高い業務に注力でき、生産性を向上することが期待できます。

    RoboTANGOサイトのキャプチャ

    初心者でもカンタンに
    使いこなせるRPA“RoboTANGO”

     

    得意なこと・苦手なこと

    さまざまな業務を自動化できるRPAですが、人間が行うすべての業務を自動化できるわけではありません。RPAで何でも自動化しようとすると、開発や保守に時間がとられて「自動化しないほうがよかった…。」といった事態になりかねません。

    RPA導入を失敗に終わらせないためにもここで、しっかりとRPAが得意なことと苦手なことを確認しておきましょう。

    得意なこと

    RPAが得意とする作業は、以下の3つ。

    • ルールが決まっている作業
    • 複数のツールやシステムを横断した作業
    • 大量のデータを扱う作業

    具体的に見ていきましょう。

    ルールが決まっている作業

    ルール(業務手順)が決まっている作業は、RPAが最も得意とする業務です。たとえば、請求書の作成や発注処理、伝票整理やデータの転記などの定型作業や、メールの送受信や顧客情報のリストアップなどの反復作業。RPAはルールさえ決まっていれば、人間よりはるかに速く正確に作業できます。

    複数のアプリケーションを横断した作業

    RPAは、複数のツールやシステムを横断した作業も得意とします。たとえば、複数部署で使用しているExcelファイルを社内システムに転記する作業や、Webサイトから企業の住所や事業内容などを取得してExcelにまとめたりできます。

    社内システムだけで作業が完結する場合は、そのシステムを調整すれば業務を自動化できるケースもあるでしょう。しかし、複数のアプリを横断する場合はそうはいきません。RPAであれば、複数のアプリにまたがる作業も自動化できます。どのアプリを連携させられるかはRPAツールによって異なりますが、ExcelやWordなどマイクロソフトオフィスのアプリには対応しているものが多いです。

    大量のデータを扱う作業

    RPAは大量のデータを扱う作業も得意です。RPAの処理速度は人間の比べものにならないほどスピーディー。かつ、RPAは休むことなく継続して稼働できます。そのため、大量のデータ収集やデータ分析は、人間が行うと膨大な時間がかかってしまいますが、RPAは人間よりも速く処理できます。
    さらに、人間が行うと入力ミスなどの人為的ミスも発生しますが、RPAはミスなく正確に作業します。このように、作業のスピード・正確さ・労働時間といった点で、大量データの処理は人間よりもRPAの方が向いていると言えます。/

    苦手なこと

    次に、RPAが苦手とする作業を見ていきましょう。

    人間の判断を要する業務

    RPAはAIではありません。そのため、イレギュラーな事態に対して自ら判断を下すような業務はできません。たとえば、顧客名簿の作成業務において、半角英数字しか入力できないメールアドレス欄に誤って住所が入力されていたとします。人間であれば、本来入力すべき住所欄に訂正し、メールアドレスは要確認事項として作業を進められます。しかしRPAの場合は、メールアドレス欄に読み取った住所をそのまま入力しようとしてしまいます。結果、エラーとなり、その後の作業は中断してしまいます。

    ただし、この程度のイレギュラーは「半角英数字以外の文字列が入力されていた場合はスキップして次に進む」または「担当者にアラートする」などの処理手順を、事前に設定しておくことで回避できます。つまり、逆にいえば、事前にしっかりと設定さえしておけばイレギュラーな事象にも対応できると言えます。

    RPAは、あくまでも「事前に指示されたシナリオに従った作業しかできない」ことを念頭に慎重なシナリオ作りをしていきましょう。

    複雑な処理が求められる業務

    複雑な処理が求められる業務もRPAが苦手とする業務のひとつです。ルールが多くあまりに複雑な業務に対しては、一部を自動化したり、業務プロセス自体を見直したり、工夫をしてRPAを導入する必要があります。

    たとえば、RPAでExcel上の複雑な処理を全て自動化するのは難易度が高いですが、Webシステムからデータをコピーし、Excelシートに貼り付けるまでの集計業務をRPAに実行させます。その後の複雑な集計処理は、Excelマクロなどで処理するという組み合わせも考えられます。

    RPAを導入するメリット・デメリット

    ここでは、RPAを導入するメリットとデメリットを確認していきます。メリット・デメリットを事前に理解することで、効果的なRPA導入につなげましょう。

    メリット

    RAPを導入するメリットは、「自動化による業務効率化」と「コスト削減」、そして「コアな業務にリソースを割ける」の3つ。それぞれ具体的に見ていきましょう。/

    自動化による業務効率化

    自動化による業務効率化はRPA導入の最大のメリットです。RPAはルールに従って淡々と正確に業務を遂行します。人間よりもはるかに速いスピードで作業を代行するため、作業工数を大幅に削減できます。また、処理速度が速いだけでなく、正確に業務を遂行します。手戻りがなくなることでプロジェクトのスケジュール管理もしやすくなり、全体的な業務効率化につながります。

    コスト削減

    RPAの導入により、人間が行っていた作業はロボットが代行します。そのため、人件費を削減できるというメリットがあります。たとえば、10人チームで行っていた作業の一部をRPAが代替することで5人のチームに縮小できれば、単純に人件費が5人分削減できます。またRPAはロボットなので、残業代や休日出勤手当の必要がありません。これまでかかっていた残業代や休日出勤手当も削減できます。

    もちろん、RPAの導入・運用にも費用がかかります。しかし一般的に、RPAによる業務の代替で削減できる人件費と比較しても、RPAの導入・運用にかかるコストの方が安く済むと言われています。
    特に業務量が多く社員の負担となっている業務にRPAを導入すると、大幅なコスト削減効果が期待できます。

    コアな業務にリソースを割ける

    コアな業務にリソースを割ける点もRPA導入で享受できるメリットです。RPAの導入により、社員は単純な定型作業から解放されます。こうして社員がコア業務に専念できる環境が整えば、より質の高い仕事ができ、企業全体の生産性の向上につながります。
    結果、生産性の向上だけでなく、新しいビジネスチャンスを生み出す機会にもつながるでしょう。

    デメリット

    RPAには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。「情報漏えいのリスク」、「業務がブラックボックス化する可能性がある」、「業務が停止する恐れ」といった、デメリットになり得る点を見ていきましょう。

    情報漏えいのリスク

    RPAを導入するデメリットのひとつに、情報漏えいのリスクが挙げられます。たとえば、RPAがネットワークにつながっていれば、不正アクセスされたり、ロボットを乗っ取られたりと情報漏えいの可能性はゼロではありません。
    情報漏えいを防止するためには、アクセス権限を設定したり、IDやパスワードを暗号化したりといった対策をとる必要があります。またデータへのログの監視なども有効です。

    業務がブラックボックス化する可能性がある

    RPAの導入によって、業務がブラックボックス化する可能性があることもデメリットのひとつです。RPAは一度指示をすれば自動で継続的に業務を行います。担当者が異動や退職になった際に、そのまま継続して稼働させているとどうでしょう。適切な引継ぎを怠ってしまうと、作業手順やルールなどがブラックボックス化してしまう可能性があります。
    RPA化した業務をブラックボックス化させないためにも、誰が見てもわかるようにマニュアルを作成するなどし、情報共有をすることが必要です。

    業務が停止する恐れ

    RPAは何らかの原因で停止する恐れがあります。停止する原因としては、システム障害やネットワーク障害、ブラウザのバージョンアップやOSのアップデートなどさまざまな要因が考えられます。
    RPAに関わる周辺設備も含め、日々のメンテナンスを行うことで停止リスクは低減できます。また、RPAが停止したときの対応方法を決めておくことも重要です。トラブル発生時のマニュアルやルールを作り、誰でもすぐにトラブルに対処できるよう体制を整えましょう。

    RPA導入による成功事例

    RPAの基本をおさえたところで、RPA導入による成功事例を紹介します。成功事例を通して、自社でのRPA活用イメージをもちましょう。

    事例1 東邦レオ株式会社

    東邦レオ株式会社は、緑化資材、造園資材、建築資材などグリーンインフラ技術による都市基盤整備や新たなまちづくりなどを展開するコミュニティディベロップメント企業。RPAについては、社内で取り組んでいるスタッフがおり、無料のRPAツールを使っていました。しかし、その無料RPAツールはサポート体制が不十分で英語環境。サービス体制と今後の運用に限界を感じていました。

    そこで行き着いたのがスターティアレイズ株式会社が提供する有償RPAのRoboTANGO。導入前から何でも相談でき、一緒に作りこんでいく手厚いサポート体制が導入の決め手となりました。
    RoboTANGOで、基幹システム内のデータを顧客管理ツールのデータベースにアップロードする業務を自動化。ユーザーに寄り添ったサポート体制のもと、安心してRPAを運用しています。

    事例2 東芳紙業株式会社

    東芳紙業株式会社は、印刷用紙をはじめ封筒や梱包資材などの紙素材の卸売りをする企業。たくさんの定型業務が月初に集中し、作業負荷が大きいことに悩んでいました。

    そこでRPA推進担当者がいくつかのRPAサービスを比較し、RoboTANGOに決定。決め手は、自分で扱える(簡単操作)点と、1ライセンスにつき最大5人使える点でした。
    RoboTANGOは、月初に集中する請求書の発行や支払いといった会計業務や、これまでExcelで作成していた配達リストの作成、販売管理システムとの連携などを自動化。スタッフの業務負荷を軽減するだけでなく、作業時間の短縮、さらには業務の属人化も解消し、満足のいく運用となっています。

    事例3 エイトレント株式会社

    主にBtoB向けの什器備品レンタル業を展開しているエイトレント株式会社。全社的にBPM(ビジネスプロセスマネジメント)活動を開始し、RPAもその一環として導入しました。導入したのは、株式会社スターティアレイズが提供する有償RPAのRobo-Pat。RPA導入時にはいくつか製品を比較し、トライアルも行いました。自己改善型の組織づくりを目指す同社の「現場の人間がロボットを作るべき」という信念のもと、最終的に操作性とサポートの優位性でRobo-Patに決定。

    Robo-Patの導入で、Excelと基幹システムの連携や売上見込み報告の確認を効率化し、400~450時間もの工数を削減しました。
    BPM活動では最終的に全社で年間18,000時間の削減を目指しており、これにはRPAの浸透は欠かせません。今後も教育に力を入れ、RPA全社展開の本格化を目指すそうです。

    事例4 株式会社イーエムネットジャパン

    株式会社イーエムネットジャパンは、主に中小企業や地方企業を中心にインターネットに関する代理店業務を行っているオンライン広告代理店。勤怠管理や広告運用のデータ転送などの定型的な作業を効率化できないかと悩んでいました。

    そこで辿り着いたのが、画像認識によるロボット作成ができるRobo-Pat。
    Robo-Patの導入で、テレアポ先のチェックリスト作業については、1人あたりの作業時間が毎日30分~1時間削減。レポートの作成は30分かかっていたのがゼロになるなど、作業時間の削減に大いに役立っています。
    また、Robo-Patは、テレワーク導入時にも活躍。社内でしかできない作業をロボットに任せることで、テレワークでも問題無くスムーズに営業できる環境を整えられました。

    今後は、社員全体のRPAに対するリテラシーを上げていくことで、RPAの浸透を進めていくそうです。

    RoboTANGO導入事例をまとめてご覧いただけます

    皆様の状況に近い事例をお探しいただけるよう、RoboTANGO導入事例をまとめた資料をご用意いたしました。業務効率化の成功例が知りたい方、RPAやAI-OCR導入の効果が知りたい方はぜひご活用ください。

    導入手順

    RPAの導入成功事例を通してRPAの活用イメージはわいてきたでしょうか?
    ここからは実際にRPAを導入するにあたり、どのように進めるべきか、導入手順を紹介します。

    導入手順1.既存業務の見出しとフローの洗い出し

    RPAには得意な業務と苦手な業務があります。そのため、既存業務の中からRPAで自動化する業務を選定する必要があります。
    そこでまずは、現状把握。各部署・担当者ごとの既存業務をすべてリストアップします。次にリストアップした業務のフローの洗い出しを行います。そのうえで、各業務の目的は何か、不要なフローや重複しているフローはないか、やり方や順序を入れ替えることで簡潔化できるかといった点を見直します。そうして無駄をそぎ落としてから、RPAで自動化可能な業務の抽出を行っていきます。

    【RPAに向いている業務の一例】

    • 各種システムへのデータ入力
    • 他のアプリケーションへのデータ連携
    • 伝票作成
    • ダイレクトメールなどの発信
    • 経費処理
    • 顧客データなどの管理や更新
    • インターネットからの情報収集

    導入手順2.改善したい業務と目的を明確にする

    ステップ2では、改善したい業務と目的を明確にしていきます。ステップ1で抽出した社内の「RPAで自動化可能な業務」をより深く検証していきましょう。

    検証する内容は以下の3点。

    • 業務の本来の目的は何か
    • どんな課題があるか
    • 自動化によって求める成果は何か

    ここで、業務全体を見ながらどのような課題を解決すべきか、目的は何かを明確にすることで、最適なツール選定の手助けとなります。

    導入手順3.社内体制を整え、目的を共有する

    課題や目的を明確にした後は、それを社内で共有することが大事です。それらを共有することで、会社全体、一丸となって業務効率化に取り組む体制を構築できます。
    RPAは担当者個人の判断だけで導入できるものでも、個人の努力だけで成功させられるものでもありません。導入前の無料トライアルや導入前後の効果測定に協力してくれる部署やチームを募ったり、社内でRPA説明会や勉強会などを開催したりと、社内体制を整えていくことも重要です。

    導入手順4.課題解決に適したRPAツールを選定

    社内体制を整えた後は、いよいよRPAツールの選定です。自社の課題解決に適したRPAツールを選ぶために、機能や価格、使い勝手、既存システムとの連携やカスタマイズの必要性などを考慮して比較検討しましょう。
    また、導入や運用にかかるコストと導入によって得られる効果のバランスを把握することも大切です。しっかりとシミュレーションして、最適なRPAツールを選びましょう。

    導入手順5.まずは小規模で運用と効果検証する

    RPAツールが決まったら、まずは小規模で運用と効果検証をしましょう。全社規模での大掛かりな導入をする前に、難易度の低い業務からスモールスタートすることが成功のカギを握ります。この時点でRPAに不具合はないか、使い勝手はいいかなどを確認しつつ、導入の効果を検証します。スモールスタートでチェックや効果の検証をしておけば、リスクを最小限におさえられることはもちろん、大規模運用時にもスムーズに対応できます。

    失敗しないツール選びの確認ポイントとは

    RPA導入を成功に導くためには、何と言っても自社に合ったRPAツールであることが大前提です。ここでは、何を基準にRPAツールを選べばいいのか、失敗しないツール選びのために確認しておきたいポイントを紹介します。

    導入目的や課題解決に適した機能か

    最適なRPAツールを選定するためには、まず、自動化したい業務の洗い出しと導入規模を明確にする必要があります。RPAツールは性能やプランによって運用できる人数や業務規模に制限があったり、全てのソフトやシステムに対応していなかったりします。導入後になって「自動化したい業務に対応していなかった…」と気づく最悪の事態を回避するためにも、利用条件や要件、必要な機能は必ず確認しましょう。

    機能のカスタマイズは可能か

    RPAツールを選定する段階で、目的に合わせて機能のカスタマイズが可能かといった点も確認しましょう。カスタマイズ無しでそのまま使えるタイプのRPAツールもありますが、対応できる業務範囲が限定されていることが多いです。導入後もずっと一部の限定した業務にだけ導入すると決めているのであれば問題はありません。しかし、導入後に業務フローに変更があったり、新たな業務への自動化を検討したりするケースの方が多いのではないでしょうか。
    既に導入したツールが運用変更や新業務に対応できず、業務別にRPAツールを用意しなければいけないとなれば、逆にコストが膨らんでしまいます。
    長期的な運用をスムーズに行っていくためにも、初期の選定時点でツールの柔軟性や拡張性を確認しておくとよいでしょう。

    規模や機能にあったコストか

    自社の規模や機能にあった導入コストかという点も確認すべき重要なポイントです。市場には、低価格なツールから高価格なものまで幅広く出回っています。一般的にRPAの料金は、機能の違いやできることの範囲によって変わります。AIが搭載されているようなRPAツールであれば、複雑な意思決定ができたり、高度な分析ができたりとハイパフォーマンスな業務を実行できます。こういった高機能を備えたツールは導入金額も運用コストも高額になります。
    特に中小企業において大企業向けのツールを「みんなが選んでいるから」「評判がいいから」という理由で選んでしまうと、コストパフォーマンスが見合わず導入は失敗に終わってしまうでしょう。逆に単に「安いから」というだけで飛びつくのもよくありません。機能不足のRPAツールを選んでしまう可能性があり、期待したRPAの導入効果を得られずにおわってしまいます。

    RPAツールを選定する際にコストを見ることはもちろん大切ですが、必要な機能が備わっているツールであることが前提です。規模や機能とコストのバランスがとれた、費用対効果の高いツールを選びましょう。

    サポート体制が整っているか

    サポート体制が整っているかも重要な選定ポイントです。せっかくRPAを導入しても、「思ったように導入が進まない」「問い合わせたくてもベンダーがつかまらない」「問い合わせの回答に時間がかかる」など、ベンダーのサポート体制が十分でないために、導入・運用がうまくいかないケースも聞かれます。

    導入時のシナリオ設定からアドバイスが受けられるベンダーであればスムーズな導入が可能です。また、RPAは早朝や深夜、休日でも運用することがあるため、サポートの対応時間や曜日もチェックするといいでしょう。もちろん、海外製のRPAツールであれば、日本語対応のレベルも確認する必要があります。

    また、RPAツール使用方法のマニュアルが整備されているか、勉強会や研修などの教育サポートがあるかなども確認することをおすすめします。RPA推進担当のメンバーがしっかりとRPAツールに関する知識を習得できることで、社内への浸透スピードを高めることが期待できます。

    オンプレミス型かクラウド型かといったシステムの形態も重要です。RPAのシステム形態には、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。
    クラウド型は、クラウド上で提供されるRPAツール。インターネット環境さえあればすぐに設置でき、初期費用も安価に抑えられるため、中小企業でも導入しやすい特長があります。また、サーバーやシステムの保守やメンテナンスはベンダーが対応してくれることや、外部からのアクセスが容易。導入のしやすさ・コスト・管理面において多くのメリットがあります。デメリットとしては、カスタマイズに制限があることや、基幹システムと接続した際などにセキュリティ面で注意する必要がある点などが挙げられます。

    オンプレミス型は、自社のサーバーやPCにロボットを設置するRPAツールです。幅広いカスタマイズが可能で、社内の既存システムとの連携などさまざまな業務を自動化できます。ただし、アップデートやメンテナンスも自社で行わなくてはならないためシステムに詳しい人員の確保が必要なことや、外部からアクセスする際にVPN接続などの設定が必要となるためテレワークなどには不向きといったデメリットがあります。

    このようにオンプレミス型・クラウド型それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の導入の目的にあったシステム形態を見極める必要があります。自社の業務の何を自動化するのか、どのような管理体制で運用していくのか、それぞれのメリット・デメリットと比較しながら、どちらのタイプが最適かを検討しましょう。

    デスクトップ型かサーバー型か

    RPAツールは、実行環境(作動する場所)の観点から、デスクトップ型とサーバー型の2つに分類されます。
    デスクトップ型は、パソコン内で1台のロボットが稼働し、各パソコンのユーザーに特化した個別の作業を自動化します。サーバーの構築が不要で、比較的安価に導入できるため、個人や中小企業、あるいは部署単位での導入に適しています。注意点としては、ロボットを実行している間は、そのパソコンでは他の作業ができない点。

    サーバー型は、サーバー上に複数のロボットを設置し、横断した業務を自動化できます。スペックやストレージも個々のパソコンに依存せず、大量のロボットを一括管理できるため、大規模な導入に向いています。サーバー上に環境を構築するため、デスクトップ型に比べ導入・運用のハードルや開発の難易度が高い傾向にあります。また、サーバー費用やライセンス費用が継続的にかかる点も考慮が必要です。

    どれくらいの規模でRPAを利用するのか、自社のシステムや業務に合った操作性はどちらかを考え、デスクトップ型かサーバー型かを決めましょう。

    まとめ

    RPAの仕組みやメリット・デメリット、RPAの得意なこと・苦手なことなど「RPAとは?」といった基本を解説しつつ、RPA導入の成功事例や選定ポイント、導入までのプロセスを紹介しました。

    RPAの理解を深め、自社でのRPA活用イメージがもてたのではないでしょうか?

    RPAの導入には、コスト削減や労働生産性の向上、業務効率化など多くのメリットが期待できます。現在の業務フローに課題を感じている、ビジネスモデルの変革が必要だという方は、ぜひRPAによる解決を検討してみてください。

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